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主にアニメ版について修正加筆
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人格的にどこか青臭さや未熟さを残したシャアと異なり遙かに強かな[[性格]]で、大人であるということを平然と武器にしてくる。いわば、シャアから人間的な部分を全て取り去った、赤い彗星という機械、とも見られる。
 
人格的にどこか青臭さや未熟さを残したシャアと異なり遙かに強かな[[性格]]で、大人であるということを平然と武器にしてくる。いわば、シャアから人間的な部分を全て取り去った、赤い彗星という機械、とも見られる。
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その正体は、'''意図的に(一年戦争時の)シャアを模して作り上げられた人工ニュータイプ、いわば[[強化人間]]である'''。ジオン残党軍をひそかに支援していたジオン共和国のモナハン・バハロ国防大臣らが、“赤い彗星”という絶対的指導者を失った後のネオ・ジオン残党が数だけの烏合の衆となり始めたことを危惧し、シャアに代わるカリスマとなるべく送り込んだものである。つまり連邦側からの完全独立を画策していたバハロ国防大臣らの操り人形であり(自身を『器』と称しているのも、そういった立場を意識してかもしれない)、実力はともかく外見や雰囲気をシャアに似せているのは、極論すればプロパガンダの手段に過ぎない。<br/>
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その正体は、小説版で語られたことによると'''意図的に(一年戦争時の)シャアを模して作り上げられた[[強化人間]]である'''。ジオン残党軍をひそかに支援していたジオン共和国のモナハン・バハロ国防大臣らが、“赤い彗星”という絶対的指導者を失った後のネオ・ジオン残党が数だけの烏合の衆となり始めたことを危惧し、シャアに代わるカリスマとなるべく送り込んだものである。つまり連邦側からの完全独立を画策していたバハロ国防大臣らの操り人形であり(自身を『器』と称しているのも、そういった立場を意識してかもしれない)、外見や雰囲気をシャアに似せているのもプロパガンダの手段に過ぎない。<br/>
シャア・アズナブル本人にしか知りえない独白や経験を知っていると思しき一面を見せる事については、当人は「アクシズ・ショックを経てもなお変わらなかった人類に絶望した、サイコフレームに宿るシャアの意思がその模写である自らに宿ったゆえである」と語っているが、OVA版においてはEP7にて本当にシャアの意志が宿っている節がある。
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…という内容をモナハンは語っているが、フロンタルはシャア・アズナブル本人にしか知りえない独白や経験を知っていると思しき一面も見せており、当人は「アクシズ・ショックを経てもなお変わらなかった人類に絶望した、サイコフレームに宿るシャアの意思がその模写である自らに宿ったゆえである」と語っている。
    
フロンタルの目的は、地球の経済活動が宇宙居住民の生産活動に依存している点を逆手に取り、宇宙で唯一自治権を有するジオン共和国主導の下で月と7つのサイドを中心として、地球を排除した経済圏を作り上げる「サイド共栄圏」の確立と、これによる地球連邦の孤立と衰退である。
 
フロンタルの目的は、地球の経済活動が宇宙居住民の生産活動に依存している点を逆手に取り、宇宙で唯一自治権を有するジオン共和国主導の下で月と7つのサイドを中心として、地球を排除した経済圏を作り上げる「サイド共栄圏」の確立と、これによる地球連邦の孤立と衰退である。
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その役回りや立ち位置は、他作品に散見される「シャアのコピー」ではなく、むしろその逆、シャアを演じることで彼の考えや理想と、逆説的にそのライバルたるアムロや自身の宿敵たるバナージをも全否定する、いわば「'''シャアの負の鏡像'''」でも言うべき存在。シャアは人類に絶望しつつもどこかで人の革新を諦めきれなかったのに対し、フロンタルは最初からそれらの可能性を完全に否定し「虚しいだけ」と断じる、虚無的といえるほどのリアリストであるという点で対照的である。また、シャアのアクシズ落としの動機の一つは「アムロと決着をつけたい」という私情であったが、フロンタルはこのような個人的動機を一切持っているようには見えず、「器は考えることはしません。注がれた人の総意に従って行動するだけ」と言い切る点でもまた対照的である。
 
