ロニ・ガーベイ

2015年10月11日 (日) 21:05時点におけるDoradokawakami (トーク | 投稿記録)による版 (→‎携帯機シリーズ)

ロニ・ガーベイ(Loni Garvey)

資産家のマハディ・ガーベイの娘。モビルアーマーシャンブロの専属パイロットとして登場する女性。原作小説版(および漫画版)とOVA版とでは、人物の設定が大いに異なる

原作小説版

ダカールを訪れたバナージジンネマンの案内役。聡明でシニカル、体制に極めて批判的で父の思想に共鳴するところが大きいものの、子供好きで心根の優しい面も持つ。

シャンブロの守りの要であるリフレクター・ビットを、そのニュータイプとしての高い素養を生かしてサイコミュ制御するパイロットの1人で。ラプラス・プログラム発動のため、父や兄たちと共にダカールの街を火の海に変えるが、阿鼻叫喚の地獄絵図をサイコミュで受信し続けたことで、父への服従に耐えきれなくなり、殺戮に酔いしれる父を止めようとして逆に射殺されてしまう。しかし、彼女の遺志がバナージを導き、コックピットと共にビームマグナムに撃たれシャンブロを止めさせた。この時、バナージはロニがシャンブロに搭乗していることには気づいていなかったのだが、インダストリアル7におけるラプラスの箱防衛の際に、拡張した意思によってその事実を知った。

漫画版『バンデシネ』には小説版とほぼ同一の設定で登場。原作小説との相違としては、シャンブロに搭乗していることをバナージが知っている点がある。

OVA版

両親を地球連邦軍に殺された復讐のために、父の残したシャンブロを完成させ搭乗している。そのためシャンブロのコックピットが単独操縦機に設定が変更されている。

トリントン基地襲撃の際中にサイコミュが暴走、民間人も見境無く攻撃してしまうが、バナージの必死の説得により一時は停止する。しかし、その直後に唯一の家族とも言えるカークスの乗るザクI・スナイパータイプがトライスターによって撃墜され、カークスの死を察知したロニは再び暴走。デストロイモードとなったユニコーンと対峙し、共にサイコ・フィールドを発生させ激突する。デルタプラスに乗ったユニコーンが迫り来るが、最後はバナージの呼びかけとカークスの思念によって正気を取り戻し、発射したメガ粒子砲をリフレクター・ビットで拡散させユニコーンへの直撃を避ける。しかし、ロニの悲しみを受け止めて撃つことができなかったバナージを見かねたリディによって、ビーム・マグナムでシャンブロのコックピットを撃ち抜かれ、死亡した。

登場作品と役柄

現状はいずれもOVA準拠での設定。

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
初登場作品。担当声優の伊瀬茉莉也氏は当作品でスパロボ初参加。ガランシェール内部では原作小説を彷彿とさせるバナージとの会話イベントが用意されている。
シナリオマップにて、暴走イベントが発生すると、顔グラフィック及び戦闘台詞が変化。変化後の戦闘では伊瀬女史の熱演が光る。暴走イベント後、バナージで撃墜すると生き残る。また、生き残っても味方パイロットにはならないものの、彼女の生存がIFルートへのフラグの1つとなっている。
なお、続く『天獄篇』においては言及される機会が無く、生存が正史になっているかどうかは不明。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦BX
中盤分岐のELS移送ルートで登場。トリントン基地での戦いの敗北後ゼハートに救われ、ヴェイガンと共にロストロウラン攻撃に参加する。そして二度目のバナージとの対峙の末、最後は自爆作戦を放棄しバナージ達を巻き込まないため独り自爆するという結末を迎える(ちなみにこのシナリオのタイトルは原作同様「ロストロウランに散る」ではあるが、原作で散るはずだった人物が延命するため、結果的にこの立ち位置を担っている)。通常ならここで死亡となるが条件を満たせばヴェイガンに救出されて生存、その後セカンドムーンへと身を寄せており、何度かシナリオデモで登場する。
分岐シナリオ内でしか碌に登場しないため、全隠し要素取得においてトップクラスの足かせとなっている。なお、フラグ成立判定は第29話クリア時で、日本防衛ルートに進む場合はそこまでの強制出撃時のバナージの撃墜数が鍵。

人間関係

マハディ・ガーベイ
父。原作小説版と漫画版では大企業ガーベイ・エンタープライズ社の社長だが、実はムスリムの伝統を穢した白人社会に深い憎しみを抱いている。ダカール襲撃時には長年の怨嗟が暴走。多数の民間人が留まるホテルを破壊する等の凶行に走り、殺戮を止めようとしたロニまで射殺した。
OVA版ではジオンの残党をまとめ上げた資産家という設定に変更されており、地球連邦軍による残党狩りによって既に殺害されているため、本人は登場しない。原作小説版での設定が色々な意味で危険だったため(あるいは尺の都合で)、アニメスタッフに殺されたと言われることも。
アッバス・ガーベイ、ワリード・ガーベイ
腹違いの兄達。OVA版には登場しない。漫画版では既に死亡している設定。
ヨンム・カークス
OVA版では上司。ロニには我が娘のように接している。
フル・フロンタル
袖付きの首魁で、ジオン残党軍の協力相手。OVA版では彼女等を陽動として利用した。
バナージ・リンクス
真っ直ぐな感性に共鳴し、互いに好意を寄せあう。

