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'''カテジナ・ルース'''は『[[機動戦士Vガンダム]]』の登場人物。
 
'''カテジナ・ルース'''は『[[機動戦士Vガンダム]]』の登場人物。
 
== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[ポイント・カサレリア]]近くの都市[[ウーイッグ]]に住む上流階級のお嬢様で、元々は[[ウッソ・エヴィン]]のペンフレンドで、憧れの人であった。
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[[ポイント・カサレリア]]近くの都市[[ウーイッグ]]に住む上流階級の令嬢。
    
[[ベスパ]]の攻撃で家を焼け出され、[[カミオン|カミオン隊]]に合流するが、これが人生を大きく狂わせていくきっかけになってしまう。
 
[[ベスパ]]の攻撃で家を焼け出され、[[カミオン|カミオン隊]]に合流するが、これが人生を大きく狂わせていくきっかけになってしまう。
    
=== 人物 ===
 
=== 人物 ===
他者に対して極端なまでに潔癖さを求める、排他的にすら感じられる性格。その性格が醸成された裏には、両親の存在があったと思われる。
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他者に対して極端なまでに潔癖さを求める、排他的にすら感じられる性格。[[ザンスカール帝国]]や[[リガ・ミリティア]]の争いに嫌悪感を示しウッソを庇うこともあったが、それはどちらかと言えば潔癖症に近い「大人への反発」から出たものであろう。
仕事ばかりで家庭を顧みない父親、それにかこつけて愛人を作っていた母親。そしてそれを許せないながらすがって生きるしかない矛盾と無力な自分。
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こういった要因が、彼女の器用とは言えない直情的で苛烈な、よく言えば完璧主義、悪く言えば潔癖な性格を作り上げていったのだと思われる。
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[[ザンスカール帝国]]や[[リガ・ミリティア]]の争いに嫌悪感を示しウッソを庇うこともあり、優しく綺麗なお姉さんとウッソには思われていたが……。
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これらの性格は、後にザンスカールに下っても変わる事は無いばかりか、モトラッド艦隊による「地球クリーン作戦」が開始される時期あたりから、次第に冷酷さや高慢さが増していく事になっていき、特にウッソに対する偏執的な憎悪と執着が、精神面の暴走に拍車をかけていくことになる。
しかしどちらかと言えばそれは優しさからというよりは、潔癖症に近い「大人への反発」から出たものであろう。
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[[エンジェル・ハイロゥ]]攻防戦の時期になると、目的の為に手段を一切選ばない狡猾さや凶暴さも見せていくが、それがかつて自分が忌み嫌っていた「汚い大人たち」そのものであることに彼女が気付くことはなかった。
生まれ故郷であるウーイッグがベスパの攻撃で焼け出された時、「堕落しきっていた街だから焼かれてよかった」と言い放っており、この台詞からも彼女の抱える、周りの世界への嫌悪感が見て取れる。
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いずれにせよ、だらしない母や情けない父への反発、それが是正されない社会や歪んだ大人への嫌悪感が根底にあったことは想像に難くない。
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こういった背景から、自分に紳士的に接してくれた[[クロノクル・アシャー]]に好意を抱くようになったのだろうと思われる。
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彼女にとってすればウッソを含むカサレリアや、周りの環境は捨て去りたいものであったのだろう。彼女自身の苛烈な性格にも一因はあるものの、リガ・ミリティアの老人たちとそりが合わなかったことも関係して、ザンスカールへと興味を移していった。
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これらの性格は、後にザンスカールに下っても変わる事は無いばかりか、むしろより悪化させていくようになる。
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なまじ能力があることも拍車をかけたのだろう。高慢な振る舞いを見せては兵士達に反感を抱かせており、「あの人(カテジナ)が一番、MSの弾薬を無駄に使っている」と、陰口を叩かれていた事もある。
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[[エンジェル・ハイロゥ]]攻防戦の時期になると、目的の為に手段を一切選ばない狡猾さや凶暴さも見せるようになる。
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後に引けないほど追い詰められていたからとも取れるが、ウーイッグにいた頃の不器用なお嬢様の面影は完全に無くなってしまっていた。
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そして攻防戦の果てにウッソの気持ちを利用して騙し討ちするほどにまでエスカレートしていくが、それがかつて自分が忌み嫌っていた「汚い大人たち」そのものであることに彼女が気付くことはなかった。
      
総じて、周りの社会や戦争に振り回され歪んでいった悲しいキャラクターである。……はずなのだが、強烈な言動からあまりそうは見られていないようである。
 
総じて、周りの社会や戦争に振り回され歪んでいった悲しいキャラクターである。……はずなのだが、強烈な言動からあまりそうは見られていないようである。
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周りと上手く付き合えない自身に対し、優しく紳士的な態度を見せたクロノクルに惹かれ、その結果、彼女はリガ・ミリティアとザンスカール(クロノクル)の間で揺れ動き、この迷いはパイロットとしてウッソたちの前に再び現れるまで続いていた模様。
 
