スフィア

2014年9月11日 (木) 03:38時点における60.38.166.187 (トーク)による版 (余談に類似設定についての説明の項目を追記)

スフィア(Sphere)

崩壊・消滅した太極の意志の欠片。「十二の宝玉」とも呼ばれる大いなる力を引き出す鍵で、それぞれがあらゆる平行世界でも一つしか存在しない。十二のスフィアを集めることで「太極」と呼ばれる存在に到達でき、「次元力」と呼ばれる強大な力を発揮できると言われているが、その詳細は現在のところ不明。第2次Z再世篇おけるズール皇帝の発言をそのまま受け取れれば、スフィアそのものはただの道具、アイテムと捉えられる。スフィアという言葉自体は「球体」を意味する英語。

性質

スフィアの詳細に精通していると思しきアサキム・ドーウィンなどの言や、作中の描写から推測すると、スフィアとは次のような性質を持つ存在であるらしい。

現状12個存在する

  • 現状12個存在する、とされているが、時獄篇で示唆された情報を信じるならば、どうやら忘れ去られたロストナンバーのスフィアが存在しているらしい。最有力候補と目されているのは蛇使い座をモチーフとするアスクレプスとその乗り手であるアドヴェント
  • 名前は星座の属する「黄道十二星座「十二宮」から取られている。
    • 12個目も存在、或いは発現すると、呼称が「トレミーの48星座」へと変わる可能性がある。
  • 一時間軸の並行世界に一つしか存在しない(時空震動で多元世界となった場合、世界同士が融合するため、二つ以上のスフィアが一堂に会することはある)。
  • 当初は眠ったまま。機動兵器に搭載された上で、パイロットとなった人物が一定の条件を満たすことで目覚め、次元力を引き出す。なお、そのスフィアを目覚めさせた人物を『スフィア・リアクター』と呼ぶ。スフィアによっては所持する者と力を引き出す者が違う場合もある。
    • 完全に目覚めたスフィアの所持者を機動兵器ごと殺害することにより、殺害した者はそのスフィアを所持することが出来る。ただし「聖戦」とスフィアの性質上、並行世界を行き来できる存在でなければこの条件は達成できない。また殺されずに天命を全うした場合、器の機動兵器ごとその場に残って眠りにつき、次なるリアクターを待ち続ける。
    • スフィアの移動はセカンド・ステージ以降のリアクター間でしか起こらない。ただし例外的な事象として、資格者が複数同時に存在し、かつリアクターがスフィアを制御できなくなり、その場に別の資格者が存在し、その資格者がセカンド・ステージのリアクターと同等の条件を備え、さらに搭乗機同士が似た特質を持っているなど、いくつかの条件が整った場合、リアクターが生存したままスフィアが奪われる場合もある(「いがみ合う双子」でこの現象が確認されている)。

次元力を引き出せる

  • かつてはひとつの何かであり、それは12の欠片(=スフィア)と幾多の英知に砕かれたという。この「幾多の英知」とは、スフィアが12の欠片として世界に散らばっていることからすると黒の英知であろう。
  • 力を引き出す鍵、つまりは次元力を操る鍵は「強い意志」。これは、ブラックホールに存在する「マイナスのオリジン・ロー」も同様。各スフィアに共鳴、覚醒するためにはスフィアに適した精神状態を保つ必要がある。
  • 同調率の上昇に伴って内在する因子が目覚め、一定の割合を超えると所持者は黒の英知を引き出せるようになる。
  • 最終的に一人の人物が全てのスフィアを所持することにより、太極と呼ばれる存在に至る事ができ、次元力を自在に行使出来るようになる(このスフィア争奪戦を、アサキムは「聖戦」と呼んでいる)。平行世界を彷徨う宿命を負わされた人物(「呪われし放浪者」と呼称される)は、太極に至ることで放浪と不死不滅の枷から解き放たれることができる。

生命体であり、意思、個性、性格、相性を備わる

  • 意志を持っている(「スーパーロボット大戦Z」のソフトバンククリエイティブの攻略本後書きにて寺田Pが明言)。
  • 生命体の進化に何らかの関わりを持つ。
  • スフィア・リアクター達(アサキム含む)は心の奥底の部分に底知れぬ闇を持つようになる。
  • 陰陽の側面を持つ太極の欠片であるため、星座で正対となっているスフィアは似た性質と相容れない性質が同居することになる。
  • それぞれ、星座のアルカナやタロットに由来する固有の因果を持っている。モチーフとなった要素のうち、性格分類は能力、アルカナの寓画・寓意は属性、正位置・逆位置はリアクターの在り様を示す。スフィア同士が接触した時、相性が悪い場合は一方が一方の力を打ち消すが、相性がいい場合は互いに力を高め合い、源理の力を導くことも可能。逆に因果の干渉が起こらない場合は当然何も起こらない。
  • スフィアが完全に目覚めていない、ファースト・ステージの状態で所持者を殺害した場合、スフィアはその人物から抜け落ち、別の宿主のところへ流れ着く。この場合、再度平行世界を巡り所持者を探し当てなければならない。またその際、前の所持者が非常に強い意志を持っていた場合、スフィア自体にその意志が影響を及ぼすこともある。
  • 反作用は最初に共鳴したスフィアのものであり、奪取したスフィアは含まれない。
  • スフィアとの同調率が一定の度合いを越した兵器は、どこか生物的・有機的な性質を持つようになる。同調率の高い機動兵器は、機体もしくは武器の一部にクリスタル状のパーツがある。多くは緑色。ただし、機械的に力を引き出す場合はこの有機化が起こらない。これは同調率とは無関係で、力を引き出す方法の問題(スフィアの力を意思のみで引き出さないと起こらない)だが、力の優劣には関係しない(あくまで同調率の問題)。なお、機械的に力を引き出している機体にもクリスタル状のパーツは存在するが、これは次元力の影響である模様。
  • 真の力を発揮することによって覚醒者には反作用として何らかの異常が発生する(「偽りの」黒羊を持つアイムは意味のあることが喋れなくなり、「傷だらけの」獅子に同調したランドは肉体的にも精神的にも激しい苦痛を感じた)。ただし、基本的に機動兵器に搭乗している時にしか起こらない(セツコは逆で、搭乗していない時に反作用が起きていた)。また、ガドライトや尸空、再世篇のセツコのように真の力を引き出しているにもかかわらず反作用らしきものが確認されていない場合もあるので、この反作用を乗り越えることがスフィアの覚醒の一つの段階であると思われる(おそらくサード・ステージへの移行段階)。
    • 精神状態によっては力を発揮できない。金への執着心で『折れない意思』以外に意識を向けさせることで過剰な力の発揮を抑えるクロウ、『相反する二つの意思』のうち片方の意思が強くなり過ぎて感情のバランスが崩れた事によってスフィアの制御を失ったガドライトがいる。
    • 反作用の正体はスフィアの持つ属性の顕在化。これはサード・ステージに移行することで「スフィア・アクト」として外界に適用可能(「偽りの黒羊」なら「意味のあることが喋れない(嘘か本当かわからない)→真偽の境界の歪曲」、「いがみ合う双子」なら「相反する感情のぶつかり合い→裏に隠れた感情の顕在化」、「沈黙の巨蟹」なら「感情を制する理性→精神運動の凍結」といった具合)。セカンド・ステージにおけるこれは一種の「最適化」であり、またスフィアが力を発揮するため、それに応じた精神状態を励起するためのアクションでもある。
    • 確認されているのは、以下の3つ。
      1. 「知りたがる山羊はその好奇心で「偽りの黒羊」の嘘を暴く
      2. 「偽りの黒羊」はその嘘により「いがみ合う双子」の相反する感情を意思で自在に操り無効化する
      3. 「揺れる天秤」の折れない意志は「尽きぬ水瓶」の他者への慈愛をより大きなものとする

