メダロット (ロボット)

メダロットとは、『メダロット』シリーズに登場するロボットの総称。

概要 編集

自らの意思と人格を持ち、人間と会話することもできる人型のロボット。コンビニなどで市販される玩具で、価格はパーツ一式でも1万円程度。主にメダロット同士の対戦競技ロボトルにおいて活用されるが、農業や商業などの日常生活の場でも活用されており、人間社会に深くかかわる存在。ただしすべての個体が人間社会で管理されているわけではなく、何らかの理由で野生化した個体(野良メダロット)も存在している。全高はおおむね1メートルほど。ロボトルにおいてメダロットに指示を出す人間はメダロッターと呼ばれる。

機体は頭脳中枢たるメダル、内部フレームのティンペット、外装となる4つのパーツから構成されており、これらを目的に応じ換装することで最適な機能を得ることができる。

動力は太陽光と動くことでエネルギーが溜まるオートマチック・ジェネレーターのハイブリット。そのため暗所で長時間拘束されると行動不能に陥る。アニメ版『メダロット魂』においては家庭用電源からのバッテリー充電方式となっており、定期的に充電する必要があるという説明がされている。

その起源は太古の昔宇宙から飛来したロボットに由来し、長い時間を経て発掘・解析されたものを基礎に製造販売が行われている。そのため「異星より新たに飛来した宇宙メダロット」「超古代文明によって作られた古代メダロット」などが存在し、それらは現代のメダロットと互換性が保たれている。

巨大なメダロットが出現することもあるが、それらは「メダロットの外見を模した巨大ロボット」に過ぎず、当然ながらパーツの互換性などはない。ただし、アニメ版ではメダルをコアとしているロボットであればメダロットとして扱われるらしく、巨大メダロットとのバトルも正式ロボトルとして認定されていた。

メダロットの構造編集

メダル 編集

メダロットの頭脳を司る部品。六角形の小片の中央に緑の宝石が据えられており、表面に刻まれた紋様によって分類される。この紋様はメダルの成長に伴い変化することもある。

メダロットの人格や記憶はメダルに収められているため、別のメダロットにメダルを移し替えた場合には人格も移し替えられる。そのため初期のゲームを除き、メダロットへの個体名の命名はメダルに対して行われる。一方、メダルの破壊こそがメダロットの死であり、原則として破損したメダルを修復することはできない。また、一応寿命もあるようで、漫画版『メダロット・navi』では朽ちたカイゼルビートルに搭載されていたメダルが寿命で機能を停止している。

アニメ版と漫画版ではメダルには古代遺跡から発掘された「レアメダル」と、人工培養された「人工メダル[1] 」の2種が存在し、レアメダルは「メダフォース」と呼ばれる潜在能力を有している[2][3] 。ゲーム版では「メダリア」と呼ばれる宝石をメダルに装着することで、機能を拡張することもできる。

ティンペット 編集

メダロットの内部フレーム。男性型と女性型の2種が存在し、性別が一致するパーツ、もしくは両性のパーツのみを装着できる。

一見して硬質な骨格のように見えるが、電気信号で伸縮する「マッスルケーブル」という軟質素材で作られており、筋肉系・神経系・内臓に相当する。

タイトルによって形状が変わる事もあり、その関係でデザインが複数存在する。

パーツ 編集

メダロットの外装。頭および胸を構成する頭部、両腕部、下半身を構成する脚部の4つからなる。機能的には外殻や筋肉の役割を果たす。

ロボトルにおいてはパーツを攻撃しあい、頭部パーツが破壊されたメダロットは機能停止と判定され、背中のハッチからメダルが排出される。[4]

材質はNFRP (Neuron.Fiber.Resin.Polyester.)と呼ばれる素材で[5]、触覚や痛覚を伝える神経の役割も果たしている。

装甲内部にはナノマシン(スラフシステム)が搭載され、非戦闘時には自動で修復や機体整備を行う。回復系パーツはこのナノマシンを活性化することで急速修復を行う。

武装は射撃は実体弾、光学兵器重力兵器、格闘は斬撃、火炎放射器、電撃、パイルバンカーなど多種多様で、支援用パーツも含めると膨大な系統が存在する。弾数制限は頭部パーツにのみ存在する。