周りと上手く付き合えない自身に対し、優しく紳士的な態度を見せたクロノクルに惹かれ、その結果、彼女はリガ・ミリティアとザンスカール(クロノクル)の間で揺れ動き、この迷いはパイロットとしてウッソたちの前に再び現れるまで続いていた模様。
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当初はクロノクルの秘書的な立場に過ぎなかったが、ザンスカールの理念に共感を示していった結果、かつてあれほど嫌悪感を抱いていたパイロットとなり、べスパの一員となる。元々パイロットとしての才能があったのか、尋常ならざる速度で腕を上げていくが、戦場が宇宙から地上に移り、モトラッド艦隊による「地球クリーン作戦」が開始される時期あたりから、次第に冷酷さや高慢さが増していく事になっていき、特にウッソに対する偏執的な憎悪と執着が、精神面の暴走に拍車をかけていくことになる。
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当初はクロノクルの秘書的な立場に過ぎなかったが、ザンスカールの理念に共感を示していった結果、かつてあれほど嫌悪感を抱いていたパイロットとなり、べスパの一員となる。元々パイロットとしての才能があったのか、尋常ならざる速度で腕を上げていく。
 
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エンジェル・ハイロゥ攻防戦に移ってからは凶暴さと狡猾さに拍車がかかっており、侵入してきた[[V2ガンダム]]に対して、女性親衛隊であるネネカ隊に水着姿の生身で戦わせて捨て駒にした挙句、鹵獲したガンイージで味方と錯覚させて不意打ちを行っている。更にその後は、情緒不安定になってエンジェル・ハイロゥに攻撃を行ったり、心身共に傷ついたフリをしてウッソを油断させ、刃物で刺してまでいる。
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[[シュラク隊]]の生き残りである[[フランチェスカ・オハラ]]や、[[ミリエラ・カタン]][[コニー・フランシス]]を次々とその手にかけていき、リガ・ミリティアに身を置いていた時期に交流のあった[[オデロ・ヘンリーク]]までも容赦なく殺害するが、その直後に[[V2ガンダム]]に乗ったウッソによってクロノクルの[[リグ・コンティオ]]が撃墜され、クロノクルも、姉のマリアを求めながら命を落とす事になる。ウッソへのフラストレーションを極限にまで肥大化させたカテジナは、ウッソを待ち構えて[[ゴトラタン]]のメガビームキャノンでしとめようとするも、V2ガンダムの光の翼による衝撃に吹き飛ばされ、落下していった。
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[[シュラク隊]][[フランチェスカ・オハラ|生き]][[ミリエラ・カタン|残り]][[コニー・フランシス|達]]を次々とその手にかけていき、リガ・ミリティアに身を置いていた時期に交流のあった[[オデロ・ヘンリーク]]までも容赦なく殺害するが、その直後に[[V2ガンダム]]に乗ったウッソによってクロノクルの[[リグ・コンティオ]]が撃墜され、クロノクルも、姉のマリアを求めながら命を落とす事になる。ウッソへのフラストレーションを極限にまで肥大化させたカテジナは、ウッソを待ち構えて[[ゴトラタン]]のメガビームキャノンでしとめようとするも、V2ガンダムの光の翼による衝撃に吹き飛ばされ、落下していった。
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ザンスカール戦争の終結後、最終的には記憶と視力を失い、ワッパに乗って既に廃墟と化したウーイッグへ帰っていった。富野監督に曰くカテジナを殺すつもりはなかったがタダで済ますことは(作劇上)できないので、ペナルティとしてこうなったということ。しかし、それと同時に彼女にこのような救いのない役回りを与えてしまった事に罪悪感も感じていたようで「頑張って狂ってくれた彼女を救うには これしか無かった」とも語っている。
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ザンスカール戦争の終結後、最終的には記憶と視力を失い、ワッパに乗って既に廃墟と化したウーイッグへ帰っていった。<ref>富野監督に曰くカテジナを殺すつもりはなかったがタダで済ますことは作劇上できないので、ペナルティとしてこうなったということ。しかし、それと同時に彼女にこのような救いのない役回りを与えてしまった事に罪悪感も感じていたようで「頑張って狂ってくれた彼女を救うには これしか無かった」とも語っている。</ref>
    
富野監督自身の筆による小説版では、リガ・ミリティアの秘密工場が襲撃を受けた時に全身に大火傷を負い、茫然自失の状態になっていた所をクロノクルに救助される。その後、治療手術に耐えた事から[[強化人間]]にされた後べスパのパイロットとなり[[ゴトラタン]]に搭乗、最終決戦の中でウッソとの戦闘で命を落としている(撃墜の際にはウッソと共鳴しており、彼の思いの中の過去の自分を見ている)。同作では明確にクロノクルと恋仲になっており、性行為も行っている。
 
富野監督自身の筆による小説版では、リガ・ミリティアの秘密工場が襲撃を受けた時に全身に大火傷を負い、茫然自失の状態になっていた所をクロノクルに救助される。その後、治療手術に耐えた事から[[強化人間]]にされた後べスパのパイロットとなり[[ゴトラタン]]に搭乗、最終決戦の中でウッソとの戦闘で命を落としている(撃墜の際にはウッソと共鳴しており、彼の思いの中の過去の自分を見ている)。同作では明確にクロノクルと恋仲になっており、性行為も行っている。
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== 人間関係 ==
 
