SDガンダムシリーズ

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SDガンダムシリーズ(Super Deformed GUNDAM Series)

SDガンダムシリーズ」とは、ガンダムシリーズモビルスーツSD化した擬人化キャラクターによる玩具のこと。単に「SDガンダム」とも。「武者ガンダム」や「騎士ガンダム」など、モビルスーツをモチーフにした独自のキャラクターたちを生み出したことでも知られる。

玩具の販促のために用いられる漫画やアニメ作品についてもこの項に含む。

デフォルメの特徴

SDガンダムはスーパーデフォルメ(略称・SD)という言葉自体を生み出した元祖ともいえる玩具企画である。このSDという言葉がどのようなデフォルメ(姿形変化)のことを表すかは当該項目に譲るが、SDガンダムシリーズについては以下の特徴を持つ。

  • モビルスーツを極端に低頭身化してリデザインを行う。2~2.5頭身が基本。一部の製品には3頭身以上のものも存在するが少数派である。
  • モビルスーツたちは擬人化され、人格があるキャラクターとして扱われる。誰かが乗り込んで操縦しているわけではない。
  • ツインアイを持つガンダムタイプに対しては、目の中に「瞳」が施される。

SDガンダムシリーズの生みの親とされるデザイナーの横井孝二氏によると、漫画家の鳥山明が描く「丸みを帯びたメカ」に大きな影響を受けているということで、また、擬人化のイメージソースとしては『Dr.スランプ』にモブとして登場するウルトラマンやゴジラのパロディキャラたちをイメージしていたということである。

瞳についてはSDガンダムシリーズの最大の個性と言え、キャラクターが意志を持っているということを伝える擬人化の意匠である。ただし、瞳がつけられるのは「ツインアイのガンダムタイプ」以外ではほとんど見られないので、全体から見れば少数派である。それゆえに主役級のガンダムの存在感がひときわ強まり、SDモビルスーツが集合したイラストにおいて主役級のガンダムは一目で見分けがつく。その個性の強さゆえ、瞳が苦手でSDガンダムシリーズを敬遠する人も少なからず存在している。そのための配慮もあってか、近年ではゲーム作品の『SDガンダム G GENERATION』シリーズを中心に、キャラクターではない純粋なSD体型のMSを表現するため瞳を廃したデフォルメを採用した製品も出てきている(元々90年代に販売されていたSDガンダムの玩具でもカメラアイについては瞳が付いているものと付いていないものの両方のシールが付属されていた)。

スーパーロボット大戦シリーズとの関わり

初代の『スーパーロボット大戦』では擬人化されたSDガンダムそのものが、同じくマジンガーZゲッターロボと一緒に戦うというゲームであった。しかし、続編の『第2次スーパーロボット大戦』以降はあくまで「原作アニメのキャラクターとロボットが登場するキャラクターゲーム」となり、ユニットのグラフィックにだけSDガンダムの絵を使用しているという措置が取られている。スパロボがSDデザインを使い続けてる理由には様々な理由があるが、「SD」という共通の方向性のリデザインを施すことで多種多様な作品の雰囲気をある程度統一すると同時に、ifの世界であることも強調できるためという点が最も大きい。

初期のスパロボ『第○次シリーズ』でデザインワークスを統括したレイ・アップの横井孝二氏は、SDガンダムの「生みの親」の一人であり、スパロボは「(当時の)SDガンダムの玩具のデザイン」を基準として他のロボットたちもそれに合わせるような形で統一感がとられていた。多種多様な作品が共演するスパロボでも「瞳」がつけられたのはガンダムタイプだけだったため、スパロボでのガンダムタイプはひときわ目立つ存在であった(ただし「真ゲッターロボ」のようにオリジナルのデザインの時点で「瞳」があるロボットについてはSD化しても瞳はつけられている)。

なお、現在は横井氏がレイ・アップから独立しているため、弟子筋にあたるかげやまいちこ氏がデザインワークスの統括にあたっている。そのこともあるのか、2000年頃からガンダムタイプの瞳は廃されている。また、現在ではスパロボのSDキャラクターの頭身は3頭身~4頭身が主流になっており、玩具の「SDガンダム」ともまた異なる基準の統一感が作られている。

また、スパロボとSDガンダムの関係性でよく語られる俗説に、「ガンダムシリーズのモビルスーツはほかのロボットアニメと異なり、一体一体で版権が個別に管理されていて、ユニットの数を出せば出すほど版権量がかかる。しかし、SDガンダムで版権を取得すればすべてのモビルスーツをその版権1つで出すことができる」というものがある。スパロボシリーズでは、ユニットはSD体型で描かれていてもカットインのグラフィックではリアル体型、というのが多いが、なぜかガンダムシリーズだけカットインもSDサイズという状況が長く続いていることがこの説の信憑性を強くしている。2011年~2012年に前後編で発売された『第2次スーパーロボット大戦Z』は登場ユニットはSDサイズだが、ガンダムシリーズのリアルサイズカットインを実現した初のスパロボである(ただし、それ以前もシャイニングガンダムの手やガンダム試作3号機の腕など、明らかにリアルサイズになっているカットインや、ガンダムエックスがシルエットでリアルサイズになっているカットイン、デスティニーガンダム等のカメラアイのみが映るカットインが存在した)。

