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「'''[[赤い彗星]]'''」の異名を持つ、[[一年戦争]]時より[[ジオン公国軍]]で活躍し続け、生きた伝説と化したエースパイロット。
 
「'''[[赤い彗星]]'''」の異名を持つ、[[一年戦争]]時より[[ジオン公国軍]]で活躍し続け、生きた伝説と化したエースパイロット。
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一年戦争後は'''クワトロ・バジーナ'''を名乗って[[エゥーゴ]]の指導者として[[グリプス戦役]]で活躍し、その後は[[ネオ・ジオン]]の総帥となって[[第2次ネオ・ジオン抗争]]を引き起こし、自らの最大の宿敵・[[アムロ・レイ]]との壮絶な戦いを繰り広げる。
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一年戦争から7年後に'''クワトロ・バジーナ'''を名乗って[[エゥーゴ]]の指導者として[[グリプス戦役]]でティターンズに致命的なダメージを与えて行方を眩ませ、6年後に[[ネオ・ジオン]]の総帥となってシャアの反乱([[第2次ネオ・ジオン抗争|第2次ネオ・ジオン抗争)]]を引き起こし、自らの最大の宿敵・[[アムロ・レイ]]との壮絶な戦いを繰り広げた。
    
その正体は、かつて[[スペースノイド]]の解放を説いたジオン・ズム・ダイクンの長男で、本名は'''キャスバル・レム・ダイクン'''。
 
その正体は、かつて[[スペースノイド]]の解放を説いたジオン・ズム・ダイクンの長男で、本名は'''キャスバル・レム・ダイクン'''。
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物語の序盤では、ジオン時代からの部下である[[アポリー・ベイ]]、[[ロベルト (ガンダム)|ロベルト]]の二人と共に[[ガンダムMk-II]]奪取作戦を遂行して、コロニー「[[グリーンノア]]」に潜入するも、その時に出会った[[カミーユ・ビダン]]のニュータイプの素養に早くから注目し、様々な面で面倒を見る事になる。
 
物語の序盤では、ジオン時代からの部下である[[アポリー・ベイ]]、[[ロベルト (ガンダム)|ロベルト]]の二人と共に[[ガンダムMk-II]]奪取作戦を遂行して、コロニー「[[グリーンノア]]」に潜入するも、その時に出会った[[カミーユ・ビダン]]のニュータイプの素養に早くから注目し、様々な面で面倒を見る事になる。
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当初はパイロットに徹していたが、かつての[[ライバル]]だったアムロとの再会、[[パプテマス・シロッコ]]の出現、ブレックスの死を経た事で、なし崩し的にエゥーゴの中心人物となり、[[ダカール演説]]によって自らの素性を明かした上でティターンズを糾弾する。その後も、パイロットと同時にエゥーゴの指導者としても活躍する事になるが、ミネバを傀儡の指導者にしたハマーンに激昂した後に[[コロニーレーザー]]の「グリプス2」を潰す為に頭を下げざるを得なくなったり、一方的な失望と共にティターンズへ寝返った[[レコア・ロンド]]には罵られ、シロッコには「ニュータイプのなり損ない」とまで見下される等、精神的な重圧や苦悩に見舞われる事も多くなる。
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当初はパイロットに徹していたが、かつての[[ライバル]]だったアムロとの再会、[[パプテマス・シロッコ]]の出現、ブレックスの死を経た事で、なし崩し的にエゥーゴの中心人物となり、[[ダカール演説]]によって自らの素性を明かした上でティターンズを糾弾。U.C.0097を描いたアニメ『[[機動戦士ガンダムNT]]』では、回想シーンで、新規収録されたダカール演説の映像が挿入された。
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[[ジャミトフ・ハイマン]]の死後となるグリプス2争奪戦において、[[百式]]でシロッコの駆る[[ジ・O]]やハマーンの駆る[[キュベレイ]]と戦う事になるも、モビルスーツの圧倒的な性能差によって苦戦を強いられる事が多く、最終的には大破した戦艦内でのハマーンのキュベレイとの戦いの最中、戦艦の爆発に巻き込まれて行方不明となる。
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民意が反ティータンズへと傾いた後も、パイロットと同時にエゥーゴの指導者としても活躍する事になるが、ミネバ・ラオ・ザビを傀儡の指導者にしたハマーンに激昂した後に[[コロニーレーザー]]の「グリプス2」を潰す為に頭を下げざるを得なくなったり、一方的な失望と共にティターンズへ寝返った[[レコア・ロンド]]には罵られるなど、精神的な重圧や苦悩に見舞われる事も多くなる。
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[[ジャミトフ・ハイマン]]の死後となるグリプス2争奪戦において、[[百式]]でシロッコの駆る[[ジ・O]]やハマーンの駆る[[キュベレイ]]と戦う事になるも、モビルスーツの圧倒的な性能差によって苦戦を強いられるが見事に陽動を果たし、最終的にティターンズ艦隊に致命的な一撃を与える。そして、中破した百式を駆り、ハマーンのキュベレイとの戦いの最中、戦艦の爆発に巻き込まれて行方不明となる。
    
