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290 バイト除去 、 2013年3月17日 (日) 15:08
設定や問題点等追記
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== デスティニープラン(Destiny Plan) ==
 
== デスティニープラン(Destiny Plan) ==
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『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』にて登場した社会構想。
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『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』にて登場した計画。
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劇中終盤、[[プラント]]最高評議会議長[[ギルバート・デュランダル]]により提唱され、人間の遺伝子を解析し、その人が持つ適性を調査し、その解析結果を基にその人を適した職業に就けるシステムとされ、またそれにより国家間の争いを解消とする目的を持つ。だが、この発表は世界中に混乱を与え、[[オーブ連合首長国]]とスカンジナビア王国、一部の[[地球連合軍]]は反対を表明。これらの勢力に対しデュランダルが実力行使に出たため、[[メサイア]]攻防戦が勃発。その最中にデュランダルが死亡したことで施行は阻止された。
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劇中終盤、[[プラント]]最高評議会議長[[ギルバート・デュランダル]]により提唱され、人間の遺伝子を解析し、その人が持つ適性を調査し、その解析結果を基にその人を適した職業に斡旋するシステムとされ、またそれにより国家間の争いを解消とする目的を持つ。だが、この発表は世界中に混乱を与え、[[オーブ連合首長国]]とスカンジナビア王国、一部の[[地球連合軍]]は反対を表明。これらの勢力に対しデュランダルが実力行使に出たため、[[メサイア]]攻防戦が勃発。その最中にデュランダルが死亡したことで施行は阻止された。
    
その名の通り『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』という作品の中核ともいえる存在だが、劇中において多く語られなかった故にその解釈はファンや制作側、各SEED関連のメディアにて様々である。
 
