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| ザクの装甲はガンダムの60mmバルカン砲で貫通させられる描写があるため「バルカンのような弱い武器でも余裕で貫通できてしまうほど貧弱」と勘違いされることが多いが、これは正確には「ガンダムのバルカンが弱い武器である」ということの方が間違い。ゲーム作品ではゲームバランスの都合上バルカンが弱武器扱いされることが多いことから広がった思い込みである。実際「ザクの装甲は連邦軍の装甲車両のバルカン砲程度なら弾き返せる」とする資料もあり、ガンダムのバルカンがそれより強かったというだけなのだ。 | | ザクの装甲はガンダムの60mmバルカン砲で貫通させられる描写があるため「バルカンのような弱い武器でも余裕で貫通できてしまうほど貧弱」と勘違いされることが多いが、これは正確には「ガンダムのバルカンが弱い武器である」ということの方が間違い。ゲーム作品ではゲームバランスの都合上バルカンが弱武器扱いされることが多いことから広がった思い込みである。実際「ザクの装甲は連邦軍の装甲車両のバルカン砲程度なら弾き返せる」とする資料もあり、ガンダムのバルカンがそれより強かったというだけなのだ。 |
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| + | === 劇中での様相 === |
| + | ==== [[機動戦士ガンダム]] ==== |
| + | 第1話より、「代表的な敵モビルスーツ」としてホワイトベース隊に所属する[[ガンダム|ガンダムRX-78-2]]を始めとするモビルスーツと戦いを繰り広げる。 |
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| + | [[一年戦争]]の継続中となる[[宇宙世紀]]0078年の9月18日。ジオン公国軍に所属する[[デニム]]、[[ジーン (機動戦士ガンダム)|ジーン]]の二人が搭乗する2機のザクが、連邦軍の「[[V作戦]]」によって開発されたモビルスーツの存在するサイド7のコロニーに潜入し破壊活動を行うが、生き延びる為にガンダムに搭乗したテム・レイ博士の息子である[[アムロ・レイ]]によって、功を焦って攻撃を仕掛けたジーンのザクがガンダムのビームサーベルによって真っ二つにされる形で撃破。それに激怒したデニムのザクも、ガンダムのビームサーベルによってコックピットを貫かれる形で撃破される。これが「[[宇宙世紀]]史上初のモビルスーツ同士の戦い」となった。 |
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| + | その後も、劇中の序盤こそアムロ達がモビルスーツでの戦闘に不慣れであった事もあって苦戦させる展開もあったのだが、新型モビルスーツである[[グフ]]や[[ドム]]が配備された事もあってか、[[オデッサ|オデッサ作戦]]の時期になると次第に劣勢を見せる展開が多くなり、所謂「やられメカ」としての存在感が定着していく事になる。ガンダムの量産型となる[[ジム]]が本格的に連邦軍で配備され、戦いが宇宙を中心となって以降は、その傾向が更に強まっていく事になり、主力機は宇宙用のドムである[[リック・ドム]]や[[ゲルググ]]に置き換えられるかと思われたのだが、外伝作等においては古参のモビルスーツパイロット達からはそれらの新型機よりも旧型のザクの方が扱いやすいという理由から、変わらず乗り続けられたとされており、逆に新型機の方は、名の通ったエースパイロットやモビルスーツでの戦闘経験が殆ど無い学徒動員兵達が中心に運用されたとされている。 |
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| + | ==== その後 ==== |
| + | 一年戦争中にザクIを含めて'''約8000機'''も量産されており、これを超える形で量産されたモビルスーツは現在の所確認されていない。それ故に、戦争終結後では連邦軍でモビルスーツの操縦訓練用として運用されている機体や作業用モビルスーツとしてコロニーの民間公社に払い下げとなった機体もある。一方、地球や宇宙に残留する[[ジオン公国軍#旧ジオン軍の残党|ジオン残党軍]]でも多数の機体が運用されており、また地球に野晒しで残された機体の何機かが、ジオンとは全く関係の無い反地球連邦を掲げる[[テロリスト]]や[[海賊]]にまで渡っており、様々な混乱を招いている。 |
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| + | しかし、『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』の劇中となる[[第1次ネオ・ジオン抗争]]の時期になると、現存する機体の数はかなり減ったらしく、特に初期型に関しては[[スペースノイド]]のジャンク屋やモビルスーツコレクター達の間ではプレミア価格の付くモビルスーツとして扱われており(プロトタイプに当たるザクIはそれを更に上回る)、高値で取引されている模様。その一方、モビルスーツの絶対数が少ない為なのか、アクシズでは全天周囲モニターやリニアシートの搭載による近代化改修の行われた機体が、哨戒任務用としてだが「現役」として利用されてもいる。 |
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| + | リギルド・センチュリー(『[[ガンダム Gのレコンギスタ|Gのレコンギスタ]]』)の時代においても、「クラシックコレクション」として博物館にレプリカが保管されている。 |
