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== 概要 ==
 
== 概要 ==
ジオニック社が開発した[[ジオン公国軍]]の陸戦用[[量産型]][[モビルスーツ]]。
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[[ジオン公国軍]][[モビルスーツ]]。
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[[ザクII]]を基にしているために全体的なフォルムは似ているが機体構造を陸戦用に最適化、装甲や運動性が強化され武装も[[白兵戦]]を重視した固定装備の物を採用している。また、頭部にはブレードアンテナが標準装備されている。基本性能は高く、まさに「'''ザクとは違う'''」機体であるが、汎用性に欠けるためパイロットを選ぶ傾向にある。大気圏内の戦闘ではド・ダイYSを用いた空中戦も展開した。
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劇中([[一年戦争]])では、「青い巨星」の異名を持つ[[ランバ・ラル]]大尉の乗機が活躍する事になる。
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劇中では[[ランバ・ラル]]が先行量産型(YMS-07B)に搭乗し、[[ホワイトベース]]に攻撃を仕掛けたが、[[アムロ・レイ]]の[[ガンダム]]によって撃破されている。その後、[[量産型]]であるMS-07Bが登場したが、ラルほどホワイトベース隊を苦しめた者はおらず、終いには[[コアファイター]]のミサイル連射だけで爆発した機体もあった。
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=== 機体概要 ===
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ジオン公国のジオニック社が、[[ザク|ザクIIJ型]]をベースに開発した[[量産型]]モビルスーツ。一年戦争時の地球侵攻作戦の初期にて制圧したキャリフォルニア・ベースにて開発が行われ、全体的なフォルムはベース機に似通っているが、機体構造を陸戦仕様であるザクIIJ型よりも更に陸戦用へ最適化されており、頭部にはザクIIの指揮官仕様と同様の通信能力強化を目的としたブレードアンテナが標準装備されている。また、[[地球連邦軍]]側が鹵獲したザクIIを戦力に取り入れる形で反撃に転じる様になった事から、将来的にモビルスーツ同士による戦闘が主流となる事も予想された結果、対モビルスーツ戦も想定されたコンセプトとなり、装甲や運動性を強化されている。背部のランドセルは、高機動型試験機の開発データが取り込まれており、優れたジャンプ性能も発揮可能。
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武装面においてはも[[白兵戦]]を重視した固定装備の物を採用しており、左前腕部にはマニピュレーター五本の先端部を砲身とした「75mm5連装フィンガーバルカン」、右前腕部には高電圧によって相手モビルスーツの伝送系のみならずパイロットにもダメージを与える鞭状の武器である「ヒート・ロッド」といった特殊装備を備えており、手持ちの武装としては大型のシールドと刀剣状の格闘兵装である「ヒートサーベル」を用いる。
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基本性能の高さからも、まさに「'''ザクとは違う'''」機体であるのだが、製造コストがザクIIに比べて高騰化してしまっており、更には固定武装を導入してしまった事でモビルスーツ本来の特徴である汎用性に欠けてしまう機体となってしまった結果、エースパイロットクラス…それも格闘戦に秀でた能力を備えたパイロットでなければまともに扱えない代物となってしまった。そして連邦軍の大反抗作戦である「オデッサ作戦」が展開された後は、製造を行っていたキャリフォルニア・ベースが奪還された結果、生産ラインも大幅に縮小を余儀無くされてしまい、ホバー走行式による優れた機動力を備えたツィマッド社製モビルスーツである[[ドム]]が実戦投入されてからは、陸戦主力モビルスーツの座を奪われる事になった。
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なお、製造された機体の中には従来のマニピュレーターに換装しザク・マシンガンやザク・バズーカ、ヒート・ホークを武器として扱う機体も存在しており、劇中に登場しないものの[[マ・クベ]]大佐の専用仕様となっている機体も存在する。また、汎用性を損ねたが故に搭乗者を選ぶ機体となってしまったグフを惜しんでいた技術者もいた様で、本機のマニピュレーターを通常のモビルスーツの物へ換装し、武装や運動性、機動力も改良させた改修仕様機である[[グフカスタム]]も開発され、一年戦争の後期に実戦投入されている。一方、軽量な機体である本機をベースにする形で重力下での飛行可能なモビルスーツの開発計画も検討されているが、地上戦仕様であった機体を飛行用に転用してもうまくいくはずもなく、「実験機」の域を出ないままで終わっている。
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=== 劇中の様相 ===
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[[ホワイトベース]]が地球へと降下し、北米で[[ガルマ・ザビ]]大佐が戦死した後、[[ドズル・ザビ]]中将によりホワイトベース隊の打倒を命じられたランバ・ラル大尉が先行量産型(YMS-07B)を受領。本機に搭乗してホワイトベースに攻撃を仕掛けたが、最初の戦いでは対峙する[[ガンダム]]にラル家と深い関わりのあったダイクン家の遺児である[[セイラ・マス|アルテイシア・レム・ダイクン]]が搭乗していたという予想外の事態により撤退。二度目の戦いでは、[[アムロ・レイ]]の[[ガンダム]]との一騎打ちを展開し、最終的には撃破されているものの、搭乗者のラル大尉は後退するガンダムにワイヤーを投げて引っ掛け、脱出に成功している。
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その後、[[量産型]]であるMS-07Bが登場する事になり、マ・クベ大佐の傘下として8機のグフが投入された事もあり、大気圏内の戦闘ではド・ダイYSに搭乗した3機のグフを用いた空中戦も展開している。しかし、クセの強い性能な上にどちらかといえばエースパイロット仕様の機体であった為、ラル大尉程ホワイトベース隊を苦しめた者は出ておらず、アムロのガンダムや[[ハヤト・コバヤシ]]の[[ガンキャノン]]に撃破されたり、終いには[[コアファイター]]のミサイル連射だけで爆発した機体もあった。
    