その他、スパロボにおけるSDというデザインワークスそのもののあり方については当該項目も参照のこと。

一方、SDガンダム版権を取得しているのなら、「武者ガンダム」や「騎士ガンダム」などオリジナル色が強いSDガンダムの参戦を希望する声は根強い。事実、他のSDガンダムのゲームでは武者や騎士がゲストで出てくることが多い勿論、リアルサイズ比例を採用する「ガンダム無双」シリーズにおける、武者や騎士が出演する際、自身で他作品と近い8頭身比例化も行われること。スパロボと同じく「原作アニメのキャラクターとロボットが登場するキャラクターゲーム」として、ユニットのみにSDガンダムを使っている『SDガンダム G GENERATION』シリーズでさえ、武者や騎士が登場している。スパロボではこれがなかなか実現しないことについては、「モチーフ元のモビルスーツが同じSDキャラクターは、一体しか出せないというルールがあるため」ということがファンの間では定説になっている。例えば、スパロボでΖΖガンダムが出した場合、武者駄舞留精太頑駄無(むしゃだぶるぜいたがんだむ)は出せないという解釈(ΖΖガンダムが二機登場することになるため)である。しかしこれもまた『Gジェネ』などでは問題ないのになぜスパロボではNGなのかという疑問が新たに生じてしまっているため、決定的な理由とは成り得ていない。単なる設定の衝突を意識してのこととも考えられるが、明確な答えは出ていない。

尤もそれ以前に、SDガンダムシリーズは非映像化作品が非常に多い為、実際に参戦の障害となっているのは声優とBGMの問題である可能性が高いとされている。

2013年発売の『スーパーロボット大戦UX』において、SDガンダムシリーズがユニットデザインだけではなく「参戦作品」の一つとして初めて登場した。なお、SDガンダム側は『SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors』で、リアルサイズガンダム側は『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』であるのだが、三国伝のSDキャラたちのモチーフとなっているモビルスーツには、コズミック・イラ作品と『00』シリーズの機体が含まれておらず、SDガンダム側とリアルサイズガンダム側で登場するモビルスーツが一切被っていない為、上記の説を覆すに至っていない。

玩具

SDガンダムシリーズを扱っている玩具には以下のものがある。カードダス以外は現在も継続している。

カプセルトイ
いわゆるガチャガチャ・ガシャポン。コインを入れてレバーを回すとSDガンダムのミニモデルが入ったカプセルが出てくるという自動販売機である。
SDガンダムシリーズはこのカプセルトイから始まった。中のミニモデルは塩化ビニル樹脂製で、初期の頃は単一色の所謂「消しゴム人形」だったが、現在では彩色済みミニフィギュアとなっている。
プラモデル
スナップフィットタイプの箱入りキット。「BB戦士」というシリーズ名で知られる。
「BB戦士」という名称は当初スプリングを使用したギミック(BB弾を発車するなど)が装備されていたことが由来となっているが、現在では安全面の配慮から廃止されている。ただし、「ギミックを重視する」というシリーズの根幹要素は現在も受け継がれており、変形や合体などのギミックを楽しめる仕組みになっている。
「コミックワールド」というミニ漫画冊子がついてくるのも特徴。『SDガンダムBB戦士公式サイト』で冊子の多くが閲覧可能となっている。
組み立て玩具
BB戦士より低年齢層をターゲットとした、プラモとは異なるカテゴリの組み立て玩具。電飾やサウンドなどのギミックでBB戦士との差別化が図られている。
90年代では「元祖SDガンダムシリーズ」という名で展開され、SDガンダムのプラスチック玩具においてBB戦士との二本柱となっていた。現在は後継シリーズとして「SDX」が展開されている。
カードダス
バンダイが提供している、トレーディングカードの自動販売機。コインを入れてレバーを回すとカードが出てくる、いわば「カードのガシャポン」である。
現在はトレーディングカードアーケードゲーム「データカードダス」に移行している。デジタル化以降はSDガンダムは取り扱われていないが、2007年頃から「カードダス20周年」企画の一環で、「コンプリートボックス」と題して限定部数生産形式で復刻版を販売していた。
『SDガンダムワールド コンプリートボックス』は、Vol.4を最後にそのリメイクを停止。
『SDガンダム外伝』に分類される騎士ガンダムシリーズの方は好評を博した結果、完全受注限定生産ながら『SDガンダム外伝 プレミアムコンプリートボックス』のタイトルで続編の復刻が決定。販売不振を受けて未完となった「鎧闘神戦記」のカードダスを完結にまで導き、更に2012年9月に久々の新章として『新約SDガンダム外伝』が発表された。騎士ガンダムシリーズの根強い人気の高さが窺い知れる。

SDガンダムシリーズの世界観

SDガンダムシリーズが持つ特徴に、「MSの擬人化」という要素を最大限に活かした、原作とは異なるテーマや世界観を持つ「別の作品」として展開される点がある。

リアルロボットアニメのフラグシップであるガンダムで、擬人化というパロディを受け入れさせるためには、原作の持つイメージをあえて「壊す」ための工夫が必須である。それは最初期のカプセルトイの時点で試みられており、これには擬人化したモビルスーツのギャグシーンを一コマ漫画にしたイラストシールが付属していた。そこでのSDキャラクターたちは「原作アニメとは無関係に意思ある存在」ということを強くアピールしており、SDガンダムというコンテンツが受け入れられたのはこのシールの功績に依る部分も大きいとされる。

この流れをより推進させるため、商業漫画雑誌でSDガンダムを登場させるギャグ漫画を連載することになる、SDガンダムシリーズの漫画は複数の漫画雑誌に掲載された経歴があるが、メインとなっていたのは講談社の児童向け漫画雑誌「コミックボンボン」であった。