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| === バリエーション === | | === バリエーション === |
− | 『[[機動戦士ガンダム]]』の劇中においては宇宙・地上を問わず活躍を見せているが、前述のとおり(後付けではあるが)「C型」「F型」と「J型」の3種類がある設定になっている。
| + | 『機動戦士ガンダム』の劇中においては宇宙・地上を問わず活躍を見せているが、前述のとおり(後付けではあるが)「C型」「F型」と「J型」の3種類がある設定になっている。 |
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| C型は[[南極条約]]締結以前の、核装備を前提とした耐放射線装備がなされた初期生産型、F型は核使用に必要な装備を外して軽量化を図った、最も生産されたタイプ、J型は主戦場が地上に移ったことによりF型より地上戦向きに調整が施されたタイプとなっている。一応、F型でもコロニー内の戦闘も考慮されているため重力下の運用は可能ではあるが、性能が環境によって左右されやすくなってしまっている。 | | C型は[[南極条約]]締結以前の、核装備を前提とした耐放射線装備がなされた初期生産型、F型は核使用に必要な装備を外して軽量化を図った、最も生産されたタイプ、J型は主戦場が地上に移ったことによりF型より地上戦向きに調整が施されたタイプとなっている。一応、F型でもコロニー内の戦闘も考慮されているため重力下の運用は可能ではあるが、性能が環境によって左右されやすくなってしまっている。 |
− | この為、ザクは汎用性が高いものの万能MSとは言い難く、その点に関しては[[ガンダム]]や[[ジム]]に一歩劣る機体である<ref>地球方面軍総司令として北米戦線で戦っていた[[ガルマ・ザビ]]はザクの地上運用に関しても「所詮は陸戦兵器の一つ」と慎重な姿勢であり、ガウやドップの航空戦力やマゼラアタック等の射程と安定性を重視した兵器構成を行っている。</ref>。
| + | この為、ザクは汎用性が高いものの万能MSとは言い難く、その点に関してはガンダムやジムに一歩劣る機体であり<ref>地球方面軍総司令として北米戦線で戦っていた[[ガルマ・ザビ]]はザクの地上運用に関しても「所詮は陸戦兵器の一つ」と慎重な姿勢であり、ガウやドップの航空戦力やマゼラアタック等の射程と安定性を重視した兵器構成を行っている。</ref>、ザクが万能モビルスーツまでに至るのは、一年戦争後期において[[マ・クベ]]の提唱した「統合整備計画」に基づいて開発された[[ザク改|ザクIIFZ型]]や[[ザクIIF2型]]の開発まで待つ事になっている。 |
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| その他にもザクは様々な環境に適応するために多数のバリエーション機体が開発されており、特にF型は全てのバリエーションの基となっている。 | | その他にもザクは様々な環境に適応するために多数のバリエーション機体が開発されており、特にF型は全てのバリエーションの基となっている。 |
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− | [[一年戦争]]終結後も[[ジオン軍]]の残党や連邦軍などによって運用されているものも多い。
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− | 『[[機動戦士ガンダムΖΖ]]』で[[アクシズ]]周辺に配備されている機体は全天周囲モニターとリニアシートになっているなど、近代化改修が行われている。
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| === ジオンにとってのザク === | | === ジオンにとってのザク === |
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| 一方、ザクの汎用性の高さこそ優秀であったのは確かなのだが、ガンダムや[[ジム]]には無い大きな欠点もあった。それは「モビルスーツとしての完成度」にあり、ガンダムやジムがモビルスーツとの戦闘をあらかじめ想定した上で完成したのに対し、ザクはあくまでも「戦闘機や戦車、[[戦艦]]との戦闘」や「核兵器の運用」を想定した機体に過ぎず、正式採用されて大量生産をされても、モビルスーツ同士の戦闘を想定していなかったザクは、モビルスーツとしてはあくまでも「旧式機」や「実験機」の範囲を超えておらず、本当の意味での「完成機」までには至らなかった機体だったのである。しかし、一週間戦争やルウム戦域によって表向きは圧倒的有利な形で輝かしき勝利を掴んだ体験<ref>あくまでも「表向き」であり、実際は一週間戦争のブリティッシュ作戦中にて、[[コロニー落とし]]の作業に忙殺された事で戦闘機に撃墜された機体が後を絶たず、機体の容量不足解消の為に脱出装置も設計から削られた結果、「'''最も用意に時間とコストが掛かる熟練のパイロット達を一年戦争開戦の早期より大量に損失する'''」という悲惨な事態を招いている。