アニメソング(Anime Song)
楽曲のジャンルの一つ。狭義にはアニメーション作品のために作曲された歌付きの楽曲を指し、『アニソン』の略称で親しまれている。
『スーパーロボット大戦シリーズ』においても原作であるロボットアニメから多くの楽曲が使用されているが、そのうち3割~5割程度は歌詞付きの原作主題歌や挿入歌であり、シリーズとの関わりは深い。基本的には歌詞無しの形でアレンジされて使用されるが、中には印象深い掛け声が入っていたり、オプション機能のカラオケモードで歌詞が確認できる場合もある。
アニメソングの歴史
アニメーション作品に主題歌が付くことは海外でも珍しくないが、アニメソングというジャンルは日本独自のもの(「アニメソング」という語自体も和製英語である。)で、海外からは日本アニメと併せて「日本文化」の一つとして捉えられているようである。
1960年代以降、日本でアニメーションの製作が活発に行われるようになるのと並行してアニメソングの需要も高まり、アニメの視聴者である低年齢層を中心に広まりを見せるようになる。やがてアニメソングの専門歌手というジャンルも確立し、ささきいさお、水木一郎、堀江美都子、大杉久美子らといったシンガーが活躍の場を広げた。
80年代に入ると、歌い手はアニソンシンガーから一般の歌謡曲の歌手へと広がりを見せ、所謂「タイアップ曲」が増加。また、歌手として声優を起用した所謂「キャラソン」も誕生し、人気を博する。こうした多様化の流れは90年代直前まで続き、アニメソングの全盛期を迎える。
90年代に入ると、新世紀エヴァンゲリオンの記録的ヒットにあわせ、同作のサントラがオリコン1位を獲得。この成功に前後して、コアな視聴者層に対してのアニメソング展開がより一層活気づくこととなる。また、プレイステーションやセガサターン等のハードが登場して以降、アニメ同様ゲームに主題歌が付くことも多くなり、アニソンの類縁的ジャンル「ゲーソン」として親しまれるようになる。
一方で、歌詞において作品名を連呼するなどの特徴を備えた伝統的なアニメソングは衰退の傾向にあったが、近年、現在大人となった世代が子供時代に親しんだアニメソングを、歌手がリクエストソングとして再販する動きが目立っている。またロボットアニメの主題歌に関して言えば、敢えて70年代以来の伝統に回帰するような暑苦しい楽曲が高い支持を受ける(勇者王ガオガイガー、神魂合体ゴーダンナー等)など再評価の動きが強まっており、2000年には「アニソン魂」を後世に伝えることを標榜して「JAM Project」が結成される(後述)等の動きも起こった。
アニメソングの分類
アニメソングの狭義の範疇は前述の通りであるが、実際には歌付きのものに限らず、作品内の劇版曲も含めることが多い。更に「アニメ」ソングとは言うものの、実際には特撮作品やゲーム、ラジオドラマ用の楽曲も含んだ意味合いで用いられる場合も多く、CDの楽曲分類等においてもこの基準で区分けが行われている場合が多い。
また歴史の項にて前述の通り、80年代以降は一般歌手がアニメソングの歌い手を務めることも多くなってきているが、アニメ製作会社とレコード会社のタイアップの側面は近年ますます重視されるようになっている。狭義のアニメソングにおいては、元来『作品のタイトル』『登場人物の名前』『必殺技の名前』『作中の用語』などを歌詞中で繰り返し用いることで、視聴者にアニメーションの内容を強く印象づけるように作られるのが主流であったが、タイアップ増加の結果、楽曲の内容がアニメ本編とあまり関係なくなっているケースが増えている。
ただしそういった楽曲であっても、従前のアニソン同様にアニメ本編とセットで視聴者に受け入れられることも多く、原作関連の要素が含まれていないからといってアニメソングとは呼べない、ということには必ずしもならない。いわゆるリアルロボット系の作品ではその傾向が顕著で、現在では「原作中の用語に捕われず、作品の雰囲気とよくマッチしている詞」及び「曲そのもののテンポ」が視聴者受けする重要な要因になっていると言えよう。
アニメソングの作り方
普通、楽曲は作曲家の作った曲が先にあり、後から作詞家の詞が付くパターンが一般的なのだが、アニメソングにおいては漫画やアニメの内容を理解した作詞家(あるいは原作者)が提示した詞が先にあり、そこに作曲家が曲を付けるという逆のパターンが多い。このような形態を前者の『曲先』に対し『詞先』と呼ぶ(現在アニメソング作曲の第一人者である田中公平氏曰く、詞先の曲として再先駆かつ最も典型的な楽曲は「ゲッターロボ!」だそうである)。ロボットアニメ、特にスーパー系作品の楽曲は今なおこのスタイルを踏襲した詞先の作品が多い。
スパロボと縁の深いアニソン関係者
水木一郎