== 登場作品と操縦者 ==
 
== 登場作品と操縦者 ==
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=== [[合体攻撃]] ===
 
=== [[合体攻撃]] ===
 
;青き双璧
 
;青き双璧
:[[ランバ・ラル]]搭乗時に使用できる[[ノリス・パッカード]]の[[グフカスタム]]との合体攻撃。『[[スーパーロボット大戦XO|XO]]』で実装。
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:[[ランバ・ラル]]搭乗時に使用できる[[ノリス・パッカード]]の[[グフカスタム]]との合体攻撃。ラル機のヒートロッドとノリス機のヒートサーベルで順に攻撃。『[[スーパーロボット大戦XO|XO]]』で実装。
 
;ランバ・ラル隊
 
;ランバ・ラル隊
:[[ランバ・ラル]]搭乗時に使用できる[[アコース]]の[[ザク]]、[[コズン・グラハム]]の[[ザク]]との合体攻撃。『XO』で実装。
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:[[ランバ・ラル]]搭乗時に使用できる[[アコース]]の[[ザク]]、[[コズン・グラハム]]の[[ザク]]との合体攻撃。アコース機がマシンガンで牽制後、コズン機のヒートホークとラル機のヒートサーベルによる連続攻撃。『XO』で実装。
 
;デザート・ストーム
 
;デザート・ストーム
:[[ランバ・ラル]]搭乗時に使用できる[[ノリス・パッカード]]の[[グフカスタム]]、[[デザート・ロンメル]]の[[ドライセン]]との合体攻撃。『[[スーパーロボット対戦]]』で実装。
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:[[ランバ・ラル]]搭乗時に使用できる[[ノリス・パッカード]]の[[グフカスタム]]、[[デザート・ロンメル]]の[[ドライセン]]との合体攻撃。ノリス機のヒートサーベル、ラル機のヒートロッド、ロンメル機のビームトマホークで順に攻撃する。『[[スーパーロボット対戦]]』で実装。
    
=== [[特殊能力]] ===
 
=== [[特殊能力]] ===
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:東アジアにて、[[ガンダム]]不在の[[ホワイトベース]]を襲撃する[[ランバ・ラル]]隊。そこに[[アムロ・レイ]]の[[ガンダム]]が現れ、ラルのグフと激突する。『[[機動戦士ガンダム]]』でも屈指の名戦闘シーンであり、雑誌の記事などでもこのシーンが紹介される事は少なくない。
 
:東アジアにて、[[ガンダム]]不在の[[ホワイトベース]]を襲撃する[[ランバ・ラル]]隊。そこに[[アムロ・レイ]]の[[ガンダム]]が現れ、ラルのグフと激突する。『[[機動戦士ガンダム]]』でも屈指の名戦闘シーンであり、雑誌の記事などでもこのシーンが紹介される事は少なくない。
 
:一撃必殺の威力を持つ[[ビームサーベル]]を防ぐためグフの腕をガンダムの腕にぶつけサーベルを振り下ろせなくする、ビームライフルを最小限の機動だけで回避するなど決して性能頼りではない戦い方が印象的だった。
 
:一撃必殺の威力を持つ[[ビームサーベル]]を防ぐためグフの腕をガンダムの腕にぶつけサーベルを振り下ろせなくする、ビームライフルを最小限の機動だけで回避するなど決して性能頼りではない戦い方が印象的だった。
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:またラル隊撃破後も量産されたグフを用いる部隊とガンダムは何度か交戦しており、無名のパイロットが乗るグフがヒートロッドでガンダムの爪先を切り裂く・腹部に巻き付けて装甲を半壊させる<ref>ガンダムのコクピットは腹部にあるので、この時は一歩間違えばアムロが戦死していた可能性もあった。</ref>など損傷を与えており、近接戦におけるグフは強敵として描写されることが多かった。
 
