エーテル

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エーテルは、光、熱、電波を伝える媒体として宇宙に充満していると仮想的に考えられた物質。のちに、実験的、理論的にその存在が否定された。語源はギリシャ語の「アイテール」。

解説

古代ギリシャの哲学者アリストテレスは世界は火・空気・水・土の4種の元素から構成される四元素説を唱えた。真空の存在を認めない立場を取ったアリストテレスは天上を巡る天体には別の元素が必要だと気付き、天体の世界を構成する第五の元素にアイテールを割り当てた。

アリストテレスが提唱した天界はエーテルが充満しているという考えは後世まで広く認知されることになった。

18世紀の近代物理学では光や熱などを伝える媒体として仮想的に考えられた媒質の名称にエーテルが用いられた。19世紀後半にはエーテルの検出実験が数多く行われたが、検出されることはなく、エーテルの概念そのものを否定する意見を生み出した。そしてアインシュタインの特殊相対性理論はエーテルの実在性を根本から完全否定するに至った。

エーテル仮説はエーテルによる「絶対静止座標系」が存在するという仮定を採用する事を意味するが、特殊相対性理論の光速度不変の原理によれば、どの慣性座標系でも同一であるのだから、絶対静止座標系のような「特別な」座標系は存在しないことになる。

以上の物理学の世界のエーテルとは無関係の言葉として、神智学(オカルト)の世界では物理的な肉体とは別に生命を司る部分をエーテル体(霊的身体)と呼んだ。これに対して精神を司る部分をアストラル体(精神的身体)と呼ぶ。エーテル体には「チャクラ」と呼ばれる「プラーナ」の出入口があるとされる。

フィクションではしばしば魔法と関連付けられ、魔法の力を回復する薬品や、魔法の力の源、この世界とは別にエーテルが満ちる異世界が存在するとされる作品などが見られる。

スーパーロボット大戦シリーズ』における「サイバスター」の公式サイトによるインスト説明には「エーテル(質量を持たず、絶対座標に対して静止しているエネルギー)を魔術的媒体として推進に利用している。」との記述があり、シリーズとの関係が深い。語源こそ違うが、『Zシリーズ』における「次元力」「原理の力」「オリジン・ロー」本来の意訳はこのエーテルと思われる。

エーテルを利用した兵器

トップをねらえ!
ガンバスターの必殺技の「スーパーイナズマキック」は、宇宙がエーテルで満たされていることにより衝撃が周囲に伝わり、複数の敵をまとめて倒せる。また、ヱルトリウム級の推進機関は外気のエーテルを吸収し、頭脳のイルカのエスパーに送り込む。頭脳はエーテルを絶え間なく演算処理することで推進する。
サイバスター
推進機関は「エーテルスラスター」と呼ばれており、ヱルトリウムと同じ原理で無限に存在するエーテルを「ラプラスコンピューター(デモンタイプ)」が絶え間なく演算処理することで推進する。「エーテル通信機」と呼ばれるものもあり、此方はラ・ギアスに充満するエーテルの波を掴み、相手に意思疎通を可能としている。
ナイツ&マジック
大気中に存在する物質で魔力(マナ)の源。生物はエーテルをマナに、そしてマナを魔法に変える。幻晶騎士は空気中からエーテルを取り込んで燃料としており、飛空船はエーテルそのものの振る舞いを利用して空に浮かんでいる。このほか原作小説によると、魔法は空気中のエーテルに干渉して減衰して霧散すること、高濃度エーテルの中では人間は生きていけないこと、上空ほどエーテルが濃い(ので宇宙はエーテルで充満していることになる)ことが語られている。

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇』で用語が初登場。霊子(エーテル)と呼ばれている。Zシリーズにはサイバスターとの関連が指摘されている「シュロウガ」が登場。

その正体は、宇宙のすべて……人間は言うに及ばず、動植物や物質、エネルギー、果ては原子に至るまで、宇宙すべてに宿る「意志」そのもの。原子の化合で物質が生まれるのは原子の意志であり、太陽が輝くのは太陽の意志であり、空気が流動するのは空気というかそこに含まれる物質の意志であり、生命が死ぬのも生命の意志である。

限界を超えた機体が動いたり、乗り手の気合に応じてバリアを破ったりするのも、乗り手に応えるロボットの意志である。

簡単に言えば、霊子とは、宇宙に在ル全てのモノやコトを、「かくあるべき」と定めている根源の意志である。次元力の本質は、外部からの強制によって霊子を動かし、「かくあるべき」と定められている内容を書き換えることである。

「いがみ合う双子のスフィア」の真の力は、この霊子をリアクターと同調させ、かつそれを周囲に伝播することにある。これは図らずも、多くの世界で提唱されていたマシンとの調和、すなわち「真化融合」を擬似的に起こす力と言える。

この霊子は、Zシリーズの宇宙に存在する二つの力のうち「存在しようとする力」の根源であり、これが理の改変を拒む場合は次元力でも事象制御は出来ない。

大雑把な例えをすれば、霊子によって「かくあるべき」と定められている事象とは、要は会議で決まった結論であり、霊子は参加者である。次元力は参加者=霊子の意見を外から変えることで結果=事象を書き換えるが、参加者の多くが拒否した場合は横紙破りが出来ない。

これは宇宙の大崩壊も同じで、崩壊を導く「消滅しようとする力」は「宇宙がそこにある」という事象の改変を行おうとするが、「存在しようとする力」がある限り果たせない。そこで、「存在しようとする力」の根源たる霊子=会議の参加者を抹殺・消去して減少させることにより、改変を行いやすくするのである。