太陽系の地球でこそ、力を引き出せる

  • 太陽の通り道である黄道12宮の星座に対応し、太陽に集約されたそれぞれの星座の次元力を引き出す効果を持つ。また、それには地球上にあることが最良であり、そこに引き寄せられる。なので、どの世界においても地球に存在する(ただしこの条件の場合、12の星座のほかに同じく黄道に位置し、アスクレプスが関連すると思われるへびつかい座とへび座が含まれる)。
    • ただし、「いがみ合う双子」だけはなぜかジェミナイに存在していた。

十二のスフィア

前述の通りスフィアの総数は十二である(とされている)。再世篇にてユーサーにより、黄道十二星座に対応していることが明らかにされた。なお、セツコ、ランド、クロウ、ヒビキ共に初期誕生日と関連するスフィアの星座が一致しているが、スフィアを扱うにあたって関係あるかは不明(設定的に考えれば何のスフィアを扱うかの比喩であろう)。またスフィアそれぞれに属性があり、同調が進むと所持者はその属性に引きずられ、性質が変わって行く。

スフィア同士には相性があるらしく、『揺れる天秤』と『尽きぬ水瓶』の相性は良好で、逆に『偽りの黒羊』と『知りたがる山羊』との相性は最悪である。また、現在発覚しているスフィアの性質は、星座ごとの性格分類に近いもしくは逆の関係にあるものが多い。逆の性質も、自然が感じられなくなることで自然を愛する心が高まるという風に、マイナスの状況に追い込むことで因子を高めるための可能性もある。時獄編の時点によると「スフィアの代償は主に精神的な物」とのこと(ユーサーは表面的な変容が出てはいるものの、セツコやランドの症状はある程度は「そう強く思い込まされているだけ」の可能性がある)。ただ、大本の太極は陰陽、つまり相対する二つの要素の結合であるため、スフィアの反作用にも精神的なものと肉体的なもの、双方がある可能性が高い。

そして、スフィア所持者の性別と星座毎に割り振られている男性・女性の区分も一致していたが、尸空の登場で崩れている。十二星座はタロットとも関連があるが、こちらはどうやら同調者や覚醒し始めた状況と繋がっているようである。星座自体のモチーフも、覚醒条件と符合しているところがみられる。

アサキムはさらに詳細不明の残り4つ(おうし座・さそり座・いて座・うお座)のうち1つを所持している。タロットが所有者を表すとすると、可能性が高いのはタロットで悪魔と対の関係にある牡牛座辺りだろうか。蠍座だとしたら「悪魔」「死神」というおよそ最悪のイメージがそろうため、特に嫌な組み合わせである。

このほかに有力視されているのが射手座。次から次へとスフィアの覚醒を促すアサキムの行動は射手座が司る性格分類そのものであるほか、射手座の神話のケイローンは毒を受け、不死であるがゆえに苦しみ、最終的に不死身を捨てて死を選んでおり、不滅の呪縛を受け己の死を求めて彷徨うアサキムにこれでもかと言うほど合致している。

