司令クラスターとは、『交響詩篇エウレカセブン』に登場する用語。
概要編集
「スカブコーラル」(通称、スカブ)を構成するなかでも、特に重要な部分。岩石生命体かつ意思を持つスカブコーラルが暴走(クダンの限界)の一線を越えずに存在し続けるのは、この「司令クラスター」という明確な頭脳と制御装置と呼べる存在があるからこそである。
劇中で突如行方不明になったダイアン・サーストン、「サマー・オブ・ラブ」によって消滅したアドロック・サーストン、絶望病の患者などはこの司令クラスターの意思の中に存在しつづけており、言うなれば「魂」のみが確立している。スカブがあらゆる生命体の意思を取り込んで、クダンの限界を超えない理由は、スカブの意思と生命体の意思が穏やかに結合しているからである。
司令クラスターの役割編集
司令クラスターはスカブコーラルという群体を安定させている楔のようなものである。もしもこの司令クラスターに強烈な刺激が与えられた場合、司令クラスターは崩壊し、クダンの限界が発生する。こうなるとあふれ出したスカブによって全ての生命が取り込まれることになる。そのため、スカブコーラルの破壊のために大規模な爆撃などを行うなどといった計画は人類にとっては危険極まりない行為である。劇中ではデューイ・ノヴァクがそのような行為を行っており、スカブコーラルの生態を知るゲッコーステイトから見るとそれは世界の破滅を呼ぶ愚かな計画としか映らなかった。しかし、デューイの真の計画は下記に示すようなものであった。
代理司令クラスターの役割編集
デューイはスカブコーラルを殲滅するために、司令クラスターに「自壊プログラム」を流せば、すなわちスカブコーラルを自殺と等しい状態に追い込むことができると考え、まず司令クラスターを掌握する事を目論んだ。
そこで既存の司令クラスターを殲滅し、自分の意のままとなる存在、すなわちエウレカやアネモネを代理の司令クラスターに仕立てあげたようとした。その上でデューイは自らの死を引き金に、彼女らの首輪に仕込んだ自壊プログラムをスカブコーラル全体に流そうとした。 この時デューイはスカブコーラルと運命を共にする覚悟でこの計画に臨んでいた様子であり、このことから彼が自ら父親を殺してしまった罪に苦悩していたことが伺える。ホランドも恐らくその事に気が付いたようで「兄さんを救ってやれなかった」と涙している。
しかし、代理の司令クラスターになるべきエウレカが、レントン達と一緒に生きたいという願いを持っていたが故に自壊を必死に拒んだ為に計画は失敗。最終的にはレントンとエウレカが共に代理司令クラスターとなりコーラリアンと人類の共存の可能性をスカブの群体に説いた。結果的にはスカブたちは溢れ出す生命の一部を別の次元へ旅立たせる決定を行い、クダンの限界は防がれた。
ちなみにアネモネが代理の司令クラスターに選ばれなかった理由は、彼女がコーラリアンとして十分に覚醒していなかった為だと考えられる(彼女は絶望病に罹った子供を薬物で覚醒させて作り出された疑似的なコーラリアンだった)。
クダンの限界編集
クダンの限界とはスカブに存在する「数兆の意思が一斉に解き放たれる」という意味。劇中ではクダンの限界を超えると次元崩壊するとさえ言われている。これを作中の人物であるグレッグ・ベア・イーガンが解析している。しかし、代理司令クラスターの安定とスカブの調和によりクダンの限界は起きなかった。 なお、「クダン」というのはSF小説『ブラッド・ミュージック』に登場するキーワード。