バルチャー

バルチャーとは、『機動新世紀ガンダムX』に登場する職業。

概要編集

戦後に廃棄された軍事施設、兵器の残骸を漁って売り捌く、MSで武装し強奪を行う、フリーのMS乗りとして報酬を貰い傭兵稼業を行う、軍の管理から外れたモビルスーツの売買などをする者達の通称。

“Vulture”は英語で「ハゲタカ」「ハゲワシ」など、タカ科で主に動物の死骸を食べる一群の種の総称であり、その死肉を漁る生態からの連想で名づけられた。

荒廃した世界と言うこともあり、大抵のバルチャーは戦艦MS等で武装しており、用心棒や傭兵を雇っていたりもする。これは廃棄物を回収するのではなくモビルスーツで戦闘を経て奪うなど、暴力で他人を支配する山賊・海賊同然の無法者も数多く含まれ、自衛力が欠かせないためである。

その性質上、弱者は生き残れないガンダムXの弱肉強食の世界観を如実に現した存在と言え、戦闘による強奪、殺し合いが日常茶飯事故にパイロットとしての練度は全体的に高く、名前すらない一般モブレベルのバルチャーすら侮れない実力を持つ。第2話でガロードに絡んだ美女バルチャーのヴェドバ・モルテ(SRW未登場)が、乗っていたジェニスが中破して置き去りにされた瞬間別のバルチャーにコックピットを叩き潰され為すすべなく圧死したり、その後ガンダムエックスのサテライトキャノンの斉射で数十名のバルチャーが機体ごと一瞬で蒸発したりするシーンは、AW世界がいかに過酷かを如実に表している。強くなければ奪われる=死の世界なので当たり前だが。

更に陸上高機動機に火炎放射器を装備した「炎の時計部隊」を擁するザコット一味やイルカの脳を使用した生体航法システム「Dナビ」を装備し水中戦で無類の強さを発揮するドーザ一味等、自らの得意フィールドではガンダムタイプですら一筋縄ではいかない実力者達も多く存在し、他作品の軍属エリート部隊とはまた違った環境で死線を潜り抜けた戦闘のスペシャリスト集団と言える。ただし、一部を除き仲間意識は希薄で獲物の奪い合いが起きる等、基本的には良くも悪くもならず者の集まりと言った趣が強い。また、劇中のガロードのセリフにもあるように新連邦軍等の正規軍の方が更に装備、練度共に上回るようである。こちらはこちらで過去7回もの世界大戦を経てきた正規軍の末裔、生き残りであり、普段からバルチャーの鎮圧も行っている為、その兵士達の強さもある意味当然ではある。

無法者の多さから人々から忌み嫌われる存在でもあるが、同時にジャミル・ニート率いるフリーデンチームを代表とする、それなりの秩序と商取引(モビルスーツ以外の生活物資なども含む)を持ち合わせ、組合を作って自治団のような役目を担って人々から信頼を集めているグループもあるなど、その性格は様々であるが、基本的には政治や戦略レベルの視点で行動する者はいない。

海洋では同種の稼業に就いている者の内サルベージ・交易等比較的穏健な仕事をしている者を「シーバルチャー」、略奪等の無法行為を働く者を「オルク」と呼び区別しており、また彼らは陸での同業者を「陸(おか)バルチャー」と呼んでいる。

特に戦後の北米大陸はバルチャーが大量に徘徊する無法地帯となっており、目ぼしい都市が少ないため政府再建委員会はコロニー落としの集中砲火で壊滅状態である南米同様に軽視している。

関連用語編集

ジャンク屋
同じくモビルスーツの売買を生業とするが、その名が示すように廃棄物を漁るのが中心で、全体的に戦闘的なイメージは薄い。まあ主人公クラスは例外ばかりだが。
MS乗り
MSを操縦する傭兵的存在。扱いに専門の訓練を要するMSを操縦できるパイロットは、MS自体が貴重な戦力である荒廃したAW世界では比例して貴重な人材でもあり、バルチャーに所属・あるいは雇われて戦う者も多く、密接な関係にある。優れたMS乗りはMSを個人所有していることもあり、特にガンダムクラスの伝説的な高性能機を所有している者は広く名が知れていたりする。
ブレーカー