初期の頃はただ「このシリーズは原作とは異なるギャグ世界で描かれるコメディである」ことさえ伝えられればよく、「ギャグ世界」には細かい設定などは不要であった。作家ごとにキャラクター設定や世界観も異なっていた。この流れはえてして硬直化しがちなガンダムシリーズにとって大きな爆弾となり、一時期のガンダムシリーズを支えてアナザーガンダム誕生へも影響を与えたと言えるほどの大きな効果を残すことになる。しかしそのうち、ギャグではなくシリアスな独自世界でもSDキャラクターたちを展開させる企画が出てくる。「漠然としたギャグ」ではなく「確固とした背景ストーリー」を伝えるために漫画連載はますます重要視され、SDガンダムの玩具展開とコミックによる背景世界観の描写は不可分のものとなった。しかし、2007年にボンボンが休刊したことで、SDガンダムの新しいシリーズ展開が難しくなってしまっている現状がある。

SDガンダムシリーズがコミックを使って作り出した世界観やテーマは様々なものがある。原作をパロディしたギャグもの、原作と無関係にモビルスーツたちによる日常系コメディ、シリアスな異世界ファンタジーもの、果ては学園コメディまで、何でもありである。登場キャラクターも生命体からメカ、モンスターや精霊、さらには神様まで網羅しており、しかもSDガンダムとリアル体系のガンダムが共存すらしている。「SDガンダムは自由なのだ」という言葉もあり、一部ではガンダムで思いつく大抵のネタは既にSDが通り過ぎているとさえ言われるほどである。端的に言えば「わざわざガンダムを使って表現する必要のない世界観」にまでガンダムを無理にでも使うのがSDガンダムシリーズであり、この自由さこそが現在まで愛されている最大の魅力である。しかし、その一方でシャア・アズナブル役の池田秀一氏は下品な台詞が多いSDガンダムの仕事を快く思っていなかったというエピソードも残している。

現在までSDガンダムが公式で展開してきたテーマや世界観は大きく分けると以下のようになる。

ギャグ・パロディ系

SDガンダムシリーズは当初「擬人化したモビルスーツたちがドタバタコメディを繰り広げるギャグ・パロディもの」という位置づけで始まった。現在でも単に『SDガンダム』とだけされる場合は、基本的にギャグ要素が念頭に置かれることが多い。

ギャグ・パロディ系として作られたSDガンダムシリーズの漫画作品やアニメ作品は、その作品ごとに舞台設定が異なる。基本的に作家ごとに好き勝手にギャグを描いていったので、同じSDキャラクターでも作品によって全く異なるキャラクター性で描かれることになる。しかし、そのカオスさこそが原作イメージを「壊す」手助けともなっている。

以下はギャグ系作品として発表された代表的な作品である。

『機動戦士SDガンダム BB戦士 コミックワールド』(今石進)
プラモ「BB戦士」に付属された漫画。コミックワールドでは「SDキャラクターたちは役者であり、スタジオでドラマを撮っている」という設定があり、原作のガンダムシリーズは彼らが演じたドラマであるという扱いである。このコミックワールドはそのスタジオの役者たちの日常を描くコメディ漫画であったが、そこからさらに発展させ「別に原作アニメと関係のないドラマを撮影しても良いのではないか」という着想から生まれたのが、後の武者ガンダム、騎士ガンダムなどのオリジナル路線である。
『元祖!SDガンダム』(横井孝二)
コミックボンボン連載の4コマ漫画作品。そのタイトルからしばしば玩具の「元祖SDガンダムシリーズ」と混同されるが、当作の「元祖」はSDガンダムの統括デザイナーにして生みの親である横井孝二が作者であるという意味から来ている。登場そのものもこちらが先であり、横井氏が関わっているという以外に同名玩具シリーズとの直接的関係は存在しない。生みの親の特権で、騎士・武者・Gアームズなどオリジナル系SD作品のキャラクターも登場させているのが特徴。
『爆笑戦士! SDガンダム』(佐藤元)
コミックボンボン連載。人間とSDモビルスーツが共存する世界でのドタバタギャグ漫画。終始ハイテンションでコミックワールドとは対極のノリ。Zガンダムのキャラクターが中心で、ストーリーは一発ネタの連作短編もので各話ごとに設定がリセットされるため、統一したあらすじはない。内容は同作者が本作前に執筆していた『ファミコン必笑どーじょー』の流れをそのまま汲んでおり、シチュエーションコントをベースにアイドル・CM・TVドラマなど当時のトレンドを盛り込んだパロディネタに特化している。
『ダブルゼータくんここにあり』(こいでたく)
バンダイの模型誌「B-CLUB」と姉妹誌「SDクラブ」で連載。哲学ギャグ漫画として知られる『ぼのぼの』をSDガンダムで再現するというコンセプトの作品。
『SDガンダムフルカラー劇場』(あずま勇輝)
コミックボンボン連載。1997年からボンボン休刊まで連載され、その後も掲載誌を変えながら2009年まで続いた。SDガンダムシリ-ズの漫画作品では最長連載。
カプセルトイ『SDガンダムフルカラー』の販促漫画という意味でつけられたタイトルで、フルカラーと言う名に反して作品は基本的には白黒である。
全てのガンダムシリーズの世界観が原作設定を踏襲しつつギャグの味付けで一緒くたになったような不思議な世界観で、きわめて多様なSDモビルスーツが登場する。なお、人間キャラも共存している世界観でもある。連載時期的に、コズミック・イラ作品や『機動戦士ガンダム00』などTBS系で放映されたガンダムシリーズのSDキャラクターも扱われている。
『森本がーにゃのSDガンダムいんふぉ』(森本がーにゃ)
サンライズが運営するガンダムシリーズのポータルサイト「GUNDAM.INFO」にて、2012年3月19日から連載されているWEB漫画。作者の森本氏(自画像は陸戦型ジム)がSDモビルスーツと共に、ガンダム関連の様々な話題をギャグ漫画形式で紹介する。扱うジャンルもアニメだけでなくプラモデル・カプセルトイ・ゲーム・パチスロ等多岐にわたる。なお、森本氏がSDガンダム世代であることから、作風は上記『フルカラー劇場』をほぼ踏襲したものとなっている。

