矢藩朗利(Rouri Yahan)
エイサップのルームメイトにして悪友。在日アメリカ軍基地に勤務する父親への反発から、過激な反米思想を抱いている。
また金本の台詞から、エイサップ達三人は何らかの差別を受けていたと推測される。
友人の金本と共にアメリカ軍基地に爆破テロを敢行したことを切っ掛けにバイストン・ウェルに転移し、その地で出遭ったサコミズに協力し、彼から与えられた新型オーラバトラー・シンデンに搭乗する。
再び地上界に戻った際、オーラバトラーの力に溺れた彼は東京で破壊活動を行い、空母から強奪した水爆で東京を焦土に変えようとするが、改心したサコミズに止められて失敗に終わった。
OVA版ではその後、朗利を救助するように金本が頼み込んでいる様子が描かれているため生存した模様だが、小説版では核弾頭を起動した直後にハイパー化したオウカオーに握り潰されて死亡する。
東京都民を虐殺するなど散々非道な悪事を働いておきながら、OVA版では最後まで何の報いを受ける事無く生存した事もあり(富野作品には朗利のような『散々悪事を働いておきながら、のうのうと最後まで生存する下衆』なキャラがしばしば登場する)、視聴者からは金本共々非常に嫌悪されているキャラクターである。
そういう意味では、小説版での朗利(と金本)の結末は、ある意味OVA版で描き切れなかった要素を回収したものと言えなくもない。
小説版でリーダーを務めるテログループ「ジスミナ(JISMINA)」は「実行してみるしかない仲間たち」の頭文字から。
あまりに知性の感じられない命名だが行動理念も大したことはなく、テロ計画においてテレビ映りを最重要視し、東京をオーラバトラーで襲ったのも最初のテロにおけるテレビの前での宣言を有言実行したかっただけという有様。
元々は2chの軍事板に入り浸っており、そこからブログなどを経て、偏った取り巻きとそこで醸成される一方的な思想を修正できないままこのような行動に至ってしまっている。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦UX
- 初登場作品。土田氏は本作でスパロボ初参加となる。やはり過激な反米思想を抱いているが、沙慈が実証したようにこの世界の日本は混乱に巻き込まれる機会があった(しかもファフナーの原作再現により一時期は日本人の絶滅さえ危惧されていた)にも関わらず日本を平和ボケ扱いするので原作以上に説得力がない。
エイサップとは原作以上に激しく敵対しており、ダブルディスパッチはバイストン・ウェルでのエイサップ戦で初披露。以降も何度となく剣を交えることになる。原作以上に狡猾な悪漢としての描写が強調され、下衆な悪党として描かれてはいるが、反面東京タワー破壊など罪のない人々を虐殺する描写はあまりないため、犯した悪行はある意味原作よりは控えめと言えるかもしれない。
最終的にはエイサップに撃墜され、苦悶の混じった捨て台詞を最後に登場しなくなる。ただ、撃墜されていない金本も以後登場しないことや原作の展開を考えると死んだかどうかは断言できないため、その末路は不明瞭なものとなっている。いずれにせよ、彼らの未来は明るくないだろうが…。
単独作品
パイロットステータスの傾向
地上人のため一応は聖戦士スキルを持つ。シンデンもオールキャンセラーを持つため、その実力はカスミやムラッサ以上のものがある。
人間関係
- 金本平次
- ルームメイトである友人。ホウジョウ軍参加後も共闘。
- エイサップ・鈴木
- ルームメイトである友人。後に敵対する。
- シンジロウ・サコミズ
- サコミズに協力して東京を焦土に変えようとするが、聖戦士の心を取り戻した彼によって皮肉にもその計画は潰えてしまう。
- なお、小説版での朗利は核爆弾の起動後にサコミズの駆る(ハイパー化した)オウカオーに握り潰されて殺害されるという、自業自得としか言いようのない最期を迎えた。
他作品との人間関係
- ショウ・ザマ、マーベル・フローズン
- 別の世界の聖戦士たち。
- UXでは力に溺れ悪しきオーラ力を欲望のままに振るう様を彼らに危険視されるが、朗利が彼らの言葉に耳を傾ける事無く、彼らに敵愾心を向けるだけであった。
