ゾイドシリーズ

2019年9月6日 (金) 14:38時点におけるTruth-man (トーク | 投稿記録)による版

トミー(現・タカラトミー)製の組立式玩具シリーズ「ゾイド」のメディアミックスコンテンツ群。本Wikiの体裁上アニメーション作品を中心に記述する。

概要

「ゾイド」は様々な動物をモチーフとしたメカニックが人気を呼んだトミー製の玩具で、組立て式のキットが中心。電動モーターやゼンマイによる駆動ギミックが最大の特徴で、全盛期にはガンプラにも比肩する人気シリーズであった。

ゾイドのコンテンツとしての母体はあくまで玩具サイドであるため、玩具メーカー(タカラトミー)によって玩具のための詳細な物語が先に創られている(ゾイドバトルストーリー)。一方で、各種メディアミックスで作られたアニメやコミックは何れも一部の設定を流用したパラレル世界の作品として扱われる。ゲームなどにおいては特典としてゲームオリジナルのゾイドのキットが付くことも恒例化している。なお、コトブキヤなど他のメーカーからもゾイドのプラモデルや可動フィギュアが販売されている[1]

スパロボ参戦についてはファンの間では期待こそされていたものの、そのハードルは非常に高いものと思われていた(未参戦作品#競合他社が権利を所有している)。しかし、『スーパーロボット大戦K』においてテレビアニメシリーズ第4作『機獣創世記ゾイドジェネシス』が参戦、さらに『スーパーロボット大戦Operation Extend』において第1作『ゾイド -ZOIDS-』および第2作『ZOIDS新世紀/ZERO』が参戦。参戦における障害は事実上存在しなくなったと見られる。

歴史 

玩具シリーズは1983年から「メカ生体ゾイド」の名で展開が開始されている。商品展開のためのバックグラウンド要素として「地球型惑星"Zi"(旧設定では"ゾイド星")を舞台に、へリック共和国とゼネバス帝国がゾイドを用いた戦争を繰り広げる」という戦記ものの世界観が設定された。この背景設定はガンダムシリーズ以後の所謂リアルロボットアニメの影響を強く受けているが、ミリタリー要素をより強く推し出すことで、よくあるガンダムの模倣ではない独自の作風を確立する事に成功した。

このバックストーリー設定は玩具パッケージの解説書やジオラマ本「ゾイドバトルストーリー」「ゾイドグラフィックス」などで丁寧に積み重ねられており、これをベースとしたコンピュータゲームやコマーシャルビデオも制作され、これらも人気を博した。1980年代当時の一連のゾイド展開は、現在もひとつのSF仮想戦記として高く評価されている。

玩具のみで高密度の世界観を創り出すことに成功したゾイドシリーズは、アニメ化というメディア展開を行わないまま7年(1983年~1990年)にも渡りストーリーを築いていった。キャラクター玩具においてアニメーション展開に依らず長期間に渡って商品リリースを行った点は特筆すべきである(当時競合関係であったタカラによる『トランスフォーマーシリーズ』〈SRW未参戦〉でさえ、定期的に映像作品は制作されていた)。

その後、約10年の休止期間を経て1999年より新たにテレビアニメを軸としたゾイドシリーズの商品展開が再始動。TVシリーズ第1作・第1部のストーリーは、ゾイドバトルストーリーで使用された設定を一部流用しながらも独自の世界観としており[2]、第2部以降は完全に独自の世界観へと変遷している。

テレビアニメ第4作終了後はトミーがタカラトミーへ移行した影響もあり自社展開が縮小された一方、海洋堂ややまとなど他社から完成品キットが発売されたり、ホビージャパンとのコラボレーションによるアートストーリー『ZOIDS concept art』やこれを原作とした玩具シリーズ「ゾイドオリジナル」をリリースしたりと、断続的ながらコンテンツを展開させていった。

2018年には、新コンセプトによる玩具や新作テレビアニメなどで展開されるゾイドシリーズの新プロジェクト『ゾイドワイルド』が発表された。タカラトミーは同プロジェクトを第1期(1983年 - 1991年)、 第2期(1999年 - 2006年)に続く第3の大型シリーズ展開と位置づけている。

