「尸逝天」の版間の差分

 
(18人の利用者による、間の39版が非表示)
1行目: 1行目:
== 尸逝天(しせいてん/Shiseiten) ==
+
{{登場メカ概要
*[[登場作品]]:[[バンプレストオリジナル]]
+
| 読み = しせいてん
**[[第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇]]
+
| 登場作品 = [[バンプレストオリジナル]][[Zシリーズ]]
*全高:244.9m
+
*{{登場作品 (メカ)|第3次スーパーロボット大戦Z}}
*重量:12000.0t
+
| デザイン = {{メカニックデザイン|土屋英寛}}
*[[動力]]:[[スフィア]]「沈黙の巨蟹」
+
| 初登場SRW = {{初登場SRW (メカ)|第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇}}
<!-- *開発者:不明 -->
+
| SRWでの分類 = [[機体]]
*所属:[[サイデリアル]]「鬼宿」
+
}}
*主なパイロット:[[尸空]]
 
*メカニックデザイン:土屋英寛
 
  
[[尸空]]が搭乗する巨大機動兵器。サイデリアルの一部隊「鬼宿」の隊長機である。「沈黙の巨蟹」の[[スフィア]]を搭載しており、それに依拠する凄まじい火力による広域殲滅を得意とする重機動兵器である。ちなみに、尸とは「しかばね」と読み、そのまま屍(あるいは死にまつわるもの)を意味する。
+
{{登場メカ概要
 +
| タイトル = スペック
 +
| 分類 = 生物([[スフィア搭載機|スフィア寄生体]])
 +
| 全長 = 244.9m
 +
| 重量 = 12000.0t
 +
| 動力 = [[スフィア]]「沈黙の巨蟹」
 +
| 所属 = [[サイデリアル]]「[[鬼宿]]」
 +
| パイロット = [[尸空]]
 +
}}
 +
'''尸逝天'''は『[[第3次スーパーロボット大戦Z]]』の[[登場メカ]]
  
首長竜の化石を模した尾部、「沈黙の巨蟹」を内蔵した巨大なドクロのような背部ユニットと無数のトゲ、肩に当たる部分とその上部、頭部とその側面に存在する合計7つの牙だらけのアギト、甲殻類を思わせる腹部、と機械的要素が一つも見当たらない有機的な姿をしており、その不気味さやおぞましさは[[アリエティス]]以上。[[超機人]][[ディス・アストラナガン]]もこの類だが、尸逝天はそれらよりもなお生物そのものに近い、というか生物にしか見えない姿であり、本当に機動兵器なのかすらも謎(少なくとも尸空が乗る操縦席はある。生体兵器の類である可能性も捨てきれない)。スフィアを搭載する機体はその同調率によって生物的に変化していくが、その結果なのかも不明。<br/>また、[[次元獣]]や[[アリエティス]]同様に[[熱気バサラ|バサラ]]の歌でダメージを受けるため、この両者に近い性質があるかとも考えられる。[[次元獣リヴァイダモン|リヴァイダモン]]のような超大型次元獣の骨格に見えなくもないが…。
+
== 概要 ==
 +
[[尸空]]が所有・搭乗する巨大生物の死骸。[[サイデリアル]]の一部隊「[[鬼宿]]」の隊長機である。「沈黙の巨蟹」の[[スフィア]]を宿しており、それに依拠する凄まじい火力による広域殲滅を得意とする。
  
特徴的な7つのアギトは、まるで生物の頭骨から口の部分だけ持ってきたような形をしており、目に当たる部分が存在しない。
+
首長竜の化石を模した尾部、「沈黙の巨蟹」を内蔵した巨大なドクロのような背部ユニットと無数のトゲ、肩に当たる部分とその上部、頭部とその側面に存在する合計7つの牙だらけのアギト、甲殻類を思わせる腹部、とその不気味さやおぞましさは[[アリエティス]]以上。特徴的な7つのアギトは、まるで生物の頭骨から口の部分だけ持ってきたような形をしており、目に当たる部分が存在しない。
  
スフィアによる特殊能力「スフィア・アクト」は精神運動の減衰を発生させる模様。「いがみ合う双子」がプラスの意思をマイナスの意思に改竄するのに対し、こちらは0へと収束させるものと思われる。<br/>不気味でグロテスクな外見と火力以外は何一つわかっておらず、未だ詳細は謎。
+
その正体は、生と死との狭間に存在し、その境界を渡るという伝説の生物の死骸。背部のコブ状の部分に「沈黙の巨蟹」が寄生しており、その力によって「死んでも生きている」という理を超越した存在である。生きながらにして「消滅しようとする力」を司る一族・鬼宿の至宝にして、代々の総領が受け継いできた由緒正しい生き物(?)であり、現在の総領である尸空が所有している。
  
