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そのような中、『[[合身戦隊メカンダーロボ]]』において敵メカが量産型として設定され、ロボットアニメにおける量産型登場の先駆けとなった。そして『[[機動戦士ガンダム]]』以降の[[リアルロボット]]系作品において、本格的に量産型が活躍する時代を迎える。しかしながらその扱われ方は現実とは異なり、量産型は作品中であまり活躍できず、主役メカに蹴散らされるための凡庸な性能の[[やられメカ]]として描かれる場合が多い。この原因として(作品により差はあるものの)よく見られるのが、開発プロセスの違いと搭乗者の問題である。
 
そのような中、『[[合身戦隊メカンダーロボ]]』において敵メカが量産型として設定され、ロボットアニメにおける量産型登場の先駆けとなった。そして『[[機動戦士ガンダム]]』以降の[[リアルロボット]]系作品において、本格的に量産型が活躍する時代を迎える。しかしながらその扱われ方は現実とは異なり、量産型は作品中であまり活躍できず、主役メカに蹴散らされるための凡庸な性能の[[やられメカ]]として描かれる場合が多い。この原因として(作品により差はあるものの)よく見られるのが、開発プロセスの違いと搭乗者の問題である。
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;'''開発プロセス'''
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;開発プロセス
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:まず開発プロセスについてであるが、一部作品では「画期的な新技術等をふんだんに取り入れたコスト度外視の完成機(=主役メカ)を最初に作成し、そこから機能を削ぎ落して量産可能な水準にまでコストの引き下げを図る」というプロセスが取られる場合がある。要約すれば「試作型→完成機(=主役メカ)→(廉価版試作型)→廉価版完成機(=量産型)」という構図になるが、これは量産型が単なる廉価版とほぼ同義語的に用いられているようなケースであり、この場合は性能的に主役メカに敵う道理がない。所謂スーパー系の作品における量産型の扱いはこの傾向が更に顕著で、「技術的に再現不可能」という理由により、一部デチューンを余儀なくされる形で量産化にもちこまれる場合が多い。当然ながらその場合、本家に比べて性能が落ちることになる。
まず開発プロセスについてであるが、一部作品では「画期的な新技術等をふんだんに取り入れたコスト度外視の完成機(=主役メカ)を最初に作成し、そこから機能を削ぎ落して量産可能な水準にまでコストの引き下げを図る」というプロセスが取られる場合がある。要約すれば「試作型→完成機(=主役メカ)→(廉価版試作型)→廉価版完成機(=量産型)」という構図になるが、これは量産型が単なる廉価版とほぼ同義語的に用いられているようなケースであり、この場合は性能的に主役メカに敵う道理がない。所謂スーパー系の作品における量産型の扱いはこの傾向が更に顕著で、「技術的に再現不可能」という理由により、一部デチューンを余儀なくされる形で量産化にもちこまれる場合が多い。当然ながらその場合、本家に比べて性能が落ちることになる。
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:元々[[主人公]]メカについては、機体の唯一無二性を引き立てるため、総じて上述のような描写の挿入によって量産型との差別化が図られる場合が多く、スーパー系作品は勿論のこと、リアル系の作品においても同様の傾向がある(その典型的な例として最も有名なのがファーストガンダムである。詳細は「[[スーパーロボットとリアルロボット]]」参照)。
 
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;兵員の能力限界
元々[[主人公]]メカについては、機体の唯一無二性を引き立てるため、総じて上述のような描写の挿入によって量産型との差別化が図られる場合が多く、スーパー系作品は勿論のこと、リアル系の作品においても同様の傾向がある(その典型的な例として最も有名なのがファーストガンダムである。詳細は「[[スーパーロボットとリアルロボット]]」参照)。
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:もう一点重要な要因となっているのが、搭乗者の資質に関わる問題である。これは現実の戦闘機開発などでも重視されている面であるが、その操作の複雑さが搭乗者の処理能力を超えたり、また技術的に最高速度を向上させることが可能でもGへの耐性限界を超えるようなことになれば兵器として成立しないため、搭乗者の平均的な処理能力は必然的に量産型の性能上限とならざるを得ない。逆に言えば、'''人並み外れた技量を誇る圧倒的な[[エース]]パイロット'''を前提とすれば、性能のリミットを容易に引き上げることが可能になる。試作機には、この「優秀な[[テストパイロット]]の存在」を前提とし、技術的には実現可能であるものの多くの人間が扱う量産型には搭載不適格なハイスペックを持たせたものがある。
 
