ブルーコスモスとは、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する組織。
概要
「青き清浄なる世界のために」をスローガンとする反コーディネイター団体。
ブルーコスモスは元来アズラエル財閥をパトロンとした環境保護団体だったが、コーディネイター問題が表沙汰になると不快感を表明。C.E.17年にはコーディネイターの製造を行っていた病院を医師や患者もろとも焼き討ちを行うなど早々に過激な行動を取るようになる。
やがて宗教権威の失墜を経て、狂信的なカトリックやイスラムなどの宗教関係者達が繋がっていった事によって、具体的な団体から集団の面も持つ反コーディネイターの牙城とも言うべき一大イデオロギーへと変化していった模様である。
ブルーコスモスは構成員を自称するものを含めて、総数は数十万人程度と規模そのものは地球全域に影響力を持つにしてはさほど大きくはない。しかし、心情的にその主義主張に共感する人々は世界中に存在するため、人数面の不利は存在しない。また、数十万規模もあくまで戦争が始まる前のである公式年表におけるC.E.68年頃の統計となっている。直後の第1次連合・プラント大戦、特にC.E.70年4月1日に発生したプラントが血のバレンタインの報復として、地球全域へ半永久的に稼働するNジャマー発生装置を無差別に打ち込んだ「エイプリルフール・クライシス」[1]が行われた結果、公式年表ではナチュラルの反コーディネイター感情は最高に達したとされているため、ブルーコスモスの関係者が激増しても不思議ではない。 地球連合上層部や軍の高官にもシンパが存在し、ロビイスト活動も行う。また、コーディネイターの中にも出生に苦悩した末に反コーディネイター思想に生きる道を見出した者がいるため、少数ではあるが構成員や賛同者の中にはコーディネイターも含まれる。
経緯
『機動戦士ガンダムSEED』作中では地球連合軍内部と連合加盟国の各国政府にまで影響を及ぼしており、多くの連合軍人が加入している。「血のバレンタイン」を切っ掛けの一つとして、地球連合はコーディネイター国家であるプラントと全面戦争となり、連合軍人でなくともブルーコスモスメンバー(あるいはシンパ)によるコーディネイターに対するテロが行われた。 しかし、その反面で大西洋連邦大統領ジョゼフ・コープランドを始めとして、地球連合の政府機関側の最高指導部にはあまりブルーコスモスの思想は浸透しておらず、ロゴスの権力には逆らえないが、ブルーコスモスの思想を煙たがっている節が見られる。
アズラエル財閥の出身であるブルーコスモス盟主ムルタ・アズラエルは連合軍部の行動にも口出しできる程の力を持ち、対プラント戦争を強力に推進した。
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の時代においても新たな盟主であるロード・ジブリールの元、強い影響力を残している。また、ジブリールが代表を務める軍産複合体「ロゴス」がブルーコスモスの支持団体であった事実も明かされている。
しかし、プラントとの二度目の大戦においてプラントの指導者であるデュランダル議長の演説によってロゴスの悪事が糾弾された事が切っ掛けでロゴスは崩壊し、彼等によって支持されていたブルーコスモスはその巻き添えを食らった。
組織としては戦後は瓦解・弱体化は避けられない可能性が高い反面でブルーコスモスはあくまでコーディネイター問題に関する思想の一つに過ぎない[2]ため、ブルーコスモスの意志を受け継ぐ者達が今後も現れない保証は一切ない。作中では明言されなかったが、ロゴス壊滅による統制の欠如と空前のインフレーション発生による地球経済の大幅な後退が確認されているため、今後はブルーコスモスの更なる過激化も考えられるかもしれない。
登場作品
スパロボで扱われるときは、異星人や機械生命などの「地球上で自然に生まれた生命ではないものたち」に対しても反目的になることが多い。
αシリーズ
- 第3次スーパーロボット大戦α
- 『SEED』設定。原作の地球連合軍ではなく地球連邦軍ではあるものの、軍内部で急速に台頭し、αナンバーズを太陽系追放にまで追い込むが、盟主であるアズラエルの死により、軍内のブルーコスモス派は一掃された。