他作品との人間関係

キオ・アスノ
BXではトリントン基地での戦いでは彼に引導を渡されかけ、ロストロウランでの戦いではXラウンダーの力で自身の居場所と思念を感じ取られるなど、因縁浅からぬ相手。ロニが生存した場合はセカンドムーンにて一瞬彼とすれ違っている。
ゼハート・ガレット
BXではトリントン基地での戦闘にて彼に救われ、彼に協力する形でロストロウランでの戦いに参加。生存フラグを満たした場合、彼の計らいでセカンドムーンに身を寄せる。
ディーン・アノン
BXではセカンドムーンにて親交があり、を喪い悲しみに暮れる彼に自身も大切な人を喪った過去を持つことを告げて諭している。
キバ
BXではDLCシナリオ「悪の華」にて、彼に喧嘩を吹っ掛けられた事で、事態をより混沌としたものに陥れてしまう。

名台詞

原作小説

「正気に返ってください。いつものお父様に――」
原作小説第6巻での最後の言葉。父マハディに対して銃を向けながら説得を行うが、恨みと悲しみで憤怒する彼には届かず逆に撃たれる。
(せっかくふれあえたのに、私はこんなふうにしかできなかった。ごめんね、バナージ…)
薄れゆく意識の中での最後の呟き。それはバナージに届き、彼はシャンブロを討つことになった。

OVA版

「子供が親の願いに飲まれるのは世の定めなんだよ、バナージ。私は間違っていない!」
OVA版第4巻より。サイコフィールドの干渉で意識を共有し、非業の死を遂げた両親の思いに囚われたロニに手を差し伸べるバナージと、それでも手を振り払うロニ。バナージは、その「願い」を「呪い」と断じる。
「同じだ! 託された事を為す、それが親に血肉を与えられた子の―――血の役目なんだよ! お前のその力も、親の与えたものだろうに!!」
同上。トリントン基地を蹂躙するロニを必死で止めようとするバナージに対してぶつけた言葉。
実際ガンダムシリーズに限らず、親から残された「力」や「願い」で戦うという例は幾つかあるが、ロニが父から受け継いだ物は「憎しみ」であり、シャンブロもそれを体現するかの如く殺戮兵器となってしまっている。
「親から受け継がれるものが、必ずしも(子供にとって)良いものであるとは限らない」というロニの場合は、バナージのそれと対極を成していると言えよう。
「ジーク・ジオン…ジーク・ジオン…」
同上。既に称えるべき「ジオン」の無い、空虚な言葉。しかし、それしかすがるものの無い人達にとっての最後のよりどころ、あるいはそれに縛られる「呪詛」とも言うべきものへと変質してしまっている。
全てを失い、それでも「ジオンのために」戦うというロニの悲しい姿を表している。
「悲しいね…バナージ…」
同上。「判りあえるのに判りあおうとしない。判りあいたいのに判りあえない」というガンダムシリーズの人類そのものの悲しみを如実に表した一言。
最後にこの言葉を残し、ロニは(バナージを見かねたリディによって)ビームマグナムでコクピットを撃ち抜かれる。人の姿から焼け焦げていくショッキングな映像は、視聴者に大きな衝撃を与えた。
なお、第3次Z時獄篇ではバナージに撃墜された時の台詞である。

スパロボシリーズの名台詞

(何だ、この感覚は…。私の中の怒りや憎しみが薄れていく… だが、私は…! もう戻れないんだ!)
第3次Z時獄篇第48話メリダ島ルート「重力の井戸の底で」におけるボン太くんとの戦闘前会話。直前のボン太くんの悲しそうな表情が印象に残る。

搭乗機体

シャンブロ
ロニが搭乗するモビルアーマー。小説版とOVA版では、ロニと同様設定が異なっている。

余談

  • 原作小説とOVA版で人物像が大きく違うことは前述したが、OVA版ではさらにバナージとロニが出会う場所がダカールではないことによって、大きな問題が生じている。
    • 原作小説ではロニがバナージ(とジンネマン)対して、地球連邦政府首都・ダカールを観光気味に案内しながら、そこに所在する「宇宙世紀憲章の碑文のレプリカ」を見に行くというシーンが存在するのだが、OVA版では(尺の都合で)ダカール観光ごとカットされている。
      • 実は、カットされた一見何てことないシーンは、物語の核心に迫る重要な物体「ラプラスの箱」の中身に対する重大な伏線であり、バナージ達作品内の人間にとって「宇宙世紀憲章の碑文のレプリカ」とは何てことない誰でも内容を知っている代物であるが、当然ながら視聴者は知らない。従って、本来ならばこの場面で内容を見せておく必要があった。
      • 当たり前だが、上記のシーンがカットされたことの影響は大きかった。実際、OVA版第7巻で「ラプラスの箱」の中身が判明した際に、オードリーがいきなり出てきた謎の碑文(実際は、OVA版第1巻にちらりと映っているが)に対して「私達の知っているものと違う」と驚愕されても、OVA版だけしか知らない視聴者にとっては「私達(視聴者)はそれ自体知らないよ」と話の内容に付いて行きにくかったという声もある。

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