エイパー・シナプス
エイパー・シナプスは『機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY』の登場人物。
エイパー・シナプス | |
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外国語表記 | Eyphar Sinapus[1] |
登場作品 | |
声優 | 大塚周夫 |
デザイン | 川元利浩 |
初登場SRW | 第3次スーパーロボット大戦 |
SRWでの分類 | パイロット |
プロフィール | |
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種族 | 地球人 |
性別 | 男 |
年齢 | 45歳 |
所属組織 | 地球連邦軍 |
所属部隊 | アルビオン隊 |
役職 | 艦長 |
軍階級 | 大佐 |
概要
アルビオンの艦長で、階級は大佐。良識ある紳士であると同時に軍人としても高い能力を持ち、最前線に立つ故に現状に対する危機意識も高い。
核弾頭受領の為に立ち寄ったトリントン基地で輸送中のガンダム試作2号機をアナベル・ガトーに強奪され、以降はデラーズ・フリートの追撃任務に就く。
デラーズ紛争終結後、後ろ盾であったジョン・コーウェン中将がジャミトフ・ハイマンらによって失脚し、シナプスも作戦中の命令違反の罪を問われ、極刑が下された。
キャラクターの総評
先述にもあるように決して無能ではなく、むしろ地球連邦軍においては良識的かつ有能な軍人なのだが、『0083』劇中においてはやる事なす事が大分裏目に出てしまっている。
だがそもそも彼らを軽く見る連邦軍の上層部からいろいろと押し付けられ、かつ彼も口にした軍閥政治に思いっきり巻き込まれた感は否めない。よく批判される試作2号機の奪還失敗も、アフリカ地帯の時点でクルーが愚痴る程に探索の負担をほぼ一手に担わされている。というよりもハブられていることが裏目に出た原因として大きい。 シナプス自身は自分達だけが出撃しているわけではないとフォローを入れているが、すぐパサロフ大尉から「全てコーウェン中将の息のかかった部隊」と愚痴が漏れたように、軍もコーウェンに対して連携を取ろうとしたり協力をする素振りがないことが見て取れる。 連携が取れていれば星の屑は間違いなく変に手を込ませることなく解決したはずであるので明らかにこの点は軍の怠慢であり、アルビオン隊とコーウェンを拘束するかほかの派閥の部隊の一員として扱うべきだった。
2号機強奪の原因として、核搭載のMSの警備が疎かだったことは事実である。格納庫内に警備員を常駐させていなかった。ただし侵入したガトーは手引したオービルを連れておらず、まったく警備がいなかったという判断も早計である。そもそもトリントン基地の警備があまりにも酷く、機密を扱うには不適だった。艦内の警備は艦長の責任であるのは免れないが、そうは言っても寄り合い所帯で連携も取れず、教育や指導を行き届かせようとしても無理があった。また、このシーンはそもそもガンダム強奪という事件の発端を作るために、0083お得意とも言える「ご都合主義」的に作られた話の流れであることも頭にいれるべきである。
ワイアットとシーマ艦隊の密会を妨害したことも殊更非難されるが、この点は時系列を誤って(あるいは批判するために意図的に誇張して)伝えられていることが多い。
上官に確認も取らずに出撃をしたという事なので擁護が難しいという意見も、そもそも攻撃してから連絡したのはなく出撃の報告であるし、それを見て密会を秘匿するため先に攻撃したのはワイアットが指揮するバーミンガムである。[2]。そもそもこの一件が起きる前からワイアットはアルビオンの存在を認知しているばかりか、バーミンガムの横を既に演習でアルビオン隊のMSが横切っているのである。それを見てワイアットは「例の融通のきかない船か」と気取るだけで、何らアルビオンを遠ざけるような工作や、会合を遅らせるための行動など、一切対策を行うこともしなかった。アルビオンは最新鋭艦であり、当然センサーなども高度なことを知らなかったのだとしたらお粗末だし、知ってて何もしなかったならそれは致命的な判断ミスである。よって大ポカをかましたのは明らかにワイアットである。劇中での誘導の通り功名心が過半数を占める理由でシーマ艦隊との密会を退ける羽目になったワイアットと、進言すらしなかった側近達に至るまでバーミングの関係者が無能過ぎたとしか言いようがない。
