ピート・ペイン

ピート・ペインは『無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ』の登場キャラクター。

ピート・ペイン
外国語表記 Pete Pain[1]
登場作品

バンプレストオリジナル無限のフロンティアシリーズ

声優 中村悠一
デザイン 斉藤和衛[1]
初登場SRW 無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
分類 白兵戦用アンドロイド「Wシリーズ
外見 男性型
所属 シャドウミラー
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概要 編集

エンドレス・フロンティアの再構成後に姿を現した、アシェン・ブレイデルカルディア・バシリッサの上官を名乗る男性型アンドロイド。その正体は二人と同じくシャドウミラーに属する白兵戦型アンドロイド「Wシリーズ」の前線指揮官モデルであり、コードナンバーは「W03」。

人間であるW00を除くゼロ・ナンバーズへの上位指揮権を有しており、両腕の超振動発生装置「フェアリー・ガスト」によりゼロ・ナンバーズやレプリカPTの制御プログラムを書き換えることが可能。また、これとは別に反乱防止用の強制介入コード「プレイ・ザ・パペット」を実装されており、万一の際には稼働しているWナンバー全てを支配下に置くことができる。

緊急時における「シャドウミラー隊の機密保持」を任務として与えられており、世界統合のほぼ直前のタイミングでネバーランド後部において起動。ネバーランドの墜落などからシャドウミラーの機密侵害が発生したと判断、関連する事物全てを抹消するため任務を開始した。 起動し、ネバーランド前部における中枢コンピュータ『ティンク・アベル』を復旧した後データをサルベージ、機能停止していたカルディアと、鞠音が帯同していたレプリカPTをハッキングして支配下に置いた。

しかし、アシェンにはコードDTDによる自動防御で指揮系統介入を拒否され、ファントムはブラックボックス内の最優先コードによりハーケンに奪還されたため、コードPTPの使用制限を解除すべくカルディアを伴ってネバーランド後部へ移動。 道中でアーベントを機密抹消を兼ねた足止めとして差し向けるが、これは混入していたアインスト部分にアルフィミィが干渉したことでプログラムを停止され失敗。中枢部分ではコードPTPでアシェンとカルディアを支配下に置きハーケンたちの抹殺を図るも撃退された。

それでもネバーランドを抹消すべくカルディアをコードATAで自爆させ、さらにアシェンを残してATAを使わせ諸共消し去ろうとしたが、土壇場で同様の事態を思い出したアクセルに阻止されている。

その後は再ロールアウトしたアークゲイン2号機を伴い、W05の機体を抹消するためガグン・ラウズを追ってフォルミッドヘイムに現れたが、ハーケン達と出くわした上、アシェンがPTPに対する妨害プログラムを実装していたために操れず、やむなく撤退。 アークゲインに発信器を取り付けてハーケン達の足取りを追い、最終的にはアグラッドヘイム中枢においての激突の末敗北。 任務遂行が不可能となったことで、「任務遂行が困難である場合、W00に指揮権を委譲する」という第二の命令に従いハーケンの指示を仰ぐが、「誰も破壊するつもりはない」という意向を受けたことで、一行の道を開くべくシュテルベン・シュロス中央部への扉の前でコードATAを発動し自爆、消滅した。

自らの同型機でもあるカルディアを何の躊躇もなく自爆させるなど、当初こそおよそ人間味の感じられぬ作業機械という印象が強くはあったが、上述のように任務という枷に一切抗うことが出来ず、どれほど矛盾を孕んだものとなってもそれに従い通すしかないという面で、彼自身もカルディア同様、悲哀を抱えた存在でもあった。そしてその最期は機械的に目的をこなす存在に過ぎなかった彼らしからぬ人間的なものであり、その散り際を目の当たりにしたハーケンやアクセルも、これまでの禍根を捨てて沈痛な面持ちを浮かべていた。前作とは異なり本作では名有りキャラの死亡はそれほど珍しくはないが、その存在の悲哀という面では間違いなく『EXCEED』を代表するキャラクターである。

なお、プランEFが問題なく遂行された上で上記のような状況になった場合、ハーケンは胎児の状態で冷凍睡眠させられていたはずであり、ここにも矛盾が見られる(それ以前に、この事実を知っているはずのレモンがこのような指示を下した、という点も不自然。好意的に解釈するならば、「シャドウミラーの痕跡の完全消去」という命令をヴィンデルが、「W00に指揮権を預ける」という命令をレモンが下したと考えるべきか)。