アニソン草創期から「アニメソングシンガー」として活躍してきた、業界の草分け的存在。携わった楽曲の多さから、アニメソング界のキング(通称『アニキ』)、またささきいさお、堀江美都子、大杉久美子の各名と併せてアニソン『四天王』など、数々の異名を有する。
ロボットアニメ作品の主題歌の歌い手としてもささきいさおと並んで草創期から存在感を放っており、『マジンガーシリーズ』、『鋼鉄ジーグ』、『合身戦隊メカンダーロボ』、『破邪大星ダンガイオー』などのテーマ曲を代表曲として持つ。スパロボ関連の楽曲と の縁も深く、旧シリーズの頃からスパロボのイメージソングの歌手として活躍しており、またSRWオリジナル版「マジンカイザー」の歌手も担当している。
2000年のJAM Project立ち上げ、その後の非常勤参加へのスタイル移行後もスパロボとの関係は深まる一方で、2008年感謝祭では総合プロデューサーとして演出に携わったり、公式ブログの執筆者としても名を連ねるなどスパロボに関連しての露出も多い。現在ではシリーズ各作品に必ずといっていいほどスペシャルサンクスとして名を連ねるスパロボ界の大御所となっており、スーパーロボット大戦αシリーズでは最終ボスであるケイサル・エフェスの声優を担当。また、次シリーズの開幕作と目されるスーパーロボット大戦Zでは開幕ボイス「ゼェェェェット!」を担当し、シリーズの幕引きと新章の開幕という大役を見事に全うしている。
シリーズの熱心な愛好家としても知られ、主にマジンガーシリーズ等の自身が主題歌を担当した作品の機体でゴリ押しする戦法を好むとか。声優の緑川光氏と並び、ユーザーからは製作者に影響を与え得るプレイヤーの一人と認知されており、関連の噂も数多い。
JAM Project
2000年7月に水木一郎アニキの行った「21世紀へ古き良き“アニソン魂”を残したい」という呼びかけに賛同した、所謂伝統的アニメソングに愛着を持つシンガー達により結成された、アニソンシンガー集団。正式名称は「Japan Animationsong Makers Project(ジャパン・アニメーションソング・メイカーズ・プロジェクト)」。
初期メンバーは水木一郎・影山ヒロノブ・松本梨香・さかもとえいぞう・遠藤正明の各名。元々ロボットアニメの主題歌を自身の代表曲として持ち、スパロボ関連作品のカバー歌唱でCDの発表も行っていた水木一郎や影山ヒロノブ、遠藤正明らを擁する布陣であり、当初からスパロボシリーズとの深い関わりを有していた。
真ゲッター対ネオゲッターの主題歌「STORM」等の発表を経て、発足から約9か月後の2001年4月、スーパーロボット大戦α外伝の主題歌「鋼の救世主」を担当。以後もシリーズの主題歌担当を歴任し、特に第2次αの主題歌「SKILL」、第3次αの主題歌「GONG」は、その熱い曲調がユーザーは元よりスパロボ未経験者からも非常に強い支持を受け、その地位をシリーズ内外で確かなものとすることとなった。
その後数度のメンバーの卒業・加入が行われ、創設提案者のアニキも2002年に非常勤宣言。現在は「長老」こと影山ヒロノブ、また「うますぎWAVE」のメインパーソナリティーとして活躍中の遠藤正明がメンバーの中心となっている。
- 2011年現在のメンバー
影山ヒロノブ、遠藤正明、福山芳樹、きただにひろし、奥井雅美
(非常勤・休止)水木一郎、松本梨香、ヒカルド・クルーズ
(卒業)さかもとえいぞう
- スパロボ主題歌
5th / 2001年4月 | 鋼の救世主 | スーパーロボット大戦α外伝 |
同EDテーマ「POWER」を収録 | ||
11th / 2002年4月 | GO! | スーパーロボット大戦IMPACT |
同EDテーマ「DEPARTURE」を収録 | ||
16th / 2003年4月 | SKILL | 第2次スーパーロボット大戦α |
同EDテーマ「FOREVER&EVER」を収録 | ||
20th / 2004年4月 | VICTORY | スーパーロボット大戦MX |
同EDテーマ「約束の地」を収録 | ||
25th / 2005年6月 | 迷宮のプリズナー | スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION THE ANIMATION |
同挿入歌「熱風!疾風!サイバスター」を収録 | ||
26th / 2005年8月 | GONG | 第3次スーパーロボット大戦α |
同EDテーマ「Brother in Faith」を収録 | ||
28th / 2006年11月 | Break Out | スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ |
29th / 2007年2月 | RISING FORCE | スーパーロボット大戦OG ディバイン・ウォーズ(インスパイア・テーマソング) |