武者ガンダムシリーズ

「武者ガンダム(むしゃ - )」とはSD化されたモビルスーツに戦国武将の鎧を着せたもののことである。展開時期は1988年~現在まで。

初出は漫画『プラモ狂四郎』で主人公がRX-78-2ガンダムのプラモデルを改造してつくったカスタムモデル「ムシャガンダム」であり、SDガンダムとは無関係のものであった。それがSD化されてカプセルトイやBB戦士に登場した事で人気を博したため、他のモビルスーツも武者風のデザインでSD化させる企画が始まった。

企画に際して「武者の衣装を着たSDキャラクターたちが活躍する異世界の物語」が設定され、BB戦士付属冊子のコミックワールドやコミックボンボン誌上で漫画連載が行われた。なお、武者ガンダムの玩具は「BB戦士」を主軸に展開され、「元祖SDガンダム」を主軸にしていた騎士ガンダムとは棲み分けがされていた。

展開初期の頃は、武者たちの名前は「モチーフとなったモビルスーツの名前を強引な当て字で漢字にする」ことであらわしていた。例えば「武者駄舞留精太頑駄無(むしゃだぶるぜいたがんだむ)」はΖΖガンダムをモチーフにする(スパロボでいえば我亜里怨と書いてガーリオンと読ませる)。その他には意訳を用いる場合(「武者全武装頑駄無(むしゃふるあーまーがんだむ)」など)もあったが、後に強引な当て字は少なくなり、「白龍頑駄無」(モチーフはガンダム試作1号機Fb)などオリジナルの名前をつけることも多くなり、ついに第10弾からは「武者デスサイズ」など普通にカタカナ表記となったが、武者ガンダムシリーズの最盛期はこの当て字がされていた時代であり、今でも武者ガンダムといえば暴走族のような名前がついたガンダムというイメージで捉えている人は少なくない。