本作では、序盤は専用カラーに塗られた[[リック・ディアス]]に搭乗し、一時は改修し白のカラーで塗られたガンダムMk-IIにも搭乗。その後は金色のモビルスーツである百式に乗り換えて多大な戦果を挙げているのだが、この当時、モビルスーツの性能には激しいインフレが生じていた故に、グリプス戦役の終盤にはモビルスーツの性能差によって追い込まれる事も少なくなかった。
 
本作では、序盤は専用カラーに塗られた[[リック・ディアス]]に搭乗し、一時は改修し白のカラーで塗られたガンダムMk-IIにも搭乗。その後は金色のモビルスーツである百式に乗り換えて多大な戦果を挙げているのだが、この当時、モビルスーツの性能には激しいインフレが生じていた故に、グリプス戦役の終盤にはモビルスーツの性能差によって追い込まれる事も少なくなかった。
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エンディングクレジットは[[主人公]]のカミーユを差し置いて一番上で、名前も'''シャア・アズナブル'''となっている。(余談だが、設定資料や本編での小杉十郎太氏によるナレーションでも一貫して“シャア・アズナブル”として扱われている。“クワトロ”と呼ばれるようになったのは後年のゲーム作品などの影響が大きい)。カミーユがトップクレジットになったのは劇場版2作品目からとかなり後年になってからである。また、SRWシリーズでは終始カミーユと共に前線で戦い続けているイメージがあるが、カミーユを残し先に宇宙に上がってしまったり、ブレックスに託されエゥーゴの中心人物になったので出撃を控えて欲しいと言われたり(ダカール演説後は特に)と、物語が後半になるにつれ戦闘に参加したくてもできない事が多くなっていった。
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エンディングクレジットは[[主人公]]のカミーユを差し置いて一番上で、名前も'''シャア・アズナブル'''となっている。設定資料や本編での小杉十郎太氏によるナレーションでも一貫して“シャア・アズナブル”として扱われている。“クワトロ”と呼ぶのは、後年のゲーム作品などが限定される。また、カミーユがトップクレジットになったのは劇場版2作品目からである。SRWシリーズでは終始カミーユと共に前線で戦い続けているイメージがあるが、カミーユを残し先に宇宙に上がってしまったり、ブレックスに託されエゥーゴの中心人物になったので出撃を控えて欲しいと言われたり(ダカール演説後は特に)と、物語が後半になるにつれ戦闘に参加したくてもできない事が多くなっていった。
 
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ゲームや外伝作等では、生存直後のクワトロの姿が描かれており、残骸となった百式のコックピットから出てカミーユの身に起きた悲劇を感じ取ったクワトロは、自らの信じようとして「人類の革新」に対し絶望。そして、その4年後にはネオ・ジオン総帥シャア・アズナブルとして起ち、アムロと雌雄を決する事になる。
      
==== [[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]] ====
 
==== [[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア]] ====
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ハマーンの死後、新たなネオ・ジオンを立ち上げたシャアは、依然地球にしがみつく人々の存在に絶望。人類の粛正を目論み、最初の段階として資源衛星である[[フィフス・ルナ]]を地球へと落とす作戦に出る。その際、自らの専用機である[[サザビー]]に搭乗したシャアは、因縁の宿敵であるアムロの駆る[[リ・ガズィ]]と交戦。モビルスーツの性能差もあって彼を圧倒し、最終的にはフィフス・ルナの落下に成功させる。
 
