ゲシュペンストMk-III
ゲシュペンストMk-III(Gespenst Mk-3)とは、スーパーロボット大戦シリーズに登場、あるいは存在が語られるバンプレストオリジナルのユニットである。本編中での通称はMk-III。
ただし現在まで発売されているスーパーロボット大戦シリーズのゲーム内では、実際にゲシュペンストMk-IIIという名のユニットを操作したり、直接プレイヤーが戦闘を行ったりすることは不可能となっている。
OG世界におけるゲシュペンストMk-III
ATX計画によって大幅な改修を受けることになったPTX-003 ゲシュペンスト・T。地球連邦軍の量産機として正式採用された際には、ゲシュペンストMk-IIIの名が冠される予定だった。
しかし、要求されたコンセプトからあまりにも逸脱した同機は不採用(後継機というよりは、改造機であることは明白)となり、アルトアイゼンと呼ばれることになる。Mk-IIIは幻の機体となり、開発経緯を知る一部の人間が極稀にアルトアイゼンの別名として呼称するのみとなった。
なお、その後連邦軍の次期主力量産機は量産型ゲシュペンストMk-IIではなく、テスラ・ドライブを標準搭載しており低コストのAM・リオンシリーズや、量産型ヒュッケバインMk-IIに移行している。
シャドウミラー側の人物は、この世界のアルトアイゼンも恒常的にMk-IIIと呼ぶ。また一部の人物は、アルトアイゼン・リーゼを便宜上「Mk-IIIカスタム」と呼ぶことがある。
「あちらの世界」におけるゲシュペンストMk-III
『スーパーロボット大戦A』(GBA版、PSP版共通)、『スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2』、『スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS』の第二部に登場する地球連邦軍特務実行部隊シャドウミラーの存在した平行世界(あちらの世界)では、ゲシュペンストシリーズが地球連邦軍の主力量産機として長年に渡り正式採用されており、現在の主力兵器である量産型ゲシュペンストMk-IIも機体性能の改良が続けられている。最終的には、約3000機もの量産が行われていた模様。
発展型であるゲシュペンストMk-IIIもまた正式採用され、代表的なパイロットでは、ベーオウルフと呼ばれる平行世界のキョウスケ・ナンブ大尉である。開発コードは「アルトアイゼン・ナハト」。
シャドウミラー側の人間が、「こちらの世界」のアルトアイゼンを「Mk-III」と呼ぶのは「あちらの世界」で正式採用されているが為である。ゲシュペンストMk-IIIを隊長機とする連邦軍特殊鎮圧部隊ベーオウルブズ(GBA版『A』ではゲシュペンスト隊)は、こちら側のロンド・ベル隊(A)やハガネとヒリュウ改(OGシリーズ)に匹敵する戦力を持ち、シャドウミラーの反乱を鎮圧する程の実力を持っていたというが、敵・味方見境無く殲滅する殺戮部隊と化してもいた。
アルトアイゼンのピーキーさを考えると、この機体を正式採用するというのはかなりの無茶な気がしないでもないが、あちらの世界におけるアルトアイゼンは、リーゼのさらに発展系のような性能のようなので、テスラドライブでなんとかバランス維持しているような無茶な設計など数々の問題点を軽減している事で、多少はマシなのかもしれない。また、「あちらの世界」における地球は、異星人の襲撃を受けていた状態(『A』では、一時期異星人に制圧されOG世界でもかなりの劣勢で戦況打開が求められた)から、「対異星人用兵器として、ピーキーであろうともとにかく高性能な機体が求められていた」と考えれば、正式採用されたのも頷ける。更に、「あちらの世界」の地球人の方が、機動兵器の平均操縦技術が高かった可能性もある。
OG世界ではインスペクター軍は無人機とバイオロイド搭乗機体群に有人指揮官機が指令を下す『徹底した高効率高機能軍隊』であったため、有人機の戦略的比重が非常に高く『有象無象の無人機体を突破し、指揮官機の電撃的強襲・撃破』戦略が求められていた為、そのドクトリンに合致するコンセプトのアルトアイゼンが求められたからと思われる。(イルムもその点を指摘しており、指揮官機を優先してして狙っていた。)