:なお雑誌『冒険王』で連載された漫画版では、ガンダムは'''ヒートロッドを掴んでグフごと振り回し別のグフに叩き付けてラル隊を半壊させた'''。
 
:なお雑誌『冒険王』で連載された漫画版では、ガンダムは'''ヒートロッドを掴んでグフごと振り回し別のグフに叩き付けてラル隊を半壊させた'''。
 
;対[[ガンダム+Gファイター]]
 
;対[[ガンダム+Gファイター]]
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**『機動戦士ガンダム』では当初ザク以外のMSを出さない方針(「現実的に考えると新型が次から次へと登場するのはおかしい」というスタッフの認識から)であったが、スポンサーからの要望で新型MSを出す事となった経緯が有る。ついでに、あの[[ランバ・ラル]]の「ザクとは違う」の台詞も、そのあたりの事情を反映した台詞だったりする。
 
**『機動戦士ガンダム』では当初ザク以外のMSを出さない方針(「現実的に考えると新型が次から次へと登場するのはおかしい」というスタッフの認識から)であったが、スポンサーからの要望で新型MSを出す事となった経緯が有る。ついでに、あの[[ランバ・ラル]]の「ザクとは違う」の台詞も、そのあたりの事情を反映した台詞だったりする。
 
**更に言うなら『グフ』という名前も登場当初は決まっておらず、ただ「新型」と呼ばれるばかりで、作中ではなかなか名前が登場しなかった。それどころか[[クランプ]]から、ザク2機と合わせて「'''3機のザク'''」と呼ばれているシーンまである。
 
**更に言うなら『グフ』という名前も登場当初は決まっておらず、ただ「新型」と呼ばれるばかりで、作中ではなかなか名前が登場しなかった。それどころか[[クランプ]]から、ザク2機と合わせて「'''3機のザク'''」と呼ばれているシーンまである。
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*絵本版『機動戦士ガンダム』では、なんと'''シャア専用グフ'''も登場しており、'''機体のカラーリングは言わずもがな「赤」である'''。
 
*[[セガサターン]]の3Dアクションゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』(SRW未参戦)では、なんと'''跳び蹴り'''という男気溢れる手段で攻撃してくる。これはヒートロッドが使えなくなった(おそらくハードの制約)ので、苦肉の策で用意されたとの事。
 
*[[セガサターン]]の3Dアクションゲーム『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』(SRW未参戦)では、なんと'''跳び蹴り'''という男気溢れる手段で攻撃してくる。これはヒートロッドが使えなくなった(おそらくハードの制約)ので、苦肉の策で用意されたとの事。
*実写[[プレイステーション|PS]]用[[コンピュータゲーム|ソフト]]『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』では「'''灰色がかった銀色のグフ'''が、[[主人公]](プレイヤー)の駆るガンダムの前に立ちはだかる」という場面が有る。
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*[[実写]][[プレイステーション|PS]]用[[コンピュータゲーム|ソフト]]『GUNDAM 0079 THE WAR FOR EARTH』では「'''灰色がかった銀色のグフ'''が、[[主人公]](プレイヤー)の駆るガンダムの前に立ちはだかる」という場面が有る。
**ちなみに、このグフの[[パイロット]]の名前はランバ・ラル…ではなく「ブラクシス」。いわば、彼はラルの[[代役]]である。
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**ちなみに、このグフの[[パイロット]]の名前はランバ・ラル…ではなく「ブラクシス」。いわば、彼はラルの[[代役]]である。なお、担当声優は[[声優:飯塚昭三|飯塚昭三]]氏であり、モブキャラながら氏の熱演でスーパーロボット物の悪役チックな迫力がある。
 
*岡崎優氏による[[漫画]]版では原作よりも早い段階で量産化され[[ランバ・ラル隊]]に8機が配属されていたが、ガンダムと数度の戦いを経て全て撃破されている。
 
*岡崎優氏による[[漫画]]版では原作よりも早い段階で量産化され[[ランバ・ラル隊]]に8機が配属されていたが、ガンダムと数度の戦いを経て全て撃破されている。
 
**その際はガンダムにヒートロッドで攻撃したら、'''それを掴んで振り回された挙げ句に別のグフに叩き付けられる'''という無惨なやられ方をした機体もあった。
 
**その際はガンダムにヒートロッドで攻撃したら、'''それを掴んで振り回された挙げ句に別のグフに叩き付けられる'''という無惨なやられ方をした機体もあった。
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