余談だが「頑駄無」は「頑強なる心を持ちて 悪を駄せし輩を 無に帰せしめし者」という意味であって「頑張っても無駄」的なネガティブな意味ではないので要注意。

武者ガンダムシリーズはさらに以下のように区分される。

SD戦国伝(第1弾 ~ 第3弾)
最初に展開された武者ガンダムシリーズ。これはさらに「武者七人衆編」「風林火山編」「天下統一編」の三部に分けることができる。
SDキャラクターたちが暮らす戦国時代の日本のような世界を舞台に、この地を納める「頑駄無一族」の若武者とその仲間たちが、この地を支配しようとする「闇軍団」との壮絶な合戦を繰り広げるという物語。三部にわたって大きな年代経過があり、この地の王「頑駄無大将軍」の地位が代替わりされていくというのも特徴。第一部のキャラクターが第二部では出世して別のデザインになっている、といった形で玩具展開を拡大させていった。
新SD戦国伝(第4弾 ~ 第6弾)
二番目に展開された武者ガンダムシリーズ。これはさらに「地上最強編」「伝説の大将軍編」「七人の超将軍編」「超機動大将軍編」の四部に分けることができる。
前作『SD戦国伝』と世界観は引き継いでおり、名前のなかったこの国に「天宮(アーク)」という名前が付けられた。そして「天宮」から海を越えたところにある大陸として中国風の「影舞乱夢(エイブラム)」、インド風の「赤流火穏(アルビオン)」が新たに設定され、この三大陸をまたに駆けるストーリーが『新SD戦国伝』である。
登場する武者も、影舞乱夢出身者には古代中国風の武具を、赤流火穏出身者には古代インド風の武具が着せられ、デザインのバリエーションは格段に増えている。
敵は闇の力の信奉者たちであり、光と闇の二元論の壮大なサーガが背景にある。扱われるストーリーも世界の創世神話に絡む規模にまでエスカレートした。
四部の主人公はそれぞれ父(「地上最強編」「伝説の大将軍編」)、長男(「七人の超将軍編」)、次男(「超機動大将軍編」)であり、系譜的な広がりを見せている。
超SD戦国伝(第7弾 ~ 第10弾)
三番目に展開された武者ガンダムシリーズ。これはさらに「武神輝羅鋼(ブシンキラハガネ)編」「刀覇大将軍編」「天星七人衆編」の三部に分けることができる。
『新SD戦国伝』とおなじく三大陸の武者たちが活躍する戦記もので、武神輝羅鋼編は超機動大将軍編の直系だが、それ以降は各部ごとで100年以上がたつため、ストーリー的には前作のようなサーガ展開は薄い。しかし、前の部の血縁の子孫が次の部に登場する、といった具合に歴史ドラマのカラーを濃く持たせている。
ムシャ戦記 光の変幻編(第11弾)
「天宮」を舞台にしながらも、設定を一旦リセットして再始動したシリーズ。過去の戦国伝のキャラクターが出てくるが、過去作と時系列的なつながりは曖昧にされている。
このシリーズから、武者の名前に強引な当て字をすることはなくなった(「武者ウイングゼロ」などと表記)。しかし、過去の戦国伝のキャラクターたちについてはそのままの当て字が継続している。
ムシャジェネレーション(第12弾)
それまでの武者から世界観そのものを刷新させたシリーズ。文明が後退した超未来を舞台に、過去のロストテクノロジーである「武者」を駆る人間たちの物語。騎士ガンダムの「機兵」の要素を武者世界に持ち込んだものである。
「ジェネレーション」というタイトルが示す通り『SDガンダムG GENERATION』の武者版というコンセプトを目指して生まれたシリーズで、本作における「武者」は人が駆るSD型のロボットであり、ガンダム系機体にはそれまでのSDシリーズの定番であった「瞳」も存在しない。方向性としては『魔神英雄伝ワタル』や『覇王大系リューナイト』のようなSDロボが出てくるオリジナルファンタジーアニメに近い。
その異端さ故に人気不振を招き短期でシリーズが打ち切られ、コミックスも未発売となってしまった不遇のシリーズでもある。
裏設定的には黒歴史と関連があるらしく、過去のガンダムシリーズの未来の世界がムシャジェネレーションで、さらにその後にナノマシンの影響で「武者」に生物的特性が宿り、SD戦国伝の世界につながる、という形となっている。
武者○伝(第13弾 ~ 第15弾)
「ムシャマルデン」と読む。天宮の武者ガンダムたちが現代日本にやってきた、というコンセプトのシリーズ。
時系列としては『ムシャ戦記 光の変幻編』の数十年後になるが、基本的にはギャグ路線で、シリアス一辺倒だった武者ガンダムシリーズをSDガンダムの元祖たるパロディ路線に回帰させたとも言うべきシリーズ。
全三部構成だが、各編に特別な名前はない。第三部は逆に現代日本のキャラが天宮にやってくる構成になっている。
各部の主人公が後の部に再登場し、最終局面では主人公3人が揃ってゲッター的な融合を果たして「頑駄無大将軍」となっている。
SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝 武化舞可編(第16弾)
SD戦国伝の第一部「武者七人衆編」のリメイク。ただし、時系列的には天宮の歴史設定に組み込まれており、「天宮の未来に、過去と同じような事件が起こった」という扱い。
『SDガンダムフォース絵巻』のタイトルが示す通り、当初は『SDガンダムフォース』と何らかの繋がりがあるとされていた。
なお、ショートビデオ作品群である『GUNDAM EVOLVE』シリーズの一作『頑駄無 異歩流武../(ガンダム イボルブダブルドットスラッシュ)十四』は本作との繋がりが示唆されている。
武者番長風雲録(第17弾)
武者ガンダムたちと人間が共存する世界の小学校を舞台にした「番長モノ」のストーリー。日本各地の番長ガンダムたちと抗争を繰り広げる熱血ギャグもの。
武者ガンダムの「暴走族の名前のような」イメージをあえて逆手にとったシリーズ。天宮との関わりは不明だが、一部資料によっては『武者○伝』の数年後の出来事とされている。
本作も人気不振によりプラモデル展開は4種で打ち切られているが、漫画連載は継続され『BB戦士三国伝』までの息を繋いだ。
SD戦国伝 武神降臨編(第18弾)
実在の戦国武将とSDガンダムを合体させたシリーズ。SD三国伝の逆輸入的なシリーズで、現時点で最新の武者ガンダムシリーズである。
設定上は「戦国武将の魂を宿した武将頑駄無」ということだが、コミック連載も付属コミックワールドもないためキャラ付けは弱い。プラモの箱に簡単なキャラクター性のみ解説されている。

騎士ガンダムシリーズ

「騎士ガンダム(ナイト - )」とはSD化されたモビルスーツに西洋風の騎士甲冑を施したもののことである。展開時期は1989年~1998年だが、2007年頃からはじまったカードダスの復刻が好評をもって迎えられた影響か、2013年から『新約SDガンダム外伝』という名で新企画が組まれた。

SDガンダムシリーズが誕生した時期は、ちょうどファミコンで『ドラゴンクエスト』などのファンタジーRPGが爆発的に広まった時期であり、いわばその流れに便乗した企画である。そのため、騎士ガンダムの着る装備はリアルな中世の鎧というより、ファンタジーものに出てくる「伝説の武具」のようなケレン味のあるデザインとなっている。騎士ガンダムシリーズは武者ガンダムシリーズよりも後に展開が始まっているため、SDガンダムでシリアス系を行うことへの不安要素はなく、「魔法使い風のモビルスーツ」など武者ガンダム以上に挑戦的なデザインも行われた。

展開の中心はカードダスであり、各カードの裏にかかれたテキストで、ストーリーや世界観の理解を深められるようになっていた。これは食玩の「ビックリマン 悪魔VS天使シール」の模倣ではあるが、当時はこのようなやり方は様々なコンテンツで行われていた。なお、舞台となる世界の名前「スダ・ドアカワールド」は「カードダス」の逆読みである。その中でもラクロアという王国が最も主要な舞台として扱われた。