同イメージソング「Fight to the end ~聖戦~」を収録 | ||
33th / 2007年8月 | Rocks | スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATIONS |
同EDテーマ「Portal」を収録 | ||
35th / 2008年9月 | Crest of "Z's" | スーパーロボット大戦Z |
同EDテーマ「Cosmic Dance」を収録 | ||
44th / 2010年10月 | MAXON | スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター |
46th / 2011年4月 | NOAH | 第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇 |
同EDテーマ「願い」を収録 | ||
8th アルバム / 2011年5月 | 流星lovers | スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター |
48th / 2012年5月 | 鋼のレジンタンス | 第2次スーパーロボット大戦Z 再世篇 |
同EDテーマ「The advent of Genesis」を収録 |
- スパロボで使用された楽曲
3rd / 2000年12月 | STORM | 真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ |
6th / 2001年9月 | FIRE WARS | マジンカイザー (OVA) |
13th / 2002年10月 | 嘆きのロザリオ | 超重神グラヴィオン |
同挿入歌「合神!ゴッドグラヴィオン」を収録 | ||
17th / 2003年8月 | The Gate of the Hell | マジンカイザー~死闘!暗黒大将軍~ |
19th / 2004年1月 | 紅ノ牙 | 超重神グラヴィオン Zwei |
21th / 2004年4月 | DRAGON | 新ゲッターロボ |
30th / 2007年4月 | STORMBRINGER | 鋼鉄神ジーグ |
同挿入歌「Dead or Alive」を収録 | ||
37th / 2009年8月 | 守護神-The guardian | 真マジンガー 衝撃! Z編 |
代表的なアニソン関係者
上記以外で、アニメソングに関わる著名な人物を(スーパーロボット大戦シリーズで使用された楽曲に関わっている方を中心に)紹介する。
作曲家
- 渡辺宙明
- 『昭和マジンガーシリーズ』や、『鋼鉄ジーグ』、『破邪大星ダンガイオー』など。
- 菊池俊輔
- 『昭和ゲッターロボシリーズ』や、『大空魔竜ガイキング』、『闘将ダイモス』など。
- 山本正之
- 『J9シリーズ』、『魔境伝説アクロバンチ』など。
- 小林亜星
- 『未来ロボ ダルタニアス』、『宇宙大帝ゴッドシグマ』、『∀ガンダム』など。
- 日本作詞作曲家協会(J-scat)理事。日本人に馴染み深いCMソングやTV主題歌を数多く輩出した日本音楽界の重鎮。作詞家・歌手・タレントとしての活動も有名で、特にドラマ『寺内貫太郎一家』での熱演は一定の世代に強烈なインパクトを与えた。
- 『∀ガンダム』前期OPテーマ「ターンAターン」では前述の『寺内貫太郎一家』繋がりで、西城秀樹をヴォーカリストに推薦している。
- 渡辺岳夫
- 『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』、『機動戦士ガンダム』など。
- 井上大輔
- 『劇場版 機動戦士ガンダム』(歌手としても参加)、『機甲戦記ドラグナー』(後期)など。
- 若草恵
- 『六神合体ゴッドマーズ』、『重戦機エルガイム』など。
- 田中公平
- 『トップをねらえ!』、『絶対無敵ライジンオー』、『機動武闘伝Gガンダム』、『勇者王ガオガイガー』、
『オーバーマン キングゲイナー』など。 - 菅野よう子
- 『マクロスプラス』、『マクロスF』、『天空のエスカフローネ』、『ブレンパワード』、『∀ガンダム』、『創聖のアクエリオン』など。
- 羽田健太郎
- 『超時空要塞マクロス』、『宇宙戦士バルディオス』など。
- 平沢進
- 『デトネイター・オーガン』(歌手としても参加)など。
- 馬飼野康二
- 『戦闘メカ ザブングル』、『機動戦士Ζガンダム』(後期)、『マシンロボ クロノスの大逆襲』、『新機動戦記ガンダムW』(前期)など。
作詞家
- 小池一夫
- 『昭和マジンガーシリーズ』を担当。
- 保富康午