劇中では言及されていないが彼もまたカルディアやアシェンと同様メモリーの一部を損失している可能性があり、傍証として直接の上官であるアクセルのことを覚えていなかった[2]

モチーフは童話の『ピーター・パン』の主人公、ピーター・パン。フック船長がモチーフのハーケンと宿敵になるのはある意味当然と言える。

登場作品と役柄 編集

無限のフロンティアシリーズ 編集

無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ
設定的には前作最終盤頃に機動していたようで[3]、本作において本格的に行動を開始する[4]
ネバーランドの完全消滅という大仕事をたった一人で成し遂げようとしているだけあり、機動兵器類を片っ端から複製・行動強制等で手駒とし、カルディアやアシェンをも使役するなど、各所で猛烈によく働いている。ヘイムレンと並び、新登場した名有りの強敵が少ない点を補う上で重要な役割を果たしていると言えよう。
一方で、基本的に彼の目的は自身も含めての機密の完全抹消であるため、得た手駒については利用すると同時に抹消することを念頭に置いた運用(要するに「使い捨て」)を行う場合が多い。しかし、アーベントを差し向けた件やアシェンをATAで自爆させようとした件で見られるように、結果を確認せずにさっさと退散し、後で失敗に驚くという詰めの甘さも見受けられ、最期の時には「抹消できたのは自身とW06(=カルディア)だけ」とやや自嘲気味に嘯く結果になった。[5]
担当声優の中村悠一氏は『OGs』などでの一般兵役を経て今作が初のネームドキャラでの参加。またリグ・ザ・ガード役も兼任している。

人間関係 編集

『無限のフロンティアEXCEED』以降 編集

アクセル・アルマー
元上官。記憶を失っているものの、Wシリーズに関しては断片的に記憶が残っており、またアシェンを救うために外部からのコードDTD発動という『OG外伝』さながらの荒技を披露する。ピートの最期の瞬間、彼から託された遺言の中でレモンの名前を聞いた時には、瞬間的に過去の記憶がかなり蘇った様子であった。なおピートの方はアクセルの事を完全に忘れていた。

無限のフロンティア』以前 編集

カルディア・バシリッサ
W06。前作で機能停止した彼女を再生し、配下として使役。最後はコードATAを発動させ、捨て駒とした。
アシェン・ブレイデル
W07。新たな強制介入用のコードPTPにより配下として、カルディアと同じように捨て駒としようとしたが、意外な横槍が入ったことで失敗に終わる。
ハーケン・ブロウニング
W00。アシェンをも自爆させようとしたことで、ピートに強い怒りを覚える。しかし最終的には、彼が自分の道を開くために自爆した事で、その悲しい生き様に哀悼の意を示していた。なお、ピートが被っていた帽子はハーケン専用アクセサリ「深緑のベレー帽」として受け継がれることに。
ガグン・ラウズ
W05、ギムノス・バシレウスの器を使用しているアグラッドヘイムの王。最終的にピートは、コードPTPによって彼を抱き込み、アグラッドヘイムの力でネバーランドの消滅を成し遂げんと、潜入作戦を決行する。覇龍の塔に現れる幻影はカルディアのほかに彼を連れており、もし問題なく介入が成功した場合はこうなっていた、という推測ができる。

他作品との人間関係 編集

レモン・ブロウニング
ピートの開発者。ピートのデータの中には彼女の記録も残っていたようで、最期の瞬間には彼女への感謝の言葉を口にした。
『RoA』では彼女の回想シーンの中にカルディア、アシェン、ギムノスとともにシルエットが映っている。

関連機体 編集

前作から続投している機体については、全て何らかの形で関わりを持っている。

ナハトアーベント
鞠音博士の護衛として付いていた3体のパーソナルトルーパーのうち、この2機については奪還に成功、手駒として使役する。しかし、ダウンサイジングされた事やアインストの力が宿っていた事で完璧に制御する事は出来ず、ナハトはピートの制御下を離れて滅魏城に向かってしまい、アーベントはネバーランド前部での戦いで破棄予定であったが、共に奪回されることになる。
ファントム
同機はハーケンの命令を優先したため、手駒とすることに失敗。しかし後に、サルベージしていたフォルミッドヘイム版ダウンサイジングデータを元に、レプリカを複数体製造する。
アークゲイン
W10。その構造は当然に理解しており、新たに製造して手駒とする。バレリアネア塔での戦いで放棄するが、秘かに発信機を仕込み、ハーケン達の動向を探るために使用していた(ハーケン達もピートが何か仕込んでいるのを承知の上で運用していたが)。