武者ガンダムとは兄弟的な扱いであったが、騎士ガンダムの玩具は「元祖SDガンダム」が主流で展開され、「BB戦士」が主流であった武者ガンダムとは住み分けがされていた。また、武者ガンダムとの差別化要素として、アムロやシャアなどのガンダムシリーズの人間キャラクターたちもSD化されて登場する点と(スダ・ドアカは普通に人間が暮らす世界で、モビルスーツたちはいわばファンタジーで言うエルフやドワーフのような「異種族」扱いである)、機兵と呼ばれる巨大ロボットが登場する点がある。機兵は人間だけでなくSDモビルスーツたちもパイロットとして乗り込むことができる。

騎士ガンダムシリーズはさらに以下のように区分される。

SDガンダム外伝(第1弾 ~ 第4弾)
最初に展開された騎士ガンダムシリーズ。これはさらに「ジークジオン編」「円卓の騎士編」「聖機兵物語」「機甲神伝説」の四部に分けることができる。
ユニオン族とジオン族の民族紛争、そしてその黒幕である光と闇の竜たちの争いを背景に、世界を駆け巡った幾人もの「騎士」たちの興亡の戦記である。
新SDガンダム外伝(第5弾 ~ 第7弾)
二番目に展開された騎士ガンダムシリーズ。これはさらに「ナイトガンダム物語」「黄金神話」「鎧闘神戦記」の三部に分けることができる。
前作よりも派手な展開となっており、この手の大河ファンタジーものにおける定番展開が散見される。「機兵」に代表される戦力面のインフレーションこそ目立つがストーリーが破綻しているわけではなく、スダ・ドアカの創世と崩壊に絡む壮大な神話が描かれた。
SDガンダム聖伝(第8弾)
前作でスダ・ドアカの物語を行き着くところまでやってしまったため、世界設定を変更してリブートしたシリーズ。舞台は「リオン・カージ」であり、機兵のような極端なレベルの戦力は廃止され、展開のインフレが起こらないように配慮された。
しかしそれが逆に地味という印象を与えてしまい、リオン・カージの物語が次のシリーズに続くことはなかった。余談になるが、直近のリメイクでリオン・カージもスダ・ドアカと同じ世界(時間軸は未来)にあることが解説されている。
一般的には騎士ガンダムシリーズはここで終了したとされる。
SDガンダム列伝 ガンダム騎士団(第9弾)
過去のシリーズの騎士たちが「エレナ・ルウム」に召還されて、勇者として戦うクロスオーバーもの。
漫画のみで展開しカードダス化はされず、騎士ガンダムそのもののブーム終焉により半年で打ち切られた(しかも過去シリーズの騎士たちが次々と敵に殺されていくというストーリー)ため、公式からはなかば黒歴史的に扱われている部分がある。2011年にアスキー・メディアワークスから販売された『SDガンダム大全集 騎士ガンダム編』においても当作については触れられていない。
SDガンダム英雄伝(第10弾)
人間と機兵のみを登場させた特殊なシリーズ。しかし、一応はスダ・ドアカの公認の歴史の時間軸に組み込まれている。
ゲームをコアとした企画で、プレイステーション2ワンダースワンでそれぞれ別の作品が作られた。ボンボンでは漫画版も連載されている。
特筆すべきは「ムシャジェネレーション」とクロスオーバーしている点で、天宮の「人間」が乗り込む機兵「武者」が登場する。
新約SDガンダム外伝 救世騎士伝承 スダドアカ ナイト サーガ(第11弾)
2013年より開始が予告されてる新シリーズ。第1弾にあたる「神話復活編」は過去のシリーズのおさらいであり、第2弾となる「二人の皇子編」から本編(「黒き暴君編」「もう一つの聖杯編」「新王光誕編」の四部構成)が開始される。舞台は「鎧闘神戦記」の時代から数百年を経たプリティス王国。2015年春に完結をみせたが、今後の外伝の展開は不明。

ガンドランダー

ガンドランダーは、SDガンダムを使ったファンタジーものの企画。騎士ガンダムとほぼ同時期に開始された。展開時期は1990年~1993年。

舞台となるのは「ガンドランド大陸」と呼ばれる異世界。雰囲気は騎士ガンダムシリーズと似ているが、ガンドランダーは中世というより古代をイメージしており、ギリシャ神話の英雄憚や映画『コナン・ザ・グレート』のような、所謂「剣とサンダルもの」(紀元前を舞台に、ボディビルダー演じるバーバリアンや剣闘士が筋肉ですべてを片付ける冒険映画のジャンル)の雰囲気を目指すことで、騎士ガンダムとの差別化を図った。なお、ガンドランダーのタイトル名は映画『ハイランダー/悪魔の戦士』から取られている。登場キャラクターがやたら捻じ曲がった角を生やしている点が特徴。また凄まじく長命でシリーズ間の時間差は百年単位。

カプセルトイを中心に展開され、コミックボンボンで漫画連載も行われた。「闇の黙示録編」「魔封の聖剣編」「竜の守護神編」「復活の星勇士編」の四部で構成される。

その後騎士ガンダムの方が中世要素を半ば無視して「なんでもアリ」になっていったため差別化が上手くいかず、また背景ストーリーが比較的難解だったこともあり、結果として短命に終わった。

SDコマンド戦記

SDコマンド戦記は、SDガンダムシリーズにミリタリーものの要素を取り入れたシリーズ。SDモビルスーツは「意思ある兵器」として描かれ、戦場ドラマが展開される。展開時期は1990年~1993年。