この点をしてシナプスを無能とする論調があるが、時系列的に見ると明らかに密会しようとしている艦とは思えないレベルの危機感のなさで対応したワイアットに大いに非がある。こうして見ると救援を志願したアルビオンに対するヘボンの叱責も、ワイアットの部下だったことを考えるとその目線では当然と言えるものであるが、これを含めてワイアットの「馬鹿め、盛りおって!」というあらゆる罵りは完全に逆ギレであるし、結果や状況をわかっているからシナプスの取り越し苦労だとわかるだけで現場判断としてはああする他なかったのである。ぶっちゃけこの点は神視点で物を語り、悪者は星の屑の妨害を邪魔したシナプスという結論ありきで語っている人間の都合のいい論調であることは留意すべきである。このうえ試作1号機をコウに任せきりにするのは危険という判断には神視点を都合よく起用しないのだから恐れ入る話である。
ただ、最終盤でコロニー落としを阻止する為とはいえ「軍の最高機密兵器となるガンダム試作3号機を強奪する」という守秘義務の大いなる逸脱は、軍法上では致命的であった。それどころかむしろ、『アルビオン隊が友軍の行動を阻害した事』が阻止失敗や連邦艦隊壊滅の大きな一因となってしまっており、利敵行為・戦犯扱いされてもおかしくない(特に内通者かつ終盤に連邦軍へ味方したシーマを「私情で攻撃・撃墜」した事は戦略上一切のメリットが無く、最大の失態と言っても良い)。しかもそこまでしておいて、肝心のコロニー落としの阻止には失敗してしまったので、功罪相償うと言う訳にもいかない。ただこの点もコーウェンの派閥を蔑ろにしていたことが一つの原因である。ソーラ・システムのことは機密扱いで他言無用だったとしても、何ら対策を取らず楽観視している、とシナプスに思わせてしまった連邦側にも問題はある。それでシナプスの越権行為を擁護出来るわけではないが、それだけ不信感を抱かせるムーブを続けていたのもまた連邦軍である。[3]
このように、物語前半では連邦の怠慢やワイアットの劇中通りの無能っぷりから同情すべき点は多い。一方で物語後半では命令無視による度重なる無許可戦闘や軍法違反を繰り返した件に関しては、「艦を私物化している」と指摘されても反論は難しく、シナプスの極刑は「妥当な判決」という事になってしまうのである[4]。もちろんその上で、その「妥当な判決」が下された理由に上層部の政争が関わっている(コーウェンが失脚していなければ罪の減免もあり得た)事は間違いないと思われるが。
「艦長であればその感情を抑えるのが仕事」という前提はあれど、アルビオンクルーのほとんどがシナプスの行動を批判せず、概ねその独断に同調していたこともまた事実である(つまりシナプスの命令ではあったが反発の形跡はないどころか自然に受け入れている)。最終盤におけるアルビオンは完全に家族的な関係ができあがっており、そういった中で家族の中核の一人であったサウス・バニング大尉を戦死させるに至った張本人と共闘せよという命令を受け入れづらいのもまた事実であり、それに対するフォローが一切ないというのもそれはそれで問題ではある。(ただこれは状況があそこまで差し迫っていなければまだ通る話レベルのことだが)よって私物化と批判されている一方、部隊全体の感情としてシーマ艦隊との共闘を素直に受け入れるのも難しい状況だった。
登場作品と役柄
旧シリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦
- 初登場作品。非戦闘キャラで、トリントン基地の代表者という立場で登場し、コウ(展開によってはキースも一緒)をロンド・ベルに出向させた。
αシリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦α
- アルビオンの艦長として参戦し、ブライトの正式参戦後も最後まで使える。
- 担当声優の大塚周夫氏も本作でスパロボ初参加となったが、以降新録する事なく2015年1月15日に死去したため本作が最初で最後の参加となった。
- 戦闘時のカットインは右手を斜め下に振り下げるというもので、かなり格好良く作られている。
- 今回は、ジオン絡みで何かと出番が多い。クリティカル率を上げる小隊長能力が、攻撃力が控えめのアルビオンと相性が良く、イワンとの精神コマンドの分担も上手くまとまっている為、なかなか優秀。ただし、所持技能の援護攻撃と連携攻撃に関しては乗機に強力な単体攻撃が無いため、あまり活用できないのが残念。
- 第3次スーパーロボット大戦α 終焉の銀河へ
- 原作のアルビオン隊メンバーとともに砂漠の虎と交戦する。後にαナンバーズ討伐メンバーに心ならずも組み込まれ、オーブに侵攻する事になる。ちなみに、オーブ解放作戦において、逃げ遅れたアークエンジェルに対して敢えて当たらない主砲を撃ち、彼らを逃がした。
- その後、謹慎処分を受け、アズラエルからは「いずれは極刑もありうるだろうね」と言われていたが、第42話シナリオデモにてレディ・アンと共にグローバルと会話していたことから、彼の下で保護されていた模様である。また、銀河中心殴り込み艦隊の見送りにも登場しており、ラストでは再びコウらの上官となる。
- なお、序盤は自軍で使用できるが、離脱後はスポット参戦のみで再加入はしてくれない。
パイロットステータス
精神コマンド
特殊技能(特殊スキル)
小隊長能力
パイロットBGM
- 「MEN OF DESTINY」
- 後期オープニング主題歌。
人間関係
- ジョン・コーウェン
- 上官。
- イワン・パサロフ
- アルビオンの操舵手。
- ジャクリーヌ・シモン
- アルビオンのオペレーター。
- サウス・バニング
- 部下。強く信頼しており、彼の戦死後の死亡通知もシナプスが書いている。
- アルファ・A・ベイト
- 部下。バニングの戦死後はベイトを大尉に臨時昇進させた。
- ベルナルド・モンシア、チャップ・アデル、コウ・ウラキ、チャック・キース
- 部下。
他作品との人間関係
ガンダムシリーズ
- ブライト・ノア
- 初競演した『第3次』ではブライト率いるロンド・ベルに補給とコウらの編入を行なう立場として絡む。
- 『第2次α』では連邦上層部からは彼の監視役という立場を命じられているが、互いに実力を認めており、信頼している。
- アデナウアー・パラヤ
- 『第2次α』では彼のやり方を快く思わなかった。
- マリュー・ラミアス
- 『第3次α』では一時共闘し、艦長の先輩格として彼女に大きな影響を与えた。
- ムルタ・アズラエル
- 『第3次α』では不本意ながら彼の下でαナンバーズを相手に戦う事になるが、彼の命令に抵抗し、αナンバーズを逃がしたので更迭されてしまう。なお、彼の後任としてナタル・バジルールが原作通り抜擢された。
リアル系
- ブルーノ・J・グローバル
- 『第3次α』にてアズラエルから謹慎処分を受けた後は彼の下で保護されていた。
スーパー系
名台詞
- 「戦争の代償…というにはあまりにも大きな傷だ」
- 第1話より。ジオン軍による「ブリティッシュ作戦」によってかつてのシドニーを巻き込んで生じた巨大なクレーターをニナに説明し、感慨深げに語った台詞。
- 「バニング君! 本艦は出航間もない寄合乗船だ。厄介な火種は迷惑だぞ!」
- 左舷MSカタパルトで揉め事を起こしている元「不死身の第四小隊」の管理に関してのバニングに対する叱責。
- 編成されたばかりで信頼関係の構築もあまりできていないところに、トラブルメーカーを放り込まれたに等しいため、彼らの上官であるバニングに対して厳しい口調である。
- 小説版では「あのゴロツキ共の管理は任せたはずだッ!」とかなり辛辣な言葉となっている。
