グラキエース
グラキエース(Glacies)
ルイーナの人造人間『メリオルエッセ』の1人で、名はラテン語で「氷」の意味を持つ。自身の搭乗機は、氷の力を操る機体『ファービュラリス』。
『スーパーロボット大戦D』で男主人公を選んだ際のヒロイン的存在。むしろ、女主人公を差し置いて「スーパーロボット大戦Dの真のヒロイン」的な立場とも言える。
愛称は「ラキ」だが、そう呼ぶのは彼女と同時期に生み出されたイグニスや、後のジョシュア・ラドクリフ(ジョッシュ)など一部の人物のみで、殆どの人間は「グラキエース」と呼んでいる。しかし、彼女を愛称で呼ぶ人物の一人が主人公なので、プレイヤーの印象に残りやすい。逆にいえば、この2人はグラキエースにとって特別な相手である。
性格は敵対時は感情が与えられていない事もあってか、冷徹かつ無慈悲。初登場時には民間人のいる街を破壊し尽くした上で現れている。生まれた時から身に着けていたクリスタルが割れた後は、冷静な性格ではあるものの、それまでの経緯から日常的な事柄には疎い浮世離れした一面を露呈している。ちなみに一人称が敵対時と味方時で微妙に変化し、敵対時は「私」、味方時は「わたし」である。
当初はルイーナ遊撃軍として多くの町を滅ぼし、負の感情を集めていた。ある時ジョシュア・ラドクリフと出会い、互いの機体のシュンパティアが共鳴したため、意識を共有してしまう。本来感情を持たない存在だったが、ジョッシュの意識を通して人としての心を持ってしまったために精神的に不安定になり、やがて自らを「壊れた」と判断するようになる。そして数度のジョッシュとの交戦の後、ルイーナの基地ごと自爆しようとするが、そこへ彼女を救うためにジョッシュが現れる。だが、彼の必死の説得にも耳を傾ける事無く、力尽きた彼と共に死を迎えようとするが、ウェントスに助けられて脱出する。
その後、ファラ・グリフォンのザンネックにブルー・スウェアが攻撃を受けた時、重傷を負ったジョッシュの代わりに彼の機体を操縦して駆けつけ、そのままブルー・スウェアに合流した。この際、生まれた時から付けていたクリスタルが砕けたため、ペルフェクティオの支配から逃れた状態になっており、また唐突に顔グラが変化して美人化した。合流直後にルイーナに恨みを抱く鉄也に射殺されそうになるが、事なきを得る。戦えなくなったクリアーナ・リムスカヤの願いを聞き入れて、彼女の機体のシステムを搭載した愛機ファービュラリスでジョッシュと共に戦うようになる。
ジョッシュと共に戦うようになってからも、自らを人間とは違うものとして事ある毎に「感情がない」と発言していたが、徐々にそれが芽生えていく。また、栄養の補給方法が変わったためか、食べ物の咀嚼が不得手で零したりもしている。それ以前の補給方法は不明。おそらく、ファブラ・フォレースから供給されていたか、あるいは虐殺した人間の負のエネルギーを吸収していたのではないだろうか。
最終決戦直前、ジョッシュに戦う事を恐れている事を言い当てられ、自らの不安…ペルフェクティオとの戦いで死を迎え、その結果、ジョッシュと共にいられなくなるのを恐れている事を戸惑いながらも打ち明ける。さらに、戦いが終われば自分の居場所を失う事への不安も口にするが、ジョッシュは彼女の居場所を作る事を誓う。
最終決戦では涙を呑んで兄弟のような関係であったイグニスを倒し、ペルフェクティオとの戦いも乗り越えるが、戦後、敷島博士によってメリオルエッセの寿命は3年しかない事がジョッシュに明かされる。しかし、グラキエースはそれを知らぬままジョッシュと共に残された僅かな日々を過ごす事になる。その先で彼女が救われたかどうかは、ゲーム中では全く明かされない。
当時のプレイヤーを絶望に落とし込んだEDではあったが、一方で無常観の漂うDらしいEDであったとも言える。それを象徴するかのように、もしOGシリーズに登場した時の彼女の扱いについては、ファンの間でも「原作を尊重して余命3年で」「スパロボなんだから、原作の悲劇を回避する方向で生存して欲しい」と真っ二つに割れている。アクセルとアルフィミィ、デスピニスの事を考えると、希望がないわけではないし、ジョッシュと幸せになって欲しいと思うファンがいるのも当然ではあるが、あの静かな幕引きこそがジョッシュとラキの結末に相応しいと思うファンがいるのもまた当然と言える。
ウェントス同様、仲間にすると顔グラが変わって一気に美人になる(敵顔グラの時がやや微妙だったのも原因)。仲間になった際の絵は公開されてないが、顔グラをよく見ると束ねていた髪を解いているのが分かる。また、あの濃い化粧は落とした模様。服装については、トップスに桃色のロングネックインナーらしきものを身に着けている以外は不明。これについてはファンの間では味方になった彼女の公式イラストとカットインが存在しない事を本気で残念がる声がある。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦D