その名の通り『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』という作品の中核ともいえる存在だが、劇中において多く語られなかった故にその解釈はファンや制作側、各SEED関連のメディアにて様々である。
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== 実行と弊害 ==
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== 演出との乖離 ==
実際のところ「個人から選択する権利を国家が取り上げ、遺伝子的に優れた者達によって国家を管理する」という、一種の選民思想にも似たシステムであり、「管理社会」の概念が名前を変えて出現したに過ぎない。スパロボにおいても、主にこの視点からデスティニープランは否定されている。
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「個人から選択する権利を国家が取り上げ、遺伝子的に優れた者達(=コーディネイター)によって国家を管理する」という、一種の選民思想・管理社会にも似たシステムであるように演出されているが、実際は全ての人に強制しようとしたわけではなく職業選択の権利は個人にある(適性検査までを強制しようとした)。遺伝子的に才能がなくても努力で補えることは公式外伝等で多く描写されており演出と実態が合わなくなっている。
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その他にも問題点は多い。たとえば人間の成長には遺伝子だけでなく家庭環境、社会環境、本人の性格、その他予測不可能な不特定多数の因子(わかりやすいところで言えば『運』など)が無数に関わってくるため、誕生時の遺伝子だけで人間の将来を予測するには無理がある。更に、この計画を考案したのはプラント側で、ナチュラルよりもコーディネイターの方が能力的には優れている者が多い為、計画が実行に移されると、事実上世界はプラントやコーディネイターが主導となるのはほぼ必然で、つまりこのデスティニープランは、「'''ナチュラルよりもコーディネイターの方に都合の良い計画'''」であったともとれる。故に、プラント側で計画に反対するものが少なかったのも、当然と言えば当然なのである。
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また「遺伝子で全てを決める」という概要から一見[[コーディネイター]]が重要ポストを占めるように考えられがちだが、「特定の才能を発現しやすく調整する=訓練すれば特定分野が確実に伸びると生まれる前から決まっている」というコーディネイターの設定が示すとおり、全人類の適正が正確に判明してしまうと'''[[ナチュラル]]に対する優位性が殆ど消滅してしまう'''。「埋もれていた才能」はナチュラルの方が圧倒的に多いうえ、誰もが自分の有利な分野で活躍できるようになるからである。<br />コーディネイターはナチュラルより圧倒的に数が少なく出生率の問題も抱えているため「コーディネイターが地球圏を支配する」には圧倒的に不向き、というか完全に逆の計画なのである。
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また、運用する人間が恣意的に制度を行使し悪用する可能性が考慮されておらず、対策も講じられていない。デスティニープランを実行する人間すべてが清廉にして潔白な聖人君子であれば理想的なのだが、実際にはそのような現実は考えにくく、「遺伝子解析の結果」という大義名分の下に、制度を実行する寡頭層に軽微な労働と高額な報酬が集中し、世襲の支配階級と化す恐れがある。
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以上の点からデスティニープランのデメリットは一般市民には関わりが薄く、むしろ現在特権的地位にいる人間達がその立場を否定され、社会的地位と権力を失った場合に起こり得る社会的混乱にこそあると言える。
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一方、政敵を血族ごと政界から追放したり、優生学的思考の下に特定人種に対するジェノサイドでさえも肯定する可能性も秘めており、極端な階級社会を生み出す可能性が大きい(それは即ち、[[ギレン・ザビ]]や[[パトリック・ザラ]]の再来も生み出しかねない)。<br />
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劇中では、拒否したのが親オーブ国家およびクライン派だけだったが、これは殆どの国がデスティニープランの複雑な全容を把握しきれず、実際は賛成・否かではなく、どうすれば良いか分からなかったというのが妥当である(むしろ即座に反対を表明したオーブの行動が早すぎる)。
実際、『[[スーパーロボット大戦Z]]』においては「[[ニュータイプ|ニュータイプ(X)]]に覚醒する可能性を持った人物を探し当てる」という目的でこのプランが流用され、遺伝子的に不適応というだけで[[フロスト兄弟]]は否定され、結果的にプランの犠牲者となっている。
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こうした事から実際の効果には非常に疑問が残る上、それを差し引いても他国にこのような体制を強要する事は内政干渉にあたるため、拒否されたのは当然である。劇中では、拒否したのが作風上目立つ国だけで、他はかなり少数だったように見えているが、これはデスティニープランの複雑なシステムの全容を把握しきれず、混乱していたのが原因であったとも言われ、実際は賛成・否かではなく、どうすれば良いか分からなかったというのが、妥当であるともいえる。
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これだけでも一つの作品の主題になり得るテーマであり、描写不足が度々指摘される『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』において、物語終盤で登場させるにはあまりにボリュームがありすぎた主題だったとも指摘されている。
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これだけでも一つの作品の主題になり得るテーマであり、描写不足が度々指摘される『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』において、物語終盤で登場させるにはあまりにボリュームがありすぎた主題だったとも指摘されている。
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== 問題点 ==
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もちろん問題点はある。
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*解析は正しいのか、遺伝子のみを判断材料にしてよいのか
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*個人の性格や文化的な問題にどう対処するのか
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*システムが不正に使用されたり歪められたりしないのか
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*誰もやりたがらないが絶対必要な仕事(いわゆる3Kなど)や誰がやっても同じような単純な仕事には誰を充てるのか
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*適正を持つ人の数とその職業に必要な数の差(就労の需給ギャップ)はどのように解消するのか
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*およそ何にも向いていない人はどうするのか、モチベーションの維持は可能か
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等が挙げられ、細かい部分を指摘すればキリがない。しかし、それが「世界から一旦戦争をなくす」という大義名分を否定しきれるほど明確なものかは判断が分かれる点である。
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=== 制作側の見解 ===
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== 制作側の見解 ==
SEEDシリーズの監督である福田氏は、「わざと間違っていると解るように描写した」「世界中の人に知られてしまったので、デュランダルが死亡しても引き継ぐものが現れるかもしれない点が厄介である」といった趣旨の発言をしている。
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SEEDシリーズの監督である福田氏は、「わざと間違っていると解るように描写した」「これを使えば確かに戦争はなくなる」「世界中の人に知られてしまったので、デュランダルが死亡しても引き継ぐものが現れるかもしれない点が厄介である」といった趣旨の発言をしている。
    
== 登場作品 ==
 
== 登場作品 ==
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前述の詳細不明な計画ではシナリオ上で明確に反対を打ち出すことにも難があるのか、スパロボでは大小様々なアレンジを加えられた上で語られている。
    
=== [[Zシリーズ]] ===
 
=== [[Zシリーズ]] ===
 
;[[スーパーロボット大戦Z]]
 
;[[スーパーロボット大戦Z]]
:『[[機動新世紀ガンダムX]]』の[[フロスト兄弟]]はこのプランの副産物、弊害であり、犠牲者というクロスオーバー設定になっている。
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:『[[機動新世紀ガンダムX]]』の[[フロスト兄弟]]はこのプランの副産物、弊害であり、犠牲者というクロスオーバー設定になっている。「[[ニュータイプ (X)]]に覚醒する可能性を持った人物を探し当てる」という目的でプランが流用され、遺伝子的に不適応というだけでフロスト兄弟は否定され、復讐を誓った。
    