- CCでは彼らと模擬戦を繰り広げているが、改心した今ではUXと異なり敵愾心を向けていない。
- イザベル・クロンカイト、加門朔哉
- UXでは序盤に在日ユニオン軍基地へのテロを敢行した後、彼らの取材を受ける(というか、彼らを利用してテロを報道させようと事前にテロを予告して呼びつけていた)。
- キラ・ヤマト、シン・アスカ
- UXでは戦闘台詞で反応を示すことから、彼らの事も知っている様子である。
- 羽佐間翔子
- UXでは第27話バイストン・ウェルルートにてプトレマイオス2改に止めを刺そうとしたところを彼女に妨害され、瞬殺されるなど散々な目に合う。
- ハザード・パシャ
- UX第40話にて彼に密かに取り入り、彼から核弾頭を渡され狂喜する。彼が自分達を己の醜悪な欲望のために利用しようとしている事など気付かずに…。
- ゼクス・マーキス
- CCでは東京を焼け野原にしている郎利達の姿に、かつて仮面を身に付けていた頃の自分と、虐殺を働いた二人を想起、彼らに説得を試みている。
- ヒリング・ケア、リヴァイヴ・リバイバル、ブリング・スタビティ
- CCでは人間を見下す彼らの姿に怒りを顕にした。また、朗利たちが改心する切欠となった「宇宙に咲く花」は本来自分たちが起こすべきだったと嘯くも、今更彼らの世直しは必要ないと一蹴する。
名台詞
OVA版
- 「金本ぉ! 日本人の平和ボケを覚まさせるんだ! こいつでぇ!」
「オーラソード、ダブルディスパッチだ!」 - 原作におけるダブルディスパッチ使用シーン。この台詞と共に東京タワーを両断する。
二人が歓喜する様子と共に東京タワーにいた家族連れの観光客の姿なども描写されるため、非常に後味が悪い。 - 「そっちの起爆装置も外しておけよ! 借用書かいておこうかぁ、大将!」
アレックス「それは本物なんだぞ! 1千万人以上の人間を殺すことになる!」
「リモコンボタンを押した、3分後だろう? 心配すんなって、それでも1億人はいるんだから!」 - 核で東京を壊滅させようと核ミサイルを強奪する際に。アレックスは声を荒げて糾弾するが、当人は知ったことかと言わんばかりに全く意に介していない。
- ちなみに漫画版では多少会話が違い、UXではそちらを元に下記の台詞と合わせて採用されている。
漫画版
- 「腰抜けのこの国をオレ達の手で変えてやるのさ!!」
(中略)
「戦争じゃ敵の兵器だろうがなんだろうが機転利かせてポイント稼いだ奴が 最後の勝利者になるってことだろ」
金本「一発逆転止めの一発ってね!!」
エイサップ「……敵の武器……止めの一発って… まさか お前ら」
「この国を根っこから変えるんなら核しかないっしょ?」 - 地上にて、エイサップを見かけた際に。
エイサップからは「何しているか判ってんのか!!?」と問い詰められたが、まるでゲームでもプレイしているかのような言い様を返した。特に最下段の台詞を言い放つ際は歪んだ笑みを浮かべており、全く分かっている様子はない。
小説版
- 「テレビの大画面におれたちがきっちりうつってみろよ。衛星中継にのって、あっという間に画像が流れる。そうすれば、日本だって能天気な奴ばかりじゃないって、アピールができるもんだぜ」
「……今の時代は、テレビに映るものが真実になっちまうんだから、テレビカメラがおれたちのやることをオンエアしてくれれば、結果的には、大衆操作だって昭和の時代よりは有効にできるってもんだ。大統領選挙だって、どこかの知事が当選するのも、みんなテレビの映像のせいだからな」 - 岩国基地でのテロ決行前夜。この言葉にも、一面の真理がなくも無いが……。
- 金本「テロ計画なんてものは、処分したほうがいいよ」
「バカいえ。歴史的な資料になるかもしんねぇだろ」
「……それにさ、おれの思想的な背景とテロにいたった論理的正確さを確認しておかないと、テレビカメラの前でみっともないこと喋ったりしたら、艶消しじゃあねぇか」 - 同じく決行前夜での金本とのやり取り。世のテロリストと比較しても、非常に幼稚な印象を受ける。
- エイサップ「やめられないの? その作戦」