攻略本後書きによると、デザインモチーフはそのまんま「'''カニ'''」。寺田P曰く、「'''ラスボスのデザインとしてどこまでカニっぽさを出すか悩んだ'''」とのこと。確かに、真正面から見れば前を向いたカニに見えなくもない(「沈黙の巨蟹」左右のトゲ⇒ハサミ、両肩の上にある小さなアギト⇒ハサミ、側面の肋骨部分⇒脚)。ベースデザインは「カブトガニ」と思われる。(カブトガニは正確には蟹ではないが)
+
最終的には[[天獄戦争]]終盤に[[ラース・バビロン]]で[[Z-BLUE]]に敗北し、かねてからの取り決めに従い、[[次元将ヴィルダーク|ヴィルダーク]]に力を渡すため尸空の手で[[自爆|自壊]]。「沈黙の巨蟹」を残して[[因果地平]]の彼方へと旅立った。
 
 
=== ネーミングについて ===
 
一見すると他のスフィア搭載機と違い、スフィアの星座とは無関係な名前に思えるが、尸逝天の場合は少々捻られている。<br/>尸空の持つ「沈黙の巨蟹」はかに座のスフィアであるが、中国の思想においてかに座の中心領域「鬼宿」は、死者の魂が集う場所とされている。
 
 
 
名前の由来はこれであり、つまり「死者の魂が集う星座」→「死者の集う天」→「『尸』の『逝』く『天』」→「尸逝天」というわけである。
 
  
 
== 登場作品と操縦者 ==
 
== 登場作品と操縦者 ==
 
=== [[Zシリーズ]] ===  
 
=== [[Zシリーズ]] ===  
;[[第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇]]
+
;{{参戦作品 (メカ)|第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇}}
:アイコンだけは「ラスト・デイ」で見られるが、実際に戦えるシナリオはエピローグ「動き出す刻、そして……」のみ。4ターン目の冒頭に撤退してしまうが、1ターン目から動き出すため撃墜は楽。少なくとも[[ガドライト・メオンサム|ガドライト]]&[[ジェミニア]]、[[アンチスパイラル]]&[[グランゼボーマ]]に比べれば楽といえる。ただし耐久力はジェミニアに匹敵し、瀕死時の尸逝天の装甲は4572と旧シリーズのボス並みに達する。
+
:初登場作品。アイコンだけは「ラスト・デイ」で見られるが、実際に戦えるシナリオはエピローグのみ。4ターン目の冒頭に撤退してしまうが、1ターン目から動き出すため撃墜は楽。少なくとも[[ガドライト・メオンサム|ガドライト]]&[[ジェミニア]]、[[アンチスパイラル]]&[[グランゼボーマ]]に比べれば楽といえる。ただし耐久力はジェミニアに匹敵し、瀕死時の尸逝天の装甲は4572と旧シリーズのボス並みに達する。
:なお、撃墜された際は「各部が崩れてアギトがなくなった後『沈黙の巨蟹』搭載部が転移して何処かに消え、後ろ半分が爆散する」という流れになる。アギトが消えた後の後ろ半分は接続部と思しき穴から体液のようなものが流れ出ている、というグロテスクなものであり、機械では絶対にありえないことがわかる。
+
:今回は手加減しているため、「骸怨」と「尸獄門」しか武装がない。それでも尸空の特殊スキル「[[精密攻撃]]」のおかげで最大火力は高いので注意。
 +
;{{参戦作品 (メカ)|第3次スーパーロボット大戦Z連獄篇}}
 +
:単体攻撃「鬼光衝」が解禁。中盤から何度か顔を出すが、基本的に倒すことは出来ない。その代わりSRポイントの条件になるためHP回復が無い。
 +
;{{参戦作品 (メカ)|第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇}}
 +
:MAP兵器「霊鳴」と最強技「冥逝孔」が解禁。プロローグ2から登場するが、最速の直接対決は13話からとなる。尸空共々本気を出したという事か、今までとは比較にならない強さを発揮してZ-BLUEに襲いかかってくる。MAP兵器2つ、全体攻撃2つと設定通りに広域殲滅に特化した機体であり、しかも尸空が3回行動持ち&エースボーナスが発動すれば「[[必中]]」がかかる為、手番を回せば複数のチームが消し飛ばされかねない。また、尸空が「精密攻撃」を失った事で最大火力こそ低下したが、代わりに得た新たな特殊スキル「[[プレッシャー]]」によって攻防共に隙が無い。救いはスフィア・アクトが敵のスフィア搭載機の中では大人しい事か。
 +
:ちなみに図鑑では所有者が「尸刻」と誤記されている。
  