ハマーンの死後、新たなネオ・ジオンを立ち上げたシャアは、依然地球にしがみつく人々の存在に絶望。人類の粛正を目論み、最初の段階として資源衛星である[[フィフス・ルナ]]を地球へと落とす作戦に出る。その際、自らの専用機である[[サザビー]]に搭乗したシャアは、因縁の宿敵であるアムロの駆る[[リ・ガズィ]]と交戦。モビルスーツの性能差もあって彼を圧倒し、最終的にはフィフス・ルナの落下に成功させる。
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一方、アムロとの因縁に決着をつける為に、彼なりの美学からか「[[サイコフレーム]]」を[[アナハイム・エレクトロニクス|アナハイム]]へ横流しさせており、それが[[νガンダム]]の開発に繋がっている(小説『ハイ・ストリーマー』ではよく知られる「アムロと互角の条件で決着を付けるため」という理由の他に、「'''地球を潰す行為を行う事を恐れ、自身の行為をアムロに止めてもらうため'''」といった理由があった事がシャア自身の口から語られる)。また、『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン|ベルトーチカ・チルドレン]]』では、サイコフレームを搭載したサイコ・ドーガをわざと放棄し、アムロが回収するよう仕向けていた。これにより、アムロはサイコ・ギラ・ドーガのサイコフレームを[[Hi-νガンダム]]に搭載させた。
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一方、アムロとの因縁に決着をつける為に、対等な勝負を行った上で勝つという彼なりの美学からか「[[サイコフレーム]]」を[[アナハイム・エレクトロニクス|アナハイム]]へ横流しさせており、それが[[νガンダム]]の性能アップに繋がっている。また、小説『ハイ・ストリーマー』では、これはアムロに自分を止めて貰う為でもあったと補足された。また、『[[機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン|ベルトーチカ・チルドレン]]』では、サイコフレームを搭載したサイコ・ドーガをわざと放棄し、アムロが回収するよう仕向けていた。これにより、アムロはサイコ・ギラ・ドーガのサイコフレームを[[Hi-νガンダム|νガンダム]]に搭載させた。
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スウィートウォーターの住民達からは「スペースノイドの希望」と崇拝されている。かつて戦争難民だった住民たちは、圧政者たる地球連邦はもとより、'''[[ジオン公国]]以外のスペースノイドを軍に虐殺させたザビ家'''も嫌悪しており、「ジオン・ズム・ダイクンの遺児」というザビ家の被害者代表ともいえる肩書きが、彼らを引き付ける要素となったと思われる。一方、シャアを支持するスペースノイド達の中には、その影響力を利用して権力を手中に収めようとする俗物的な人間もいたが、シャアはそれを知りつつも、あえて彼等を利用する事で自らの目的を果たそうとする強かさも見せている。小説『ハイ・ストリーマー』は、映画の説明が足りなかった部分を補足しており、シャアの行動原理を詳細に描写。シャアがアクシズを落とす目的が「地球に無関心となったスペースノイドに、かの星が人類発祥の地であると思い出させる為」といった理由があった事がナナイの前でシャア自身の口から語られる。
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アクシズ落としが敢行される中、サザビーに搭乗してアムロの駆るνガンダムとの死闘を演じ、途中アクシズの坑道内で生身での銃撃戦も行いながら、再びモビルスーツでの戦いとなるが、最終的には敗北してサザビーからコックピット・カプセルが排出される。その際にアムロのニューガンダムにコックピット・カプセルを掴まれ、アクシズの地表に埋没させられる。そして最後は、νガンダムとカプセルから発したサイコフレームの光に巻き込まれる形でアムロと共に行方不明となる。その際、[[ナナイ・ミゲル]]が「大佐の命が…吸われていきます」と発していることから、サイコ・フレームにより意思を吸われ死亡したことが暗示されている。小説『ハイ・ストリーマー』においても、シャアが「サイコミュが、我々の意思を……」とサイコ・フレームにより自分とアムロの思惟が吸われていくことを説明している。
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[[機動戦士ガンダムUC]]
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逆襲のシャアから3年後を舞台にした小説で、1989年に発刊された小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』同様に、設定面ではシャアもアムロも既に死亡したことになっているが、劇中では、シャアもアムロも行方不明ということになっている。生前の本人でもあって本人でもないという量子的存在である残留思念の特性上、シャア・アズナブルの残留思念も本人ではなく本人であるという重ね合わせの状態で、強化人間[[フル・フロンタル]]の肉体に宿り、彼を動かしている。
