フォンセ・カガチ

フォンセ・カガチ(Fonse Kagatie)

ザンスカール帝国の実権を握っている組織「ガチ党」の党首。禿頭白髭、左目に片眼鏡を着け、杖を携えて悠然と構える。

元々はヘリウム船団のベテラン職員という経歴の「木星帰りの男」。果てしなく争い続ける地球人類に絶望し、マリア・ピァ・アーモニアの特異能力と豊富な資材を利用し、アジ演説により旧体制を批判してガチ党を設立。そして、恐怖政治で「ギロチン」による処刑を見世物としてザンスカール帝国を支配した。

彼の個人的野心・目的についてアニメでは判然としないが、その究極目標はエンジェル・ハイロゥによる「争うことのない人類の創出」であるとされる。とするならマリアとの関係も単なる黒幕と傀儡ではなく、両者には汎人類に対して真に共鳴する部分があったのかもしれない。

しかし、圧政を伴う彼の思想と行動はリガ・ミリティアなどの民間勢力や一部高級軍人に非難されるなど、必然的に敵対者を呼び起こすものだった。結果的に彼率いるザンスカール帝国は敗れて、自身もまたエンジェル・ハイロゥ戦における最終局面で死亡している。

宇宙世紀シリーズにおける主人公が対峙し続けた戦乱の黒幕とはいえ、ギレン・ザビのようなカリスマを示せず、かといってギルバート・デュランダルのように劇中で分かり易い策士でもなかったがゆえ、特に外見の活力に欠けて押しの弱い印象は否めない。だからこそ、若いマリアを女王に仕立て上げたのだろうが、このバランスを保てなかったことが自らの破滅を呼び込んだのかもしれない。

登場作品と役柄

αシリーズ

スーパーロボット大戦α
ジュピトリアンに所属。地球に落下したエンジェル・ハイロゥからアドラステアで脱出して逃げ延びようとしたが、味方だと思っていたトレーズに艦を撃墜されて死亡。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦D
ほぼ原作通り。最後はその理念をウッソだけでなく、カミーユジュドーらにも否定される。
ヒイロがとどめを刺そうとしたが、デュオ「お前が手をかける必要もない」と止められた。

単独作品

新スーパーロボット大戦
初登場時、すでにクーデターで実権をシャア一派に奪われており、なんと偵察に来たシュラク隊に保護された。そして、自部隊にザンスカールの現状を教えてくれるのだが……その後、音沙汰ない。
気付いたら落ちぶれていたので、原作を知らない人は彼が悪役には見えなかったかもしれない。

人間関係

マリア・ピァ・アーモニア
異能とカリスマに目を付け接触、ザンスカール帝国女王に据える。彼の理想を具現化するための最重要人物。
ムッターマ・ズガン
木星時代からの盟友にして腹心。SRW未登場。
タシロ・ヴァゴ
野心家であり、自らがザンスカール帝国を支配しようとしていたが、その器ではなく、最期は自身が追い詰められて破滅した。
ウッソ・エヴィン
エンジェル・ハイロゥにて人類の是非を問う戦いを演じた。
シャクティ・カリン
マリアの娘として、マリア死後のエンジェル・ハイロゥ起動に利用する。
しかし、その発動はカガチの想像を逸脱しており……。

他作品との人間関係

ヒイロ・ユイ
α』では彼からも全否定される。
トレーズ・クシュリナーダ
『α』では最終的に彼に引導を渡された。
シャア・アズナブル
』では彼にザンスカール帝国の実権を奪われる。
クラックス・ドゥガチ
恩人。ドゥガチから彼と内縁の妻の間に生まれた子供を預かっていた。

名台詞

「増え過ぎた人類こそ真理を踏み越えたのだ。そういう人類は消えた方が良い」
第49話にて、エンジェル・ハイロゥ内部でウッソ・エヴィンに言った台詞。なお、ギレン・ザビもまた、カガチと似たような内容の発言をしていた。
「うおおっ な、何だ、この振動は?マリア、教えろ。この作戦はあの少年が言った通り、元々敗れるものだったのか」
「顔を上げんかマリア、お前を占い師からここまで育てた恩を忘れて、こう仕向けたのか」
「笑ったな、マリア」
第51話にて。マリアの幻影を前にした問答。
「超能力者たちの力はシャクティさまの力と共鳴してエンジェル・ハイロゥから地球に向けて放射される これを受けた人間は争いを忘れ 戦争を忘れ 神の子となるのだ!」
漫画版ではこちら。この直後、ウッソから「あんた、少しヘンなんじゃないのか」と言われ、ずっこけている。
「エンジェル・ハイロゥによる戦争の根絶」という理念についても「自分たちが支配しやすいようにしただけじゃないか!」と真っ向から否定された。

資料リンク

  1. 小説版では「宰相」と軍内で呼ばれている。