 
== 装備・機能 ==
 
== 装備・機能 ==
35行目: 43行目:
 
;骸怨(がいえん)
 
;骸怨(がいえん)
 
:自機中心型、識別無効のマップ兵器。怨霊を解き放って取り憑かせ、力を奪う。必要[[気力]]が130なので、これを撃つということは「極」が乗っていることになる。
 
:自機中心型、識別無効のマップ兵器。怨霊を解き放って取り憑かせ、力を奪う。必要[[気力]]が130なので、これを撃つということは「極」が乗っていることになる。
 +
;霊鳴(れいめい)
 +
:方向指定型、識別無効のマップ兵器。死の稲妻で前方を薙ぎ払う。気力低下効果があるため骸怨より危険。
 +
;鬼光衝(きこうしょう)
 +
:唯一の単体攻撃。死の力をエネルギーボールに変え、相手目掛けて叩き付ける。尸冥爪も同様の技が使えるが、向こうと違い無数に撃てる。思考ルーチンの問題で反撃時にはこればかり撃ってくる。
 
;尸獄門(しごくもん)
 
;尸獄門(しごくもん)
:全体攻撃。尸空の意志によって「沈黙の巨蟹」を起動、三つの口から次元力を変換した負のブレスを放って敵を消滅させる。
+
:全体攻撃。「絶・陰・亜・業・獄・終」の歌で「沈黙の巨蟹」を起動、ブレスを放って敵を消滅させる。
 +
;冥逝孔(めいせいこう)
 +
:「宿・真・零・界」の歌によって「沈黙の巨蟹」の力を解放し、虚無の領域に相手を飲み込み、巨大な蛇の様な禍々しい姿へと変貌した尸逝天で突撃し相手を喰らい尽くす。
 +
:全体攻撃かつ「能力半減」の追加効果がある為、直撃すると非常に危険。P属性つきだが射程2~4、尸逝天は移動力7で尸獄門の最大射程が11なので、11マス以内にいると尸獄門を撃ってくる、射程外にいるとよってきても冥逝孔が射程外、ということでほとんど見る機会がない。至近にユニットがいるとたまにEPで使用してくる。
  
 
=== [[特殊能力]] ===
 
=== [[特殊能力]] ===
 
;[[HP回復]](中)
 
;[[HP回復]](中)
:
+
:スフィアの力と本体の特性によりダメージが回復する。連獄篇ではオミット。
 
;[[EN回復]](大)
 
;[[EN回復]](大)
:
+
:スフィアの力によってエネルギーが回復する。
;対精神攻撃
+
;[[対精神攻撃]]
 
:装甲・運動性低下は効くので、装甲ダウンを狙うのがいい。
 
:装甲・運動性低下は効くので、装甲ダウンを狙うのがいい。
;スフィア・アクト
+
;スフィア・アクト(沈黙の巨蟹)
:気力130以上で発動。「沈黙の巨蟹」の力を行使し、10マス以内のPCユニットのターン開始時のSP回復を無効化する。自動回復のみならず「イノベイター」「SP回復」も無効化される。
+
:気力130以上で発動。「沈黙の巨蟹」の力を行使し、10マス以内のPCユニットのSP回復を無効化する。自動回復のみならず「イノベイター」「SP回復」や、歌・パーツによる回復も無効になる。これでもサイデリアルのスフィア搭載機の中ではまだ大人しいのが恐ろしいところだが。
 +
:天獄篇では気力制限が10上がっている。
 +
 
 
=== 移動タイプ ===
 
=== 移動タイプ ===
;[[空]]・[[水|海]]・[[]]:[[飛行]]可能。かに座の機体ゆえか水中戦も得意な様子。この図体で海に潜るとえらいことになりそうな気もするが。
+
;[[空]]・[[]]・[[水|海]]
 +
:[[飛行]]可能。かに座の機体ゆえか水中戦も得意な様子。この図体で海に潜るとえらいことになりそうな気もするが。
  