牡羊座(アリエス→アリエティス
偽りの黒羊』のスフィアとしてアイム・ライアードが所持。アリエティスにより運用が可能。
「現実から逃避する意志」によって覚醒し、自身・他者問わず「嘘」によって活性化する。
同調が進むとリアクターは感情の高ぶりに伴って意味のある事が喋れなくなり、サード・ステージに入ると単語としてすら成立しなくなる。このためクロウをして「相当なもの」と言わしめたが、この反作用に限れば実は現状一番安全なスフィアだったりする(他のスフィアの反作用が肉体か精神への重大な負荷であるのに対し、このスフィアの反作用は比較的だがある意味非常に軽い上に感情が高ぶらなければ起きない、つまり感情の平静を保つこと自体が反作用対策になるため。劇中では言及されなかったが、手話や筆談で克服できる可能性も高い)。
更に同調が進むと「真偽の境界の歪曲」が可能となり、自らの死を偽り、自身の嘘(=偽物。要は実体を伴った分身)をいくらでも生成できる能力を得ていた(明言されてはいないが恐らくサード・ステージにおけるスフィア・アクトだと思われる)。また、「相反する感情を意志で制御する⇒己の意志を偽る」という側面から、「相反する感情の衝突=己の意志と向き合うこと」を力とする『いがみ合う双子』の力を完全に封じることが出来る。
対の位置にある『揺れる天秤』の力が「思考の貫徹=己を偽らない力」であるのに対し、こちらは「己を偽る力」と言える。
機動兵器に搭載されていなくとも条件を満たした者が近くにいれば覚醒し、同調の度合いが低くても覚醒者を自分の意に添うように動かすなど危険な方向で確固たる意思と力を持っており、アリエティス自体もこのスフィアがアイムと名乗る前の彼をコントロールして作らせた。そのため、決して肉体的ダメージがないからと言って本当に安全なスフィアというわけではない(むしろアイムを見てわかるように、嘘で塗り固められた人生を送り続ける事で、「嘘付き」と見做されて誰からも信用されなくなる為、ある意味では危険なスフィアとも言える。いくら一番安全といっても上記のようにあくまでも反作用でリアクターが受ける被害が一番軽いからに過ぎない。当のアイムは完全に開き直っていたのか全く気にしていない様子ではあったが。しかし上記のように同調が進めば死を偽れるようになる=リアクターが自分の意思で文字通りの不死身になれるため、生存性もスフィアの中では現状一番高い)。尚、このスフィアが存在していた世界は不明。
このスフィアの力を引き出すには「嘘をつく⇒己の知る真実とは違うことを自分の意志で口にする⇒己を偽る意志」が必要となるため、他者に嘘を暴かれて己の意識と向き合わされた時点で停止してしまう。そのため、真実を強制的に暴き立てて外界に開示する『知りたがる山羊』との相性が最悪。
アサキムに奪われたと思われていたが、再世篇では「自分が死んだ」という稀代の大嘘を実行して生存したアイム共々再登場を果たした。最後にはアサキムの『知りたがる山羊』によって無力化され、ユーサーに討たれたことでその手に渡った(スフィア・アクトの内容から殺しても死なないという性質を得られるので、サード・ステージへの移行段階に入って以降は無力化しないで奪う方法が存在するかは不明)。
星座のモチーフは、継母の謀略によって生贄にされかけた兄妹を救うためにゼウスに遣わされた金の皮を持つ羊。
ちなみに、妹は羊に乗って逃げる際、あまりの速度に耐え切れずに転落死してしまった。「極めて危険な状況からの逃避」という点において、進退窮まってなお嘘をつき続けて現実から逃避しようとしたアイムと重なる。また、「双子」の一方を実質殺した、というのも意味深である。「神によって使わされた羊」という点から深読みすると、アイムのスフィア狩りはサイデリアルの指令によるものだった、いわば「加入試験」だった可能性がある。
性格分類においては、「強い自意識」を司るとされ、自分を守るための意志が転じて嘘全般を力とすると思われる。
タロットでは「皇帝」のアルカナと関連付けられる。
このカードのデザインは「社会的権力の象徴」を、正位置が『権威』『安定』『意思』『行動力』を意味し、更に逆位置が『無責任』『傲慢』『横暴』『傲岸不遜』を意味しているので安定した社会的地位に執着して嘘をつき続け、覚醒後は自分の意思で精力的に幾多の世界を渡り歩き、影響を考えずに嘘をまき散らして混乱を巻き起こし、傲慢・横暴・傲岸不遜で慇懃無礼を極めたアイムに相応しいと言える。割り振りは男性。
ちなみに「黒羊」と言うが、牡羊座は「白羊宮」である(黒毛と偽る羊⇒白毛の羊、ということか?)。
牡牛座(タウラス)
性格分類においては、「深慮」を司り、タロットでは「教皇」と関連付けられる。
このカードは「悪魔」と真逆の構図で描かれており、デザインには宗教的聖性や霊的象徴の協調などが暗示され、「救済」の寓意を持つカードである。
割り振りは女性。正位置は『慈悲』『優しさ』『思いやり』『規律の遵守』、逆位置は『アンシャン・レジーム(古い体制)』『束縛』『独りよがり』『おせっかい』『逃避』
星座のモチーフは、ニンフの女性エウロペに恋したゼウス(ギリシャ神話の主神)が変身した白い牡牛。
この牡牛はエウロペを乗せて孤島であるクレタ島へと連れ去り、そこで正体を現して求婚するというなかなか無茶なアクションを起こしている(ゼウスは女性絡みで無茶をすることが多い)。タロットの寓意と寓画、そしてこのモチーフからして、このスフィアを持つ何者かはサイデリアルのトップであり、シンカ(神化)を遂げて「神」になっ(てしまっ)た誰か(恐らく女性)の可能性が高い。こう聞くと、まるでそれはイルイ・ガンエデンである(奇しくも、時の牢獄はバラルの結界同様、外敵を排斥するための地球封印である)。
対の星座は蠍座。
誰かを想うあまりに暴走して遠く離れた場所に連れ去った、という点からして、エタニティ・フラット(次元の壁による多次元との隔絶と、それによるバアルからの守護)を起こしたのはこのスフィアのスフィア・アクトである可能性が高く、恐らくこのスフィアの力は「次元・空間を操る力」だと思われる。深慮(頑固でスローペースとも)という性格分類にしても、次元・空間をある状態に固定する能力とすれば合致する。そうであるとするならば、アサキムとシュロウガを不滅の呪いに落としたのはこのスフィアであると思われる。
ちなみに、牡牛座は争い事を嫌う
双子座(ジェミニ→ジェミニアジェニオン
いがみ合う双子』のスフィアとしてガドライト・メオンサムが所持。ジェミニアにより運用が可能。最終的にヒビキ・カミシロがガドライトから奪い取り、ジェニオンで運用されている。
存在していた世界は不明。ジェミナイが存在していた世界にあったことは判明している。
「相反する二つの意志」より正確には、ある感情の裏にある対極の意志。ガドライトの場合は「母星を失った憤怒とそれができない自分に対する諦観(プラスの中のマイナス)」、ヒビキの場合は「運命に屈する絶望とそれを覆す希望(マイナスの中のプラス)」)によって覚醒・活性化する。
同調が進むと、リアクターは活性化に使用される感情のうちマイナス面が増幅されていく。このため、力を引き出すには対極に存在するプラスの感情を自らの意志で無理やりにでも励起させねばならず、「サイデリアルに勝てない」という諦念を増幅されたガドライトは怒りの根源を「ジェミナイの滅亡」から「ジェミナイが滅び、地球が守られる理不尽」へと変えることで強引にスフィアを稼動させていたが、その結果行動が逆恨みからの八つ当たりと化し、引きずられる形で人間性そのものも、かつてとはかけ離れた退廃的なものへと変貌していった。
スフィア・アクトは「表面化する感情の逆転」であり、ガドライトはこの力で、他者の表面化しているもののさかしまに当たる感情(怒りなら恐れ、喜びなら悲しみなど)を顕在化させることでスペースノイドとアースノイドの対立を煽って開戦に仕向け、Z-BLUEの戦意を諦観へと変換した。実質、裏の欲求を表出化させるものであるため、能力解除後にもスイッチされた感情に対して違和感を感じることはない模様。
ただし、あまりに強い意志の持ち主に対しては完全に意志を交代させることは出来ず、スズネのように二面性を持つ人間の場合、隠されていた別の側面が出てくることもある。さらに感情の一部分のみを反転させることもできないため、連邦軍兵士が持っていた「ゼロに対する不信感」が「信頼」に反転したことで、ゼロは連邦軍に対し、ギアスを使うことなく撤退させることに成功している。
釣り合った二つの感情の衝突を力とするこのスフィアの特性は、さしずめ「対極を否定する力」と言える。
力を引き出すために必要なのは「相反する意志の衝突⇒己の感情と向き合う意志」。そのため、「己の感情に向き合わず逃避する」ことを強制する「偽りの黒羊」との相性が最悪(感情の衝突自体が起きなくなる)。また、二つの感情が釣り合った状態でないとやはり停止してしまうため、リアクターは常に己の感情のバランスを保つ必要がある。絶えず己と向き合い、勝つことも負けることも許されないという意味では、ある意味リアクターにかかる精神的負担がもっとも大きいスフィアとも言える。
