劇中劇とは、演出手段の一つとして用いられる、「作品の中で描かれた」創作作品。
概要
「フィクションの中のフィクション」、「作中作」とも呼ばれる。代表的な書法として「漫画家の主人公が書いた漫画」「作品世界内で放送されているテレビ番組」などがある。
フィクションの中の作品であるために基本的には劇中劇もフィクションであるが、現実に存在する作品が劇中劇になる場合も存在する(『ケロロ軍曹』の劇中劇である『ガンダムシリーズ』など)。また原作の漫画や小説では現実に存在する作品であったがアニメ化にあたり版権問題などで架空の作品に置き換えられる場合がある。
現実世界における視聴者がアニメの登場キャラクターに影響を受ける事がある様に、劇中のキャラクターもまた劇中劇に影響を受ける事もある。特に『機動戦艦ナデシコ』のダイゴウジ・ガイが『熱血ロボ ゲキ・ガンガー3』に、『蒼穹のファフナー』の小楯衛が『機動侍ゴウバイン』に強く影響を受けてロボットに乗っている。
スパロボに登場する劇中劇作品
- キングスカッシャー(NG騎士ラムネ&40)
- 馬場ラムネが大安売りで購入し、クリアしたゲーム。
- 超電導カンタム・ロボ(クレヨンしんちゃん)
- アクション仮面と並ぶ、野原しんのすけの好きなロボットアニメ。玩具も多数販売されている。
- 絶対無敵ライジンオー 陽昇城からくり夢日記(絶対無敵ライジンオー)
- OVAの第二巻のタイトルであるが、小説版の中巻ではOVAの内容が「地球防衛組が6年生の時に学芸会で演じた劇」として舞台用台本の形式で収録されいる。
- リン・ミンメイ物語(マクロス7)
- 「伝説の歌姫」リン・ミンメイを描いた伝記ドラマ。
- 熱血ロボ ゲキ・ガンガー3(機動戦艦ナデシコ)
- 1970年代のアニメ作品の熱血要素を取り入れ、2096年に制作されたロボットアニメ。
- また『ナデシコ』第14話(総集編回)にて、『ゲキ・ガンガー』の登場人物が『ナデシコ』を見ようとしたら総集編である事を嘆くという演出があり、『ナデシコ』は『ゲキ・ガンガー』の劇中劇でもあるというウロボロスめいた構造になっている。
- メトロポリス(THE ビッグオー)
- ゴードン・ローズウォーターが記した小説作品。劇中時点で未完。
- バーニングPT(バンプレストオリジナル)
- 新西暦186年に流行している対戦ロボットアクションゲーム。
- 機動侍ゴウバイン(蒼穹のファフナー)
- 小楯衛の愛読書である漫画作品。作者は大粒あんこ。
- ガンダムシリーズ(ケロロ軍曹)
- 現代が舞台であり、劇中にガンダムシリーズや同シリーズを下敷きとしたプラモデル「ガンプラ」が存在している。
- 超機合神バーンブレイド3(バンプレストオリジナル)
- 新西暦185年から186年にかけて日本で放映されたロボットアニメ。
- BIRD HUMAN -鳥の人-(マクロスF)
- 「マヤン島事変」から50年経った事で機密解除を受けて発表された手記を元に作られた映画作品。
- 劇中ではVF-25で撮影した映像をCG合成でVF-0に描き換えるシーンも存在する。
- ソレスタルビーイング(劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-)
- 西暦2314年に公開されたソレスタルビーイングのガンダムマイスターの活躍を描いた映画作品。
- 無尽合体キサラギ(THE IDOLM@STER)
- 2011年冬公開予定の映画作品。正式なタイトルは『劇場版 無尽合体キサラギ ~宇宙の果てまでイッテきM@S~』。
- 鋼鉄公演きらりんロボ -襲来!コスメティア帝国-(アイドルマスター シンデレラガールズ)
- 端々の台詞から、また「公演」と冠されている通り演劇の類であると思われるが、そのあたりはハッキリと描写されない。
- スーパーロボット大戦CG 奏鳴の銀河へ(アイドルマスター シンデレラガールズ)
- 『シンデレラガールズ』で開催された『OGシリーズ』とのコラボレーションイベント。
- 『X-Ω』に登場するウヅキ・シマムラのユニットシナリオでは、「奏鳴の銀河へ」の後日談が描かれている。
- アクエリアの舞う空(アクエリオンEVOL)
- 本編から1万2千年前にあった人類と堕天翅族との戦いを元にして制作された映画作品。
- アイドル宇宙戦記オオゾラッコーン(アイカツ!)