脚部は二足歩行タイプのみならず車両型、多脚型、飛行型、水中型など多様な種類が存在し、それぞれに得意とするフィールドが異なる。

ティンペットと同様に男女、および両性の性別が存在する。

メダロッチ 編集

メダロッターからメダロットへ指示を出すのに用いられる腕時計型のツール。内部にはメダル1枚を格納するスペースがあり、メダロッチを用いることでティンペット及びパーツをその場に転送、メダルをはめ込むことでいつでもどこでもメダロットを呼びだすことができる。 [6]

メダチェンジ 編集

一部のメダロットが持つ変形機構。使用するためには一式純正でメダロットを組み上げる必要がある。

メダチェンジしたメダロットは全パーツの装甲が一体化し、パーツの行動や移動タイプが変化する。[7]

3形態の変形が可能な機体もあるが、それらはイベントシーンやアニメでのみ活躍する。

ゲームシステムとしてのメダチェンジが非採用のゲームにも、メダチェンジ機が非可変機として登場することもある。

主要なメダロットの形式編集

メダロットの型式番号は度々設定変更されているが、現在では「モチーフなどを表すアルファベット3文字」+「その機種のバージョンを表す2桁の数字(まれにアルファベット)」となっている。[8]

KBT型
カブトムシ型。メタビーを祖とする射撃戦タイプの主人公機。
KWG型
クワガタムシ型。ロクショウを祖とする格闘戦タイプの主人公機。

関連用語編集

ロボトル
メダロット同士を戦わせる競技。双方のメダロッターがロボトルに合意すると、どこからともなく審判が現れ、ロボトルファイトの合図と共にロボトルの試合が行われる。メダロッターによるメダロットへの直接攻撃などの反則行為に対しては、監視衛星から処罰が行われる。リーダーとして設定されたメダロットが機能停止することで勝敗が決する。ロボトルには、勝者が敗者のロボトルに使用したパーツを1つ獲得できるしんけんロボトルと、特訓などを目的とするあそびでロボトルの2種類がある。
メダロット社
メダロットの製造・販売・研究の中心となっている企業。メダルを現代において最初に発見した人物の子孫であるニモウサク家が代々社長を務めている。
メダロットの開発は寡占状態にあるわけではなく、他にも相互に互換性のあるパーツの販売を行う企業がいくつか存在している。ただ、それでも市場占有率は圧倒的な模様で、デスメダロット社の経営者は事実上の市場独占では良い商品は生まれないと非難している。
ロボロボ団
宇宙人を自称し、メダロットで悪事を働く集団。構成員の大半はいたずら程度のしょうもない迷惑行為をするだけであるが、リーダーはなにかしらの壮大な計画を進めていることが少なくない。
セレクト隊
警察活動を行う私設軍隊。正式名は「セレクト防衛隊」。設立当初はこともあろうにロボロボ団の隠れ蓑であり、隊長以下上層部やセレクトエリートは全員がロボロボ団構成員であった。その後はメダロット社傘下の治安維持組織として再出発しており、今度こそ本当にまともな組織となったが、ロボロボ団と同レベルの間抜け揃いで、『2』の隊長アワモリは強欲で人望の無い人物であるため、「役に立たない連中」と小学生にすら見切られる有様だった。『2』の終盤でアワモリが失脚し、良識派である副隊長トックリが隊長に就任してからはイッキたちとも良好な間柄となるが、あまり頼りにされないのは相変わらずである。規模の拡大に伴って少数精鋭の独立部隊「メダロット・ミッション・フォース(MMF)」が新たに設立されている。
アニメ版では国連直下の治安維持部隊とされ、コミカルな描写が存在せず、戦闘機や装甲車、大型軍事メダロットで武装した準軍事組織として登場している。
野良メダロット
主に捨てられる、あるいは死別するなどの理由から発生する、野生化したメダロット。
マザーメダロット
遺跡から発掘される大型のメダロット。そのほとんどは機能停止しているが、ごく少数の稼働状態にあるものは強大な力を持つ。
キッズメダロット
遺跡から発掘される小型のメダロット。現代のメダロットはキッズメダロットをモデルにしている。
デスメダロット
アニメ『メダロット魂』にのみ存在する[9]、デスメダロット社から販売されたメダロット。専用の純粋な人工メダル「デスメダル」を核としており、自我を持たない。
通常のメダロットがあくまでもホビーなのに対し、デスメダロットは兵器のような戦闘に特化した仕様になっており、通常のメダロットより遥かに高性能。そのためか、通常のメダロットはデスメダロットのパーツを装備できない。更に、「グレイン」や「ブロッソメイル」など、パワーが強すぎて本物の兵器一歩手前の様な危険な機体も存在[10]し、経営者もホビー商品には向かないとして販売には難色を示している機体も存在する。
デスメダロットを使うメダロッターは、デスメダロッターと呼ばれている。
余談だが、漫画版『1』の「ブラックメイル」と「ヒールエンジェル」の2体は例外的に兵器として作られたという設定を持っていた。
ロズウェル事件
1947年にニューメキシコ州、ロズウェルで発生した事件。この時宇宙から飛来した稼働状態にあるメダロットが初めて人類に目撃された。
魔の十日間
ゲーム1作目終盤で発生した事件。メディアによって詳細は異なるが、「セレクト隊の中のロボロボ団構成員によって大規模なメダロット暴走事故が引き起こされた」「あがたヒカルのメダロットのメダルが破壊され、のち復元された」という点は共通している。
この事件の後、メダロットの登録免許制の導入や対暴走プロテクトなどの対処が行われたが、その一方で主を持たない野良メダロットは危険な駆除対象とみられるようになった。
メダロット三原則
主にゲーム版に登場する、メダロットが人間に危害を加えることを防ぐために作られた、メダロットの行動を制限する三つのルール。メダロット三ヶ条とも呼ばれる。
「第一条 わざと人間を傷つけてはならない」「第二条 人間に危険が降りかかるのを見過ごしてはならない」「第三条 第一条と第二条を破らない範囲で己を守り、他のメダロットに致命傷を与えてはならない」。
メダルに取り付けられたリミッターにより強制されているもので簡単に外すことはできないが、ストーリー中では度々解除を試みようとする者が登場し、中には最初から三原則を持たないメダルも存在する。
ダメロット
メダロットの偽物にあたる存在。一部のマニアには人気があり高額で取引されている
転じて評判の悪いメダロット機体及びシリーズ作品を示す俗語でもある。