星座のモチーフは、カストールとポリデュークスという双子。
このうち、弟のポリデュークスは半人半神の不死身、カストールはただの人間であった(母レダの重複妊娠による別々の双子の片割れ同士であり、カストールは神の血を引かない)。ある日イリスとリュンケウスという別の双子との諍いの結果、カストールは殺されてしまい、ポリデュークスは大いに悲しんだ。そこで、ゼウスはポリデュークスの神性をカストールに分け与えたという。
タロットでは「恋人」と関連付けられる。割り振りは男性。
なお、このカードはウェイト版が一組の男女であるのに対し、マルセイユ版は男性一人に女性二人という構図の違いがあるが、どちらでも中心に天使が描かれる(ちなみに、タロットカードの主人公はあくまで人間であり、天使などはサポート役である)。マルセイユ版の二人の女性は、ある種の権力を有する立場から男性の意識・理性をつなぐ女性と情熱的アプローチで男性の無意識・本能をつなぐ女性とされ、天使は後者の味方であるという説もある。
「恋人」の寓意は正位置が『絆』『趣味への没頭』『試練の克服』、逆位置が『不道徳』『空虚』『結婚生活の破たん』など。
こうしてみるとわかるが、「自堕落で酒に溺れ」「確固たる目的を持たず」「恋人と死別した」ガドライトはウェイト版の逆位置、「多くの仲間と友を得」「オカルト趣味にのめりこみ」「テンシへの恐怖を乗り越えた」ヒビキはマルセイユ版の正位置が示す寓意とモチーフ、寓画に見事なまでに当てはまっている。
デザインに描かれる「天使」に関しても、「テンシ」に関わったことで全てを失ったガドライト、「テンシ」に関わったことで家族を失ったが多くの仲間、そしてパートナーを得たヒビキ、と見事に対応している。
双子座やその神性は、カストールとポリデュークスの二人を合わせて一つである(片方の力がもう片方に宿った)ことも加味すると、一方(ガドライト)がマイナスの側面を満たし、その上でそれを奪ったもう一方(ヒビキ)がプラスの側面を満たして初めて完全に覚醒するとも取れる。これならば、「いがみ合う双子=全てが酷似し、それゆえに相容れない両者」という名前にも納得の行く説明となる。なお、奪取時において、ガドライトは心のバランスを崩され資格を喪失し、逆にヒビキはそれまでの「絶望の中の希望」と同時に「後一歩でガドライトを倒せる希望の前に立ちふさがる、ジェニオンが動かない絶望」という、ガドライトが担当していた「希望の中の絶望」の部分も満たしている。
このことから、「マイナスの中のプラス」と「プラスの中のマイナス」という、真の意味で対極な二側面を得たことで正式な所有者としてスフィアが認めたとも考えられる(前述の通り双子座の神話でも、兄弟の諍いは別の双子と合わせて計4人で行われ、星座も二人でセットである)。仮にここまでやらないと覚醒しないのであれば、ある意味『尽きぬ水瓶』以上に覚醒が困難なスフィアと言える
性格分類においては、「社交性と神経質さの二面性」を司る。すなわち、相反する2側面を意味し、まさにその代償やスフィア・アクトを指し示していると言える。
なお、このスフィアについては「双子」という名前、そしてガドライトとヒビキの存在から「一対であり、二つ存在するのではないか(ジェニオンは元々片割れを持っていたのではないか)」という説がまことしやかに囁かれているが、そうだとすると、半分ずつとは言え覚醒の条件を満たし、同じくリアクターの資質を持っていながら、ガドライトは自在に扱いこなし、ヒビキは扱うどころか存在自体気づかない、というのは明らかにおかしく、ジェミニアが無制限に稼動するのに対し、ジェニオン・ガイが出力不足でまともに運用できなかったことからも否定できる(半分ずつ持っていたとすると、スフィアは共鳴せずとも単純動力としては使用できる点から鑑みて、ジェミニアだけが稼動できてジェニオン・ガイが出力不足、という事態は普通ありえない)。
このスフィアには他との根本的な違いとして、地球ではない別の星に存在していたという点がある。
蟹座(キャンサー→かに座中心領域「鬼宿」→死者の魂の集う場所→「尸の」「逝く」「天」→尸逝天
沈黙の巨蟹』のスフィアとして尸空が所持。尸逝天により運用が可能。ちなみに読み方は「ちんもくのきょかい」。
反作用などの詳細は不明。尸空の物腰と態度からすると、覚醒条件は「感情を制する理性」と推測できる。
性格分類においては、「保守的」を司る。
タロットでは「戦車」と関連付けられる。また、このカードのデザインは「宿命」「変容」を表しているとされる。
割り振りは女性。ただし、尸空は男性である。
正位置は『勝利』『征服』『開拓精神』『独立』『解放』、逆位置は『暴走』『失敗』『独断力』『挫折』『好戦的』
描かれているのは「若い王が乗り、四本の柱を持ち、二頭の馬を生やし、車輪が横向きに取り付けられた戦車」。このデザインは「人間の内面のさまざまな要素が一つの方向に揃う」ことを意味しているが、車輪が横向きであるため動けない。他のスフィアはタロットの寓意やデザインを意識した属性や力を持っていることを考えると、このスフィアのスフィア・アクトは特殊能力の効果と「沈黙」という名前、桂のリアクションからして、「人間の精神運動を停止させる」力なのかもしれない。
タロットの正位置・逆位置共に、現状判明している尸空のキャラクターとは全く合致しない(辛うじて正位置の「征服」が当てはまる。逆位置の「好戦的」に当てはまる可能性もあるがこちらはこじつけの感が拭えない)ため、尸空と尸逝天は前のリアクターからスフィアを奪取したか、あるいはこれから奪取されるかの可能性が高い。
対の位置にある『知りたがる山羊』が好奇心を力とするのに対し、精神の情動を破壊するこのスフィアの特性は「欲求を抑え付ける理性」と言える。
星座のモチーフは、英雄ヘラクレスによって踏み殺された化け蟹カルキノス。
異父兄弟であるヒュドラ退治にやってきたヘラクレスを倒そうとしたがあっさりと踏み潰されてしまった。
獅子座(レオ→ガンレオン
傷だらけの獅子』のスフィアとしてランド・トラビスが所持。ガンレオンにより運用が可能だが、制御にはメール・ビーターが必要となる。
「心身問わず痛みに伴う叫び」によって覚醒し、「痛みに抗う意志(要は根性)」によって活性化する。
対となる『尽きぬ水瓶』は己を省みない慈愛を力とするが、それに対応するこちらの特性はずばり、「痛みに抵抗する力」と言える。
同調が進むと覚醒者は次元力を使う度に反作用としてリアクターに激痛を伴う負荷がかかるが、一過性のものでアイムやセツコ、ユーサーのように深刻な状態にはならない(無論、力を使わなければ何も起こらないし、ガンレオンはそもそもマグナモードにならないと次元力を使えない)ため、「他のスフィアと比較すれば」という枕詞がつくものの現在判明しているスフィアの中では『偽りの黒羊』の次に安全である。
ただ、『偽りの黒羊』と違い反作用の発生によって戦闘に支障をきたす危険性はこちらの方がずっと高く、その負荷もランド自身の強靭な肉体と精神で何とかしのげているのであって、常人には耐えられない程の凄まじさであるため、やはり安全なスフィアというわけではない(そもそもスフィア自体が等しく危険物であるのだが)。なお、このスフィアは次元力の抽出をメールが、その制御をランドが行うため、二人揃っていないと運用できない。
ちなみに、このスフィアは現在登場しているスフィアの中では覚醒度が一番低い。ガンレオンの動力は明言されていないが、「燃料だってタダじゃない」というメールの戦闘台詞と、ランドの出身世界が「ザブングル」の世界観であることからしてウォーカーマシン同様のガソリンである可能性が高い。そうでなくとも、Z序盤の大時空震動の後、スフィアと同化したメールを欠いたまま戦闘に参加している=スフィアがなくても動き、戦える。つまり、このスフィアは他のスフィアと異なりリアクト・マシンの動力として機能していないのである(『悲しみの乙女』はガナリー・カーバーの動力として機能している)。再世篇におけるZONE突入により進行してはいるが、それでもセカンド・ステージ止まりの模様。
存在していたのは「戦闘メカ ザブングル」「オーバーマン キングゲイナー」「∀ガンダム」の世界観を包括した「荒廃世界」。
星座のモチーフは、英雄ヘラクレスによって討ち取られたネメアの森に住まう大獅子。
散々暴れまわった大獅子だったが、ヘラクレスとの死闘の果てに殺された。「暴れん坊」「人間に叩きのめされる」「死亡(から転じて断末魔)」といった点は、シエロに根性を叩き直された元ごろつきのランドが、痛みによる絶叫を上げたことでスフィアが覚醒したことと重なる。
