差分

102 バイト追加 、 2015年5月29日 (金) 09:01
304行目: 304行目:  
*人物鑑定家の許劭からは「'''治世の能臣、乱世の奸雄'''」と評された。「乱世の奸雄」の異名は、曹操を象徴する二つ名としても非常に有名である。そして、『三国志』の『正史』の著者である陳寿からは「'''非常の人、超世の傑'''」と…即ち、「類稀なる才の持ち主であり、時代を超えた英雄である」と最大級の賛辞の言葉で賞されている。
 
*人物鑑定家の許劭からは「'''治世の能臣、乱世の奸雄'''」と評された。「乱世の奸雄」の異名は、曹操を象徴する二つ名としても非常に有名である。そして、『三国志』の『正史』の著者である陳寿からは「'''非常の人、超世の傑'''」と…即ち、「類稀なる才の持ち主であり、時代を超えた英雄である」と最大級の賛辞の言葉で賞されている。
 
*紛れもなく「英雄」である曹操だが、当時の後漢の皇帝(献帝)を蔑ろにして国の権力をふるい、曹操を危険視して抹殺しようと企んだ皇族や漢の重臣達の陰謀を暴いては容赦なく処断・粛清し、孔子の子孫の孔融をはじめとした儒者たちとも徹底的に対立し(孔融は曹操への罵言・放言を続けたために最後は曹操に処刑された)、曹操の死後に息子の曹丕が漢王朝から天下を簒奪して魏王朝を開いた事、父の曹嵩が徐州で殺された際には徐州に侵攻し徐州の民の大量虐殺を敢行した事等、人々を恐怖に陥れ、後世にも多大な悪名を残す所業も幾度も行ったため、『三国志演義』では「漢王朝復興を掲げ、民をも救わんとする正義の劉備」に対する「天下を漢王朝から奪わんとし、野望のためには非情な所業も厭わない悪役の曹操」として描かれ、「神」となった関羽、「物語」となった劉備や諸葛亮に対し、曹操は千年以上の長い間において、「物語」の中でも、歴史の中でも、人々から悪役としての扱いを受ける事となってしまった(曹操の冷徹なまでの合理主義は儒教を重んじる中国の民衆にとって受け入れがたい面も少なからずあった)。
 
*紛れもなく「英雄」である曹操だが、当時の後漢の皇帝(献帝)を蔑ろにして国の権力をふるい、曹操を危険視して抹殺しようと企んだ皇族や漢の重臣達の陰謀を暴いては容赦なく処断・粛清し、孔子の子孫の孔融をはじめとした儒者たちとも徹底的に対立し(孔融は曹操への罵言・放言を続けたために最後は曹操に処刑された)、曹操の死後に息子の曹丕が漢王朝から天下を簒奪して魏王朝を開いた事、父の曹嵩が徐州で殺された際には徐州に侵攻し徐州の民の大量虐殺を敢行した事等、人々を恐怖に陥れ、後世にも多大な悪名を残す所業も幾度も行ったため、『三国志演義』では「漢王朝復興を掲げ、民をも救わんとする正義の劉備」に対する「天下を漢王朝から奪わんとし、野望のためには非情な所業も厭わない悪役の曹操」として描かれ、「神」となった関羽、「物語」となった劉備や諸葛亮に対し、曹操は千年以上の長い間において、「物語」の中でも、歴史の中でも、人々から悪役としての扱いを受ける事となってしまった(曹操の冷徹なまでの合理主義は儒教を重んじる中国の民衆にとって受け入れがたい面も少なからずあった)。
**しかし、20世紀の中頃から再評価運動が広く行われ、現代では名実共に「英雄」としての評価を確固たるものとしており、劉備にも勝るとも劣らない人気と支持を得ており、「曹操こそ三国志の真の主人公である」という声も少なくない(実際、黄巾の乱より曹操が死去するまでの三国鼎立の動乱期初期まで、時代の中心には常に曹操がいた)。日本においてもその人気は高く、曹操が悪役として描かれる『演義』をベースにした『吉川三国志』を読んで曹操のファンになった人も少なくなく、主人公である劉備に対するダークヒーローとしての曹操も多くの読者の間で人気を博し、『吉川三国志』の作者である吉川英治氏自身も作品を執筆しながら「曹操に魅力を感じていた」と述懐している。近年では漫画雑誌『モーニング』にて連載されていた漫画作品『蒼天航路』(原作・原案:李學仁、漫画:王欣太)をはじめ、曹操を主人公として描く三国志の創作作品も幾つも描かれている。
+
**しかし、20世紀の中頃から再評価運動が広く行われ、現代では名実共に「英雄」としての評価を確固たるものとしており、劉備にも勝るとも劣らない人気と支持を得ており、「曹操こそ三国志の真の主人公である」という声も少なくない(実際、黄巾の乱より曹操が死去するまでの三国鼎立の動乱期初期まで、時代の中心には常に曹操がいた)。日本においてもその人気は高く、曹操が悪役として描かれる『演義』をベースにした『吉川三国志』を読んで曹操のファンになった人も少なくなく、主人公である劉備に対するダークヒーローとしての曹操も多くの読者の間で人気を博し、『吉川三国志』の作者である吉川英治氏自身も作品を執筆しながら「曹操に魅力を感じていた」と述懐している。近年ではコーエー(現:コーエーテクモゲームス)のPCゲーム『三國志 曹操伝』や、漫画雑誌『モーニング』にて連載されていた漫画作品『蒼天航路』(原作・原案:李學仁、漫画:王欣太)をはじめ、曹操を主人公として描く三国志の創作作品も幾つも描かれている。
 
**また、日本では、曹操と同様に生涯戦国乱世を駆け抜け、苛烈・非情な所業も行ったがために人々からも恐れられながらも、その覇道で中世の旧時代を徹底的に破壊し、近世の新しい時代を切り拓いた英雄である織田信長と対比されて語られることも多い。
 
**また、日本では、曹操と同様に生涯戦国乱世を駆け抜け、苛烈・非情な所業も行ったがために人々からも恐れられながらも、その覇道で中世の旧時代を徹底的に破壊し、近世の新しい時代を切り拓いた英雄である織田信長と対比されて語られることも多い。
  
2,505

回編集