「お前は、おれの作戦の事はしらなくていいんだよ」 - エイサップに対して。半年以上タダで部屋を貸してもらっていたためか、彼を巻き込ませまいとしている。
スパロボシリーズの名台詞
本編
- 「アメリカがよく言うなぁ! 侵略戦争がお得意なのはお前たちだろうが!」
- マーベルとの戦闘前会話。バイストン・ウェルに転移し、侵略する側のホウジョウ軍に喜んで手を貸したことに憤っているマーベルに対して。
- …もっとも、自分の凶行を棚に上げてアメリカ人であるマーベルを批判しているようにしか見えないが。
- 「ヒィィィーハァァァーッ!」
「これがオーラ力か! これが俺の力かぁぁぁっ!」 - UX27話にて、アルティメット・クロスに追い詰められた朗利は凄まじいオーラ力を発揮し、プトレマイオス2改に渾身の一撃を与えて、その力に酔いしれた。
- オーラバトラーの力に溺れたその姿は、ラインバレルに初めて乗って増長したかつての浩一のそれと似ている。その光景を見たマーベルはハイパー化になることを危惧するが…。
- 「ウルセーんだよ! もう誰にも我が物顔はさせねえ! そのための力を俺は手に入れたんだ!」
「これでいっちょ上がりだぁぁぁーっ!」 - その直後、マーベルをこの台詞で一蹴した朗利はトレミーに止めを刺そうとした。…が、何者かによって朗利のシンデンを遠くへ吹き飛ばしてしまう。
- 「てめえか! よくも邪魔してくれたな!」
「まずはテメエから、真っぷたつにしてやるぜ!」 - 朗利は邪魔をした人物に怒りの矛先を向け、襲い掛かる。
- …しかし、その相手が朗利をも凌ぐオーラ力を持ち、ホウジョウ軍を脅かしている凄腕の女聖戦士「羽佐間翔子」だったのが彼にとって最大の不幸であり過ち。真っ二つにするどころか、呆気なく返り討ちにされてしまう。この隠し要素を出しているか否かでシナリオタイトルの「地上人のオーラ力」の意味が大きく変わってくる。
- 彼女の生存に大いに喜んだファフナー組の姿を思えば、噛ませ犬にされた彼には悪いが、これでいいのかもしれない。
- 「ごふっ…! エ、エイサップ…てめえ!」
「け、けど…残念だったな! 核の起爆スイッチは…もう…!」 - UXのイベント戦で撃墜された際の台詞。原作ラストの展開に繋がる描写だが、大半のプレイヤーは最初の台詞に全てを持ってかれたと思われる。
中断メッセージ
原作やゲーム本編では憎らしい悪役として暗躍する朗利と金本であるが、中断メッセージにおいてはコミカルな雰囲気を漂わせている。
- 「お前の親父なら、隠し要素の出し方リストくらい持っているだろ」
- UXでの中断メッセージにて、隠し要素を見つけようとする二人を宥めるエイサップに対して。アレックスはどうやってそれを纏めたのやら…。
- ちなみにUXの隠し要素の一部には、ソフト発売から約二ヶ月後の攻略本発売まで明確な条件が特定できなかった要素もあるため、そんなリストがあるなら是非欲しいとこれだけは朗利に賛同したプレイヤーも。
- エイサップ「あってもロクなものは無いと思うけどなあ」
金本「エイサップにとっちゃそうかもしれないけどさぁ!」
「俺達にとっちゃ、すげぇものがあるかもしれないだろ!」 - 上の続き。…そのうちの一つを満たしてしまうと第27話にて本当の意味ですげぇものと出くわしてしまうことになるとは、朗利自身どころかプレイヤーも想像すらしなかっただろう(しかもこれだけでないのだから何とも)。
- そして、別の作品では金本共々改心する展開が出て来るなど、これまた「すげぇもの」が出てきた。
搭乗機体
余談
- 初期設定では真性のロリコンという性癖を持っており、名前の「朗利」はその名残。朗利(ロウリ)=ロリ、ということ。
- 元はユーリ・ウェイという名前のロシア人という設定だったが、優李衛・矢藩(ユリエ・ヤハン)というハーフに変更され、更に生粋の日本人となり現在の名前へと変更が重ねられたが、ロリコンという設定だけは一貫して残り遂にはこうして名前の由来にもなった。
- 本編を作成する段階ではロリコン設定は描写されていないが、スタッフの発言を富野監督が軽い調子で拾った結果金本とは「ラブいカンケイ」という設定が追加された。
- なお、小説版ではロリコンや同性愛等といった性癖は持っていない。