- ライバルキャラ。ジョッシュが主人公だと条件次第で仲間にできる。搭乗機であるファービュラリスの性能の良さから、後半からの参戦にも関わらず、即戦力となれる。敵対時に養成が引き継がれないのも扱いやすい理由の一つ。
パイロットステータス設定の傾向
能力値
精神コマンド
特殊技能(特殊スキル)
パイロットBGM
敵として登場する際は、ルイーナ幹部専用曲。味方となってからは、ジョシュア・ラドクリフと同様の曲になる(主人公機に乗っている時は必殺技のテーマも流れる)。どちらも現時点で曲名は不明。
人間関係
- ジョシュア・ラドクリフ
- 恋人かどうかはともかく、互いに精神上不可欠の存在。殺るか殺られるかの仲だったが、後に彼と共に戦う事になる。グラキエースを「ラキ」と呼ぶ数少ない人物。さり気なく愛を覚えるラキだが、この愛がジョッシュに向けたものかは不明(というより、Dのオリキャラは全員愛を覚えるのでただの仕様の可能性も…)
- イグニス
- ルイーナのメリオルエッセ。グラキエースと同時に生み出されたため、仲が良く、敵対関係になった後もグラキエースは彼に関しては気にかけていた。最期はグラキエースの異変の原因となったジョッシュを恨みながら死んでいった。彼もグラキエースを「ラキ」と呼んでいるが、こちらの方がジョッシュより先である。
- クリアーナ・リムスカヤ
- ジョッシュの義妹。ジョッシュが行方不明になった時のゴタゴタで戦えない身体になっており、自身の機体のシステムをグラキエースに託し、グラキエースも彼女の意を汲む。
- ウェントス
- グラキエースが仲間になる場合は彼が命の恩人となる。
- ペルフェクティオ
- 創造主。
他作品との人間関係
名台詞
- 「わたしは、戦うために生まれたのだ。相手が何であろうと…」
- 「これに当たっては、ジョシュアに笑われる」
- 回避時の台詞。ジョッシュはそういう性格の人間ではない気がするが…。尤も、ジョッシュの回避台詞として「これに当たったら笑いものじゃないか」というものがあるので、単純にそれを真似してみただけかもしれない。
- 「お前と私、私の中のお前とお前の中の私。共に消え去るのも、私とお前の運命かもしれない…ジョシュア」
- 「響きあう魂の行方」にて、グラキエースを助けようとしたばかりに脱出し損ねたジョッシュと基地の爆発に巻き込まれそうになって。初めて彼女がジョッシュを名前で呼んだ場面でもある。
- 「わたしはもう、“破滅の導き手”ではない。わたしはメリオルエッセ…だが、いまは人とともに、かりそめの生を生きるものだ」
- 「“破滅”の意味」にて、イグニスと再会して。
- 「わたしは……恐れているのか。ペルフェクティオと、わたしを生み出したものと戦うことを。戦いの中で死ぬことを……存在の消滅を恐れている……」
「“わたし”が消えて……お前と……ともに生きることができなくなるのが、怖い……。バカな、わたしは……」 - 最終話にてジョッシュに不安を打ち明けて。
- 「だけど……もし……もし生き残っても……わたしには、この世界に居場所はない。わたしは、ベルフェクティオとともに滅びるべきなのかもしれない……」
- 「戦うために生み出された」ラキの最大の不安は戦いが終わる事による「自らの居場所の喪失」。そんな彼女に、ジョッシュは「自分が居場所を作る」と誓う。
- 「ああ…ああ、そうだ。わたしは悲しい。お前が消えてしまう、お前が死んでしまうことが悲しい。確かにお前とわたしは同じものだったのだから」
- 最終話「デザイア」にて、イグニスの死に立ち会って。「感情がない」と常々公言していたラキが親しい人の死を「悲しい」と感じるまでに成長した事がわかる場面でもある。
- 「わたしはお前に生み出された。しかしわたしはお前と戦う。わたしが生きるために」
- ペルフェクティオのみとの戦闘台詞。
- 「そ、そうじゃない。お前がいてくれるのは、うれしい。だけど…」
- ネオジオンルートエンディングにて。ラキが照れる数少ない場面だが、プレイヤーとしては彼女の運命を知らされた後だけに、それに喜べる気分ではないだろう。そして、この発言がラキの最後の台詞になった。
余談
- その設定から、モチーフは『装甲騎兵ボトムズ』のフィアナ(寿命2年のパーフェクトソルジャー)とも言われている。
- Dと同時期に発売された『スーパーロボット大戦COMPACT3』の登場人物メイシス・マルクは、直接関連はないが、同じく氷を操る機体に乗る点を指摘されている。また、リアルロボットレジメントの主人公アリエイル・オーグも関連は無いが、「人造人間であること、寿命が3年であること」が共通している点を指摘されることがある。しかしこれらが意図的に設定されたものか、偶然の類似かは不明。