=== 携帯機シリーズ ===
 
=== 携帯機シリーズ ===
 
;[[スーパーロボット大戦K]]
 
;[[スーパーロボット大戦K]]
:原作同様[[ギルバート・デュランダル]]がプランの実行を推進しようとするが、[[ミスト・レックス|主人公]]勢に阻止される。プランへの参加を拒否した[[オーブ連合首長国]]に対し、武装解除を要求する形で即座に軍を差し向けたり、対話を望む[[カガリ・ユラ・アスハ]]に殆ど取り合わなかったりと、原作以上に性急にことを進めようとしていた感が強い。
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:原作同様[[ギルバート・デュランダル]]がプランの実行を推進しようとするが、[[ミスト・レックス|主人公]]勢に阻止される。プランへの参加を拒否した[[オーブ連合首長国]]に対し、武装解除を要求する形で即座に軍を差し向けたり、対話を望む[[カガリ・ユラ・アスハ]]に殆ど取り合わなかったりと、原作以上に性急にことを進めようとしていた感が強い。プランよりも強硬的な姿勢に反発が強まったという体裁である。
 
;[[スーパーロボット大戦L]]
 
;[[スーパーロボット大戦L]]
 
:対[[異星人]]戦略の延長線上として提唱される。原作では多く語られなかった「プランの中身」について本作独自の解釈が盛り込まれており、軍事面では「地球人の[[ゼントラーディ|ゼントラ]]化」や「『[[SEED]]を持つ人間』の発見」のためにプランを用いて、そうした者たちを集めた部隊を結成して地球を守るための戦力増強に充てる、という「目的」が描写されている(つまり[[LOTUS]]と同じような部隊を幾つも作り出す、という意味)。<br />そのため、「遺伝子だけで人の適性が決まるのか」と言う矛盾点にある程度の答えが出ている(ゼントラ化可能かどうかは完全に遺伝子の問題である)ほか、最終的な目的はあくまで自軍と同じ「地球の防衛」であり、原作同様些か極端なやり方ではあるものの、それほどネガティブなイメージはない。
 
:対[[異星人]]戦略の延長線上として提唱される。原作では多く語られなかった「プランの中身」について本作独自の解釈が盛り込まれており、軍事面では「地球人の[[ゼントラーディ|ゼントラ]]化」や「『[[SEED]]を持つ人間』の発見」のためにプランを用いて、そうした者たちを集めた部隊を結成して地球を守るための戦力増強に充てる、という「目的」が描写されている(つまり[[LOTUS]]と同じような部隊を幾つも作り出す、という意味)。<br />そのため、「遺伝子だけで人の適性が決まるのか」と言う矛盾点にある程度の答えが出ている(ゼントラ化可能かどうかは完全に遺伝子の問題である)ほか、最終的な目的はあくまで自軍と同じ「地球の防衛」であり、原作同様些か極端なやり方ではあるものの、それほどネガティブなイメージはない。
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;[[スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd]]
 
;[[スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd]]
 
:『[[機動戦士Ζガンダム]]』の[[パプテマス・シロッコ]]もプランの賛同者となっており、プランの一環には彼の[[クローン]]軍団による地球圏の防衛も含まれていた。
 
:『[[機動戦士Ζガンダム]]』の[[パプテマス・シロッコ]]もプランの賛同者となっており、プランの一環には彼の[[クローン]]軍団による地球圏の防衛も含まれていた。
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== メモ ==
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『デスティニープラン』とは遺伝子社会(ヒトゲノム)を意味し、その弊害として語られるのは個の自由が許されないということである。そして、遺伝子により人間の優越が決まる点こそが、最大の論点である。例えば持病を抱える病気持ちの人間ならば阻害される存在にもなる。実際数多くのSFでも取り上げられている。<br />
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詳しくは[http://hiki.cre.jp/write/ もの書きWiki]を参照。
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<!-- == 現在スパロボ参加している作品で類似している事物 == -->
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<!-- 「遺伝子を解析すること」と「遺伝子を操作すること」は全く違うのでカット。 -->
      
{{ガンダムシリーズ}}
 
{{ガンダムシリーズ}}
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