脚注編集

  1. レアメダルを培養しているため、人工メダルは基になったレアメダルのクローンともいえる。
  2. ゲーム版でのメダフォースはメダフォースに対応したメダロッチがあれば全てのメダロットが使用できる必殺技扱いとなっている。
  3. アニメ版では、レアメダルと関わりを持ち先祖返りを起こした人工メダル(無印)や、レアメダルをほぼ完全にコピーしたファーストメダル(『メダロット魂』)もメダフォースを発動できている。
  4. これを逆用し、メダルを外部から強制排除することで機能停止させることもできるが、それはロボトルの枠を超えた非常手段である。
  5. 製造された年代等によっては鉄やプラスチックが主体の物もある
  6. ゲーム1作目ではメダロッチの設定がなく「ケイタイ」がその役割を担っていたが、『DS』以降はメダロッチに代わりスマートフォン型の携帯電話でメダロットが管理されるようになった為、現実に合わせて設定が先祖返りを起こしている。
  7. 半面、非可変機に比べ単体のパーツとしての性能は劣る傾向がある。
  8. なお、ここに挙げた特徴はあくまで一般的な例であり、「格闘戦タイプのKBT型」のような例外も存在する。
  9. デスメダロットとして登場した機体の大多数は、他媒体では通常のメダロットとして設定されている。
  10. 「車を持ち上げて投げ飛ばす」「コンクリートの壁を一撃で粉砕する」「光線を放って大型トラックを真っ二つに両断する」「ティンペットまで粉々に粉砕する程の威力を持つ攻撃が可能」「同社の通常のデスメダロットを数十体同時に相手する事が出来る」など、明らかにホビーの領域を超えている戦闘力と頑丈さを備えている。