その役回りや立ち位置は、他作品に散見される「シャアのコピー」ではなく、むしろその逆、シャアを演じることで彼の考えや理想と、逆説的にそのライバルたるアムロや自身の宿敵たるバナージをも全否定する、いわば「'''シャアの負の鏡像'''」でも言うべき存在。シャアは人類に絶望しつつもどこかで人の革新を諦めきれなかったのに対し、フロンタルは最初からそれらの可能性を完全に否定し「虚しいだけ」と断じる、虚無的といえるほどのリアリストであるという点で対照的である。また、シャアのアクシズ落としの動機の一つは「アムロと決着をつけたい」という私情であったが、フロンタルはこのような個人的動機を一切持っているようには見えず、「器は考えることはしません。注がれた人の総意に従って行動するだけ」と言い切る点でもまた対照的である。
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これは、アクシズ・ショックでサイコフレームから流出したシャアの記憶を、強化人間特有の不安定な精神で受け取ってしまったことが原因。このため、フル・フロンタル個人の人格はシャアの記憶に侵食され、結果シャア本人ではないが、全くの別人でもないという中途半端な存在となった。バナージがフロンタルの中に見た「虚無」の正体がまさにこれで、肉体を動かしているのはフロンタルでありながら、その根幹にあるのはシャアという別の人間の記憶や経験、という不協和音である。
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どのような経緯でシャアの思念が宿ったのかは判然としないが、フル・フロンタルに宿っているのはシャアの思念の一部分でしかなく、しかし全くの別人でもない。バナージがフロンタルの中に見た「虚無」の正体がまさにこれで、肉体を動かしているのはフロンタルでありながら、その根幹にあるのはシャアという別の人間の記憶や経験、という不協和音である。
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いわばフル・フロンタルとは、シャアを模倣した人間ではなく、'''シャアになりきってしまった人間'''と言える。
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OVA版においては、特にEP7で小説版と違う人物像になっている。行動自体は小説版と大きく違わないが、明確にシャアそのものであるような描写がされており、また器と自称しながらも彼自身の意思で行動しているようにも見える。最終決戦でもバナージを説得することにこだわった結果、対話によって敗北するという結末を迎える。モナハン・バハロは登場せず、誰がフロンタルを作ったのか最後まで明らかにならないため、小説版の設定が残っているのかも不明。EP7の展開が原作と違う点については、小説版の結末に池田秀一が不満を述べた影響があるらしい。
    
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==
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**『UC』のepisode 7公開に伴い、公式で「epiosde1-6ダイジェスト 100秒でわかる! 機動戦士ガンダムUC」([[ナレーション]]は[[マリーダ・クルス]]役の甲斐田裕子氏)という動画が公開されたのだが、そこでの紹介文に'''「実は全裸という意味!」'''と書かれてしまっている。
 
**『UC』のepisode 7公開に伴い、公式で「epiosde1-6ダイジェスト 100秒でわかる! 機動戦士ガンダムUC」([[ナレーション]]は[[マリーダ・クルス]]役の甲斐田裕子氏)という動画が公開されたのだが、そこでの紹介文に'''「実は全裸という意味!」'''と書かれてしまっている。
 
*「シャアの後継者として赤い彗星となることを望まれ造られた存在」という立ち位置は、富野由悠季氏の小説作品『ガイア・ギア』の主人公である「アフランシ・シャア」によく似ている。<br />彼もジオン残党の末裔にあたる組織に象徴として迎えられるが、フロンタルとは反対に「(組織が望む)シャア」でも「赤い彗星」でもなく「アフランシ」として生きる道を選んでいる。
 
*「シャアの後継者として赤い彗星となることを望まれ造られた存在」という立ち位置は、富野由悠季氏の小説作品『ガイア・ギア』の主人公である「アフランシ・シャア」によく似ている。<br />彼もジオン残党の末裔にあたる組織に象徴として迎えられるが、フロンタルとは反対に「(組織が望む)シャア」でも「赤い彗星」でもなく「アフランシ」として生きる道を選んでいる。
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*雑誌「Febri」のインタビューで池田秀一が語ったことによると、フロンタル役に決まった時点で役作りのために原作を読まないようにしており、途中まで自身もフロンタルの正体をよく知らないまま演じている。だがEP5の頃に最後まで読んだ池田は酒の席で原作者の福井晴敏に不満を言ってしまい、それがEP7の描写変更につながったのではないかとしている。EP7は自らの希望でアフレコも一人だけで行っており、フロンタル役への思い入れは相当に強いことが伺える。
    
{{DEFAULTSORT:ふる ふろんたる}}
 
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[[Category:登場人物は行]]
 
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[[Category:機動戦士ガンダムUC]]
 
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