 
=== [[サイズ]] ===
 
=== [[サイズ]] ===
;3L
+
;2L
:200m越えなので戦艦なみにデカい。現時点でスフィア搭載機の中では一番大きく、次点の[[聖王機ジ・インサー|ジ・インサー]]は110mであるため倍以上の差があることになる。
+
:200m越えなので戦艦なみにデカい。次点の[[聖王機ジ・インサー|ジ・インサー]]は110mであるため倍以上の差があることになるが、'''[[プレイアデス・タウラ]]はさらに倍以上デカい'''。
<!-- === カスタムボーナス ===  -->
+
 
 +
== 機体BGM ==
 +
;「屍魂の徒」
 +
:尸空専用曲。「しこんのと」と読み、意味合いとしては「死者の同胞」と言う事で尸空のみならず「鬼宿」全体のテーマとも言える。
 +
:弦楽器の主旋律とバックコーラス、そしてAメロ~サビで入る低くしゃがれた声がダークで陰鬱な雰囲気をかもし出し、尸逝天のデザインと本人の抑揚のない台詞とあいまって異様に不気味。
  
== [[BGM|機体BGM]] ==
+
== 対決・名場面 ==
;「尸魂の徒」
 
:
 
== 対決・名場面など ==
 
 
;死を招くモノ
 
;死を招くモノ
 
:時獄篇エピローグより。[[エタニティ・フラット]]の崩壊を見届けるべく地球近海に戻ったZ-BLUEの前に、突如として謎の巨大兵器が現れる。あまりにも有機的な、あまりにも不気味なその姿に一同が息を呑む中、その兵器を駆る男、「沈黙の巨蟹」のスフィア・リアクターが動き出す。
 
:時獄篇エピローグより。[[エタニティ・フラット]]の崩壊を見届けるべく地球近海に戻ったZ-BLUEの前に、突如として謎の巨大兵器が現れる。あまりにも有機的な、あまりにも不気味なその姿に一同が息を呑む中、その兵器を駆る男、「沈黙の巨蟹」のスフィア・リアクターが動き出す。
:時間にして僅かな交戦を経た後、彼は言う。「お前達は弱くはない。だが、それゆえに滅びる事になる」と、まるで未来を知っているかのような不気味な言葉を残し、死を招く巨蟹は姿を消す。そして、崩壊を始めた時の牢獄。だが、砕け散った空間の壁、その向こうには、緑をまとうもう一つの地球が輝いていた。あたかも、時獄の先に待っているモノのように……。
+
:時間にして僅かな交戦を経た後、彼は言う。「お前達は弱くはない。だが、それゆえに滅びる事になる」と、まるで未来を知っているかのような不気味な言葉を残し、死を招く巨蟹は姿を消す。そして、崩壊を始めた時の牢獄。だが、砕け散った空間の壁、その向こうには、[[ミドリの星|翠を纏うもう一つの地球]]が輝いていた。あたかも、時獄の先に待っているモノのように…。
<!-- == 関連機体 == -->
+
 
<!-- == 余談 == -->
+
== 関連生物 ==
 +
;[[尸冥爪]]
 +
:鬼宿の人間が操る、尸逝天の子供に外装や武装を取り付けたもの。尸刻の専用体「絶」は外装が黒く、その個体が尸刻に懐いている為量産機を凌駕する戦闘力を発揮する。
 +
:子供なので、成長すると尸逝天になると思われる。
 +
 
 +
== 余談 ==
 +
*デザインモチーフはそのまんま「'''カニ'''」。[[スタッフ:寺田貴信|寺田貴信]]P曰く、「'''ラスボスのデザインとしてどこまでカニっぽさを出すか葛藤があった'''」とのこと<ref>『第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇 パーフェクトバイブル』638頁。</ref>。ベースデザインは「カブトガニ」と思われる(カブトガニは正確にはクモやサソリの仲間であり、蟹ではないが)。
 +
*一見すると他のスフィア搭載機と違い、スフィアの星座とは無関係な名前に思えるが、尸逝天の場合は少々捻られている。尸空の持つ「沈黙の巨蟹」はかに座のスフィアであるが、中国の思想においてかに座の中心領域「鬼宿」は、死者の魂が集う場所とされている。名前の由来はこれであり、つまり「死者の魂が集う星座」→「死者の集う天」→「『尸』の『逝』く『天』」→「尸逝天」というわけである。
 +
 