作品リスト

テレビアニメ

『初代』『/ZERO』『ワイルド』はMBS、『フューザーズ』『ジェネシス』『ワイルドZERO』はテレビ東京製作。斜字はSRW未参戦タイトル。

ゾイド -ZOIDS-
第1作。1999年から2000年にかけて放送。全67話。
ZOIDS新世紀/ZERO(ゾイドしんせいきスラッシュゼロ)
第2作。2001年に放送。全26話。ゾイド同士によるバトルスポーツ「ゾイドバトル」を主軸とする作品。
ゾイドフューザーズ
第3作。2004年から2005年にかけて放送。全26話。『/ZERO』同様ゾイドバトルを主軸とする内容だが、こちらは「父が追い求めた伝説のゾイド探し」「ゾイド同士の合体・Ziユニゾン」などの重要な要素が増え、世界征服をも目論む悪の組織「リヒタースケール」の存在もありストーリーも徐々にシリアス色が増していく。
ゾイドジェネシス
第4作。2005年から2006年にかけて放送。全50話。
ゾイドワイルド
第5作。2018年から2019年にかけて放送。全50話。
タカラトミー発足後初の新作ゾイドアニメであり、『ジェネシス』以来約13年ぶりのTVシリーズにして『/ZERO』以来のMBS製作作品となる。
世界観も従来のゾイドシリーズから一新されており、シリーズ初の地球を舞台とした作品となっている他、「人間の相棒(一緒にカメラに写る)にふさわしいサイズ」として全体的に小型化している[3]
作風については当初は従来作以上に低年齢層を意識した内容となっていたが、ストーリー後半は敵組織である「デスメタル帝国」の勢力拡大に伴いシリアスの度合いを高めていく。
ゾイドワイルド ZERO
第6作。2019年放送予定。
『ワイルド』のアニメ第2期。同じく地球を舞台とする点以外は『ワイルド』から設定やキャラクターが一新され、放送局もテレビ東京系列に変更されている。

漫画

ギャグ作品やホビーとしてのゾイドを扱った作品は割愛。

機獣新世紀ZOIDS
上山道郎による漫画作品で、『月刊コロコロコミック』にて1999年から2001年まで連載。バンやフィーネなどアニメシリーズ第1作のメインキャラクターの多くは本作を初出としており、コミカライズでありながら原作でもあるという特殊な立ち位置にある作品となっている。掲載誌の方針転換によりストーリー半ばで打ち切られ、以降は上山氏の個人サイトにおいてタカラトミーの非公認ながら継続されていたが現在は更新停止中。
ZOIDS惑星Zi
塩崎雄二による漫画作品で前述の『機獣新世紀ZOIDS』と入れ替わる形で連載開始。世界観は一新され登場するゾイドも当時商品展開されていた「ブロックスゾイド」が中心となっている。
ZOIDS妄想戦記
トミー(現:タカラトミー)公式サイトにおいて掲載されていたWebコミック。バトルストーリーのサイドエピソードを扱った作品だが一部の設定にバトルストーリーとの矛盾があるため「妄想」のタイトルの通りif作品であるという見方もある。
ゾイドワイルド2
2019年より連載。『ワイルド』の数100年後を舞台とした作品。

ジオラマシリーズ

ゾイドシリーズには伝統的にジオラマを使ってストーリーを語っていくコンテンツが雑誌連載もしくは書き下ろし書籍として展開している。

ゾイドグラフィックス
1983年からの第一期ゾイドシリーズ時に販促として玩具店に置かれていいた冊子。ゾイド玩具のカタログ本も兼ねており定価50円で購入できた。
バンダイが同時期に出していた「模型情報」の影響を多分に受けており、玩具設定を背景としたストーリーが掲載されている。
アニメ化以降(平成版)に出たゾイドグラフックスは純粋なカタログ本であってストーリーは書かれていない(機体設定は書かれている)。
ゾイドバトルストーリー(第一期)
1984年から開始され1990年まで小学館の学年別学習誌で連載されていたジオラマストーリーで、話の大筋はゾイドグラフィックス同じだが、よりミリタリー色が高い。こちらで描かれたオリジナル設定が玩具側に導入されることもあった。ゾイドグラフィックスよりも知名度が高いことから、こちらを「原作」と捉えるファンも少なくない。
なお、玩具のパッケージ裏面に記された解説も「ゾイドバトルストーリー」のタイトルが冠せられており、トミーのゾイド企画室とは強い連携が取られている(平成版も同様)。
書籍分は5巻で終了。続きは玩具のパッケージ裏面と小学館学年誌掲載分で完結。また第5巻の正式名称は『新ゾイドバトルストーリー』(5巻で敵がゼネバス帝国から暗黒軍(後のガイロス帝国)に変わった為)。
ゾイドバトルストーリー(平成版)
1999年~2004年にかけて展開された。ゾイド再始動にあわせてコロコロコミック誌上で展開。第一期のゾイドバトルストーリーからは地続きの話となる。
単行本版は『ゾイド公式ファンブック』(やはり連載版と内容が変更されている部分がある。)だが、こちらも書籍分は4巻で終了。続きは『ゾイド公式ファンブックEX』名義でキットに封入された小冊子にて完結。
同時期に展開していたアニメ四作の何れとも世界観の繋がりはない。
月刊ゾイドグラフィックス
復刻キット(主に小型キットだが、オルディオス等の大型キットも存在する)を付録にした冊子タイプのデータファイル。2008年~2009年に展開されていた。惑星Ziの歴史や世界設定、各種ゾイドのメカニックなどを、第一期シリーズの設定をベースに解説しているが、齟齬もみられる。
ZOIDS concept art(ゾイドコンセプトアート)
2010年にホビージャパン社より発売されたイラスト集。全3巻。こちらはジオラマなくアートブック形式でストーリーを展開。所々はかつてのバトルストーリーを意識しつつも設定を一からリブートした新規世界観となる。「惑星ゾイド」と呼ばれる星の歴史が描かれている。
タカラトミーのゾイド企画室による「公式」完全監修であり、1980年代の「ゾイド星」の設定とも、アニメ化にあわせて2000年代にリファインされた「惑星Zi」の設定とも異なる歴史が描かれている。また、新たに起こされた設定も数多く存在する。
この書籍で描かれた新設定を基にした玩具シリーズ「ゾイドオリジナル」が2013年から2014年にかけて展開された。
2017年には本書籍の世界観をベースにしたスマートフォン用アプリゲーム『ZOIDS FIELD OF REBELLION』がリリースされた(2018年サービス終了)。