性格分類においては、大胆で激しいという性質とともに「力の象徴」を司っており、強い力を与えることが転じて痛みを引き金にすると考えられ、性質自体がランドの性格と一致している。
タロットでは「力」のアルカナと関連付けられる。
「力」の正位置は『強固な意志』『不撓不屈』『勇気』『冷静』『力量の大きさ』、逆位置は『甘え』『無気力』『人任せ』『優柔不断』
このカードは本能を象徴するライオンとその制御を象徴する女性が描かれており、ランドの性格はこのカードの正位置とも合致している。タロットも関連があるとするなら、おそらくメールがスフィアに取り込まれたのは偶然ではないと思われる。
割り振りは男性。
乙女座(ヴァルゴ→バルゴラ・グローリー
悲しみの乙女』のスフィアとしてセツコ・オハラが所持。バルゴラ・グローリーが所持している武装「ガナリー・カーバー」により運用が可能。
「絶望に伴う慟哭」によって覚醒し、自身・他者問わず「悲哀の感情」によって活性化する。
同調が進むとリアクターの五感が失われていく。ただし他と異なり、機動兵器に搭乗していない時に起きる。戦闘中の感覚消失はそのまま死に直結する(=スフィアが目覚められない)ためと思われる。このスフィアに関してはバルゴラ製造時に何処かから持ち込まれたものと思われるが、由来は不明。
登場したスフィアの中では真っ先にサード・ステージの兆候を見せており、再世篇のセツコは反作用を受けている描写がないほか、スフィア・アクトの片鱗と思しき「他者の悲しみを感知する」能力を見せている。
存在していたのは「宇宙世紀」の世界。
星座のモチーフは正義と天文の女神アストライアー(冥王ハーデスに誘拐されて娶られてしまった、春と花の女神ペルセポネという説もある)。
彼女は争いを続け神に見放されつつある人間を最後まで信じて地上に残った女神であるが、やがて絶望してしまう。流される血で人間に絶望するという展開はまさに上官や想い人の死とレーベンの悪意に絶望して覚醒した彼女と重なる。ペルセポネにしても、レーベンとのやり取りと似た「親切にしてくれたので信じてみたが、実は不可逆な状況に追い込むための罠だった」という流れが存在している(ペルセポネの場合は母・デメーテルの怒りのサボタージュで地上が大変なことになったため、ハーデスが折れてめでたく帰還と相成ったものの本心では離れたくなかった彼の罠に嵌められて冥界のザクロを四粒食べてしまい、一年の内四ケ月を冥界で過ごす羽目になった)。
性格分類においては、「自然を愛する心」を司っており、自然=周囲を感じられなくなることで自然を求める意思が強化されるために力が引き出されると思われる。
タロットでは「隠者」のアルカナと関連付けられる。割り振りは女性。
この隠者のモチーフは3つのヘルメスが合わさった「ヘルメス・トリスメギストス」であり、3機のバルゴラを統合したバルゴラ・グローリーと無縁ではないだろう。仮にもし「3機の情報の統合」が覚醒の前提条件であるなら、製造したメーカーはある程度このことを知っていた可能性が高い(3機存在しなければ覚醒自体不可能になる)。
「隠者」の正位置は『慎重』『思いやり』『秘匿』『精神』『慎重』、逆位置は『閉鎖性』『悲観的』『陰湿』『消極的』『誤解』など。
グローリーのガナリー・カーバーは一応「ノーティラス⇒オウムガイ」がモデルとなっているのだが、全体的なシルエットは魚に近い。おとめ座は占星術上魚座の対極に位置するため、ガナリー・カーバーの形状もそれに関連していると思われる。
天秤座(リーブラ→リ・ブラスタ
揺れる天秤』のスフィアとしてクロウ・ブルーストが所持。ブラスタおよびリ・ブラスタにより運用が可能。
「折れることのない強い意志」によって覚醒及び活性化(クロウの場合は「借金を返済する意志」)する。
同調が進むとリアクターは次元力行使の際、思考が固定されて正常な判断が出来なくなる。さらに、意志の遂行を阻む者は味方だろうと排除すると推測されている。この際、暴走したキャラを止める際の鉄板である「仲間の呼び掛け」は一切効果がなかった。ただしクロウの場合、金に対する執着がそのまま残るため、同調率が上がると小銭の落ちる音を鳴らす「CDS(コイン・ドロップ・システム)」で自意識を保っている。
なお、嘘を力とする『偽りの黒羊』の対の位置にあり、その特性は「己を偽らない力」と言える。
このスフィアはカルロス・アクシオン・Jr.トライア・スコートの元へ「VX」として持ち込み、さらに元を辿ればエルガンアクシオン財団に持ち込んだものである。エルガンの元の所属を考えるとクロノが保有していたのかも知れない。
「金の音で正気に戻す」というあまりにバカバカしい対応策や、あっさり対処されたことから見落とされがちだが、「反作用に自分の意思で対処する」ことが出来ないため、実は現状判明している中ではトップクラスに危険なスフィアである(ゼロシステムを極端にしたような状態となる他、間接的にだが反作用の被害が他者に及ぶ)。しかもクロウの場合、借金がないと制御できないという事になり、挙句の果てに当人もそれを理解している。覚醒と活性化の条件が現状判明しているスフィアで一番易しい(方向性すら問わない)ことの代償なのだろうか?
力を引き出すためには前述の通り、何でもいいのでとにかく強く折れない意志を保つ必要がある。このように力を引き出す手段は単純だが停止する条件もまた単純で、何かに負けて意志が折れた時点で停止してしまう。
性格分類においては、自由を愛し執着しない「無頓着」を司るが、逆に言えば「自由に執着している」ということである。このため、自由(=自分の意思による選択)に縛られ、それを阻む全てを拒絶し、迷いを生む要素を全てシャットアウトする性質があると思われる。それでもなおコインの音で意志を取り戻せるのは、借金という不自由の象徴を連想させるためと考えられる。また、コインは「自由を阻む」という意志を持ってないことも、彼の耳に届く理由であると考えられる。なおクロウは後に、「敵を倒す」という一点にのみ意識を集中することで、スフィアの力を最大に引き出しつつ自意識を保つ「アンブレイカブル・フルクラム」という攻撃を編み出している。
星座のモチーフは、乙女座のモチーフであるアストライアーが持っていた善悪を測る天秤。
幾度となく善悪を測り続けてもなお悪化していく世界に絶望したアストライアーは、とうとうその天秤を捨ててしまう。幾度となく心を揺らされ、やがて心根をゆがめる宿敵によって覚醒したクロウに重なる。セツコ(乙女座)が最終的に彼を気にするのも運命だろうか。どちらかといえば、同じような名前を持つこの人の所有物、という方がしっくりくるが。
存在していた世界は正確には不明だが、恐らく西暦か「コードギアス」の世界だと思われる。
タロットでは「正義」のアルカナと関連付けられる。
そのため、このスフィアにとっての正義とは「どんな形であれ折れることのない強い意志のこと」である可能性は高く、それを証明できる者が力を引き出せるということかもしれない(実際、クロウの意志の強さは全編を通じて随所で描写されている)。このカードには天秤が描かれているが、左右の皿のサイズが異なっている。公平とは対称でないことを示しており、割に合わない借金を背負うが、それがないと己を保てないクロウをイメージさせる。
ちなみに、「正義」の正位置は『公正』『誠意』(例:借金を全うに返済する意思)を意味し、逆位置は『不均衡』『被告人』(例:借金を返せない人)を意味する。
また、天秤は弁護士の象徴である。すなわち、片方には罪(例:過ぎた力を求める)、片方には罰(例:借金を負う)が乗せられるということである。借金に縛られないと主体性を維持できないクロウが過ぎた自由や力などを求める限り、決して借金から逃げられないということなのだろうか。
互いに「自己選択に伴う強い意志」をキーとするためか『尽きぬ水瓶』との相性が良好。
占星術上において天秤座は牡羊座と対の関係にあたる。それに迎合したかのように、このスフィアと偽りの黒羊は覚醒と活性化の条件だけでなく、反作用までもが見事に対極である(強い意志があれば簡単に力を得られる一方で、反作用が最も危険で対策も難しい『揺れる天秤』と、常に嘘を吐き続けなければならない一方で、反作用が最も安全で感情が高ぶらなければ発生さえしない『偽りの黒羊』)。
割り振りは男性。
蠍座(スコーピオ)
性格分類においては、「探究心と持久力」を司る。
タロットでは「死神」に関連付けられ、このカードは「無名」「静止」を暗に表しているとされる。
なお、このカードに描かれる死神とは、ウェイト版においては黙示録に現れる「第四の騎士」であるとされる。
「死神」のタロットが示す寓意は正位置が『終末』『破滅』『死の予兆』、逆位置が『再スタート』『新展開』『挫折からの復帰』
ジェミニスが第3次Zにおける続投組の記憶封印に関して「針」という単語を使っていたことと、蠍座が「他人の財産を奪う」ことを示していることから、このスフィアが記憶を封印する力を持つと考えられている。
割り振りは女性。

