ミツヒロ・バートランド
ミツヒロ・バートランド(Mituhiro Bartland)
元・アルヴィスのファフナー開発部に在籍していた科学者で、千鶴の元夫であり、弓子と真矢の父親。アルヴィスではフェストゥムに勝てないと判断し、8年前に竜宮島を捨てて現在は新国連ファフナー開発部の上席技官となっている。
一見、温厚で紳士的な人物に見えるが、その本性は傲慢極まりない性格の持ち主で、自らの目的の為に他人はおろか家族をも利用し捨てようとする冷酷な人物。更にフェストゥムに対する並外れた憎しみから、人としての心を殆ど無くしつつあった。
弓子が真矢の適正データを改竄していた事実を知った事で、急遽竜宮島に帰島。真矢を自らが開発しているマークニヒトのパイロットにすべく、弓子の行いを口実に遠見親子全員を島から追放して、新国連に連れて行こうとした。しかし、竜宮島の島民やアルヴィスのメンバー、そしてファフナーのパイロット達による遠見親子の擁護発言に逆上し、パイロット達に対する暴言から、遠見親子からは失望を、アルヴィスのメンバーやファフナーのパイロット達からは激しい怒りを買う結果となり、完全にアルヴィスや竜宮島と決別する。
その後、回収させたマークフィアーのコアを流用し、マークザインのデータを元に、殲滅戦重視のサルヴァートルモデル・マークニヒトを完成させる。真矢を手に入れられなかった為、自らを慕う由紀恵の気持ちを利用し、彼女に致死量寸前の投薬処置を施してまで、半ば強引にファフナーと適合させる。
しかし、自らが立案した最終作戦「ヘブンズドア」の開始前日のマークニヒト最終実験時に、パイロットだった由紀恵がフェストゥム・イドゥンに同化されてしまうのを目の当たりにし、最高傑作であったマークニヒトをあっけなく奪われたショックから、狂気の笑い声を上げたままそのマークニヒトに拳を叩き付けられて死亡するという、自業自得の結末を迎えた。
その後、ミツヒロの死は竜宮島へと伝えられたが、生前の愚行故に実の娘にすら全く悲しまれていなかった。ただし、彼の執念による研究成果や作戦立案が人類側の勝利に貢献してきた事実は決して否定できず、竜宮島の外に住む大多数の人間たちの視点からすれば、ミツヒロ・バートランドという人物は「悪人ではあっても人類の敵ではない」と評価できなくもない。
漫画版ではモルドヴァ基地を脱出した直後に、ヘスター諸共イドゥンに殺害されている。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦K
- 初登場作品。NPCとして登場。しかし、遠見一家とは全く関わらない。一応、終盤で真矢が「お父さんが死んだらしい」とは言うが、原作未見だとこれがミツヒロの事とは絶対に気付かないと思われる。
- スーパーロボット大戦UX
- 本作もNPC。今作では味方部隊とガッツリ絡み、原作同様真矢を連れ去ろうとする。
- 最終的には原作同様に竜宮島と決別、イドゥンによって殺害される。なお、ミツヒロの冷酷な言動については多くの者から非難されるが、一方では「戦争により戦いの本来の目的を忘れてしまった犠牲者」として憐れまれてもいた。
人間関係
- 遠見真矢
- 娘。歳が離れているのもあってかさほど嫌われてはいないが、後に「(心を持たない)フェストゥムと同じ」と評価されて決別される。その後、ミツヒロの死を知っても悲しまれないなど、総じて良い関係とは言えない。
- なお、ミツヒロは実の娘である真矢をマークニヒトのパイロットにしようと考えていた。それが実現していたら、彼女は悲劇的な結末を迎えていただろう。
- 遠見弓子
- 娘だが、彼女からは「あの男」呼ばわりされるほど、関係は最悪。真矢のパイロットとしての能力データを改竄されていたのを知った際には、実の娘である弓子に対しても殴る等の暴力も辞さなかった。
- 遠見千鶴
- 元妻。
- 日野美羽
- 死後に誕生し、出会う事の無かった孫。
- 日野洋治
- ザルヴァートルモデルの開発者同士だが、彼とはファフナーの設計思想やフェストゥムに対しての考え方、最期の瞬間も正反対である。
- 狩谷由紀恵
- ミツヒロを慕っていたが、彼は由紀恵を道具の様にしか思っていなかった。実際、彼女がマークニヒトごとイドゥンに同化されようとした際にも、彼女の身の安全など無関心でファフナーの事だけを心配している始末だった。
