アルヴィスの擁する分離統括型指揮管制システム。ここではTV版終盤、および劇場版「HAE」に登場した「クロッシング・システム」についても記述する。
概要
拠点にある専用の管制席に指揮官が乗り込み、ファフナーの全パイロットとクロッシング(知覚・感覚の共有)することで戦況を正確に把握し、迅速に指揮伝達を行うことができる。ただしクロッシングできるのは、シナジェティック・コードを形成できるノートゥング・モデルとザルヴァートル・モデルのみ。皆城総士がこのシステムでファフナーのパイロットたちを指揮した。
要するにファフナー同士、あるいはファフナーとアルヴィスとの非常に高度な相互通信システムであるが、その他緊急時の脱出機構起動などの機体管制介入も行う。
本来ファフナーはフェストゥムの読心能力遮断機能の弊害により通信能力が乏しく、指揮所との直通回線か直接接続しての短距離通信しかできない。だが、ジークフリード・システムを介することでフェストゥムの読心を困難にし、パイロット間の無線通信が可能になる。劇中では行われなかったが、システム上は最大12機までの同時クロッシングが可能。
これがない場合、CDCやパイロット同士の意思伝達はケーブルによる有線通信に限定されてしまう。読心に関してはクロッシングによって複数の人間の思考を混在させることで防ぐ仕組みとなっている。機体を外部から強制的に操作する権限を持ち、劇中では痛覚フィードバックの強制遮断やペインブロックに代表される同化された部位の強制パージ[1]やコクピットの緊急射出を行うシーンが印象に残るが、機体の強制停止やフェンリル起爆(停止)の権限まで有する。
有用な反面、指揮官は使用中のすべての人間の思考を中継することになるため非常に負担が大きく、適性のない者は情報の奔流で極度の酩酊状態に陥ってしまう。搭乗者が気絶した場合は敵の読心を防げなくなるために精神的なタフネスも要求される。天才症候群により複数人の思考を同時に並列処理することに長けている総士以外にはほぼ使用不可能。さらに、指揮官は戦闘後も共有したパイロットの痛みなどがフラッシュバックし、総士ですら鎮痛剤を常用していた。また、感覚だけでなくパイロットとシステム搭乗者の感情が互いに筒抜けになるため、それへの対処も必要となる。
ファフナーに搭載すればCDCを介さずに機体同士の双方向通信が可能となるが、機体の大型化に加え搭乗者の同化速度を著しく早める致命的な欠点を持つ。後に技術の進歩と機体に分割して搭載する手法で解決を見たが、第一次蒼穹作戦時は急造であるためかシステム搭載機が一機でも破壊されるとクロッシングが停止する欠点を抱えていた(HaEで解決)。
また防衛前提のシステムであるため、その範囲内でしかファフナーが行動できない、という欠点がある。
このような形になったのは、本編開始以前に実行されたL計画において、後述の試作型が運用された際の結果を踏まえた上での判断である。
無印終盤でフェストゥムに理解され、システムへの介入や欺瞞といった電子戦に相当する攻撃を受けるようになる。
名前の由来は、北欧神話に登場する竜殺しの英雄「ジークフリート」から。ちなみに楽劇『ニーベルングの指環』にてこのジークフリートによって退治されるドラゴンが「ファフナー(ファフニール)」であり、そのファフナー退治に使われた剣が「ノートゥング」である。
試作型ジークフリード・システム
前日談「ROL」で登場した試作型。ファフナー本体に搭載する一体型相互扶助タイプ。
こちらはティターン・モデルやエーギル・モデル(ゼロファフナー)に搭載されたが同化現象の進行が非常に速く、最終的に計画参加者全員が死亡・消滅したことで採用を見送られ、現在の形となった。
クロッシング・システム
蒼穹作戦の直前、マークニヒトによって総士もろともシステム中枢が強奪されたことを受けて4機のファフナーに搭載されたシステム。L計画で使われた試作型を4機に分割して搭載されており、指揮官なしでのパイロット間の通信が可能になった。 パイロット同士のクロッシングでフェストゥムに対抗する、というこの手法は、L計画において多くの犠牲を出した試作型と同様に同化の進行が早くなるという弊害もあった。しかし、直前にミョルニアから齎されたデータによってファフナー搭乗による同化を防ぐことが可能となったため、最大の弊害を乗り越えて搭載に踏み切られた。しかしそれでも、
- ファフナーが一機でも欠けるとシステムダウンしてしまう
- 新しい機体を建造しても接続・登録出来ない
- このため、常にファフナーがザイン、ドライ、アハト、ジーベンの4機同時行動(クロスドッグ)に限定される
- 一人がダメージを負うと同等の痛みが他の3人にも伝わる
といった新たな欠点を抱えることとなった。
HEAVEN AND EARTHの時代にはファフナーに標準搭載されるようになり、パイロット間通信も標準化。改良されたのかダメージフィードバックやメンバー欠損にも対応できるようになっている。
ジークフリード・システム(特殊能力)
皆城総士が全てのファフナー系機体に、サブパイロットとして同時に搭乗しているという扱いになる。適用される全機体で総士の精神コマンドを共有できるが、精神ポイントも共有である上に総士の持つコマンドが優秀なためどうしてもポイントの減りが速くなりがち。ただしそれを考慮してか(あるいは原作における総士のメンタル強度の再現か)総士の精神ポイントは非常に多い。
一方でどの機体の戦闘でも総士に経験値が入るため、どんどんレベルが上がっていく。
また、フェストゥムの特殊能力「読心」を無効化する事が出来る。何故かこちらの効果は(原作を考えたらメインの効果であるはずなのだが)ゲーム中に説明がない。
ちなみにシステムの本体はアルヴィスからプレイヤー部隊の旗艦に移設されており、原作の「基地から離れるとシステムが使えなくなる」という欠点がさりげなく克服されている。
クロッシング・システム(特殊能力)
蒼穹作戦の再現ステージ直前に、マークザイン、マークアハト、マークドライ、マークジーベンの4機(UXではさらにマークゼクスを含めた5機)に搭載される。こちらも「読心」を無効化出来る。
Kにおいては効果としてはパイロット能力を4人分参照し、それぞれもっとも高い数値に変更するというものになっており、Zシリーズにおけるエレメントシステムの拡大版となっている。
UXでは効果が変わり、戦闘マップに出撃している、この能力を持つユニットの数に応じて能力値の格闘・射撃・技量・防御にプラス補正がかかる、というものになった。蒼穹作戦に翔子が参加するパターンがある都合もあってか、当初からHEAVEN AND EARTH仕様となっており、直後に道生が復帰した際には即座にマークアインにも搭載されている。
登場作品
- スーパーロボット大戦K
- 蒼穹作戦時に一度クロッシング・システムと入れ替わるが、オリジナル展開で総士が帰還するためクリア後にジークフリード・システムに戻る。
- スーパーロボット大戦UX
- 効果は同じ。第37話でジークフリード・システムが消滅、第39話でクロッシング・システムと入れ替わる。ファフナーを出撃させればさせるほど強くなるため、翔子・道生が生存すれば上げ幅が増える。
- ただし、ゼロファフナーとマークニヒトがクロッシング・システムの対象外となっている。読心能力で常時命中回避+50%となるマークニヒトはともかく、里奈の能力値に不安が残るゼロファフナーの運用の際には注意が必要。
所持機体
脚注
- ↑ 痛覚を遮断するペインキル、遮断せずに急いで切断するペインブロックなど緊急性によって複数の段階が存在する。痛覚遮断無しでは文字通り手足をもがれる激痛が伴う。