== 人間関係 ==
 
=== 家族 ===
 
=== 家族 ===
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お世辞にも良き親とは言えなかった両親と、それを許せないながらすがって生きるしかない矛盾と無力な自分。こういった要因が、彼女の器用とは言えない直情的で苛烈な性格を作り上げていったのだと思われる。
 
;テングラシー・ルース(SRW未登場)
 
;テングラシー・ルース(SRW未登場)
 
:父親。ウーイッグで商売をしていたため、社会的には成功しておりそのため家も中々裕福だった。しかし、大変日和見主義な性格で連邦の方に分が悪いと判断すると、自社で作ってる製品を[[ベスパ]]の方に納入して人脈を作るなど、自己保身に徹底していた。その上、妻が出て行ったのを良い事に娘には目もくれず愛人まで作っていたため、カテジナは彼を軽蔑していた。後にウーイッグの空襲で行方不明となる。
 
:父親。ウーイッグで商売をしていたため、社会的には成功しておりそのため家も中々裕福だった。しかし、大変日和見主義な性格で連邦の方に分が悪いと判断すると、自社で作ってる製品を[[ベスパ]]の方に納入して人脈を作るなど、自己保身に徹底していた。その上、妻が出て行ったのを良い事に娘には目もくれず愛人まで作っていたため、カテジナは彼を軽蔑していた。後にウーイッグの空襲で行方不明となる。
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=== [[リガ・ミリティア]] ===
 
=== [[リガ・ミリティア]] ===
 
;[[ウッソ・エヴィン]]
 
;[[ウッソ・エヴィン]]
:何と表現すれば良いのか、とにかく互いに因縁の相手である。物語の序盤までは、異性に関心を持ち出した少年が憧れる対象の美しいお姉さんというよくあるキャラクターであったが、物語が展開するにしたがって登場人物の性格や人物同士の関係に大きな変化が起こることは数あれど、ここまで強烈な印象を残す例も珍しい。
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:ペンフレンド。物語の序盤までは、異性に関心を持ち出した少年が憧れる対象の美しいお姉さんというよくあるキャラクターであったが、物語が展開するにしたがって登場人物の性格や人物同士の関係に大きな変化が起こることは数あれど、ここまで強烈な印象を残す例も珍しい。
 
:ただし、富野由悠季氏によってウッソ(=嘘)と名付けられた彼の本質を、最も深く理解している人物とも言える。事実、富野氏はウッソ自身やその両親らを肯定的には描いておらず、劇中でカテジナがウッソに対して投げかけた言葉や嫌悪感は、そのまま製作者による問題提起でもあった。
 
:ただし、富野由悠季氏によってウッソ(=嘘)と名付けられた彼の本質を、最も深く理解している人物とも言える。事実、富野氏はウッソ自身やその両親らを肯定的には描いておらず、劇中でカテジナがウッソに対して投げかけた言葉や嫌悪感は、そのまま製作者による問題提起でもあった。
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;[[ルペ・シノ]]
 
;[[ルペ・シノ]]
 
:新人時代の上官。
 
:新人時代の上官。
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;[[ザンスカール兵]]
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:高慢な振る舞いを見せては兵士達に反感を抱かせており、「あの人が一番、MSの弾薬を無駄に使っている」と、陰口を叩かれていた事もある。
    
=== その他 ===
 
=== その他 ===
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== 名台詞 ==
 
== 名台詞 ==
 
;「ウーイッグの街は、こういう風に爆撃されて良かったんです。特別区の特権にすがっていた人々は、みな堕落してしまいましたから」
 
;「ウーイッグの街は、こういう風に爆撃されて良かったんです。特別区の特権にすがっていた人々は、みな堕落してしまいましたから」
:自分の住んでいた町が焼かれたはずだが、彼女が返した反応は非常にドライなものだった。「堕落した」という点については、大きな視点から見れば事実ではあるのだが…。この台詞の前に目を閉じ、何かを思い出すような仕草をしている。彼女の言う「堕落していた人々」とは、おそらく彼女の……。
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:自分の住んでいた町が焼かれたはずだが、彼女が返した反応は非常にドライなものだった。「堕落した」という点については、大きな視点から見れば事実ではあるのだが、この台詞の前に目を閉じ、何かを思い出すような仕草をしている。彼女の言う「堕落していた人々」とは、おそらく彼女の……。
 
;「怖い人だけにはならないでね、ウッソ」
 
;「怖い人だけにはならないでね、ウッソ」
 
:MSパイロットとして能力を開花させつつあったウッソに向けて。言った本人の方が後々怖い人になっていくという事はビデオ最終巻の映像特典でも指摘されていた。
 
:MSパイロットとして能力を開花させつつあったウッソに向けて。言った本人の方が後々怖い人になっていくという事はビデオ最終巻の映像特典でも指摘されていた。
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