- 『UFOロボ グレンダイザー』、『合身戦隊メカンダーロボ』、『大空魔竜ガイキング』、『宇宙戦士バルディオス』など。
- 井荻麟(富野由悠季氏のペンネーム)
- 自身に関わったアニメには必ず作詞をする。詳しくは『富野作品』を参照。
- 秋元康
- 『蒼き流星SPTレイズナー』、『機動戦士ガンダムΖΖ』など。
- 高橋良輔
- 『装甲騎兵ボトムズ』『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』等。
富野氏と同じく、関わったアニメのいくつかで作詞をしている。
歌手
- ALI PROJECT
- 『コードギアス 反逆のルルーシュ』、『鉄のラインバレル』など。
- 鮎川麻弥
- 『重戦機エルガイム』(後期)、『機動戦士Ζガンダム』(前期)、『機甲戦記ドラグナー』(前期)など。
- angela
- 『蒼穹のファフナー』など。
なお名前から勘違いしそうだが、単独の女性歌手ではなく2人組のユニットである。 - 遠藤正明
- 『勇者王ガオガイガー』シリーズなど。自身も「JAM Project」の一員。また、『スパロボOGネットラジオ うますぎWAVE』のパーソナリティでもある。『スタッフ』の項目も参照。
- 奥井雅美
- 『宇宙の騎士テッカマンブレードII』など。また、JAM Projectのメンバーでもある。
- 影山ヒロノブ
- 『真ゲッターロボ対ネオゲッターロボ』、『GEAR戦士電童』など。自身も「JAM Project」の一員。
- 串田アキラ
- 『戦闘メカ ザブングル』、『ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU』、『神魂合体ゴーダンナー!!(SECOND SEASONも含む)』など。関連作品ではコンパチヒーローシリーズ『グレイトバトル フルブラスト』の主題歌にも参加している。
- 小坂由美子
- 『宇宙の騎士テッカマンブレード』など。
- サイキックラバー
- 『ガイキング LEGEND OF DAIKU-MARYU』など。
- 坂本真綾
- 『天空のエスカフローネ』、『ラーゼフォン』、『マクロスF』など。声優としても活動。
- ささきいさお
- 『ゲッターロボ(G)』、『UFOロボ グレンダイザー』、『大空魔竜ガイキング』など。俳優・声優としても活動。
- 子門真人
- 『勇者ライディーン』、『マシンロボ クロノスの大逆襲』(後期)など。1993年に引退。
- たいらいさお
- 『伝説巨神イデオン』、『銀河旋風ブライガー』、『無敵ロボ トライダーG7』など。
- T.M.Revolution
- 『機動戦士ガンダムSEED』シリーズにテーマソングを多数提供。
- TWO-MIX
- 『新機動戦記ガンダムW』(TV版)、『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』など。
2人組のユニットであり、声優の高山みなみがヴォーカルを務めている。 - 中川翔子
- 『天元突破グレンラガン』など。同作ではTV・劇場版双方の主題歌を務める。
- ひろえ純
- 『機動戦士ガンダムΖΖ』(後期)など。
- 福山芳樹
- 『マクロス7』、『オーバーマン キングゲイナー』など。また、JAM Projectのメンバーでもある。
- FLOW
- 『交響詩篇エウレカセブン』(第1クール)、『コードギアス 反逆のルルーシュ』(前期)および『同R2』(後期)など。
- 堀江美都子
- 『超電磁マシーン ボルテスV』、『未来ロボ ダルタニアス』、『破邪大星ダンガイオー』など。
- 松本梨香
- 自身もアニメソングライターであり、「JAM Project」の一員だった。
現在は仕事の方針によりアニメ『ポケットモンスターシリーズ』に集中。 - MIQ(旧・MIO)
- 『聖戦士ダンバイン』、『重戦機エルガイム』(前期)、『機動戦士ガンダム 0083 スターダストメモリー』(後期)など。
- 三重野瞳
- 『覇王大系リューナイト』(後期)、『GEAR戦士電童』など。
現在は歌手業を引退し、作詞・脚本など文筆業に転向している。 - 美郷あき
- スパロボシリーズではエンディングテーマを担当。
- 水樹奈々
- 『無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ』の主題歌担当兼ヒロイン「ネージュ・ハウゼン」を兼任。NHK紅白歌合戦に出演するなど、アニメソング関係者としては前述の中川翔子氏や、後述の森口博子氏と共に快挙を成し遂げた。
- 森口博子
- 『機動戦士Ζガンダム』(後期)、『機動戦士ガンダム F91』など。
- 山形ユキオ
- 『魔境伝説アクロバンチ』、『銀河烈風バクシンガー』、『冥王計画ゼオライマー』など。