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アニメ版では設定はほぼ変わりないが、イベント「赤の肖像」で、シャアが死亡し全体に溶けフル・フロンタルに憑依するまでが描写された。また、こちらでは終盤、アムロやララァと共に、シャアの残留思念が、フロンタルに憑依した自分の残留思念を迎えに来る様子が描かれている。
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スウィートウォーターの住民達からは「スペースノイドの希望」と崇拝されている。かつて戦争難民だった住民たちは、圧政者たる地球連邦はもとより、'''[[ジオン公国]]以外のスペースノイドを軍に虐殺させたザビ家'''も嫌悪しており、「ジオン・ズム・ダイクンの遺児」というザビ家の被害者代表ともいえる肩書きが、彼らを引き付ける要素となったと思われる。一方、シャアを支持するスペースノイド達の中には、その影響力を利用して権力を手中に収めようとする俗物的な人間もいたが、シャアはそれを知りつつも、あえて彼等を利用する事で自らの目的を果たそうとする強かさも見せている。
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==== [[機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ]] ====
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シャアの反乱から約10年が経過した世界を舞台とした小説となっており、シャア、アムロ双方が既に死亡したことが冒頭で語られている。よってシャアは出てこないが、シャアが生き返って人の思う事をしていると評される秘密結社のリーダー、マフティー・ナビーユ・エリンが登場する。正体はハサウェイ・ノアであった。またシャアの出した結論が、人類を産んだ地球を滅亡させてはならない、保全すべきという部分も語られた。
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アクシズ落としが敢行される中、サザビーに搭乗してアムロの駆るνガンダムとの死闘を演じ、途中で生身での戦闘も行いながら、再びモビルスーツでの戦いとなるが、最終的には敗北してサザビーから脱出。その際にアムロのニューガンダムにコックピットブロックを掴まれ、最後はアクシズを押し返そうとするνガンダムのサイコフレームの光に巻き込まれる形でアムロと共に行方不明となる。その際、[[ナナイ・ミゲル]]が「大佐の命が…吸われていきます」と発していることから'''サイコフレームの共振による何らかの影響で死亡した'''事が示唆されている。
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アニメ版では、ハウンゼン内で、ギギ・アンダルシアが見ているタブレットコンピューターのニュース映像で生前のシャアの姿が新しく描き起こされている。また、こちらではマフティー・ナビーユ・エリンはシャアの幽霊と噂されているという設定に変更となった。
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==== その後 ====
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小説『ガイア・ギア』ではアフランシに埋め込まれたセルチップの記憶として登場する。「赤の肖像」のシャアの独白によれば「アムロと共に、第二次ネオ・ジオン抗争終盤で、'''サイコフレームに命を吸われる形で死亡した'''」事になっていた。
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[[機動戦士ガンダムUC]]』の設定に準じる近年の作品の設定ではサザビー(とνガンダム)のコックピットはのちに無人の状態で発見されていることになっており、アムロともども'''真のニュータイプになった'''という描写がなされている。アニメ版UCではジオン共和国がシャアを模して作った強化人間[[フル・フロンタル]]の肉体に宿った自身の残留思念をアムロやララァと共に迎えに来る様子が描かれている。
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[[ガイア・ギア]]
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『[[機動戦士ガンダムNT]]』ではダカール演説の映像が挿入される。
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アムロやシャアが活躍した時代からおおよそ100年後を舞台にしており、どちらも既に死亡しているが、シャアは、自身の体細胞から作られたクローン人間アフランシ・シャアの深奥の意思として未だに存在し続けている。時折、アフランシへ語りかけるが、それは表層意思であるアフランシへと届くことはなかった。
    
===総評===
 
===総評===
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