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:これは戦闘機を題材としている[[マクロスシリーズ]]においてよく用いられる設定であり、その点が最もよく描写されている作品が、試作型同士のトライアルを描いた作品『[[マクロスプラス]]』である。同作において量産型の先行試作型としてトライアルに提出された[[YF-19]]及び[[YF-21]]は、共に圧倒的な性能を有しながらも操縦者の限界を試すようなピーキーな機体であった。両機は[[イサム・ダイソン]]、[[ガルド・ゴア・ボーマン]]という優秀なテストパイロットを得てその性能を存分に発揮することになるが、基本的に[[一般兵]]の手に負えるものではなかった。それゆえ、同機を基に開発された後発のVF-19やVF-22といったモデルは少数が量産化されたものの制式採用は見送られ、一般兵向けの量産型としては、両機に比べて性能が低位ながらも安定しているVF-11が長くその地位を維持することになる。この例は試作型から直接開発された量産型の事例ではないものの、性能面では試作型>量産型という構図が維持されやすいことの一つの証左である。
;'''兵員の能力限界'''
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:この兵員の資質に関する点は、量産型の性能が試作型に比べて劣り得る最も根源的な要因とも言え、それ故に量産型の性能を向上させるアプローチとして'''兵員の排除'''という方針が打ち出される場合も少なくない。その最も代表的な例が、同じくマクロスプラスにおいて登場する、兵員を排除した結果として圧倒的な機動性を獲得した怪物量産型「[[ゴーストX-9]]」である。同機以外でも、兵員排除という基本的な発想が共通している『[[新機動戦記ガンダムW]]』の「[[モビルドール]]」や、[[バンプレストオリジナル]]で言えば[[バルトール]]([[ODEシステム]])等についても、軒並み既存の量産型の性能を大きく上回る機体として描かれている。
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;エース効果
もう一点重要な要因となっているのが、搭乗者の資質に関わる問題である。これは現実の戦闘機開発などでも重視されている面であるが、その操作の複雑さが搭乗者の処理能力を超えたり、また技術的に最高速度を向上させることが可能でもGへの耐性限界を超えるようなことになれば兵器として成立しないため、搭乗者の平均的な処理能力は必然的に量産型の性能上限とならざるを得ない。逆に言えば、'''人並み外れた技量を誇る圧倒的な[[エース]]パイロット'''を前提とすれば、性能のリミットを容易に引き上げることが可能になる。試作機には、この「優秀な[[テストパイロット]]の存在」を前提とし、技術的には実現可能であるものの多くの人間が扱う量産型には搭載不適格なハイスペックを持たせたものがある。
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:前段では「量産型兵器は、一般兵員の搭乗を前提としている限りにおいて、兵員の大半が問題なく扱える程度にまで性能が引き下げられざるを得ない」という点について主に述べたが、逆に前述のイサムやガルドの例のように「試作型にはエースパイロットが乗ることが多いので、本来のポテンシャル以上の活躍を見せることがある」という側面も見逃せない。
 
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:試作型のパイロットの決定過程は、前段の例のようにテストパイロットとして図抜けたエースが選抜されるという場合、或いは類稀な資質を備えた人物が偶然に試作機に乗り込んでしまうという展開の場合が多い。そして彼らは実戦にもそのまま赴くことが非常に多いので、搭乗者の優秀さが試作機の圧倒的な強さに拍車をかけている場合は多いと思われる([[カチーナ・タラスク|カチーナ]]の発言にはこの点を意識したものが多く、自身の腕前の証明として試作機を与えられることに拘りを見せる)。試作機の戦闘能力の描写を考える上では、搭乗者要因を多少割り引いて考えるべきであろう。
これは戦闘機を題材としている[[マクロスシリーズ]]においてよく用いられる設定であり、その点が最もよく描写されている作品が、試作型同士のトライアルを描いた作品『[[マクロスプラス]]』である。同作において量産型の先行試作型としてトライアルに提出された[[YF-19]]及び[[YF-21]]は、共に圧倒的な性能を有しながらも操縦者の限界を試すようなピーキーな機体であった。両機は[[イサム・ダイソン]]、[[ガルド・ゴア・ボーマン]]という優秀なテストパイロットを得てその性能を存分に発揮することになるが、基本的に[[一般兵]]の手に負えるものではなかった。それゆえ、同機を基に開発された後発のVF-19やVF-22といったモデルは少数が量産化されたものの制式採用は見送られ、一般兵向けの量産型としては、両機に比べて性能が低位ながらも安定しているVF-11が長くその地位を維持することになる。この例は試作型から直接開発された量産型の事例ではないものの、性能面では試作型>量産型という構図が維持されやすいことの一つの証左である。
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:逆説的な例としては、[[ニュータイプ]]専用試作機「[[NT-1アレックス|アレックス]]」のケースがあげられる。同機はほぼ[[ガンダム]]と同等の性能であり、パイロットである[[クリスチーナ・マッケンジー|クリス]]もベテランシューフィッターとして相応の実力を持っているはずであるものの、[[ザク改]]相手に相討ちに持ち込まれている。これは、ガンダムが見せた圧倒的な実力が、[[アムロ・レイ|アムロ]]の類稀な操縦技術によって相当程度底上げされていたことを示唆している(もちろんザク改側の[[バーナード・ワイズマン|バーニィ]]がアレックスとの性能差を見越してゲリラ戦を選んだ事も関係している)。
 