- 劇中ドラマ。『アイカツ!』は本作以外にも多くの劇中のドラマが存在している。
- 機動バトラー ガンヴァレル(ROBOTICS;NOTES)
- 劇中時間の2012年から2015年までに3シリーズが放送された王道ロボットアニメ。
- 世界的な大ヒットを治めたものの、何故大流行したのか疑問視する声もあるなど不穏な噂も絶えない。
- 作中で海翔がプレイしている格闘ゲーム『ガンヴァレル キルバラッドON-LINE』はこのガンヴァレルを題材とした同人作品。
- ガンダムシリーズ(ガンダムビルドファイターズ〈ガンダムビルドシリーズ〉)
- 「ガンダムビルドシリーズ」はガンプラを扱う作品であるため、ガンダムシリーズは必然的に劇中劇となる。
- ウルトラシリーズ(SSSS.GRIDMAN)
- 1966年放送の『ウルトラQ』から始まる、円谷プロダクション制作の実在する特撮ドラマシリーズ。『SSSS.GRIDMAN』作中ではこれが放送されており、内海将、新条アカネが同シリーズのファンという設定。
劇中劇に関連する作品
- マクロスシリーズ
- 本シリーズは、マクロス世界の後世の人間が実際にあった出来事を元にして作った歴史ドラマという設定なので、作品そのものが劇中劇であるとも言える。
- それを示すかのように『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』ではキャラクターによる制作発表会が開かれ、更に『マクロス7』で「戦勝20周年記念映画」と設定され、熱気バサラ達も観たとされた。
- したがって、マクロスシリーズ劇中において展開される劇中劇は「劇中劇の劇中劇」という二重構造であるとも言えよう。
- マシンロボ クロノスの大逆襲
- OVA『レイナの休日』では、本作はクロノス星で作られたドラマだとされている(正史扱いかは不明)。逆に言えばクロノス星やクロノス星生まれのマシンロボ自体は実在する設定となる。余談だが『マシンロボ ぶっちぎりバトルハッカーズ』では「伝説の勇者ロム・ストール」は地球の軍事産業(『バトルハッカーズ』に登場するマシンロボは地球製)による捏造だとされた(ただし『クロノスの大逆襲』と『バトルハッカーズ』は別世界扱いだと思われる)。
- 勇者特急マイトガイン
- 劇中で(パイロットをぼかしつつ)『勇者特急マイトガイン』自体がアニメ放映されており、吉永サリーがセル画に彩色するアルバイトをする場面も存在する。本編がメタ要素に溢れた作品故の劇中劇と言える。
- サクラ大戦
- 本作は、1912年に鈴野十浪という作家が自費出版した小説『サクラ』を広井王子氏が実家の蔵から見つけてそれに脚色を加えてゲームにした、という設定がある[1]。プロジェクト発表当時のゲーム雑誌には、この設定があたかも事実であるかのように掲載された[2]。また、米田一基が書き残した『米田日記』の記録を基に現代の視点から太正時代を振り返った物語、という設定もある。どちらもメタフィクション的要素な為にゲーム中では触れられた事はないが、前者は小説『サクラ大戦 前夜』第1巻の序章、後者は同じく『前夜』第2巻の第五話冒頭でその存在が語られている。
- SDガンダム三国伝 BraveBattleWarriors
- 元ネタとなった現実の『三国志』には史実とされる「正史」と、正史を基にした小説「演義」があるが、本作は正史の三国伝をモチーフにした(言うなれば)『三国伝演義』という設定である(上記マクロスシリーズの設定に近い)。各キャラクターのモチーフMSが「演者」と称されるのもそのためである。
旧シリーズの公式サイトに『風雲豪傑編』のあらすじが年表の形で記載されているが、年表内には「真偽は不明」、「後世(or三国伝内)の創作とされる」、等の記述が頻出している(参考[1])。主人公の劉備に至っては「正史における劉備の出自は不明」が公式設定である。
なお、このような複雑な設定になったのは、プラモデルの発売スケジュールが理由である。まだ「三国志モチーフのシリーズをやる」ことしか決まっていなかった段階で、バンダイが提示したプラモデルのラインナップにおいて司馬懿サザビーが4番目(桃園三兄弟の次。実際にその通りの順番で発売された)にリストアップされていた。商品展開上、ストーリーの初期から司馬懿を登場させなければならず、「史実を基にしたフィクション」という三国伝の設定が出来上がった。(参考:三国伝まるはだかトリビア[2]第7回~9回に詳しい) - アイドルマスター シンデレラガールズ
- 「OGシリーズ」とのコラボイベント「スーパーロボット大戦CG 奏鳴の銀河へ」のエンディングにおいて、三好紗南が「ずーっと遊んできたスパロボシリーズに出られるなんて、もう最高♪」と発言しており、外部作品とはいえスパロボが劇中劇として扱われた初めての事例となっている。
脚注
- ↑ 氏が企画・原案を担当したPCエンジンのRPG『天外魔境』にも「スミソニアン博物館東洋研究第3主事の東洋研究家であるP.H.チャダ(ポール・ヒエロニムス・チャダ)著『FAR EAST OF EDEN』が原作」という設定が存在する。P.H.チャダの名前は『天外魔境』のシナリオを手掛けたあだちひろし氏が好きな小説家の名前と自分の名前のアナグラムを組み合わせたものと言われており(P.H.は広井王子氏(Prince Hiroi)が由来だとする説は誤りとされる)、同じように鈴野十浪もジュール・ヴェルヌ(十・鈴)のもじりではないかと考えられている。
- ↑ ソフトバンク出版事業部『セガサターンマガジン』1995年11月号 P87より。