</ref>を忘れられなかったジオン公国軍上層部は、[[南極条約]]の締結によって核兵器が使用出来なくなり、更には[[ドム]]を始めとする次世代機のロールアウトが完了して以降もザクの生産を停止させようとはせず、それどころか生産ラインや残された資源の限界さえも無視する形で[[高機動試験型ザク]]や[[高機動型ザク]]といった「ザク系統のモビルスーツの新規開発」という不必要なまでにザク系モビルスーツへ過度なまでの固執をしてしまう事になっており、'''そのバリエーション機の総数は実に50も軽く超えてしまっている'''。だが、結局それらも戦局を大きく覆すにまでは至っておらず、ただでさえジオン側は連邦に比べて国力が大きく不足していた事も重なった結果、「ザクの後継機でガンダムに匹敵する高性能機」と銘打たれた新世代機である[[ゲルググ]]の生産・実戦配備の大きな遅延だけでなく、その搭乗員に学徒兵を動員しなければならない程の兵力不足にも繋がり、最終的に「ジオン側の敗戦」で戦争は終結してしまった。まさにザクとは、'''良くも悪くも一年戦争時におけるジオン公国軍の現状を象徴する機体'''だったのである。 | | 一方、ザクの汎用性の高さこそ優秀であったのは確かなのだが、ガンダムや[[ジム]]には無い大きな欠点もあった。それは「モビルスーツとしての完成度」にあり、ガンダムやジムがモビルスーツとの戦闘をあらかじめ想定した上で完成したのに対し、ザクはあくまでも「戦闘機や戦車、[[戦艦]]との戦闘」や「核兵器の運用」を想定した機体に過ぎず、正式採用されて大量生産をされても、モビルスーツ同士の戦闘を想定していなかったザクは、モビルスーツとしてはあくまでも「旧式機」や「実験機」の範囲を超えておらず、本当の意味での「完成機」までには至らなかった機体だったのである。しかし、一週間戦争やルウム戦域によって表向きは圧倒的有利な形で輝かしき勝利を掴んだ体験<ref>あくまでも「表向き」であり、実際は一週間戦争のブリティッシュ作戦中にて、[[コロニー落とし]]の作業に忙殺された事で戦闘機に撃墜された機体が後を絶たず、機体の容量不足解消の為に脱出装置も設計から削られた結果、「'''最も用意に時間とコストが掛かる熟練のパイロット達を一年戦争開戦の早期より大量に損失する'''」という悲惨な事態を招いている。</ref>を忘れられなかったジオン公国軍上層部は、[[南極条約]]の締結によって核兵器が使用出来なくなり、更には[[ドム]]を始めとする次世代機のロールアウトが完了して以降もザクの生産を停止させようとはせず、それどころか生産ラインや残された資源の限界さえも無視する形で[[高機動試験型ザク]]や[[高機動型ザク]]といった「ザク系統のモビルスーツの新規開発」という不必要なまでにザク系モビルスーツへ過度なまでの固執をしてしまう事になっており、'''そのバリエーション機の総数は実に50も軽く超えてしまっている'''。だが、結局それらも戦局を大きく覆すにまでは至っておらず、ただでさえジオン側は連邦に比べて国力が大きく不足していた事も重なった結果、「ザクの後継機でガンダムに匹敵する高性能機」と銘打たれた新世代機である[[ゲルググ]]の生産・実戦配備の大きな遅延だけでなく、その搭乗員に学徒兵を動員しなければならない程の兵力不足にも繋がり、最終的に「ジオン側の敗戦」で戦争は終結してしまった。まさにザクとは、'''良くも悪くも一年戦争時におけるジオン公国軍の現状を象徴する機体'''だったのである。 |
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− | 「ザク」という機体は、一年戦争後も後のジオン系組織にとっての象徴(連邦に「ガンダム神話」があるように、ジオンにも「ザク[[神話]]」があると言える。メタフィクションな意味では尚更のこと)となり、特に残党組織の傾向として見られる「過去の栄光」としてしがみつく対象であったり、[[ネオ・ジオン]]の[[ザクIII]]や[[ギラ・ドーガ]]あるいは[[ギラ・ズール]]のコンセプトである「汎用的な高性能兵器」という意味合いであったりと、組織の懐具合や勢いに応じて様々な思いの込められている機体として語り継がれている。
| + | 「ザク」という機体は、一年戦争後も後のジオン系組織にとっての象徴(連邦に「ガンダム神話」があるように、ジオンにも「'''ザク[[神話]]'''」があると言える。メタフィクションな意味では尚更のこと)となり、特に残党組織の傾向として見られる「過去の栄光」としてしがみつく対象であったり、[[ネオ・ジオン]]の[[ザクIII]]や[[ギラ・ドーガ]]あるいは[[ギラ・ズール]]のコンセプトである「汎用的な高性能兵器」という意味合いであったりと、組織の懐具合や勢いに応じて様々な思いの込められている機体として語り継がれている。 |
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− | === 劇中での様相 ===
| + | ジオン共和国の消滅した宇宙世紀0120年の時代(『[[機動戦士ガンダムF90]]』)においても、[[火星]]に潜伏する[[キシリア・ザビ]]派のジオン残党軍組織である「オールズモビル(ジオンマーズ)」ではザクが象徴的な機体として扱われており、第1次ネオ・ジオン抗争の時期には、わざわざザクIIに外見を似せたザクIIIを主力機として運用し、後にその発展型と言えるRFザクを開発し、新たな象徴として扱っている程である。 |
− | リギルド・センチュリー(『[[ガンダム Gのレコンギスタ|Gのレコンギスタ]]』)の時代においては「クラシックコレクション」として博物館にレプリカが保管されている。
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| == 登場作品と操縦者 == | | == 登場作品と操縦者 == |