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;上記の扱いの例外
この兵員の資質に関する点は、量産型の性能が試作型に比べて劣り得る最も根源的な要因とも言え、それ故に量産型の性能を向上させるアプローチとして'''兵員の排除'''という方針が打ち出される場合も少なくない。その最も代表的な例が、同じくマクロスプラスにおいて登場する、兵員を排除した結果として圧倒的な機動性を獲得した怪物量産型「[[ゴーストX-9]]」である。同機以外でも、兵員排除という基本的な発想が共通している[[新機動戦記ガンダムW]]の「[[モビルドール]]」や、[[バンプレストオリジナル]]で言えば[[バルトール]]([[ODEシステム]])等についても、軒並み既存の量産型の性能を大きく上回る機体として描かれている。
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:量産型に対する上記のような扱いの例外としてよく取り上げられるのが、『[[機甲戦記ドラグナー]]』における、試作型・[[ドラグナー]]各機と量産型・[[ドラグーン]]の関係である。本作では、それぞれの性能に特化した試作型に対し、それらのデータを収集・統合して仕上げた量産型であるドラグーンの方が性能が高いという例外的な設定が為されている。とはいうものの、後にドラグナーはカスタム化されて性能が上昇し、[[ドラグーン]]も(初登場時はともかく)演出の都合でバタバタと蹴散らされる存在、所謂「[[やられメカ]]」になり下がることは避けられなかった。
 
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:また、アニメ版と一部設定が異なる小説版『[[機動戦士ガンダム]]』では量産型である[[ジム]]の方がガンダムより性能の高い機体と言う設定になっている。実のところアニメ版でも、ジオン系列の機体は[[グフ]]や[[ズサ]]のように試作型より量産型の方が性能が高い、問題点を解決したという設定なのだが、試作型と量産型に外見の差がないので区別されることが少ない。
;'''エース効果'''
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:代わって近年よく話題になるのが、『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』において、名有り敵である[[カオスガンダム]]を撃墜するという金星を挙げたオーブの量産型・[[ムラサメ]]である。また、劇中では1機しかでてこないが、[[∀ガンダム]]や[[ターンX]]は圧倒的な性能を持ちながらも量産機の内の1機に過ぎないとする説もある。
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前段では「量産型兵器は、一般兵員の搭乗を前提としている限りにおいて、兵員の大半が問題なく扱える程度にまで性能が引き下げられざるを得ない」という点について主に述べたが、逆に前述のイサムやガルドの例のように「試作型にはエースパイロットが乗ることが多いので、本来のポテンシャル以上の活躍を見せることがある」という側面も見逃せない。
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試作型のパイロットの決定過程は、前段の例のようにテストパイロットとして図抜けたエースが選抜されるという場合、或いは類稀な資質を備えた人物が偶然に試作機に乗り込んでしまうという展開の場合が多い。そして彼らは実戦にもそのまま赴くことが非常に多いので、搭乗者の優秀さが試作機の圧倒的な強さに拍車をかけている場合は多いと思われる([[カチーナ・タラスク|カチーナ]]の発言にはこの点を意識したものが多く、自身の腕前の証明として試作機を与えられることに拘りを見せる)。試作機の戦闘能力の描写を考える上では、搭乗者要因を多少割り引いて考えるべきであろう。
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逆説的な例としては、[[ニュータイプ]]専用試作機「[[NT-1アレックス|アレックス]]」のケースがあげられる。同機はほぼ[[ガンダム]]と同等の性能であり、パイロットである[[クリスチーナ・マッケンジー|クリス]]もベテランシューフィッターとして相応の実力を持っているはずであるものの、[[ザク改]]相手に相討ちに持ち込まれている。これは、ガンダムが見せた圧倒的な実力が、[[アムロ・レイ|アムロ]]の類稀な操縦技術によって相当程度底上げされていたことを示唆している(もちろんザク改側の[[バーナード・ワイズマン|バーニィ]]がアレックスとの性能差を見越してゲリラ戦を選んだ事も関係している)。
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;'''上記の扱いの例外'''
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量産型に対する上記のような扱いの例外としてよく取り上げられるのが、『[[機甲戦記ドラグナー]]』における、試作型・[[ドラグナー]]各機と量産型・[[ドラグーン]]の関係である。本作では、それぞれの性能に特化した試作型に対し、それらのデータを収集・統合して仕上げた量産型であるドラグーンの方が性能が高いという例外的な設定が為されている。とはいうものの、後にドラグナーはカスタム化されて性能が上昇し、[[ドラグーン]]も(初登場時はともかく)演出の都合でバタバタと蹴散らされる存在、所謂「[[やられメカ]]」になり下がることは避けられなかった。
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また、アニメ版と一部設定が異なる小説版『[[機動戦士ガンダム]]』では量産型である[[ジム]]の方がガンダムより性能の高い機体と言う設定になっている。実のところアニメ版でも、ジオン系列の機体は[[グフ]]や[[ズサ]]のように試作型より量産型の方が性能が高い、問題点を解決したという設定なのだが、試作型と量産型に外見の差がないので区別されることが少ない。
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代わって近年よく話題になるのが、『[[機動戦士ガンダムSEED DESTINY]]』において、名有り敵である[[カオスガンダム]]を撃墜するという金星を挙げたオーブの量産型・[[ムラサメ]]である。また、劇中では1機しかでてこないが、[[∀ガンダム]]や[[ターンX]]は圧倒的な性能を持ちながらも量産機の内の1機に過ぎないとする説もある。
      
