熱血ロボ ゲキ・ガンガー3

2015年9月21日 (月) 20:30時点におけるDoradokawakami (トーク | 投稿記録)による版 (→‎携帯機シリーズ)

熱血ロボ ゲキ・ガンガー3(Fiery Spirit Robot Gekigangar 3)

機動戦艦ナデシコ』作中において放送された架空のロボットアニメ。所謂劇中劇。正式には、初期タイトルは『ゲキ・ガンガー3』で、27話以降の放映時間変更時に『熱血ロボ』をタイトルに冠するようになった(と言う設定)。

内容は『ゲッターロボ』を主体として、70年代のロボットアニメや特撮などの要素が多く取り入れられている。人気を博し、後にスピンオフ作品としてOVA『ゲキ・ガンガー3 熱血大決戦!!』が製作された。また、テーマ曲「レッツゴー ゲキ・ガンガー3」はヒーローアニメ・往年のスーパーロボットアニメのOP曲を彷彿とさせる出来で、これまた人気が高い。本編では未採用であった「飛翔け!ゲキ・ガンガー3」等の楽曲も含め、ナデシコのアルバムCDに本編の楽曲と同格の扱いで収録されている。

スタッフは『ナデシコ』本編とは別チームが担当しており、また声優は本編と共通している。

設定

(『ナデシコ』世界における)21世紀末のアニメ業界では、もはや全てのパターンが出尽くし、究極的なマンネリ状態に陥っていた。そこで原点回帰として、1970年代の熱血アニメをモチーフとして制作されたのが本作である。当時ほとんどロストテクノロジーとなっていたセル画技術などを駆使しているなど、かなり力を入れて作られた作品である。しかし人気は振るわず、放送時間変更の上、39話で打ち切りになった。その後、再放送によって人気が出た(以上の設定はフィルムブックやムック等に記載されている設定。本編では出てこない)。

ゲキ・ガンガーが制作されたのが2096年、『ナデシコ』本編は2200年以降の話。にも関わらず、主人公テンカワ・アキトダイゴウジ・ガイがのめり込んでファンになっており、特に全話を艦内に持ち込んでいたガイの影響で、作中でも序盤から頻繁に登場する。

木連においては、地球および火星からの放逐時に民間人が持ち出したゲキ・ガンガー3以外に娯楽作品がなかったため、困窮した生活を送る人々の間に浸透し、時を経て聖典とまで呼ばれるほどの影響力を持つようになった。木連人の思想形成にまで影響を及ぼしており、特にアニメ内の「勧善懲悪」主義が木連のタカ派軍人達に与えた影響は大きかった。木連軍人の代表・草壁春樹の政治思想や地球に対する偏見は基本的にこのアニメによって形成されたもので、そのような点から言えば、このアニメは地球-木連間の戦争の遠因になっているとも言える。

上記のようなバックボーンのおかげで、ゲキ・ガンガー一辺倒に凝り固まった木連軍人の価値基準は容易には揺らがなかった。しかし、物語の最終局面におけるアキトからユリカへの告白において、彼が語ったゲキ・ガンガーへの想いとその先へ踏み出すべきとする発言が若手将校の心を動かす切っ掛けとなり、その後の「熱血クーデター」に繋がることになる。

クーデターの奏功後は、ゲキ・ガンガーを政治的な扇動に用いてきた草壁が失脚し、また木連に地球の文化が流入することになる。その結果、続編『劇場版 機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-』の頃までには木連内部におけるゲキ・ガンガー熱はかなり薄まったようである。

なお「ゲキ・ガンガーの世界には『機動戦艦ナデシコ』のアニメが放映されている」という設定になっている模様。ナデシコ本編の第14話『「熱血アニメ」でいこう!』は正月放映にあわせた総集編(通常の放映枠が特番で使えず早朝放映となったため、見逃しても問題がないようにという配慮)になっているのだが、この回は通常のOP(とCM)が終わった後のAパート冒頭で、今度は「ゲキ・ガンガーのOP」が始まり、本編も「ゲキ・ガンガーの登場人物であるジュンペイが、『機動戦艦ナデシコ』を見ようとしたら総集編であることを嘆く」という設定で物語が始まるという、非常に手の込んだつくりになっている。ゲキ・ガンガーのOPはすべて70年代をイメージした画風・フォントになっている。