カードダスと「元祖SDガンダム」を主流に展開され、「G-ARMS」「ガンダムフォース」「SUPER G-ARMS」「グレートパンクラチオン」の四部で構成されている。

人類と意思あるモビルスーツが共存し、すでに文明が外宇宙まで進出したスペースオペラ風の世界が舞台とする。「中央大陸マゼラン」では長く続いた平和の中でSDモビルスーツたちはだらけきっていた。しかし、そんな中突然、宇宙の果てから謎の勢力ザタリオン正規軍が攻めてくる。戦いを忘れたSDモビルスーツたちは大パニックに陥るが、鬼教官コマンドガンダムの指導の元、徐々に戦士として成長していく、というのが第一部「G-ARMS」のストーリーライン。基本的には部が変わってもこのプロットが変わらず、戦う相手は「悪の軍団」で、主人公たちはそれを打ち砕く「正義のヒーロー部隊」という扱いである。平たく言えばいつものスパロボの主人公部隊のイメージそのものである。その時代ごとの流行要素としてミリタリーや近未来警察、宇宙戦争に武道大会などの展開が取り入れられている。

デザイン的には既存のモビルスーツたちの「フルアーマー化」をよりエクストリーム進化させたようなもので、著名なモビルスーツにミサイルやバズーカがゴテゴテとつけられる姿は男の子心をくすぐるものであった。キャラクターたちは軍人といってもどこかコミカルに描かれ、海外ドラマの『特攻野郎Aチーム』、スパロボ参戦作でいうなら『フルメタル・パニック!シリーズ』のような、若干ライトなノリがある。

また、第4部「グレートパンクラチオン」では、天宮、スダ・ドアカ、ガンドランド大陸の未来の姿である「メビウス銀河」が登場。騎士・武者・ガンドランダーの3シリーズとのクロスオーバーを実現した。このあたりも実にスパロボ的と言えるかも知れない(ただし、武者シリーズと騎士シリーズは初期の時点で繋がりがあったため、各作品間のクロスオーバーはSDガンダムでは珍しくはない)。

SDガンダム三国伝

史実の三国志の武将たちとモビルスーツの双方をモチーフとしたSDガンダムを作ろうというコンセプトのシリーズ。BB戦士20周年企画として立ち上げられたもので、武者ガンダムのスピンオフ企画と言える。

舞台は「三璃紗(ミリシャ)」と呼ばれる古代中国風のファンタジー世界で、三国志演義ほぼそのままの世界観を持つ。出てくるSDキャラクターたちは「三国志の武将名+モビルスーツ名」となっている(例・孔明リ・ガズィ)。裏設定として、SD戦国伝の影舞乱夢の未来の姿とされているが、戦国伝との表面的なつながりは描写されない。

展開帰還は2007年~2011年。BB戦士の補完として漫画連載も行われ、アニメ『SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors』も放映された。「風雲豪傑編」「英雄激突編」「戦神決闘編」の三部構成になっており、一部は三国志演義で言うところの董卓討伐まで、二部は赤壁の戦いまでを描いている。三部は司馬家による魏の簒奪を元ネタにしているがオリジナル色が強い展開になり、最終的には三璃紗を闇に陥れようとする魔神「蚩尤」との戦いが描かれる。アニメは二部までが描かれた。

アジア市場も視野に入れて展開され、華字文化圏での玩具の展開は日本よりも充実していた。

2007年からの展開に関わらず、コズミック・イラ作品のモビルスーツをモチーフにした武将が一人もいない。これは当時の放送契約上の都合によるものとされており、2013年にはコズミック・イラ作品のモビルスーツをモチーフにリデザインされた武将勢が描かれている。

アニメ作品

上述のようにSDガンダムシリーズは漫画作品を「オリジナル」として扱われるのが基本だが、いくつかはアニメ化もされている。他のガンダムシリーズのアニメと同じく「創通・サンライズ」の版権管理で製作されている。

知名度やブームから考えるとアニメ展開は驚くほど控えめであったとも言える。特に、2003年の『SDガンダムフォース』まではTVシリーズ展開がなされなかった事から鑑みても、放送局やスポンサーがそれぞれ異なる複数のガンダムシリーズ作品が共演するゆえに、TVシリーズとして放送するには権利関係の障壁が大きい(「創通・サンライズ」だけでは解決しにくい)のではないかともされている。

機動戦士SDガンダム

サンライズ製作のOVAシリーズ。1988年~1993年の間に複数が製作された。

SDガンダムシリーズをテーマにしており、パロディものの短編とSD戦国伝を扱った短編が17話と、「SDガンダム外伝 ジークジオン編」を原作とする全4部の連作シリーズが作られている。また、OVAとは別に劇場版の中編アニメもいくつか存在している。

声優は出来る限り、モチーフとなったキャラクターと縁の深い人が選ばれている。人間のSDキャラには原作でその人間を演じた人が、モビルスーツのSDキャラには原作でそのモビルスーツのメインパイロットだったキャラを演じた人が、という具合である。

2007年にOVAと劇場版を全てあわせてDVD-BOX化され,2011年には廉価版として再販された。

SDガンダムフォース

ガンダム生誕から25周年記念として、2003年に放映されたTVアニメ。キャラクターは全て3DCGで描かれている。サンライズとアメリカの「カートゥーン・ネットワーク」との共同制作。