=== スパロボにおける量産型 ===
 
=== スパロボにおける量産型 ===
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これらの機体の性能はそれなりに抑えられており、例えば「ある時点の主人公機よりそこから50年後の量産型の方がよほど性能は高い」はずなのだが、スパロボでは同時期中に登場することもあって、特に強く設定されることは無い。また、特にスーパー系敵機の複製量産型については、上記の「完成型から作られる量産型は廉価版」という傾向を意識してか、総じて性能が控えめになっている場合が多い(所謂「再生怪人は弱体化している」のお約束の方を意識している可能性もある。無論、最大の要因はゲームバランス面の調整のためであろうが)。その逆に、上記のエース効果の再現のためか、搭乗するパイロットにあわせて性能が底上げされる場合もある。
 
これらの機体の性能はそれなりに抑えられており、例えば「ある時点の主人公機よりそこから50年後の量産型の方がよほど性能は高い」はずなのだが、スパロボでは同時期中に登場することもあって、特に強く設定されることは無い。また、特にスーパー系敵機の複製量産型については、上記の「完成型から作られる量産型は廉価版」という傾向を意識してか、総じて性能が控えめになっている場合が多い(所謂「再生怪人は弱体化している」のお約束の方を意識している可能性もある。無論、最大の要因はゲームバランス面の調整のためであろうが)。その逆に、上記のエース効果の再現のためか、搭乗するパイロットにあわせて性能が底上げされる場合もある。
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味方機として使用できる量産型は、旧シリーズでは正直使いようが無かったが、近年はテコ入れにより「初期性能はそこそこで、[[改造]]すればある程度使える」ようになっていることが多い。[[V-UPユニット]]採用作品や[[α外伝]]などではそのやりすぎで、ときに'''主役以上に強くなってしまう'''現象も起こっていた(α外伝の[[ガンブラスター]]、[[トーラス]]など)。
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味方機として使用できる量産型は、旧シリーズでは正直使いようが無かったが、近年はテコ入れにより「初期性能はそこそこで、[[改造]]すればある程度使える」ようになっていることが多い。[[V-UPユニット]]採用作品や『[[α外伝]]』などではそのやりすぎで、ときに'''主役以上に強くなってしまう'''現象も起こっていた(『α外伝』の[[ガンブラスター]]、[[トーラス]]など)。
    
== 版権作品の量産型メカ ==
 
== 版権作品の量産型メカ ==
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;ゼルバイン
 
;ゼルバイン
 
:ゲーム『聖戦士ダンバイン 聖戦士伝説』に登場した[[ビルバイン]]の量産型。
 
:ゲーム『聖戦士ダンバイン 聖戦士伝説』に登場した[[ビルバイン]]の量産型。
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== 資料リンク ==
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<!-- *[[一覧:量産タイプ]] -->
      
== 関連用語 ==
 
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