星座のモチーフは、狩人オリオンの傲慢に怒った女神の使いで、オリオンを刺し殺した蠍(この蠍、一説では妹・アルテミスがオリオンとゴールインするのを阻止したかったアポロンが、オリオン暗殺計画の要として用意した工作員であるとも)。
星座になった後の話として、自らの父がアポロンだと認めさせるため、太陽の馬車を無理やり運転して黄道を走ったパエトーンがさそり座に差し掛かった際、馬の足を刺したために馬車が制御不能となり、天地の破壊を恐れたゼウスによってパエトーンは殺された、というものがある。
射手座(サジタリウス)
性格分類においては、「発展願望」を司る。
タロットでは「節制」に関連付けられる。
このカードは水瓶座と関連があるとされ、描かれている女性は「相反する二つの要素を結びつける仲介者」という役割を持ち、また翼を持つことから「天使」とされている。割り振りは男性。
「節制」のタロットが示す寓意は正位置が『調和』『自制』『献身』、逆位置が『浪費』『消耗』
「相反する感情の衝突」を力とする『いがみ合う双子』の対の位置にある。
星座のモチーフは弓の名手であったケンタウルスの青年・ケイローン。
アポロンとアルテミスから数々の叡智を授かり、それを以って後の英雄達の師となったが、ヘラクレスの放った毒矢が偶然刺さってしまい、苦しみに耐えかねて不死の権能をプロメテウスに渡して落命した。
山羊座(カプリコーン)
知りたがる山羊』のスフィアとしてアサキム・ドーウィンが所持。シュロウガによって運用されている。
覚醒条件および反作用は不明。「好奇心」によって活性化し、あらゆる嘘を暴き真実を強引に曝す。
嘘をキーとする牡羊座のスフィア『偽りの黒羊』とは相性が悪く、このスフィアの力によってアイムは無力化してしまった。アサキムの前の資格者は不明であるが、女性であったことが彼自身の口により明かされている。曰く、アサキムの闇を覗いてしまったが故に取り込まれてしまったらしい。対の位置にある『沈黙の巨蟹』に対して、好奇心を力とするこちらは「理性を凌駕する欲求」と言える。
スフィア・アクトは明言されていないが、『偽りの黒羊』を無効化したのみならずアイムの過去を居合わせたZEXISの面々にまで見せたことを考えると、「対象の情報の強制開示」だと思われる(データ的に表現すると、対象に「偵察」「分析」の効果、と言った具合か)。
星座のモチーフはヤギ頭の牧神アイギパーン。ただし下半身は魚となっている。
これはアイギパーンが魚に変身したことによるもので、その経緯についてはティターン神族との戦いの際に威嚇のために海に潜った時の姿という説と嵐の怪物テュポーンが襲来した際に変身もおぼつかないほど慌ててナイル川に逃げ込んだ時の姿という説が存在する。確証はないものの、前者の説は「深淵を覗き込んだ」といえることから、アサキムの前の所持者を彷彿とさせる。ちなみに、パーンは「Panic」の語源である。
性格分類においては、「下心のない信頼関係を重んじる」ことを司り、転じて嘘を暴くことを力とすると思われる。
タロットでは「悪魔」のアルカナと関連付けられる。
この悪魔のデザインは山羊頭の悪魔バフォメットであるが、統一性のない姿は「訳が分からない」という印象を抱かせるものである。それゆえに「混沌」「葛藤」「暴力」を象徴しており、まさしくアサキムを指すのにふさわしいと言える。
また、「悪魔」の正位置は『堕落』『裏切り』、逆位置は人に知恵を与えた者として『覚醒』『新たな出会い』も意味し、これもまた世界をまたいでリアクターたちに出会って手段を選ばずスフィアの覚醒を促すアサキムらしい。さらにいうとシュロウガのデザインモチーフはサイバスター+悪魔である。
割り振りは女性。


