差分

36 バイト追加 、 2024年2月28日 (水)
脱字らしき箇所を修正
21行目: 21行目:  
当初、「箱」の奪回とサイアムの暗殺計画は難度も持ち上がった。しかし、「箱」を手にしたサイアムの要求は連邦政府に些細な便宜を図らせるなどの政府の存続に影響のない程度であり、政府はリスクを負ってサイアムを消すよりも、主導権を握られた共生関係を続けて様子を見ることを選択。これによりサイアムは、田舎の新進企業であったアナハイムを苗床にしてビスト財団を巨大化させていった。
 
当初、「箱」の奪回とサイアムの暗殺計画は難度も持ち上がった。しかし、「箱」を手にしたサイアムの要求は連邦政府に些細な便宜を図らせるなどの政府の存続に影響のない程度であり、政府はリスクを負ってサイアムを消すよりも、主導権を握られた共生関係を続けて様子を見ることを選択。これによりサイアムは、田舎の新進企業であったアナハイムを苗床にしてビスト財団を巨大化させていった。
   −
しかし、言い換えればこの当時はまだ、「箱」の持つ力はその程度のものでしかなかった。レプリカにはない第七条碑文の存在は、リカルドの暗殺がジョルジュ政権によるものだというスキャンダルの動かぬ証拠だが、時が経って当事者がこの世を去れば、それは「だいぶ前の政権が起こした事件の遺物」でしかなくなる。だからこそ時と共に風化し、徐々に価値を失っていくはずだった「箱」だが、ジオン・ズム・ダイクンによって「宇宙に出た人間は、進化しうるといい、棄民たるスペースノイドこそがその魁である」というニュータイプ論、すなわちが世に出たことにより、スペースノイドの独立運動と合流し、ジオニズムという新たな主義を生み出したことで全てが変わってしまった。
+
しかし、言い換えればこの当時はまだ、「箱」の持つ力はその程度のものでしかなかった。レプリカにはない第七条碑文の存在は、リカルドの暗殺がジョルジュ政権によるものだというスキャンダルの動かぬ証拠だが、時が経って当事者がこの世を去れば、それは「だいぶ前の政権が起こした事件の遺物」でしかなくなる。だからこそ時と共に風化し、徐々に価値を失っていくはずだった「箱」だが、ジオン・ズム・ダイクンによって「宇宙に出た人間は、進化しうるといい、棄民たるスペースノイドこそがその魁である」というニュータイプ論、すなわち「宇宙に適応した新人類」が世に出たことにより、スペースノイドの独立運動と合流し、ジオニズムという新たな主義を生み出したことで全てが変わってしまった。
    
「新人類」の権利と政治への優先的介入を明記した「箱」の第七章碑文だが、この「宇宙に適応した新人類」というセンテンスが、よりによって反連邦のリーダーであるジオンその人によって唱えられた「ニュータイプ」と偶然一致してしまったことで、'''「地球連邦はジオニズムと同じ思想を持ち、新人類の発生を予見した上で、それを秘匿・否定していた」という事実が後付けで発生してしまったのである'''(わかりやすく言うと「連邦政府はスペースノイドの権利を認めるつもりがそもそもなかったんじゃないか」という疑惑に裏付けを与えてしまうのである)。もし「箱」の存在がジオニズム信奉者達に知れれば、彼らはその碑文を根拠に政治的権利を主張するのは必然であり、それを拒む連邦との間で激しい衝突が起こることも予想された。<ref>もっとも仮に秘匿されず正式に発表されていたとしても、ジオニズムが唱えられ広まった時点で同じ問題が発生するのは明らかである。</ref>何よりも「存在を知りながら隠し続けた」という事実が、連邦の政治的・思想的な不正義を証明する口実として使われるのは明白であり、連邦政府は沈黙し、秘匿し続けるしか道がなかった。
 
「新人類」の権利と政治への優先的介入を明記した「箱」の第七章碑文だが、この「宇宙に適応した新人類」というセンテンスが、よりによって反連邦のリーダーであるジオンその人によって唱えられた「ニュータイプ」と偶然一致してしまったことで、'''「地球連邦はジオニズムと同じ思想を持ち、新人類の発生を予見した上で、それを秘匿・否定していた」という事実が後付けで発生してしまったのである'''(わかりやすく言うと「連邦政府はスペースノイドの権利を認めるつもりがそもそもなかったんじゃないか」という疑惑に裏付けを与えてしまうのである)。もし「箱」の存在がジオニズム信奉者達に知れれば、彼らはその碑文を根拠に政治的権利を主張するのは必然であり、それを拒む連邦との間で激しい衝突が起こることも予想された。<ref>もっとも仮に秘匿されず正式に発表されていたとしても、ジオニズムが唱えられ広まった時点で同じ問題が発生するのは明らかである。</ref>何よりも「存在を知りながら隠し続けた」という事実が、連邦の政治的・思想的な不正義を証明する口実として使われるのは明白であり、連邦政府は沈黙し、秘匿し続けるしか道がなかった。
2,263

回編集