- 小楯保
- 海中から回収したマークフィアーのコアを抜いたことで馬鹿野郎呼ばわりされる。
- ジョナサン・ミツヒロ・バートランド
- 続編「EXODUS」に登場した息子。ミツヒロのやり方を真っ向から否定している。
他作品との人間関係
名台詞
- 「あそこにいるのは…所詮受胎能力を失った日本人が作った遺伝子工学の産物ではないか」
「彼らは結局ファフナーを動かす電池にすぎん」 - 第18話にて、ファフナーのパイロット達にこう言い放つ。ミツヒロの傲慢さと非道さが全面的に現れている暴言である。当然ながら、アルヴィスのメンバーとファフナーの搭乗者達の逆鱗に触れ、実の娘である真矢からは決別されてしまう。
- KとUXではこの発言はないが、他のロボットアニメ作品にはファフナーのパイロット達と同じく遺伝子工学で生み出された人物が大勢いる。もし、上記の台詞を言った場合、彼らから激しい非難を浴びるのは避けられないだろう(特にUXの場合、人造人間として生まれた地獄コンビの片割れがいるため、迂闊にこの手の台詞を言おうものなら彼の逆鱗に触れて叩き潰される事態は想像に難くない)。
- 「勝てるなら、何も残らなくていい」
- 竜宮島から去る時、真壁から、「戦いに勝ったとして、お前に何が残る?」と質問されての回答。UXでは劉備から「家族や仲間を捨て去ってまで得た勝利に何の意味があるというんだ!」と非難されるが……
- 「私の…私の夢が…ははははははっ! ははははははははっ!」
- 自身の切り札であるマークニヒトが怨敵のフェストゥムに奪われた際の反応。野望の為に他人を平然と食い物にしてきたミツヒロだが、その最期は狂った笑い声をあげながら、フェストゥムと同化したマークニヒトに叩き潰される(自らの野望をマークニヒトの機体名の通り「否定」される)という無様な物だった。
スパロボシリーズでの名台詞
- 「偶然にしては、少し出来過ぎな気もしますが…」
- UX第25話シナリオエンドデモにて、竜宮島の占領が失敗した直後にノーヴルからマークフィアーのコアを渡されたことに対して。
- 「『灯篭流し』か。自己満足に浸るだけのくだらない行事だ」
- UX第29話シナリオデモにて、灯籠流しの準備をする竜宮島の住民とその手伝いをするアルティメット・クロスを嘲笑うかのように言った。
- 死者を悼む行事である灯籠流しを自己満足に浸るだけの下らない行事と言い切り、しかもその場に娘の翔子を亡くした容子がいるため、家族を亡くした人間の心境を全く考慮していない。
- 「亡くなったはずの娘との再会。なかなか感動的な場面ではないか」
- こちらは翔子が生存し、母・容子と再会した時の台詞。確かに娘が生きて帰ってきた事は容子にとって最大の救いとなっているため、上記の台詞と比べると考慮しているように見える。
- しかし、その場にいたカノンは悲しさと寂しさが混じった心境となっている中でこの台詞を言っているため、結局は上と同じく他者への配慮がなされていない。
- 「フェストゥム化した人間を守るだと!? 馬鹿げているにも程がある!」
「あんな小僧の提案を受けるなど、情にほだされたか、真壁!」 - UX第29話にて、異なる存在となろうとする甲洋をフェストゥムから守ろうとするUXに声を荒げて吐き捨てた。
- 「所詮は異星人やテロリストが寄せ集まった傭兵集団にすぎんか」
- UX第29話エンドデモにて、人間とフェストゥムの融合体である皆城乙姫を「普通の人間」として受け入れる一騎達や自軍部隊を「呆れた考え」と嘲笑した上にこう言い放つ。
- なんか前述の暴言を意識しているような言い回しであるが、ショウやティエリア、葵に非難され、原作通り真矢から決別されてしまう。
- 「何とでも言うがいい。私は全てのフェストゥムを消し去る。それだけだ」
- UX第29話エンドデモにて、「フェストゥムに勝てるなら何も残らなくてもいい」と言う発言に食ってかかった劉備に対し、こう言い残して竜宮島をあとにする。
- 一方、ロミナやスカーレットは、フェストゥムを憎むあまりに「人としてあるべき心」を失ってしまったミツヒロに対して、憐れみを感じていた。