- 「出ん訳にはいかんだろうッ!」
- 第4話より。左舷MSデッキでのモンシア達の素行の悪さから起こった騒動と一連のやり取りで不機嫌になっていたシナプスに対して、通信士のモーリスが辟易した様子でジャブローからの本日三度目の通信を告げた際の台詞。
- 唐突に大声を出したため、モーリスは驚いて萎縮してしまっており、謝罪した後に通信を繋ぐように指示を出している。その後のジャブローの将校とのやり取りと周囲のクルーが不満を洩らしたため、シナプスは「いい加減にしたまえッ!」と完全に堪忍袋の緒をぶち切ってしまう。
- 温厚なシナプスにしては珍しいが、アフリカに来てから一週間も経つのに手がかりすらないため、焦りがあったのだろう。
- ちなみに小説版では「これは軍艦で、ここはその艦橋だ。艦橋が居留守を使う訳にはいかんだろうッ!」となっている。
- 「…神よ、ルセット・オデビーに祝福を…」
- 第11話より。コウを庇い、凶弾に倒れたルセットを悼んでの台詞。
- 「むぅぅ…これでは軍閥政治ではないか!」
- 第13話より。終盤、シーマが連邦側に寝返った直後、バスク・オムとの通信にて。バスクからは「貴様、歯向かうか」と言われて不敵に微笑み返すが、一応は命令に従っている。
- なお、アルビオン隊とシナプス自身もコーウェン派閥であり、軍閥政治に参加している側である。にもかかわらずこういった台詞を口にしてしまうような政治的センスの欠如が、劇中終盤における失態に繋がっている、と考える事もできるだろう。
スパロボシリーズの名台詞
旧シリーズ
- 「以前のギレンの演説が呼び水となったのか最近DCの戦力が増強されたようだ。未確認だが連邦軍の一部がDCに寝返ったとも聞く。苦しい戦いになるだろうが、がんばってくれたまえ」
- 『第3次』第11話「ガンダム強奪」or第12話「熱砂の大地」より。DCの戦力が増強された理由を推察。同時にロンド・ベル隊の補給を行い、彼らの勝利のためにコウ達を出向させる。
αシリーズ
- (我々は取り引き材料か。この期に及んで、己の立場の方が重要だというのか…?)
- ゼンガー編第16話「復活の赤い彗星」orクスハ編第19話「帰るべき場所」orアラド編第13話「リクレイマー」より。
- 三輪長官に対して余計な負い目を作りたくないという自己保身から、αナンバーズに極東支部行きを命じるアデナウアーへの憤り。
- 「工作員? あなたが?」
「な、なるほど…それで…」 - 第47話「大東京消滅-後編-」or「激突! ミケーネ帝国-後編-」より。岡長官が行方を眩ませていた理由を聞き、工作員をしていたことと彼の娘のめぐみから甲賀流十七代目の忍者ということを聞いたときの反応。流石に忍者とまでは思わなかったのか、少し狼狽しているようだ。
搭乗機体
脚注
- ↑ Character、機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY、2022年2月3日閲覧。
- ↑ 発光信号のモールス信号であれば数秒で終わるので、予め状況の説明を求めるべきだったというのも無理筋。状況に確信を持てる判断材料はなかったし、そもそも数秒とは言え慎重に、あるいは悠長に確認を取ろうとしお手万が一バーミンガムが落ちれば明らかに大問題であったため、戦時中である以上一刻を争う時である。
- ↑ シーマ自身も自分で取引材料を潰してしまい、連邦目線での利用価値をほぼ失わせているため、友軍化したとはいえこの時点でシーマと共闘するメリットは失われていた。当然だからと言ってシーマ艦隊への攻撃があの状況で是認されるわけではないが。
- ↑ 小説版『0083』では「コウの懲役1年は罪状から見れば軽過ぎると指摘されている反面、シナプスの判決は罪状通りの厳しいものとなった」と記述されており、ある種の妥当性が垣間見れる。ただし、同時にこの裁判の判決は当初より決められており、裁判は「茶番」であるとも明言されているため、コウの罪状もシナプスに着せられているとの推察も可能である。