水瓶座(アクエリアス→ジ・インサリアス・アークライナス
尽きぬ水瓶』のスフィアとしてユーサー・インサラウムが所持。聖王機ジ・インサーによって運用が可能。
「深く大きな慈愛と、それに伴う何らかの強い感情」によって覚醒し、「自己犠牲の意志」によって活性化する。
同調が進むとリアクターは意識を保つのも難しいほどの痛みとともに肉体が崩壊していく。この性質上、『悲しみの乙女(人間性喪失)』や『傷だらけの獅子(痛み)』と同時に因子を高める可能性が考えられるが覚醒者に襲い掛かる反作用の危険度はこちらの方が遥かに高い(反作用が慢性的である上に制御できない)。その対価なのか、スフィアの中でも飛びぬけて強い次元力を発揮できる。最後にはアサキムにユーサーが討たれたことで、『偽りの黒羊』ともどもその手に渡った(黒の騎士団ルートでは失敗)。その性質上、火星でユーサーが演じた姿……すなわち民を顧みない暴君には決して力を引き出すことができない。
他のスフィアの反作用は通常主に精神的なものであり特定の条件を踏めば回避できるのだが、このスフィアは肉体に甚大な被害を及ぼす上に回避不可能、更に命にも関わる。
これは、司る属性が「己を省みない強い意志」であるため。反作用の正体はスフィアの司る属性がリアクターに跳ね返ることで起きる最適化現象なのだが、このスフィアの場合、属性が跳ね返ることによって「次元力と引き換えに肉体を破壊する」という形で現れるのである。その関係上サード・ステージに突入できなければスフィアを奪われなくてもいずれ死ぬという、リアクターの視点から見れば12のスフィアの内もっとも危険な性質を持つ。逆に言うと、それをも良しとするほどの慈愛の心がなければ覚醒できないということである。
激痛を伴うという点では『傷だらけの獅子』と被るが、これは占星術において獅子座と水瓶座が対の関係にあるためと思われる。それを指し示すように同じ激痛を伴う反作用でもそれ以外は相違点が多く、双方のリアクターもあらゆる点が正反対となっている(心身ともに暑苦しい荒くれ者のランドと、穏やかで爽やかな美丈夫のユーサー)。対となる『傷だらけの獅子』に対し、慈愛を力とするこちらの特性は「痛みを受け入れる力」と言える。
星座のモチーフは、ゼウスの給仕を務めた美少年ガニメーデスが持っていた、神の酒ネクタールが溢れ出る水瓶。
ガニメーデスが給仕となる際、地上に残す両親が深く悲しむことを心配したという。ちなみに、女好きのゼウスが彼を給仕にしたのは美女と見紛うほどに美しいから。喪失の悲しみやそれに対する慈愛は、民を失うことによる強い悲しみとその民への慈愛で覚醒に至ったユーサーと重なる。
存在していた世界はインサラウム。
性格分類においては、「自己愛」を司っており、独善性が転じて(一方的な)自己犠牲を力とすると思われる。マリリンも、ユーサーの行動を独りよがりだと評している。
タロットでは「星」のアルカナと関連付けられる。
このカードのデザインは「直感」と「肉体」が女性によって結びつけられる様子を表しており、エスターへの語りかけなどで本来持つ洞察力が行動に結びついたユーサーを表していると言える。
「星」のタロットが示す寓意は。正位置が『希望』『ひらめき』『願いが叶う』、逆位置は『失望」『無気力』『高望み』
そしてそんな正位置の寓話に合わせたかの如く、聖王機ジ・インサーはインサラウムにおいて希望と幸福の象徴だった。
互いに「自己選択に伴う強い意志」をキーとするためか『揺れる天秤』との相性が良好。二つの意思が同じ方向に揃うことで、オリジン・ローの本質を引き出すことが出来る。
割り振りは男性。
魚座(パイシーズ)
性格分類においては、「感情の豊かさ」を司る。
タロットでは「月」と関連付けられる。
このカードは双子を示す複数の要素や本能と理性の葛藤を示しているとされる。割り振りは女性。
性格分類に加え、対となる『悲しみの乙女』の特性は感覚という肉体的・物質的な性質の変容だったことからすると、こちらは感情という精神的・非物質的な性質に何かしら影響を与える能力を持つ可能性が考えられる。
星座のモチーフは、宴に乱入してきた怪物テュポーンから逃げる際、魚に変身した後はぐれないように互いをリボンで結んだアフロディーテとエロースの親子。アフロディーテが変身した魚の方はみなみのうお座とされることもある。
「月」のタロットが示す寓意は正位置が『不安定』『隠れた危険』(『隠れた敵』とも)『猶予なき選択』、逆位置が『過去からの脱却』『失敗に繋がらない過ち』
明言されていないが、正位置の「隠れた危険」やタロットが「双子」と関わること、そして本能と理性の葛藤、というファクターから、スズネが所持しているのではないか、という見かたもあるが、逆に交際開始の時期が判然とせず、また「恋人」の寓画で天使(=テンシ?)が味方する立ち位置にあるマキが所持者では? という意見もある。
なお、この星座の性格は「不安、障害、犠牲的奉仕」である。
このスフィアの力は「意志の方向性の誘導」と考えられており、「血塗られた目」の発症者を巻き込んだ次元震はこのスフィアが原因と見る向きもある。
蛇遣い座(オフィニクス)
13番目の黄道上の星座。さそり座・いて座・てんびん座に隣接する。
12星座には数えられないが、占いによっては含まれていることもある。この星座をまたぐ形でへび座が存在し、二つで一組とされることもある。
スフィアは12個と明言されているが、時獄編にてロストナンバーが存在するような話が出ており、同作中に蛇遣い座のモチーフであるアスクレーピオスを元ネタとすると思われるアスクレプスという機体が登場しているため記載。ただし、この星座は十二宮ではないため対応するタロットが存在しない。
13星座占いの性格分類においては、「理性と正義感を重んじる意志」を司る。
星座のモチーフは、ギリシャ神話に登場する名医アスクレーピオス。
ケイローンから医術を学んだアスクレーピオスは数々の病を治して名医となったが、人を救うことに懸命になるあまり死者の蘇生という禁忌に踏み込んでしまう。これに怒った冥府の神ハーデスの抗議を受け、ゼウスはやむなくアスクレーピオスを殺したが、その才能を惜しんで空に上げ、星座とした。
スフィアの覚醒の状況は元となった星座の神話に由来するが、この場合アスクレーピオスは一度神の意志によって死を迎え、その後星座となっていることからして、リアクターが死を迎えることが覚醒の条件とも考えられる。
一体化しているへび座はアスクレーピオスの使いであり、またアスクレーピオス自身の化身ともされている。