『ナデシコ』の作風は「一見明るいオタク的なロボットアニメだが、本質は暗くシビア」と言うものであり、「勧善懲悪」と言う分かりやすいテーマを掲げているスーパーロボット作品であるゲキ・ガンガーは、実は必ずしも肯定的には描かれていない。「過去に死亡した仲間が復活する」「正義が悪を倒す事で、ハッピーエンドで完結する」と言う内容の最終回はその象徴的な話であり、「ガイや白鳥が死亡し、決して戻ってこない」「木星蜥蜴は絶対悪ではなく、最終的には和平を結ぶ」と言うナデシコの話と真っ向から対立する。ただ、全否定もされておらず「あまりに非現実的だが、それに憧れる気持ちは間違っていない」と言う形で肯定されている。

こうしたゲキ・ガンガーの複雑な立ち位置は、最終回を見たアキトの「そりゃあ、ひどい話だった」「ひどい話だったけどゾクゾクした。ゲキ・ガンガーを好きだった俺の気持ち、熱血を信じた俺の気持ちを信じたい」と言う台詞に象徴されている。

ゲキ・ガンガーの各形態・パイロット

各形態

ゲキ・ガンガー
ゲッター1に相当する空中戦・汎用形態。
ウミガンガー
海戦・スピード形態。モチーフはゲッター2
リクガンガー
陸戦・肉弾戦形態。モチーフはゲッター3(通常形態はゲッターポセイドン)。

各パイロット

括弧内は担当声優並びにその人が演じるナデシコの登場人物。

天空ケン(真殿光昭 / ムネタケ・サダアキ
ゲキ・ガンガー3のメインパイロットで熱血リーダー担当。流竜馬がモデル。
海燕ジョー(小野健一 / プロスペクター
ウミガンガーのメインパイロットで二枚目・クール担当。神隼人がモデル。
大地アキラ(飛田展男 / ウリバタケ・セイヤ
リクガンガーのメインパイロットで力持ち担当。巴武蔵がモデル。
竜崎テツヤ(松本保典 / 秋山源八郎
ジョーが死亡した後の交代要員。モデルはいないが、キャラクター的には剣鉄也に近い。

ゲキ・ガンガーの武装

ガイ機の技名(およびアキト機の技の一部)にはゲキ・ガンガーの武装名が用いられている。基本的に全て、ゲキ・ガンガーのメイン形態であるゲキ・ガンガー3で使用する技である。なお、元一朗ら木連軍人もジンシリーズの武装を使用する際に下記の技名を叫ぶことがある。

ゲキガンフレア
アキト機およびガイ機のエステバリスにおけるディストーションアタックの名称。ゲキ・ガンガー3の必殺技で、敵の前線指揮官であるアカラの乗機・ビッグアカラスペシャルにゲキガンソードを破られ、追い詰められたゲキ・ガンガーが発動させた。「3人が同時にボタンを押さなければエネルギーが暴走して機体が爆発」という、本機の原型となったロボットの必殺技のオマージュ設定が用いられている。ちなみに被害はゲッターロボ以上。
ゲキガンパンチ
ガイ機エステバリスのワイヤード・フィスト。本来はロケットパンチそのもので、無論ワイヤーなど存在しない。
ゲキガンソード
ガイ機のイミディエットナイフ。本来はゲキガニウム合金製の長剣で、ナイフのような小ぶりな剣ではない。
ゲキガンビーム
ガイ機のラピッドライフル。光子力ビームそのままの技で、目から発射する。ライフルの方は実弾だが、本来は名称通り「ビーム」。一部ではゲキガンライフル表記。台詞としても「ゲキガンライフル」と呼ばれる場合もある。
ゲキガンシュート
詳細不明。原作ではアキトがフィールドランサー使用時に叫んでいた。ゲームでは元一朗ら木連軍人が重力波砲(グラビティブラスト)発射の際に叫ぶ。原典ではどのような武装なのだろうか?

