仮想世界とは、コンピュータ上に構築された世界を指す用語。
概要
高性能なコンピュータの演算処理によって成立する世界であり、高度な人工知能(AI)が人間と同じように生活している場合もある。
上記の意味ではコンピュータゲームも一種の仮想世界として考えられるが、コンピュータゲームはあくまで現実世界からコンピュータ上に構築された世界を俯瞰して体験するのに対し、創作物における仮想世界は何らかの方法で人間の意識を直接コンピュータ上に飛ばして五感で体験出来るものとして描かれることが多い。
そのため、仮想世界が現実世界を模して構築されている場合、そこで生活するAIや意図せずに現実世界から仮想世界に入り込んだ人間が「ここは仮想世界である」と自覚出来ないパターンがある。
また、その性質上「誰が何の目的でその仮想世界を作ったのか」が物語の根幹部分に関わってくる事例もある。
仮想世界要素が取り入れられている作品
- 機動戦艦ナデシコ
- ナデシコの艦内にクルーの精神ストレスを緩和させる目的でバーチャルルームが設けられている。利用者の脳波等のデータを計測する事でリアルな仮想世界を体感でき、舞台や服装なども多種多様に用意されている。マンツーマンで他者との仮想世界の共有も可能。非常に便利な設定ゆえに、ゲーム作品でも登場している。
- 電脳冒険記ウェブダイバー
- 物語の主要舞台。悪性プログラム「デリトロス」の襲来を受け現実世界の数多の子供たちが仮想世界「マジカルゲート」の中に囚われてしまい、グラディオンらウェブナイツとデリトロスの戦いの舞台となる。
- ゼーガペイン
- 量子サーバーに保存された幻体と呼ばれる人類が、サーバー上に再現された都市で生活を送っている。量子サーバーのリソースは有限であり、時間経過と共にデータが破綻していくため、一定の期間(舞浜サーバーの場合は4月4日~8月31日)で内容がリセットされる。幻体達はそれを認識する事なく生活しているが、セレブラントに目覚めた者は世界の真相を知り、ガルズオルムとの戦いに身を委ねる事になる。
- 楽園追放 -Expelled from Paradise-
- ナノハザードによって地球を追われたほぼ全ての人類が生身の身体を捨て、電脳パーソナリティとなってスペースコロニー「ディーヴァ」へと移住している。ディーヴァは生身では得られない悦楽を体感できる「楽園」とされているが、実際には限られたメモリを奪い合う競争社会であり、怠け者や反逆者はメモリ剥奪の上でアーカイブ凍結処分を受ける事になる。なお、移住しなかった少数の人類は荒廃した地球で暮らしている。
- ゲッターロボDEVOLUTION -宇宙最後の3分間-
- 物語中盤までの舞台。現実世界の早乙女博士がゲッターウィルに対抗可能なゲッターロボを開発するべく、プロトゲッターロボのメインコンピュータ上に構築したもの。この中で数億というシミュレートを繰り返し、プロトゲッターをゲッター1 (適者進化態)へと強制進化させた。当初、読者や登場人物には仮想世界である事は伏せられており、敵と戦いながらその謎を追う形でストーリーが展開した。
- SSSS.GRIDMAN
- 仮想世界「ツツジ台」が舞台。序盤の時点で人々が怪獣の存在を覚えていないこと、死亡した人物の記憶が消されていることなどの不可解な現象が発生しており(それに気付いているのはグリッドマン同盟の3人だけ)、中盤でアノシラスの口からこの街が新条アカネの手で作られた世界であることが明かされる。
仮想世界要素を取り入れているかどうかの判断が難しい作品
- THE ビッグオー
- 40年前の「何か」によってそれ以前のメモリーを失った街「パラダイムシティ」が舞台。『2nd SEASON』にて、「40年前の『何か』によってそれ以前のメモリーを失った街」という設定で何者かが作り上げた「舞台」である事が明かされた。舞台の演出はエンジェルが担当しており、更にその舞台を外から俯瞰する者として、別のロジャー・スミスとR・ドロシー・ウェインライトとエンジェルが存在する事が示唆されているが、パラダイムシティが仮想世界だったのかどうかは明言されていない。