人造スフィア

人の手でスフィアを模して作られた次元力制御システム。オリジナルには及ばないものの、何れも強力なパワーを有する。

ZONE
インサラウムで開発された、地脈から次元力を吸い上げる装置。
ディメンション・エクストラクター
スフィアの力のうち、「次元力を引き出して強化する」という側面のみを再現した模造品。
カオス・レムレース
ジ・エーデルが開発した機体。機体自体が人造のスフィアであり、サード・ステージの事象制御を可能としている。
TS-DEMON
ジェニオンの動力。「いがみ合う双子」を模したイミテーションであるが、属性をもコピーしており僅かながらオリジナルの持つ「表面化する感情の反転」を備える。ただし、肝心の出力はかなり低い。

メモ

  • この次元を超えたスフィアの争奪戦を「聖戦」、正式には「聖鍵戦争」という。これは太極の後継者争いとも言え、12のスフィアを手にした「最後の勝利者」が太極に至ることが出来るらしい。ただし、一つの世界に一つしかなく、さらに全部で12個しかないという性質を鑑みると、この条件を満たせるのは事実上呪われし放浪者のみとなる(多元世界の住人にも可能性がないわけではないが)。
  • 人の手で造られた模造スフィアに対しても干渉可能。逆に、模造スフィアが何らかの属性を模していた場合、相性の悪いスフィアは無力化されることもある。
    • ジ・エーデル、アンブローン、AGのDEMコーポレーションらも人造のスフィアを開発し、次元力を行使できる。人造のスフィアではオリジナルには及ばないにしても、安定性に優れていると言い切れる。Zの段階でジ・エーデルがオリジナル(乙女座と獅子座)を奪取する機会がめぐっても、それをしなかった理由は「オリジナルのスフィアは強大な力を行使できる半面、不安定な一面もある」ことを理解していたからだと思われる。
  • 力を使用する際に独特の共鳴音が鳴る(フォォォン、という音がフェードインし、同時に緑の光を放つ)。
  • バルゴラ一号機以降のセツコの機体及びアリエティス、尸逝天が撃墜された際には「機体が爆散した後光る球体が何処かに飛び去る」というアニメーションになる。
  • ガナリー・カーバー(グローリー)は、コアとなっているスフィア部分がカーバーを取り込み、元来の機能に近い状態に再構成したものである。またアリエティスは全身が結晶体で覆われている他、コアである「偽りの黒羊のスフィア」はアイムを乗っ取る形で機体を作らせた。さらにシュロウガが現在の姿になったのは、スフィアに過度に関わったためとされている。ここからすると、スフィアとは本来「生命体」だったのかも知れない。それを証明するかのように、「傷だらけの獅子のスフィア」の器として造られたガンレオンは、自意識と魂を宿すほか、明らかに生命体と思しき行動を取っている。
  • ガイオウの台詞に「12の鍵、ソルの記憶…! 全て俺が喰らう!」というものがある。12の鍵=ソルの記憶という意味での発言だとすればスフィアの集合体を指す言葉の一つという事になり、「記憶=意思=心」と解釈すれば「ソル=太極」と考えられる。アイム・ライアードの台詞「御使いはソルの心を集めて、全ての宇宙を!」にある「ソルの心」も「ソルの記憶」と同じ意味と思われる。なおソルとはラテン語で「太陽」を意味し、すなわち「黄道12星座を統べる存在」であることは考えやすい。また、時獄篇で登場したアスクレプスは否応なしに、黄道12星座にあわせて13番目の星座とされることもある「へびつかい座」を想起させる上、専用曲が「THE SON OF SUN」と思わせぶりなネーミングである。
    • さらに、その乗り手であるアドヴェントは自らを「忘れ去られた最後の一人」と称しており、ますます13番目のスフィアの存在を匂わせている。

余談

  • アークセイバーシリーズはその全てがジ・インサーを源流としたコピー機の側面を持ち、限定的ながら次元力制御を可能としている。後に、アークセイバーの機体は搭乗者の意思に反応して出力を高める疑似スフィアとでもいうべきDエクストラクターを搭載し、さながら量産型スフィア搭載機になっている。ちなみにアークセイバーシリーズは誕生月の星座と関連がある誕生石をモチーフにしてある。
  • シリーズ第1作のZ発売前に、「今回のロボットには何か路線があるのか?」などといった記者の質問を受けた際、寺田Pより「主人公機の武器は聖闘士星矢のような昔のジャンプのノリ」という回答があったが、ノリどころかそのまんまである(特に尸逝天)。
  • 12基+1基からなり、全てが機能し揃うことで宇宙全体の命運を握るアイテムで、パイロット&機動兵器と融合することで効果を発揮、機体を変質させて生物的な意匠をもたらす、という設定は、ゼノギアスのアニマの器と良く似ているといわれる。同作品のアニマの器と結合した特殊機体、ギア・バーラーとして「シューティア(ドイツ語で牡牛座)」「レンマーツォ(射手を中国語読み)」「レグルス(獅子座の心臓の星)」なども登場している。

関連人物

アサキム・ドーウィン
死ねない身体となり、平行世界を彷徨う運命(本人曰く「無限獄」)を負わされた人物。太極に至り不死の運命から逃れるため、スフィアの所持者を追い続けている。そして、第2次Zにおいてついにその目的の一つを遂げ、「偽りの黒羊」「尽きぬ水瓶」(黒の騎士団ルートでは両方とも失敗)「知りたがる山羊」そしてもう一つ、計4つものスフィアを入手するが、その戦いで次元の狭間に閉じ込められた。
ギリアム・イェーガー
アサキム同様、平行世界を彷徨う運命を負わされていた。この運命から逃れるため、かつて至高天(=太極)を目指すべくスフィア争奪戦に参加していたことを仄めかす発言がある。後述のように、広大且つ恒常的に正と負の影響をもたらす「太陽」のアルカナに関連する可能性があるが、他のアルカナに比べるとやや関連が薄い。ただし、様々な世界で活躍する反面、ネオ・アクシズやシャドウミラーという悪の組織を招くきっかけになっているあたり、決して外れてはいない。
ダークブレイン
「至高天」を目指してOG世界にその姿を現す。

関連リンク

太極
スフィアの根源たる概念。万物全ての始まりにして終わりの真理。
次元力
スフィアによって引き出される「次元を越える、あるいは越えた力」。恒星を起源とし、星座などの概念から物質まで、あらゆるものに宿る「存在の力」。アークセイバーの機動兵器やシュロウガはこれを動力に稼働している。
無限力
Zシリーズの前シリーズである第2の王道シリーズの旧αシリーズの根幹をなす概念。次元力と似た性質を持ち、太極同様「正」と「負」に分かれている。
スフィア・リアクター
スフィアを所持し、その力を扱う人物のこと。再世篇ではクロウ、セツコ、ランド/メール、アイム、ユーサー、アサキム、時獄篇ではさらにガドライト→ヒビキ、尸空が該当する。
カオス・レムレース
ジ・エーデル・ベルナルの機体。「人の手による鍵」「人造のスフィアのようなもの」と称される。

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