アル=イー=クイス

2014年2月15日 (土) 13:59時点における220.208.163.30 (トーク)による版

アル=イー=クイス(Al I Kuisu)

スーパーロボット大戦64で登場した、オリジナルの敵勢力。この銀河にかつて存在した先史文明の意志が生命体としての形を為したもので、構成メンバーは一様に「大銀河の意志」を自称している。

彼らの目的は、生命体がその生存本能を鈍らせ滅びに至ることのないよう、全銀河の戦乱を維持・管理し続けることであり、自身もまた適度な戦乱により生命体としての本能を刺激しながら数千年以上の時を生き永らえている。

しかしそれにも限界を迎え、自身の滅びの時が間近であることを感じた彼らは、自身の代わりに全銀河に戦乱を維持する者を探す必要に迫られた。そこで彼らは全銀河に「より高位の存在へ至ろうとする意志」を増幅させる波動を照射、銀河に覇を唱えんとする存在を探し求めた。そしてその波動を受けて活動を開始し、一大勢力を築くようになったのがムゲ・ゾルバドス、及びズールであり、彼らを最有力候補としてその動向を観察していた。

だが、彼らが共に侵攻を行った地球において、ムゲおよびズールが「マーチウィンド」を始めとする地球人に敗れるという事態が発生。経過観察のために地球を訪れていた彼らは地球人類も自身の後継者候補に加えることを決め、最終的には戦乱の過程で生き残った彼らこそ大銀河の意志を継ぐに相応しいと判断、マーチウィンドに役目を引き継ぐよう要請する。しかし彼らの考え方はマーチウィンドに受け入れられず対立、戦闘を行うこととなる。

銀河の滅びを防ぐために戦いは不可欠であるという考え方は、彼らにとっては否定のしようがない公理であったようで、数千年の時を生きる彼らにとっては或いはそれが真実であったのかもしれない。しかしそれはあまりにマクロな視点からの物言いであり、戦乱を起こし多くの生命体を犠牲にし、さらにそれを必然として気にもかけない考え方は、個々の地球人類というミクロな生命体を労わる視点を完全に切り捨てるものであって、地球人類には到底受け入れられないものであることもまた当然であった。

戦いの中、おぼろげながらそのことを理解した彼らは、一つ一つの人類の営みが宇宙全体に活力を与える可能性に銀河存続の望みを託すことを選択。最後の力でマーチウィンドを地球に送り届けた後、地球人類の前から完全に姿を消した。

主要人物

64の作中では以下の3名が登場。

ヴァル=ア
アル=イー=クイスのリーダー格。「ヴァルディスキューズ」が乗機。
ジェイ=レン
ズールの支配する銀河帝国に接触。「ジェイクラップス」が乗機。
アヴィ=ルー
ムゲの支配するムゲ・ゾルバドス帝国に接触。「アヴィエスレルム」が乗機。

彼らは地球人との接触の際にはいずれも人間の姿で現れているが、その本質は前出の通り「銀河の意志」であり、その姿はコミュニケーションのし易さを鑑みて意図的に設定されたものである。物理的に破壊したとしても彼らの意志としての存在が消え去るわけではないので、すぐに再生可能。また、ムゲやズールを復活せるだけの能力も持ち合わせるらしいが、同時に「奴等は地球人とは違う」という発言を行っていたことと、ムゲとズールは原作でも復活していることを考えると、これについてはアル=イー=クイスではなくムゲとズールの能力の側面が大きいと思われる。

銀河先史文明

前述の通り、アル=イー=クイスの起源は銀河にかつて栄えた先史文明である。その存在はフリード星など一部の星々において伝承として伝わっているという形で語られており、「銀河先史文明」の名で呼ばれている。

グラドスの刻印を容易に突破して見せたことなどから、相当に進んだ科学技術を保有していたことが窺われる。また、アル=イー=クイスが大銀河の意志を自称する以上、全銀河的に栄えた文明であったと思われるが、作中で明らかになった情報は多くなく、詳細は不明。

元々銀河における先史文明の設定は他の原作作品にもよく登場する設定であり、スパロボ参戦作品の中では『イデオン』における「第6文明人」、『マクロス』における「プロトカルチャー」、『エヴァンゲリオン』における「第一始祖民族」などが代表である。歴代のスパロボにおいても、αシリーズではこの3作品の設定が共演を果たした他、、Wではオリジナル設定の「始原文明エス」が登場している(また、Jに登場した組織「フューリー」も、地球人にとっては先住存在である)。本作で登場した銀河先史文明はスパロボオリジナルの設定としては最先駆となるものであるが、後述の通り64の設定がOGシリーズで生かされる可能性は高いとは言えないため、今後の作品で関わりを持ってくるかどうかは微妙なところである。

メモ

「銀河先史文明の意志」を自称する彼らは、後の『第3次スーパーロボット大戦α』における「第一始祖民族」と「アカシックレコード」にかなり近い設定の存在である。彼らが警告した銀河終焉の危機は、破滅のプロセスこそ異なるものの「アポカリュプシス」によく似ている(尤も、第3次αでは第一始祖民族の意志たる無限力がアポカリュプシスを引き起こす張本人であったのに対し、「アル=イー=クイス」は崩壊を免れようと対策を講じる、という違いがある)。

また、彼らの掲げる「戦いのない世界は生命体の本能を鈍らせ、緩やかな破滅を導く」という理論は、後のシャドウミラーが掲げる理念と非常によく似ている。もしヴィンデル・マウザーが元居た世界にアル=イー=クイスがいたのだとすれば、彼も何らかの形でその影響を受けたのかもしれない、とも想像できる(主人公機の外観類似等、Aと64には設定に共通点が多い)。

このようにその後のSRWと共演しうる類似的な設定を持つ彼らではあるが、『スーパーロボット大戦64』についてはOGシリーズへの不参加が寺田Pによって明言されており、現時点では残念ながら参戦の見込みは薄い。しかし、近年の公式ブログでは参戦が絶望的では無いとも取れる発言も見られ、今後の動向に注目が集まる。