- 本作でのブルーコスモスの勢力拡大の裏には『新世紀エヴァンゲリオン』のゼーレの影があり、裏ではゼーレに利用されていた。
Zシリーズ
- スーパーロボット大戦Z
- 『DESTINY』設定。『SC2』同様、『機動戦士Ζガンダム』のティターンズとの関係が深い。
- ティターンズ同様今作で壊滅するが、αシリーズでプレイヤー部隊及びプレイヤーを大きく苦しめた両勢力が、シリーズ一作目であっさり壊滅したのは皮肉という他ないだろう。
- 第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
- 今作にてクロノ保守派の手先であったことが判明し、ナチュラルとコーディネイターの争いは、クロノ保守派と改革派の争いであったことが明かされた。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦J
- 『SEED』設定。原作とほぼ変わらない。本作では『宇宙の騎士テッカマンブレード』のコルベットも「青き清浄なる世界のために」のスローガンを発言する。
- スーパーロボット大戦W
- 『SEED』設定。『J』と世界観が似ているために扱いもほぼ同じ。本作ではマリーメイア軍やアマルガムと結託している。EDでは生存したナタルの告発で地球連合軍内の派閥が一掃されたことが、リョーコの口から語られている。
- スーパーロボット大戦K
- 『DESTINY』設定。『蒼穹のファフナー』の新国連の面々もブルーコスモス寄りではあったが、コーディネイターよりも人外の敵の方が遙かに脅威である事は理解していた。
- スーパーロボット大戦L
- 『DESTINY』設定。ほぼ原作と同じ扱い。序盤では国連議会に多大な影響力を持ち、地球連合軍を復活させたが、プリベンター等の組織によってLOTUSが結成された他、内通者が送り込まれていたなど対抗活動を敢行され、最後は概ね原作通りに壊滅された。
Scramble Commanderシリーズ
- スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
- 『DESTINY』設定。世界観が近いこともあり、『機動戦士Ζガンダム』のティターンズの面々も加わっていた。
単独作品
- スーパーロボット大戦Card Chronicle
- 『SEED』と『DESTINY』設定。両作品での展開に準じている他、木連の祖先にあたる火星に移民した地球人を木星の衛星に追い払うという暴挙を敢行していた。
人物
他作品の関連する人物
三輪やコルベット等、各作品の軍事組織の急進派の代表格が傘下に加わっているが、その中の何人かは異星人等の存在を相手に戦っている人物達であり、その人物達はコーディネイターよりもそれらの方が遥かに脅威である事を知っている為、内心ではそれらの存在を無視してコーディネイター殲滅を優先するアズラエルやジブリールのやり方に否定的な考えを示すなど、原作では見られなかった常識人の一面を見せる事もあった。
ガンダムシリーズ
- デキム・バートン
- バートン財団のトップで、マリーメイア軍の実質的な指導者。『W』では裏ではアズラエルと結託しており、共にコーディネイターの排除を企てていた。
- ジャミトフ・ハイマン
- ティターンズとブルーコスモスとは思想が似通った所もあるため、『Z』においては彼もブルーコスモス寄りになっている。
- なお、『SC2』には登場せず。
- バスク・オム、ジャマイカン・ダニンガン
- ジャミトフと同様、『Z』にのみ登場している。シロッコ、デューイ、エーデルの三者によるクーデター後はジブリール共々新連邦に追われる身となる。
- トロワ・バートン
- 『L』ではファントムペインに潜入して捜査を行っていた。潜入先にてトロワはジブリールをして「生粋のブルーコスモス」と言わしめるほどの演技を見せており、ロゴス壊滅までその正体が露見することはなかった。
スーパー系
- 三輪防人
- 『第3次α』における幹部格の一人で、同作では未登場人物であるウィリアム・サザーランドの役割も務める。