スパロボにおける扱い

基本的に木連の思想形成のバックボーンであるという設定がそのまま流用されている。各種スーパーロボット作品由来のネタについては完全にスルーされている。『ナデシコ』初参戦が報じられた頃は「隠し要素としてゲキ・ガンガーのキャラやユニットも登場するのでは?」とファンの間で噂されたこともあったが、流石にそのようなことはなく、『ゲキ・ガンガー3』は現在に至るまで一貫して“劇中劇”として取り扱われている。ただし、BGMはWで戦闘BGMとして採用されている。

また、ゲキ・ガンガーのようなスーパーロボットが多く登場している事、フラグによってはガイや白鳥が(まさにゲキ・ガンガーの作中のように)死なずに済む事、そもそもスパロボでナデシコのハードな部分があまり描かれない事、などから、原作にあった「全肯定も全否定もされない複雑な立ち位置」はあまり再現されない。Wの決戦に象徴されるように、むしろ全面的に肯定される事が多い。

COMPACTシリーズ

スーパーロボット大戦IMPACT
ほぼ原作通りのポジション。本作ではゲッターなどより本作の方が先発で、アニメで放送されていたものに現実の技術が追いついた、という設定。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦A
原作でのゲキ・ガンガーのマラソン鑑賞会が再現された。冷やかな反応も多かったが、リリーナ・ドーリアンは交渉相手方の聖典とも呼ばれるものならば、と鑑賞会に率先参加。しかも妙なところに気付く。
スーパーロボット大戦R
無敵鋼人ダイターン3』のギャリソン時田が子供の時に再放送を見ていたという年齢設定を活かしたクロスオーバーがあった。再放送なのだから、55歳のギャリソンが幼少期に見てても不思議ではない。
スーパーロボット大戦J
アキトに勧められて見たアーサー・カミングスJr.がはまるイベントがある。また、後半のナデシコルートで観賞会を行った際は「単純明快で面白かった」「今の時代にない物を感じた」とかなりの大好評となり、特にカティア・グリニャールドモン・カッシュが内容に感動するのが印象的。また、同ルートでは兜甲児(と明言していないが恐らくボスも)が昔ゲキガンガーにはまってたことが判明する(ちなみに同年代の紫雲統夜は見ていなかったとのこと)。
スーパーロボット大戦W
ゲキ・ガンガーを木星圏に持ち込んだのは『機動戦士ガンダムSEED』のキャプテンG.G.であるという衝撃のクロスオーバーがなされている。なお、彼が木連の人間に渡したのがゲキ・ガンガーだった理由については、後に驚愕の真実が語られることになる。しかも熱血クーデターとキョアック星人そのもの(下手をすると更に上を行く邪悪)であるガルラ大帝国の侵攻がモロに重なったものだから地球と木連が一気に和解するきっかけとなってしまった。
本作でのゲキ・ガンガー原作と同等以上にシナリオに絡むキーワードになっており、ゲキ・ガンガーに関する要素は一番充実している。ナデシコ関係のユニットのBGMは「レッツゴー ゲキ・ガンガー3」が採用されるなど充実している。その代わり、ナデシコ系BGMとして定番の「You Get to Burning」が今回は採用されず、ゲキ・ガンガー関連の充実した作り込みの割を食う格好となった。他にも終盤で使用可能になるアキトとのダブルゲキガンフレアのカットインで一瞬映るガイの格好(本編第17話でムネタケの妄想に現れた時の衣装)は、『ゲキ・ガンガー3』の主人公である天空ケンのパイロットスーツを模したもの。
スーパーロボット大戦BX
映画『ソレスタルビーイング』と並んで、勧善懲悪のヒーロー作品として語られている。

単独作品

スーパーロボット大戦MX
劇場版ナデシコの設定で登場するため、ほぼ関わってこない。ゲッタードラゴンのシャインスパークに興味を抱いたサブロウタが、ゲキ・ガンガーの技に喩えて詳細を訊ねてくる程度。

その他

Another Century's Episode 2
ガイがゼントラーディ軍に捕らえられた際に、ゼントラーディはゲキ・ガンガー3から「物語」という文化を知ることになる。ちなみにケーンは子供の頃にゲキ・ガンガー3を見ていたらしい。