ステータス 編集

装備・機能 編集

カリング・ブレード
メイン武器である大振りのナイフ。刃の部分が射出できるようになっている。
フェアリー・ガスト
両腕に装備しているシールド状の機構。特殊な振動波を発し、共振による物理的破壊から電気信号によるクラッキングまでこなす。
強制介入コード「プレイ・ザ・パペット」
フェアリー・ガストから発する信号で他のWシリーズの制御系統に介入し、最優先コードをピートの命令に書き換える。Wナンバーそれぞれの独自判断を完全に封殺し、操り人形にすることで統一された行動を可能にする。通常時はロックされており、ネバーランド中心部で解除する必要がある。
ピートに与えられた任務の内容を考えると、ゼロ・ナンバーズが敵に奪取された、あるいは暴走などで反逆した場合に備えて実装されたと思われる。
機密抹消コード「アッシュ・トゥ・アッシュ」
Wシリーズ全てに実装された自己消滅コード。残骸すら残らないレベルの自爆で機体を抹消、機密保持を行う。

能力値・使用技 編集

名有りキャラクターの中ではさほど攻撃力は高くないが、状態異常発生率の高い複数攻撃には注意が必要。また、必ずお供を引きつれて現れる。覇龍の塔ではWナンバー繋がりでカルディアとガグンを連れており、特にガグンの「士気」+自前の「集中」でクリティカル率が大幅に高くなるのが問題。

カリング・ブレード
一撃目。三連続で切り裂く。
カリング・シューター
カリング・ブレードの刀身を発射する。
フェアリー・ガスト
コードPTP使用時の高周波他、振動波で動きを止めて突撃、と言うコンボを使って来る。
ロストボーイ・スローター
必殺技。ブレードで切り刻んだ後シューターを撃ち込み、超振動で動きを止めた後ブレードで突撃する。
直訳すると「迷子殺し」。ピーター・パンの「間引き」に関連するネーミングだろう。
ロストボーイ・シューター
フェアリー・ガストから高周波を照射。味方3体を対象とする対複数攻撃。状態異常を誘発する可能性がある。

精神コマンド 編集

電瞬」「集中」などを使用。HPが50%未満になると、かなりの確率で「切り札」を使ってくるため注意。

キャラクターBGM 編集

「招かれざる異邦人」
本来はネバーランドのダンジョンBGMなのだが、戦闘で彼を最後に残すとこれが流れ始める。
シャドウミラーそのものがエンドレス・フロンティアにとっての「招かれざる異邦人」であること、そして最後までこの世界では無意味なシャドウミラーという枠組みから抜け出せなかったピートのBGMとしては、まさにうってつけの選曲だろう。
「戦う者たちの思惑」
覇龍の塔でのBGM。一緒に出て来るガグンを倒すとこれが流れ始める。

