コズミック・イラ73年に起きた『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の舞台となった戦争。名称は第1次連合・プラント大戦と同じくHDリマスター発表後に付けられたものであり、作中本編では使用されていない。
概要と経緯
コズミック・イラ73年10月にプラント領の工業用コロニー「アーモリーワン」にて製造されていたカオス、アビス、ガイアの3機が強奪されたことを皮切りに、ザフト脱走兵によるユニウスセブンの残骸が地球に落とされる「ブレイク・ザ・ワールド」が発生。この事件が切っ掛けとなり、地球連合が容疑者引き渡しと政権運営の譲渡という無理難題を要求。これをプラント側が拒否したことによって再び地球連合とプラント間での戦争が勃発した。もっとも地球上の多くの国家はブレイク・ザ・ワールドで受けた被害からの復興作業、救難活動に忙しく[1]、事実上連合の中でも特にスポンサーであるロゴス、そしてブルーコスモスの影響の強かった大西洋連邦が主導で行った戦争であった[2]。
地球連合は開戦当初の戦闘でプラントを直接核攻撃することで戦争の早期終結を目論んだが、ザフト側は一発限りのニュートロンスタンピーダーで辛うじて阻止。これにより連合の核攻撃が牽制されたこともあり、戦争はロゴスの思惑を外れ長期化した。戦中ではオーブ国内の政情から同国も連合に加盟し、地球連合は引き締めを図ったものの、国力が疲弊したユーラシア連邦は既に大西洋連邦を抑える力がなく、赤道連合やスカンジナビア王国といった中立国家もオーブ同様に地球連合加盟を余儀なくされる。
結果、連合側は主導国である大西洋連邦の実質的な独裁化が進んだが、連合加盟国内で独立運動や内輪揉めが発生。ユーラシア連邦の西側地域は独立運動に発展し、ザフトに救援を求め、ザフト軍駐留を受け入れる都市が多数現れる。これに業を煮やしたロゴスは独断で私兵ファントムペインを用いてデストロイガンダムによるベルリンを含むユーラシア連邦西側地域への無差別焼き討ちを敢行。三都市が壊滅に追い込まれたことで、反連合の機運はピークに達し、ギルバート・デュランダルの演説による悪行の暴露や、かなりの誇張が入った世論操作も功をなし地球圏は反ロゴス暴動の様相を見せる。
その後、地球連合の三大国であったユーラシア連邦と東アジア共和国所属の幾つかの部隊が、反ロゴスを旗印に反ロゴス陣営(ザフト)に寝返った結果、ヘブンズベース、ダイダロス基地と拠点を次々に陥落されていき、地球連合軍の事実上の指導者であるロード・ジブリールも討たれる事となった。ジブリールが窮地に立たされた際に発射した反射衛星砲「レクイエム」はプラント本国に打撃を与えもしたが、これはザフトに奪取・修復されたことによってその戦力となってしまう。
その後、デュランダルが「デスティニープラン」を提唱。世界中が混乱に包まれる中、カガリが再び代表に戻ったオーブは明確に反対を表明し、「デスティニープラン」に反対するザフトの一部の人物達も離反する。ザフトがレクイエムによって連合軍の月面基地アルザッヘルを破壊した事を契機とし、連合残存部隊とオーブ軍は合流。プラント-ザフトと決戦を行う。最終的にザフトは敗退し、プラントおよびザフトの最高指導者であるデュランダルが死亡した事によって「デスティニープラン」は頓挫した。この戦争の終結後、オーブとプラントは和平し、キラ・ヤマトとラクス・クラインは共にプラントへと渡って再び表舞台へと戻ることとなった。
第2次大戦の決着により、少なくとも地球連合とプラント、ナチュラルとコーディネイターの大規模な戦争はひとまず収束したとされているが、ブルーコスモスも健在であり、新たな戦乱の火種となっている。
劇場版『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』(SRW未参戦)以前にその後の世界を描いていた『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY 天空の皇女』(SRW未参戦)では、地球連合軍は作中で「アメノミハシラ」へアガメムノン級宇宙母艦数隻を派遣するなど対外戦闘を行える程度には軍事力の回復を果たしており、少なくともロゴス崩壊の混乱を脱して連合は徐々に安定期に入りつつあることが窺える。その反面で地球連合軍の戦力回復の影響もあり、プラント政府関係者には連合を明確に敵視する政治家も確認できるなど、地球連合とプラントは一種の冷戦構造になっていると思われる。ただし、プラントとナチュラルの民間研究施設と共同研究が実施されるなど、戦前以前の様な露骨な対立関係は鳴りを潜めており、火種を抱えつつも以前より安定した国際情勢が維持されている。
関連人物
プラント
- ギルバート・デュランダル
- C.E.73年時のプラント議長。プラントが抱える事実上の国軍たるザフトも統率している。
- サトー
- ザフト脱走兵の一人でパトリック・ザラの狂信的な信奉者。ある意味で、この戦乱の切っ掛けを作った人物である。