 +
== 脚注 ==
 +
<references />
 +
 
 
{{バンプレストオリジナル}}
 
{{バンプレストオリジナル}}
 
{{DEFAULTSORT:しせいてん}}
 
{{DEFAULTSORT:しせいてん}}

2021年12月29日 (水) 19:28時点における最新版

尸逝天は『第3次スーパーロボット大戦Z』の登場メカ

尸逝天
読み しせいてん
登場作品

バンプレストオリジナルZシリーズ

デザイン 土屋英寛
初登場SRW 第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
SRWでの分類 機体
テンプレートを表示
スペック
分類 生物(スフィア寄生体
全長 244.9m
重量 12000.0t
動力 スフィア「沈黙の巨蟹」
所属 サイデリアル鬼宿
パイロット 尸空
テンプレートを表示

概要編集

尸空が所有・搭乗する巨大生物の死骸。サイデリアルの一部隊「鬼宿」の隊長機である。「沈黙の巨蟹」のスフィアを宿しており、それに依拠する凄まじい火力による広域殲滅を得意とする。

首長竜の化石を模した尾部、「沈黙の巨蟹」を内蔵した巨大なドクロのような背部ユニットと無数のトゲ、肩に当たる部分とその上部、頭部とその側面に存在する合計7つの牙だらけのアギト、甲殻類を思わせる腹部、とその不気味さやおぞましさはアリエティス以上。特徴的な7つのアギトは、まるで生物の頭骨から口の部分だけ持ってきたような形をしており、目に当たる部分が存在しない。

その正体は、生と死との狭間に存在し、その境界を渡るという伝説の生物の死骸。背部のコブ状の部分に「沈黙の巨蟹」が寄生しており、その力によって「死んでも生きている」という理を超越した存在である。生きながらにして「消滅しようとする力」を司る一族・鬼宿の至宝にして、代々の総領が受け継いできた由緒正しい生き物(?)であり、現在の総領である尸空が所有している。

最終的には天獄戦争終盤にラース・バビロンZ-BLUEに敗北し、かねてからの取り決めに従い、ヴィルダークに力を渡すため尸空の手で自壊。「沈黙の巨蟹」を残して因果地平の彼方へと旅立った。

登場作品と操縦者編集

Zシリーズ編集

第3次スーパーロボット大戦Z時獄篇
初登場作品。アイコンだけは「ラスト・デイ」で見られるが、実際に戦えるシナリオはエピローグのみ。4ターン目の冒頭に撤退してしまうが、1ターン目から動き出すため撃墜は楽。少なくともガドライトジェミニアアンチスパイラルグランゼボーマに比べれば楽といえる。ただし耐久力はジェミニアに匹敵し、瀕死時の尸逝天の装甲は4572と旧シリーズのボス並みに達する。
今回は手加減しているため、「骸怨」と「尸獄門」しか武装がない。それでも尸空の特殊スキル「精密攻撃」のおかげで最大火力は高いので注意。
第3次スーパーロボット大戦Z連獄篇
単体攻撃「鬼光衝」が解禁。中盤から何度か顔を出すが、基本的に倒すことは出来ない。その代わりSRポイントの条件になるためHP回復が無い。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
MAP兵器「霊鳴」と最強技「冥逝孔」が解禁。プロローグ2から登場するが、最速の直接対決は13話からとなる。尸空共々本気を出したという事か、今までとは比較にならない強さを発揮してZ-BLUEに襲いかかってくる。MAP兵器2つ、全体攻撃2つと設定通りに広域殲滅に特化した機体であり、しかも尸空が3回行動持ち&エースボーナスが発動すれば「必中」がかかる為、手番を回せば複数のチームが消し飛ばされかねない。また、尸空が「精密攻撃」を失った事で最大火力こそ低下したが、代わりに得た新たな特殊スキル「プレッシャー」によって攻防共に隙が無い。救いはスフィア・アクトが敵のスフィア搭載機の中では大人しい事か。
ちなみに図鑑では所有者が「尸刻」と誤記されている。