GBA版『OG2』で発表された情報は、アルトアイゼンと同様のデザインのユニットアイコンのみであったが、没データにアルトアイゼン・ナハトという機体色が青のアルトアイゼンが存在していたため、これがゲシュペンストMk-IIIであるとの説があった。その後、『OGs』に移植されるにあたり、立体的に描かれるようになったユニットアイコンで「青いアルトアイゼン」であることが発覚し、更にアクセル・アルマーがアルトアイゼン・リーゼを見た際に「Mk-IIIに近くなった」という台詞が追加された。
その後『無限のフロンティア』にアルトアイゼンやアルトアイゼン・リーゼとも異なる、「アルトアイゼンのフォルムをもったアルトアイゼン・リーゼ」というデザインコンセプトのアルトアイゼン・ナハトが登場すると、『電撃ホビーマガジン』の連載企画で寺田プロデューサーが「Mk-IIIとナハトは同じデザイン」とコメントするに至っている。ちなみに、リーゼが現地改修、Mk-IIIが正統進化らしい。
Mk-IIIのアインスト化
GBA版『OG2』までは、Mk-IIIや平行世界のキョウスケの状況を窺い知れる描写が極めて乏しく、こちら側のキョウスケやアルトアイゼンとの違いは少ないと思われていた。だが『OGs』以降は大幅に設定が変更され、Mk-IIIとベーオウルフはアインストに侵食され、Mk-IIIは自己再生と進化を行う異形の存在と化した。これは「こちらの世界」におけるライン・ヴァイスリッターに近い展開である。
なお、『ジ・インスペクター』ではソウルゲインに右腕を破壊された際にコックピットのベーオウルフまでも右手を負傷するという描写があり、操縦系統がPTから変化していると思われる。
OGsでのベーオウルブズは、敵味方関係なく徹底的に破壊し殺戮をもたらす悪夢の部隊と化しており、Mk-IIIと同時に登場した量産型ゲシュペンストMk-IIと、そのパイロットもアインスト化していたと思われる。
いくつか形態があり、転移前のアクセルとの戦闘で再生・巨大化後を行った後の赤いMk-III(スタッフによる通称はブラッディII、正式名称はアインストヴォルフ)、『ジ・インスペクター』の最終決戦にて、再び修復・巨大化を行い、ノイ・レジセイアを取り込んだノイヴォルフへ。ソウルゲインを一蹴するも、テスラ・ライヒ研究所でソウルゲインと対峙した際にコアに直撃した玄武剛弾が突き刺さったままのが仇となり、アルトアイゼン・リーゼにコアをリボルビング・バンカーと共に玄武剛弾に撃ち抜かれて爆砕した。
登場作品と操縦者
OG以前
- スーパーロボット大戦COMPACT2
- アルトアイゼンは「ゲシュペンスト3型の試作型」と語られている。
- スーパーロボット大戦IMPACT
- 『COMPACT2』と同じくアルトアイゼンが「ゲシュペンストの3型」と語られている。保存されていたゲシュペンストの3号機を改造したという設定が追加された。
- スーパーロボット大戦A
- 本編では機体そのものは登場しない。記憶を取り戻したアクセル・アルマー、またはラミア・ラヴレスがロンド・ベル隊復帰後、自分達の世界状況を話す際に本機の名を語る。連邦軍の特殊鎮圧部隊の隊長機が「ゲシュペンストmkIII」だったとのこと。ゲシュペンストの発展系として開発される機体の言及にある「低コスト、高性能の量産機」は量産型ゲシュペンストMk-IIに間違いないが「1機で戦況を変えられる究極の機動兵器」が何を指すのかは不明(パーソナルトルーパーの系譜で考えればSRXの可能性も)。
- リアルロボットレジメント
- 欠陥機であるゲシュペンストMk-IIIの手足を、アリエイル・オーグが未完成のまま手足がなかったフリッケライ・ガイストに再利用した。
OGシリーズ
- スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
- プロローグに登場。アクセル・アルマーのソウルゲインと交戦。その間にリュケイオスによってヴィンデル・マウザーやレモン・ブロウニング達は転移した。その後アクセルも転移したが、Mk-IIIの消息は不明。リメイク版とは異なり、本作ではアインスト化していない模様(本編内でのアクセルやラミアからもそういった旨の発言は見られていない)。
- なお、プロローグのMk-IIIのアイコンは内部データではアルトアイゼンが指定され代用されている。没データに存在するアルトアイゼン・ナハトが指定されている、というのはよく勘違いされるが誤り(故に本作の時点では「『向こう側』のアルトアイゼンはアルトアイゼン・ナハトである」というのはファン間の妄想・考察の代物であり、後にリメイク版で肯定された形になる)。
- スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS
- GBA版同様、『2』パート冒頭に登場。本作でもマップ上のアイコンのみの出番。本作ではナハトカラー(青色)で描かれている。GBA版では見られなかった「向こう側」のキョウスケ・ナンブことベーオウルフの姿も描かれるが、その変貌ぶりに驚かされたユーザーも少なくないだろう。最終的な展開はリメイク前と同じだが、本機がアインスト化していた設定になった関係で、本編内でのシャドウミラー関係者のキョウスケ&アルトアイゼンへの反応・対応が変化している。
- スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター
- 第1話冒頭でSRXを破壊、リュウセイにトドメを刺すという衝撃的な登場を果たした(その他、グルンガストやビルトラプターも破壊している事が公式HPで明かされた)。その後、前述の無限のフロンティアのドラマCDを再現した死闘をソウルゲインと繰り広げる。なおソウルゲインに右腕を破壊された後、異形の存在へと進化を果たした。
無限のフロンティアシリーズ
- 無限のフロンティア スーパーロボット大戦OGサーガ
- ゲーム本編には登場しないが、予約特典のスペシャルディスクに収録されたドラマCD「無限の"刻"が交わる場所で」に登場し、アクセル・アルマーのソウルゲインと死闘を繰り広げた。搭乗者はアインストに支配された「ベーオウルフ」で、担当声優もキョウスケ役の森川智之氏だが、声のイメージはかなり異なる。このドラマ内において、Mk-IIIはソウルゲインをも超える巨大なサイズへ変化したが、それが仇となってソウルゲインとの戦いに敗れた。また、ゲーム本編内で登場するアルトアイゼン・ナハトは、シャドウミラー側の平行世界における本機がモデルになっている。装甲がかなり頑丈になっているらしく、5機の量産型ゲシュペンストMk-IIのスプリットミサイルの一斉攻撃を受けても全くの無傷で、至近距離からのマシンガンの連射にも同様の描写がされている。
- 無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ
- 名前のみ登場。ピートはナハトの事を「Mk-III」と呼ぶ。
装備・機能
アルトアイゼンに近いと推測はされるものの、詳細は不明。平行世界のMk-IIIに最も近い武装なのは、サイズが異なるが本機のデータを元として開発された、無限のフロンティアのアルトアイゼン・ナハトと思われる。 無限のフロンティアのドラマCD及び「ジ・インスペクター」によるとアインスト特有の修復機能を所持しているようである。
武装・必殺武器
以下の武装は基本的にはアルトアイゼン・ナハトのものの名称である。
- ダレイズ・ホーン
- 頭部の角。本家のように電撃や熱は帯びず、そのまま斬る。
- 5連チェーンガン
- 左腕に装備されたマシンガン。『ジ・インスペクター』最終話で進化した後は巨大なビームをここから放っていた。
- リボルビング・ブレイカー
- 右腕の杭打機。本家のステークに相当する武器だが違いは不明。
- レイヤード・クレイモア
- 両肩の積層指向性地雷。ハッチの裏にも散弾が搭載されている。
その他
- シールド・クレイモア
- 左腕のシールドに内蔵された積層指向性地雷。リアクティブアーマー的に使うのかもしれない。『ジ・インスペクター』ではシールドそのものが装備されていない。
関連機体
- アルトアイゼン
- 平行世界の本機。
- アルトアイゼン・ナハト
- 別世界で呼称された本機。
- アルトアイゼン・リーゼ
- 平行世界で強化されたアルトアイゼン。肩などが本機に似ている。
- フリッケライ・ガイスト
- 原作ではこの機体の両脚両脚を継ぎ接ぎで完成した機体。
- アインストヴォルフ
- アインストの力で本機が変異した姿。
- ノイヴォルフ
- ノイ・レジセイアを取り込み、更なる進化をしたアインストヴォルフ。
- ライン・ヴァイスリッター
- 本機と同様にアインストの力で変異した姿。但し、パイロットまで取り込まれてない。