スパロボに登場したゲキガン用語

海燕ジョー
ウミガンガーのパイロット。ゲッターでいう神隼人に当たるキャラクター。作中で非業の死を遂げる(実は生きている)ため、熱狂的ファンが葬式を実施したという某美形兄弟の兄や某有名ボクシング漫画のライバルキャラクターのような設定が存在する。
ヒカルの台詞でチラッと登場するほか、Jではガイ生存フラグを満たすとジョーが復活した際の台詞「本物の地獄はこんなものじゃなかったぜ!」(ゲキ・ガンガー最終話でジョーが発したとされる台詞)を放って部隊に復帰、アキトがその点を指摘している。
国分寺ナナコ
本作のヒロイン。ゲッターチームで言うところの早乙女ミチルのポジション。木連の軍人にとっては崇拝の対象としての域に達しているキャラクターであるが、ハルカ・ミナトと知り合い彼女の素晴らしさを知った九十九元一朗に「ナナコさんは所詮二次元の女性だ!」と言い放つ(ナデシコ第24話)。A等でも再現されたこの一言は、元一朗が九十九に引き金を引く決定的な動機となった。『BX』ではスキルアイテムとしてブロマイドが登場。
アクアマリン
第33話「聖少女アクアマリンの微笑み」に登場したという設定のゲストキャラクター。異星人の美少女というグレンダイザー系ゲストキャラの設定と、姉に戦いを強要されるコマンダー・アイサーの設定を混ぜて作られていると思われる。本作でも悲劇のヒロインという扱いで、アキトは彼女の大ファン。彼女そっくりのアクア・クリムゾンにアキトが誘惑され大混乱に陥るという展開はJやWで再現された。一方でアキトはAにてコマンダー・アイサーと戦闘する機会があるが、特にこの件に触れることはなかった。
ゲキ・ガンガー3全話一挙上映
地球木連の和平の前祝いとしてナデシコ内で開催された「ゲキガン祭(ノリはほとんど同人即売会)」のメインイベントである原作上映会。A、R、Jで行われた。生真面目なリリーナも参加している。ちなみに原作で上映されていたのは「ゲキ・ガンガー3 特別編集版熱闘篇!」と題した九十九入魂のダイジェスト版である(Jでもこのダイジェスト版を上映している)。
欠番(幻の第○話)
木連では地球からの脱出の際に持ち出した全話のうち、原作第9話「キョアック星からの逃亡者」、第13話「聖夜の悲劇!サタン・クロックM!!」および前出のアクアマリンの登場話である第33話が欠けた状態となってしまっており、地球で現存していることを知った九十九は狂喜した。
なお、設定資料などで確認できるこの3話のシナリオは、全て狙ったように敵方であるキョアック星人と地球人の融和や戦いへの疑問を思わせる内容であるため、軍上層部による情報統制の匂いもするが、何分視聴者の憶測に過ぎないため真相は不明。
27話以降とアキト
前述したように、同作は第27話以降に放送時間帯が変更された(その際、本作のタイトルは『ゲキ・ガンガー3』から『熱血ロボ ゲキ・ガンガー3』に変更)という設定。アキトはガイに聞かされるまでそれを知らず、第27話以降はガイのコレクションで初めて視聴する事になった(前出のアクアマリンの登場話も放送時間帯変更後の第33話であるため、少なくとも『ナデシコ』第10話の時点で『ゲキ・ガンガー』第33話を視聴している事が分かる)。
ただ、その後も「最終回を見ちゃうと『自分の中のゲキ・ガンガー』も終わっちゃう気がする」という理由から、最終話(第39話)だけは未視聴のままであった。『ナデシコ』終盤、九十九との交流によって初めて最終回を見る決心をし、その視聴が最後のユリカに対する告白の台詞に繋がる。
なお、アキトが見ていたのは再放送版なので、放送時間帯の変更は無関係のはずである。おそらくは、「アキトが視聴した再放送版は何らかの都合で2クールで打ち切りになり、タイトル変更後の3クール目は放送されなかった」と言う所だろうか。現実においても地方局のアニメ再放送等の場合、編成の都合でこのような事態が発生する事はままある。
なお、初回放送時は不振ながら再放送で人気を博したという設定は、おそらく『機動戦士ガンダム』や『宇宙戦艦ヤマト』が人気を博した背景が元ネタだろう。スパロボでは、Rにてギャリソン時田が子供の頃にファンだったという設定に活かされている。

関連項目

ジンシリーズ
ゲキ・ガンガー3を模したテツジン、ウミ・ガンガーを模したマジンなど、基本的にゲキ・ガンガーをモデルにした造形になっている。また、九十九など一部のパイロットは、コクピットに愛用のゲキガングッズを置いている。
ゲッターロボ
ゲキ・ガンガー各形態をはじめとして最も分かり易い元ネタ。

商品情報

以下は本作のOVAを収録した商品