人間が普通に暮らす未来都市ネオトピアに、悪のSDモビルスーツ軍団「ネオアクシズ」が次元を超えて侵略を開始。しかしそのとき、ネオアクシズと闘う正義のヒーロー部隊「ガンダムフォース」も転移してきた。ガンダムフォースのリーダー・キャプテンガンダムの感銘を受けたシュウト少年は隊員としてガンダムフォースに入隊。シュウトとキャプテンガンダムの、戦いの物語が展開される。話が進むにつれ、ネオアクシズに侵略された別次元「天宮」の武者ガンダム、「ラクロア」の騎士ガンダムも登場し、物語は複数の次元をまたにかけたものとなっていく。

このプロットでわかるように本作は「コマンド戦記」をリメイクしたような位置づけになっている。ただし、過去のSDガンダムと世界観が繋がっている訳ではなく独立したパラレル作品として扱われている。

ちなみに、本作本放送が終盤に差し掛かった頃に『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』が放映開始された。

SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors

『SD三国伝』のTVアニメ版。詳細は当該項目参照。

ゲーム「SDガンダム」

「SDガンダム」はガンダムシリーズを扱ったシミュレーションゲームのシリーズ名にもなっている。1990年代後半以降は、玩具や漫画よりもこちらのシミュレーションゲームの方が「SDガンダム」というブランドのメインコンテンツになりつつある。

1988年にファミコンのディスクシステムで『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』というタイトルで発売されたのが元祖で、以降、いくつものバージョンアップを経て、現在まで続いている。

元々は玩具のSDガンダムを使ったキャラクターゲームという位置づけだったが、序々にガンダムシリーズの原作アニメを再現するゲームとしての方向性にシフトしていき、擬人化というSDガンダムシリーズの持つ特徴はなりを潜めた。ただし、登場するユニットのデザインは全てSD化されたモビス-ツということは現在まで踏襲しており、「SDガンダム」の名が冠せられることに偽りはない。

『SDガンダムワールド ガチャポン戦士』シリーズ
ファミコンで展開された。1987年~1992年まで全5作。いわゆる大戦略系のシミュレーションゲームで、戦闘モードについては『カプセル戦記』までは自分でモビルスーツを操作するアクションゲーム方式で、『英雄戦記』以降はコマンド型のRPG方式であった。
ユニット生産のシステムもあるが、これがカプセルトイのガチャガチャ回しを模した形になっており、プレイヤーは「ガチャガチャで買ったSDガンダムのオモチャを戦わせている」感が強まる仕組みになっている。
ストーリー要素はなく、SDガンダムたちにキャラクター性もほとんど付加されてない(アクションゲームとして自分で操作するためというのもある)。ただし、用意されるマップは原作アニメの名場面を再現したものが多かった。また、後期作では武者や騎士のユニットも生産できた。
『SDガンダムX』シリーズ
プラットフォームをスーパーファミコンに変えて展開された『ガシャポン戦士』の後継シリーズ。1992年~1995年の間に『SDガンダムX』『SDガンダムGX』『SDガンダムGNEXT』の全3作が発売された。
システム的には戦闘モードが『カプセル戦記』までのアクション方式に戻った点以外は前作とほぼ同じだが、原作アニメでに出てくる軍事勢力を1つ選び、その勢力によって生産できるユニットが変わってくるというシステムが追加。原作ファン向けの内容へシフトしていく過程が垣間見える。
『SDガンダム G GENERATION』シリーズ
通称「Gジェネ」。1998年にプレイステーションで登場して以来、現在までこのシリーズタイトルで様々なプラットフォームで展開している。数も20を超え、スーパーロボット大戦シリーズに並ぶロボットゲーム界の老舗である。
戦闘でのアクション要素は再び廃され、ユニットを操る「キャラクター」の概念が追加された。原作アニメに出てくるパイロットたちを乗せ、彼らが戦う様子を眺めるという、ある意味ではスパロボシリーズに近づいた形である。この時点でSDガンダムの持つ「擬人化」という要素は完全にオミットされた。
ストーリーの有無は作品によって違い、それこそスパロボのように原作ベースのクロスオーバーをするストーリー性が濃い作品と、「原作のドラマを再現する戦場に、自分が好きなキャラとユニットを編成した”プレイヤー軍”を介入させる」というストーリー性の薄い作品の二通りに分かれる。近年では「ジェネレーションシステム」という各ガンダム世界を管理するシステムがストーリーに関わる事が多い。
スパロボとも深い繋がりが存在し、機動戦士クロスボーン・ガンダムは前以てGジェネに参戦した事でスパロボにも参戦可能になったとみられている。Gジェネ側も近年では精神コマンドを採用した作品があったり、戦闘の演出がスパロボ並に派手になるなど影響を受けている節がある。
ちなみに寺田プロデューサーはGジェネのプレイヤーである事をスパログで公言している。
その他
このシミュレーションゲーム系以外でもわずかであるが「SDガンダム」の名を冠したゲーム作品は存在する。ファミコン時代には騎士ガンダムを扱ったRPGがいくつか発売されており、スーパーファミコン時代以降は武者ガンダムものもいくつか発売された。他にもSDガンダムを使ったアクションゲームの単独作品が数年に一個くらいのペースで発表されたりしている。
なお、コンパチヒーローシリーズは「SDガンダム」のタイトルは冠していないにも関わらずSDガンダムが出てくるクロスオーバー作品であり、当時のキャラクターゲームシーンにおいては異例中の異例措置であった。