- 前作で失脚していた所をアズラエルに拾われ、ブルーコスモスの力で復権し、連邦軍内での発言力を強めた。コーディネイターに対して向ける敵意は、バーム星人をはじめとする異星人達に向けるものと同様に強い。
- ただし、ブルーコスモスの思想に賛同こそしていても、アズラエルのやり方には内心辟易するなど、彼への疑念も抱いている。故に、珍しく常識的な反応や思考も垣間見せている。
- サントス
- 『第3次α』においてはアズラエルと繋がっており、ブルーコスモス寄りの人間である事がうかがい知れる。
- キール・ローレンツ
- ゼーレの首魁。『第3次α』ではブルーコスモスをティターンズに代わる新たな手駒として、黒幕として裏から操っていた。『L』でもゼーレはロゴスの黒幕である為、ブルーコスモスの黒幕ともいえる立場にある。
- コルベット
- 『J』および『W』における幹部格でサザーランドのポジションにいて、彼と同様に連合軍内におけるブルーコスモス派の代表。
- 『J』『W』の両方とも『SEED』の世界観がベースとなっている為、スローガンを口にする等、三輪長官以上にブルーコスモス派としての色彩が強い。ただし、三輪長官同様にアズラエルよりは常識的な面を見せることもある。
リアル系
- レナード・テスタロッサ
- アマルガムの幹部。『W』ではアズラエルに雇われ、彼にフェルミオンミサイルを提供するなど、様々な協力をしている。
- ヘスター・ギャロップ
- 『K』における地球連合の代表格であると同時に、ブルーコスモスの代表格の一人。
- ただし、三輪やコルベットと同様に(コーディネイターよりも人外の敵勢力の方が地球にとって脅威である事を理解していた為か)、内心ではジブリールと相いれない側面もある(むしろ彼のやり方に完全に呆れ果てていた)。
関連用語
余談
- ブルーコスモスという組織を(あえて)分かりやすく言うならば、「『SEED』シリーズ版ティターンズ」である。後の『00』に登場した「アロウズ」も同様の役割を担っている組織といえる。
- 作中では地球連合内で幅を利かせている組織の様に描写されているが、実際は連合の公的機関や連合加盟国内での主流派ではないと思われる描写が多い。地球連合の首脳会議などでも「中立国オーブへの攻撃(オーブ開放作戦)」「プラントへの全面核攻撃(エルビス作戦)」に関して代表達はアズラエルの強行姿勢に難色を示している場面が多く、また、血のバレンタインもブルーコスモスの暴走の結果で、代表の一人が「あれは君たちが…」と言葉を濁している。地球連合の首脳部は決してコーディネイターの殲滅を積極的に望んでいる訳ではない。これは地球連合の経済基盤を支えるロゴスも同様で、アズラエルやジブリールがむしろロゴス内部では異端とされている。大西洋連邦大統領ジョゼフ・コープランドもロゴスに肩入れこそしているが、ブルーコスモス的な思想的背景を持っておらず、本編でブルーコスモスの関係者と明言された政府関係者は大西洋連邦事務次官ジョージ・アルスターぐらいであった。
- その反面で、地球連合軍最高司令部や各地の連合軍人にはブルーコスモスシンパが多数確認できるため、政府と軍部ではコーディネイター問題に認識に大きな隔たりがあったのは間違いない(恐らく戦場で脅威に晒された軍人ら現場と、経済的・技術的に恩恵を受ける事もあった政財界人ら裏方の差)。また、実質的にブルーコスモス盟主が軍部を事実上統括する事態になっていたため、連合の政府機関はこれらの暴走を掣肘できない状況に陥っていた模様で、まさに「ブルーコスモス盟主という個人が連合の決定権を乗っ取っている」という状況に陥ってしまっていた。
- 外伝ASTRAYシリーズのリード・ウェラーの「バカは一人いれば賢者百人分の働きをするモノさ」と達観した視点を持っており、「ニュートロンジャマーキャンセラー」を地球側に戦時中に与えればブルーコスモスが更に暴走する事を見越していた。「ラウ・ル・クルーゼを自身の独善と欲望から生み出してしまい、後の世に混乱を齎したアル・ダ・フラガ」、「ナチュラルへの憎悪に凝り固まった結果、ジェネシスの使用に踏み切ったパトリック・ザラ及び彼の思想に引きずられてブレイク・ザ・ワールドを引き起こしたサトーらザフト軍脱走兵」と同様に、「ナチュラルの原理主義に陥ったブルーコスモス」もこの言葉に当てはまると言えるだろう。