- ミネルバ隊
- 戦乱を駆け巡った部隊。隊長はタリア・グラディス。
地球連合
- ロード・ジブリール
- 地球連合を支援する軍産複合体ロゴスメンバーの一人でブルーコスモスの盟主。
- 劇中では、事件の多くが彼の手によるものとして描写されている。
- ジョゼフ・コープランド
- 大西洋連邦大統領。
オーブ・クライン派
登場作品
SRWでの名称の初出は『UX』だが、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の舞台となった「コズミック・イラ73年に起きた戦争」はそれ以前の参戦作でも再現されている。
Zシリーズ
- スーパーロボット大戦Z
- 本作では「多元戦争」として組み込まれている。
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦K
- プレイヤー部隊の留守中に勃発し、ロゴス表明直後から最終決戦まで描かれる。
- スーパーロボット大戦L
- アーモリーワンの事件から描かれているが、レイを除くミネルバ隊がデュランダルの元を離反するオリジナル展開となる。
- スーパーロボット大戦UX
- 本作で初めて「第2次連合・プラント大戦」の名称が使用された。が、本作の発売は『DESTINY』HDリマスターの放映直前とかなり微妙なタイミングであり、制作過程で公式設定として反映したのか、勝手に名付けたのが偶然一致した(仮に「第1次」を参考にしたのであれば、一致するのは自然ではある)のかは定かではない[3]。
- 結末は原作同様だが、その過程が果たして原作と同じだったのかどうか想像の余地をプレイヤーに与えられている。
Scramble Commanderシリーズ
- スーパーロボット大戦Scramble Commander the 2nd
- 初めて描かれた作品。グリプス戦役や第一次星間大戦がほぼ同時に勃発する。
VXT三部作
- スーパーロボット大戦V
- 西暦世界では本編の1年前に起きており、同時期にガイゾックの襲来やアロウズの台頭が起きている。前大戦後に地球連邦として再編されているため、地球側は名目上別組織ということになっている。
単独作品
- スーパーロボット大戦DD
- ブレイク・ザ・ワールドによる被害は本作ではほぼ防がれたものの、「コーディネイターのテロリストが大量虐殺を目論んだ」という事実は揺るがない為、これを利用したロゴスの暗躍により3章Part8より開戦。
- プラントへの核攻撃失敗までは原作通りの流れだったが、ディスコード・ディフューザーの一員として復活したムルタ・アズラエルの暗躍と、ディバイン・ドゥアーズに与し、良くも悪くも本当に戦争を終結させる事が可能な第3勢力となったアークエンジェル隊の介入行動がもたらす影響は、各勢力を大いに悩ませる事になる。
関連用語
- 第1次連合・プラント大戦
- C.E.70年に起きた大戦。
- ブレイク・ザ・ワールド
- 大戦の切っ掛けとなった事件。
余談
- 本名称はHDリマスター発表後に付けられたものであり、前大戦同様に作中本編では使用されていないため、知名度は低い。ファンの間では「ユニウス戦役」という仮名称も使用されていたが、「ユニウス戦役(仮)」に近い扱いであったため、前大戦の「ヤキン・ドゥーエ戦役」と違い、こちらの知名度も低め。
- 前大戦と違い具体的な日付が明らかになっていない。アーモリーワン事変とブレイク・ザ・ワールドはそれぞれC.E.73年10月2日、3日とされるがどちらも開戦前のできごとである。開戦直後の核攻撃がフォックストロット・ノベンバーという作戦名なので11月だとわかるくらいと、ベルリン戦では雪が降っているのでまだ春になっていないと推測できる程度である。最終決戦はC.E.74年とされるがいつ頃に74年になったのかも不明である。続編となる劇場作品『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』公開後の資料でも、開戦に伴うザフトの地上降下までが73年、ジブリールによるレクイエム発射が74年で、その間の出来事をまとめて73~74年としている。
脚注
- ↑ 国際緊急事態管理機構から地球全体に非常事態が宣言され、連合軍及び各国の全軍に災害出動命令が出されていた。またプラントもデュランダル議長がザフト軍による大規模な復興支援を地球連合国家に行うよう迅速な対応を見せていた。
- ↑ 大西洋連邦大統領のジョゼフ・コープランドは戦争には積極的では無かったが、ロゴスの後ろ盾あって当選したため仕方なく指示に従った様子。
- ↑ 『UX』発売前に「第1次連合・プラント大戦」の名称が使用されていることは確認できたが、「第2次連合・プラント大戦」については未確認。情報求む。
- ↑ MG 1/100 ストライクフリーダムガンダム - バンダイプラモデルWEB取説 | バンダイ ホビーサイト。