小説

ゾイドジェネレイションズ
2005年から2006年にかけて『電撃ホビーマガジン』にて連載されていた小説。『ゾイドジェネシス』の世界観を一部流用しているが、バイオゾイドは人間が搭乗しておらず、明確な自我を有した存在(劇中に登場するバイオゾイドは人間の言葉を喋る)として描かれている。

ゲーム

ZOIDS SAGAシリーズ
ゲームオリジナルストーリーを、アニメキャラなどとともに進めるRPG。野良ゾイドとの戦闘でデータと素材を集めて様々なゾイドを作成・使用できる。発売当時存在したゾイドを幅広く取り入れており、デスザウラーなどボスクラスのゾイドも使える。スパロボほどアニメーションするわけではないのが残念である。
青天井で改造できるため、好きな機体に固執することもできる。その他、シリーズによってはとんでもない魔改造も可能(例えば、外付け兵器として荷電粒子砲や重力砲が入手可能で、ゾイドの改造によって原作や設定のサイズを無視して搭載できる)。
ストーリー上の特徴として、並行世界を旅して異なる作品のキャラたちと出会えるという点がある。そのため、仮にこのシリーズを基軸にすれば全アニメ作品同時参加も不可能ではないかも知れない(「DS」では一応全アニメ作品と絡んでいる)。
ゾイドオルタナティブ
従来のゾイド作品とは異なる世界観となるシミュレーションRPGで、最大となる部分はゾイドは生命体ではなく純粋な兵器である点であり、噛みつきやひっかき攻撃が一切なく、動きも鈍重としたものとなっている。

共通用語

惑星Zi
舞台となる惑星。
ゾイド
惑星Ziに住む金属生命体。
ヘリック共和国ガイロス帝国、ゼネバス帝国 / ネオゼネバス帝国
アニメ第1作、およびバトルストーリーにのみ登場する惑星Ziの覇権を巡って長年戦争を続けている国家。

余談

  • 1991年から1993年にかけて、ゾイドシリーズと世界観を共有する『装甲巨神Z(ズィー)ナイト』という作品が玩具展開されていたが、こちらは売上不振により打ち切られている。戦闘ゾイドの技術が地球に持ち込まれて起こる戦乱、というのが背景設定である。ゾイドの造形は徹底的に人型が避けられているが、『Zナイト』のメカは全て巨大人型ロボットなのが特徴。ちなみに、サンライズによって店頭用プロモーションアニメが制作されている。
  • 絶対無敵ライジンオー』の没シナリオの1つに、「ライジンオーとキングゴジュラスを競演させる」という話があった。ちなみに『ライジンオー』もトミーがメインスポンサーである。
  • 機動戦士ガンダムSEED』シリーズの福田巳津央監督はインタビューに際し、同作を作るうえで自身の子供に(当時の)若年層の流行をリサーチしたところ、そこにゾイドやデジモンシリーズがあったことからガンダムシリーズ初の4足獣型MS・バクゥが登場したと語っている。
  • 2018年放送のTVドラマ『おっさんずラブ』では主人公の趣味としてゾイドが登場する。劇中ではシールドライガーセイバータイガーが登場し、後者は何気なく物語の伏線を担っている。
    • タカラトミーのTwitter上でも同ドラマを意識した発言を行っている。

注釈

  1. プラモデルキットには詳細な設定も記載されるが、上記のアニメ、コミック、ゾイドバトルストーリーの何れとも乖離しており、独自の世界観となっている
  2. 実は、元々ゾイドバトルストーリーで描かれなかった戦地を舞台にしてリンクするアナウンスもされていたのだが、ストーリー進行とともに設定の辻褄が合わなくなった(国家の所在、戦争の経緯や帝国摂政の敗北等)ため、パラレル化している
  3. 設定上は本作の「XLゾイド」でも旧作の「小型ゾイド」並みのサイズしかない。ただし玩具は縮尺が1/72から1/35に変更されているので大きさ据え置きである(逆に言うとパイロット人形が倍の大きさになっている)。この影響で、大型恐竜などをモチーフとした一部の機体はモチーフとなった生物よりもサイズが小さいというロボットアニメとしては珍しい設定になっている。