行政特区日本
行政特区日本(Administrative Zone Nippon)とは、『コードギアス 反逆のルルーシュ』に登場した計画。
概要
神聖ブリタニア帝国第3皇女でありエリア11副総督でもあるユーフェミア・リ・ブリタニアによって提唱された日本人(イレヴン)とブリタニア人が平等に暮らせる特区(街)をフジ地区(富士山近辺)に設立する構想。
皇帝シャルル・ジ・ブリタニアと宰相である第2皇子シュナイゼル・エル・ブリタニアによって認められ、実現間近まで進んだ。
だが記念式典当日、ユーフェミアは特区参加を呼びかけた黒の騎士団総帥ゼロと2人だけで会談を行なった後、突然日本人虐殺を命令してしまう。この命令によって式典会場は地獄絵図と化し、ユーフェミア本人も事態を収めるためゼロに殺害されたため、以降、この構想は頓挫した。 そして、一年後…。
行政特区日本・日本人虐殺事件
前述の通り、皇暦2017年12月10日に行政特区日本の式典会場においてユーフェミア本人による日本人虐殺命令によって引き起こされた事件。この事件における犠牲者は1万人を超えるとされている(小説版より)。事件を拡大させてしまった要因は虐殺命令が出された際にユーフェミアを諌めようとした将軍アンドレアス・ダールトンが彼女に銃撃され指揮が取れなくなったことと、彼女の命令を実行した軍人たちが次第に虐殺に酔い、自らの行動に躊躇しなくなってしまったことである。
事件の真相を詳細に記すと、ユーフェミアが反ブリタニア組織黒の騎士団総帥ゼロの正体を自分の異母兄ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと知っていたため、ブリタニアと敵対している彼にも協力を呼びかけ、式典当日に彼が要請に応じてユーフェミアと2人だけで会談をしている際、誤って『日本人を殺せ』という命令のギアスをユーフェミアに掛けてしまったことが全ての原因である。
ルルーシュは母を死なせた上、自分と妹ナナリーを見捨てた父シャルルと神聖ブリタニア帝国に反逆を行なっていたため、自分と黒の騎士団の支持を瓦解させかねない行政特区日本と自分の復讐心を忘れさせかねないユーフェミアの存在感に憎悪を抱いて、特区日本の設立を阻止するために会場に現れたのである。彼はユーフェミアに自分を銃撃するようギアスをかけて日本人の彼女への信頼を失墜させるつもりであったが、彼女は自分の皇籍を返上することでゼロの罪を免責できるようにするつもりだということを彼が知ると心変わりをし、彼女に協力を約束した。
しかし、会話の流れから彼女に対して戯れに上記の言葉を口に出すと彼のギアスは増大して制御不能に陥っており、つまり、彼の意志とは関係なく彼女に命令してしまったのである。ギアスに掛かってしまった彼女は命令の障害となるダールトンを銃撃し、自ら率先して日本人を殺害する行動を取ってしまった。そして、会場内のブリタニア軍に日本人虐殺を命令してしまう。こうして、ブリタニア軍は式典会場、および会場周辺に集まっていた日本人を虐殺したのである。式典会場にいたブリタニア軍はあらかじめギアスにかけられていた味方による同士討ちによって混乱し(ルルーシュの当初の計画では、ユーフェミアにギアスをかけて自分を撃たせることで騙し討ちという形にし、そこから奇跡の脱出をするというものだったためあらかじめその準備をしていた。詳細は小説版で描かれている)、近隣に待機していた黒の騎士団によって壊滅した。
最後はユーフェミアはゼロによってやむなく殺害され、それまで敵国の皇女ながら日本人にも慕われていた彼女はこの出来事によって『虐殺皇女』の蔑称で呼ばれることになり、『行政特区日本』も忌まわしい記憶として日本人の脳裏に刻まれることになった。また、この虐殺は世界中に放映され、黒の騎士団参謀ディートハルト・リートによってネット上にも映像が流されたため、ブリタニアのイメージダウンは甚だしく、ブリタニア本国でも彼女の名は人前で憚れるようになってしまった。この惨劇から日本人の反ブリタニア感情が暴発し、歴史に残る反乱ブラックリベリオンへと繋がっていくことになる。この事件によって、ルルーシュとスザクの間に存在した亀裂はもはや修復不可能なレベルに達しただけでなく、ルルーシュ自身も最早後戻りができなくなってしまったのである。
