ダカール演説(Dakar Speech)
『機動戦士Ζガンダム』第37話「ダカールの日」にてエゥーゴ及びカラバが連邦議会のあるダカールを占拠し、エゥーゴの中心人物であるクワトロ・バジーナがシャア・アズナブルとして、ティターンズの非道を訴えた演説。
TV放送によって全世界に放映されたこともあって、議員だけでなく地球の一般市民、さらにはティターンズ内部にまでもティターンズに対する不信感が生まれ、結果的にティターンズは民衆の支持を失って凋落の道を辿ることになった。
地球上の世論はエゥーゴ側に傾き、グリプス戦役は一つのターニングポイントを迎えたが、この演説の報復としてティターンズの総司令官のバスク・オムは、グリプス2をコロニーレーザーに改造し、サイド2の18バンチコロニーに向けて発射し住民を皆殺しにするに飽き足らず、サイド2・21バンチコロニーにG3ガスを注入して全住民をさらに虐殺するなど極悪非道な本性を現したティターンズの凶行に拍車がかかり、戦況は混迷を極める事となる。
劇場版では「ダカールの日」のエピソードが削られているが、劇場版を基にした漫画『機動戦士Ζガンダム デイアフタートゥモロー ―カイ・シデンのレポートより―』(著:ことぶきつかさ)ではハヤト・コバヤシが演説を行っている。
内容
閉会するな! この席を借りたい!
議会の方と、このテレビを見ている連邦国々民の方には、突然の無礼を許して頂きたい。私はエゥーゴのクワトロ・バジーナ大尉であります。
話の前に、もう一つ知っておいてもらいたいことがあります。私はかつてシャア・アズナブルという名で呼ばれたこともある男だ。私はこの場を借りて、ジオンの遺志を継ぐものとして語りたい。もちろん、ジオン公国のシャアとしてではなく、ジオン・ダイクンの子としてである。ジオン・ダイクンの遺志は、ザビ家のような欲望に根差したものではない。ジオン・ダイクンがジオン公国を作ったのでは無い。現在ティターンズが地球連邦軍を我が物にしている事実は、ザビ家のやり方より悪質であると気付く。
人が宇宙(そら)に出たのは、地球が人間の重みで沈むのを避ける為だった。そして、宇宙(そら)に出た人類は、その生活圏を拡大したことによって、人類そのものの力を身に付けたと誤解をして、ザビ家のような勢力をのさばらせてしまった歴史を持つ。それは不幸だ。もうその歴史を繰り返してはならない。
宇宙(そら)に出ることによって、人間はその能力を広げることが出来ると、何故信じられないのか? 我々は地球を人の手で汚すなと言っている。ティターンズは地球に魂を引かれた人々の集まりで、地球を食いつぶそうとしているのだ。
人は長い間、この地球と言う揺り籠の中で戯れてきた。しかし! 時はすでに人類を地球から、巣立たせる時が来たのだ。その期に至って何故人類同士が戦い、地球を汚染しなければならないのだ。地球を自然の揺り籠の中に戻し、人間は宇宙(そら)で自立しなければ、地球は水の惑星では無くなるのだ。このダカールさえ砂漠に飲み込まれようとしている。それほどに地球は疲れきっている。
今、誰もがこの美しい地球を残したいと考えている。ならば自分の欲求を果たす為だけに、地球に寄生虫のようにへばりついていて、良い訳がない。
現にティターンズはこのような時に戦闘を仕掛けてくる。見るが良い、この暴虐な行為を。彼らはかつての地球連邦軍から膨れ上がり、逆らうものは全てを悪と称しているが、それこそ悪であり、人類を衰退させていると言い切れる。
テレビを御覧の方々はお分かりになる筈だ。これがティターンズのやり方なのです。我々が議会を武力で制圧したのも悪いのです。しかし、ティターンズはこの議会に自分達の味方となる議員がいるにも関わらず破壊しようとしている。
- 出典
- 『機動戦士Ζガンダム』テレビ版
登場作品
- 第4次スーパーロボット大戦(S)
- 選択肢次第で、演説するのがブレックスかクワトロの二択となる。
- スーパーロボット大戦α
- 原作と同様の内容。ステージが始まる前に「シャアとして演説する」か「クワトロとして演説する」の選択肢が出てくる。ここでの選択肢で熟練度が関わってくる。
- スーパーロボット大戦UX
- ダカール演説そのものは登場しない(そもそもZガンダムが参戦していない)が、この演説をオマージュしたシーンとしてアスランが連邦議会で演説する。