装備・機能編集

武装・必殺武器編集

骸怨(がいえん)
自機中心型、識別無効のマップ兵器。怨霊を解き放って取り憑かせ、力を奪う。必要気力が130なので、これを撃つということは「極」が乗っていることになる。
霊鳴(れいめい)
方向指定型、識別無効のマップ兵器。死の稲妻で前方を薙ぎ払う。気力低下効果があるため骸怨より危険。
鬼光衝(きこうしょう)
唯一の単体攻撃。死の力をエネルギーボールに変え、相手目掛けて叩き付ける。尸冥爪も同様の技が使えるが、向こうと違い無数に撃てる。思考ルーチンの問題で反撃時にはこればかり撃ってくる。
尸獄門(しごくもん)
全体攻撃。「絶・陰・亜・業・獄・終」の歌で「沈黙の巨蟹」を起動、ブレスを放って敵を消滅させる。
冥逝孔(めいせいこう)
「宿・真・零・界」の歌によって「沈黙の巨蟹」の力を解放し、虚無の領域に相手を飲み込み、巨大な蛇の様な禍々しい姿へと変貌した尸逝天で突撃し相手を喰らい尽くす。
全体攻撃かつ「能力半減」の追加効果がある為、直撃すると非常に危険。P属性つきだが射程2~4、尸逝天は移動力7で尸獄門の最大射程が11なので、11マス以内にいると尸獄門を撃ってくる、射程外にいるとよってきても冥逝孔が射程外、ということでほとんど見る機会がない。至近にユニットがいるとたまにEPで使用してくる。

特殊能力編集

HP回復(中)
スフィアの力と本体の特性によりダメージが回復する。連獄篇ではオミット。
EN回復(大)
スフィアの力によってエネルギーが回復する。
対精神攻撃
装甲・運動性低下は効くので、装甲ダウンを狙うのがいい。
スフィア・アクト(沈黙の巨蟹)
気力130以上で発動。「沈黙の巨蟹」の力を行使し、10マス以内のPCユニットのSP回復を無効化する。自動回復のみならず「イノベイター」「SP回復」や、歌・パーツによる回復も無効になる。これでもサイデリアルのスフィア搭載機の中ではまだ大人しいのが恐ろしいところだが。
天獄篇では気力制限が10上がっている。

移動タイプ編集

飛行可能。かに座の機体ゆえか水中戦も得意な様子。この図体で海に潜るとえらいことになりそうな気もするが。

サイズ編集

2L
200m越えなので戦艦なみにデカい。次点のジ・インサーは110mであるため倍以上の差があることになるが、プレイアデス・タウラはさらに倍以上デカい

機体BGM編集

「屍魂の徒」
尸空専用曲。「しこんのと」と読み、意味合いとしては「死者の同胞」と言う事で尸空のみならず「鬼宿」全体のテーマとも言える。
弦楽器の主旋律とバックコーラス、そしてAメロ~サビで入る低くしゃがれた声がダークで陰鬱な雰囲気をかもし出し、尸逝天のデザインと本人の抑揚のない台詞とあいまって異様に不気味。

対決・名場面編集

死を招くモノ
時獄篇エピローグより。エタニティ・フラットの崩壊を見届けるべく地球近海に戻ったZ-BLUEの前に、突如として謎の巨大兵器が現れる。あまりにも有機的な、あまりにも不気味なその姿に一同が息を呑む中、その兵器を駆る男、「沈黙の巨蟹」のスフィア・リアクターが動き出す。
時間にして僅かな交戦を経た後、彼は言う。「お前達は弱くはない。だが、それゆえに滅びる事になる」と、まるで未来を知っているかのような不気味な言葉を残し、死を招く巨蟹は姿を消す。そして、崩壊を始めた時の牢獄。だが、砕け散った空間の壁、その向こうには、翠を纏うもう一つの地球が輝いていた。あたかも、時獄の先に待っているモノのように…。

関連生物編集

尸冥爪
鬼宿の人間が操る、尸逝天の子供に外装や武装を取り付けたもの。尸刻の専用体「絶」は外装が黒く、その個体が尸刻に懐いている為量産機を凌駕する戦闘力を発揮する。
子供なので、成長すると尸逝天になると思われる。

余談編集

  • デザインモチーフはそのまんま「カニ」。寺田貴信P曰く、「ラスボスのデザインとしてどこまでカニっぽさを出すか葛藤があった」とのこと[1]。ベースデザインは「カブトガニ」と思われる(カブトガニは正確にはクモやサソリの仲間であり、蟹ではないが)。
  • 一見すると他のスフィア搭載機と違い、スフィアの星座とは無関係な名前に思えるが、尸逝天の場合は少々捻られている。尸空の持つ「沈黙の巨蟹」はかに座のスフィアであるが、中国の思想においてかに座の中心領域「鬼宿」は、死者の魂が集う場所とされている。名前の由来はこれであり、つまり「死者の魂が集う星座」→「死者の集う天」→「『尸』の『逝』く『天』」→「尸逝天」というわけである。

脚注 編集

  1. 『第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇 パーフェクトバイブル』638頁。