名台詞 編集

「これより、間引きを行う」
戦闘中のロストボーイ・スローター発動時のセリフ。元ネタはおそらくモデルとなったピーター・パンの原版に書かれている「子供たちが大人になったようなときには、それは規則違反なので、ピーターは彼らを間引いた」からだと思われる。
ちなみにこの「間引く」が何を意味するかは諸説あるが、技名の「スローター」は「無差別虐殺」を意味するため、通説である「大人になった子供たちを殺している」を採用したと思われる。
「そこまでにしてもらおう。このネバーランド……関係者以外は立ち入り禁止だ」
「自分はコードナンバー、W03……ピート・ペイン」
初登場時のDVE。アシェンにコードナンバーを認識させ、フェアリー・ガストを介して指揮権掌握を行うが、DTDで弾かれ失敗に終わる。
「認識させる必要があったからだ。W07……アシェン・ブレイデル。貴様に、自分のコードナンバーを、だ」
わざわざ名乗った理由。W00がゼロ・ナンバーズのリーダーとして位置付けられていること、ピートが命令に際して「W03より~」と毎回コードナンバーを名乗っていることを踏まえると、彼らの間に「番号が若いほど上位の指揮権を持つ」「指揮権を行使するには自身のコードナンバーを明示して『上位権限からの命令』にする必要がある」というプログラムが存在すると思われる。[6]
(あり得ん……プログラムは完全に書き換えたはず。自分の命令を最優先にするように、と)
(……違うな。書き換えた命令よりも優先するコマンドが存在する、ということだ)
ファントムがハーケンに奪い返された際のモノローグ。ゲシュペンスト・ハーケンから流用された「W00の命令を常に最優先する」というプログラムの存在を示唆している。
「……………。そうだ。48時間もあれば十分だ」
撤退間際にアシェンが投げた「ボクを口説こうなんて2~3日早いって!」という挑発に対する返し。コードPTPの使用制限解除にかかる時間がそれだけ、という意味である。
「……やはり完全とは言えんか、ゲシュペンストMk-IV。制御プログラムを書き換えても、完全にコントロールを受け付けないとはどういうことだ……!? 機体各部から検出されている、データにはないエネルギーのせいか」
「……所詮はレプリカか。不確定な存在になったものだな、Mk-IV。そのために、貴様と同じゲシュペンストMk-IIIは……」
Chapter06「灰は灰に、塵は塵に」より、ヴァイスリッター・アーベントのコントロールが確立しないのを見ての独り言。物言わぬ兵器に一人話しかけるその様子は、どこまでも人間らしい。
「馬鹿な……!自力でプログラムを組み上げたというのか!?」
「W07……やはり、“あのお方”の……」
アシェンにPTPの干渉をブロックされて。この発言からすると、レモンはアシェンに対してもラミア同様の期待を抱いていたと取れる。
「こうさせてもらう! ……コール・ゲシュペンスト!!」
最終戦でファントムレプリカを転送した際の台詞。名台詞三度。
「……損傷率89%……。自分の任務は……失敗のようだな」
「結局、W06と……自分自身……W03しか……処分できないとはな……」
最終決戦で敗北した後、自嘲して。この直後、指令どおりにハーケンに指揮権を預けた。
「……W00、貴様がそう判断するならば、自分が伝えることは何もない。」
「自分は上官となった貴様の……道を……開くだけだ。……そこをどけ。」
「機体を破棄……任務を……終了する。……コードATA発動……!」
ハーケンに指揮権を譲渡し、その指示がWナンバー破壊を止めるものであったことを受けての発言。己が最後の任務、「W00の進路確保」を実行すべく、その身を擲つ……。
「……もし、自分の開発者に……出会ったら……伝えてほしい。」
「感謝する……と。自分を開発した……レモン様に……」
最期の瞬間、「人形のままでいいのか」「開発者が悲しむ」と自爆を止めようとしたアクセルに託した、もはや届くことのない遺言。己に与えられた任務を遂行するだけの「人形」だったはずのピートが感情を垣間見せた唯一の発言でもある。或いはこの瞬間、彼はようやく己の枷から解き放たれたのかもしれない。

余談 編集

  • ピートは『EXCEED』のプロデューサーである塚中氏のお気に入りキャラであるとのことだが、森住氏は「扱いに困って爆破させちゃったヤツだ」との暴言を吐いている。無論冗談であり、本人も即座に打ち消している。[7]
  • 当初の予定ではピートとの決着はもう少し早くつく予定だったが、終盤のシナリオが一部カットされたことで登場箇所がプロットからズレこみ、ラストダンジョンまで引っ張ることとなったという。[7]
  • Wナンバーの法則からすればW13はピートの人格を移植された、より人間に近い姿をした指揮官的な特性を持ったモデルであると推察されるが、SRWシリーズには未登場となっている。

脚注  編集

  1. 1.0 1.1 バンダイナムコゲームス『無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ OFFICIAL PERFECT FILE GATE OF ENDLESS FRONTIER』16頁。
  2. 実戦テストの際に彼と戦っているため、面識がないことはあり得ない。
  3. ハーケンの「以前来た時(前作の終盤)にもう起動していた」との発言があり、実際にW03の調整槽は前作の時点で空っぽで、きちんとこの件に関する伏線が張られていた
  4. なお、後に発見されたネバーランド内の記録上では「起動後90日」となっている。カッツェの「3か月前と言えば世界が一つになった頃」とも合致しており、EXCEEDの物語は前作から3ヶ月後であるとする根拠の一つとなっている
  5. ネバーランド後部についてはアシェンのATAで全て消し去る目算だった以上、爆発が起こらない時点で失敗を認識すべきところだが、この辺りの詳細は不明。
  6. アークゲインが完全戦闘型として作られたのは恐らくこれが関係すると思われる。ゼロ・ナンバーズの最下位であるため、命令は受けるだけになる。
  7. 7.0 7.1 エンターブレイン『無限のフロンティアEXCEED スーパーロボット大戦OGサーガ パーフェクトバイブル』380頁。