結果論ではあるが、ユーフェミアは理想を早急に追い求めるあまり、大事な手順を省いてしまった(ユーフェミアには政治的な手腕がなく、現実と理想)ことが大惨事に繋がったという見方もできる。彼女は行政特区設立をコーネリアにもルルーシュにも相談せずに独断で宣言したことで2人から憤りの感情を抱かれてしまった(コーネリアに対しては既にシュナイゼルから彼女に伝えられていると思い込んでいた)ため、この2人にあらかじめ伝えておけば少なくともこの惨事は避けられたかもしれない。そういった意味では、彼女もやや傲慢で独善的な一面があり、父親である皇帝シャルルの血を引き継いでいた者の一人であったと言える。
R2
ブラックリベリオンを経て、1年後、総督であったカラレス公爵がよみがえったゼロに殺害され、新総督に就任したナナリー・ヴィ・ブリタニアの就任式で突然彼女は行政特区日本の再建を宣言した。彼女は敬愛していたユーフェミアが虐殺を引き起こしたことを信じられず、彼女の遺志をついでもう一度行政特区を復活させることを決意していたのである。
しかし、結果としてこれは政策としては完全な失敗に終わった。一年前の虐殺を知っている日本人は警戒心を強めている上、表舞台に出てきたばかりのナナリーがどういう人物かも知らず、彼女を信頼していなかったので特区に参加しようとする者は皆無だった。また、ブリタニア人にとっても虐殺をきっかけにブラックリベリオンが起こり、多大な犠牲が出たので『行政特区日本』は忌まわしい言葉と認識されていた。そのまま参加者無しで立ち消えになるかとも思われたが、ゼロは「100万人の日本人を特区に参加させるので自分(ゼロ)を国外追放という形で見逃してもらいたい」と裏取引をブリタニア側に持ちかけ、ナナリーには事後承諾という形でこの交渉は成立した。
そして、記念式典当日、ゼロ及び配下の黒の騎士団と追随する日本人たちは予想外の行動に打って出る。彼らは全員ゼロの衣装を着用して式典会場に現れ、「ゼロは国外追放」という取引の下、あらかじめ根回しの済んでいた中華連邦の蓬莱島にそのまま脱出するという行動を取ったのである。ブリタニア側にはアリシア・ローマイヤのように強行手段で阻止しようとする者もいたがナイトオブセブンの枢木スザクなど軍上層部の人物が制止したため一年前のような惨劇には至らなかった。これは一年前の事件の真相やナナリーやスザクがどういう人物かを熟知しているゼロの作戦勝ちだといえる。
こうして、行政特区日本は参加者なしで完全に瓦解したがこの一件で惨劇を引き起こさなかったため、ナナリーは日本人に一目置かれ、日本人との融和政策を徐々に実行していったため、次第に信頼されるようになっていった。しかし、それは日本人から独立の気概を失わせ、ブリタニアに同化させていくも同然であると危惧した兄のルルーシュが正体であるゼロは再び日本解放のための準備を進め、さらに自分の正体が皇帝シャルルに知られたため、ナナリーの身に危険が迫ったと判断して第2次東京決戦へと進んでいくのである。
登場作品
Zシリーズ
- 第2次スーパーロボット大戦Z破界篇
- エリア11ルート第36話『血染めのユフィ』で再現されている。虐殺発生の過程は原作とほぼ同じだが、会場内に破嵐万丈がいたため、彼の介入により原作よりも犠牲者はかなり少なくなった模様(完全に防ぐことはできなかったが)。
- また、この惨劇を引き起こしたのがゼロであることをアイム・ライアードによって黒の騎士団に示唆されている。ゼロがユーフェミアを撃つ状況はアニメ本編よりも漫画版に近い。なお、虐殺の後に原作で行なわれたゼロによるユーフェミアの弾劾演説がカットされている。
- 第2次スーパーロボット大戦Z再世篇
- こちらでは『R2』での展開。同行ルートの第11話「百万のキセキ」において、100万人のゼロの国外脱出作戦がそのまま再現された。