蘊・奥は『機動戦士ガンダムSEED ASTRAY』の登場人物。

蘊・奥
登場作品

ガンダムシリーズ

声優 麦人
初登場SRW スーパーロボット大戦W
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プロフィール
種族 地球人ナチュラル
性別
年齢 不明(かなりの老齢)
所属 グレイブヤード
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概要編集

デブリ海に浮かぶ居住衛星「グレイブヤード」にたった一人で住まう老人。

モビルスーツのコクピットまでジャンプできる跳躍力をはじめとした優れた身体能力を持ち、卓越した剣技を持つ剣豪である。さらに「(剣術系の)一定のモーションのみしか使わない」と言う理由付けがされているとはいえ、ナチュラルなのにMSの操縦まで出来る(劇中の時間軸ではまだストライクダガーが生産されていない)。

グレイブヤードは元々忘れ去られた古い時代の技術[1]を受け継ぐ最後の後継者たちが移り住み、静かな余生を過ごすための場所であったが、その技術を狙う略奪者たちが後を絶たず、薀・奥はそれを迎え撃つ役割を果たしていた。彼以外の技術者たちがみな死に絶えた後も、彼らの遺した職人技のデータを守り抜くため、彼は戦い続けていたのである。

そこにやってきたのがジャンク屋ロウ・ギュールであった。エネルギー消費の少なく威力のある名刀「ガーベラストレート(=『菊一文字』)」を求めてやってきた彼を当初は馬鹿にしていたものの、彼の強い信念と男気に触れ、少しずつ彼を認めていき最期には彼に自分の刀鍛冶としての技術と剣技を託すまでに至った。しかし略奪者の攻撃の前に病に冒された身を引きずって戦っため、最期までロウに会えたことを感謝し続けながらその命を散らす。

こうして壮絶な最期を遂げたはずの彼だったが、『VS ASTRAY』(SRW未参戦)において謎の組織「ライブラリアン」によりカーボンヒューマンとして復活。しかもその技術が全盛期であった壮年の姿でガーベラストレートに匹敵する名刀「タイガーピアス(=『虎徹』)」を携えたレッドフレームのコピー機体に乗り込み、ロウに戦いを挑んできた。しかしロウを庇う様な行動をしてライブラリアンのメンバーに不信の目で見られるなど、彼の真意はメンバーたちと全く別のところにあった。

登場作品と役柄編集

携帯機シリーズ編集

スーパーロボット大戦W
初登場作品。原作と同じくロウにガーベラを託すのだが、その前に「ジョージ・グレン友の会」に接触していたらしく、G.G.ユニットまで託してくる(蘊・奥にG.G.ユニットを託した人物は何者かに追われて命を落としたらしい。原作でロウにG.G.ユニットを託したモンドだろうか?)。その後は全く登場しない。描写はないが、この展開だと下手すると人知れずひっそりと病死している可能性も…。

人間関係編集

刀匠
グレイブヤードに居た技術者の一人で、ガーベラストレートの大元の製作者。本職だけに刀鍛冶としての腕前は奥を凌ぎ、剣豪と刀匠で繋がりが深かったのか、技術者たちの中では奥と特に仲が良かった模様。既に故人だったため、ガーベラストレートの修復にはこの人物が遺した技術データと、その作品の性能を熟知した奥の監修が重要な役割を果たした。
伝八
飼い犬。奥がバクゥを動かすためにコクピットのレバーを押さえさせることもあり、それが原因で賊に「MSを操縦できる犬」だと勘違いされ拉致されかけたりもした。SRW未登場。
ロウ・ギュール
刀鍛冶及び剣士としての弟子。最終的には剣の極意のひとつ「活人剣」を会得するまでに成長した彼に悪態をつきながらも、奥は心底喜んでいた。

他作品との人間関係編集

ガレント・カベリナリオ
「『W』では彼と知り合いらしく、彼の名を出したカズマをグレイブヤードに迎え入れてくれた。
北辰衆
『W』では彼らの襲撃を度々受けていた。

名台詞編集

「ほう…ただのネズミではなさそうじゃの」
unit2「グレイブヤード01」。初めてグレイブヤードにやってきた際、奥はロウたちを略奪者だと疑い攻撃を仕掛けた。バクゥの攻撃や幾重にも張り巡らされた罠を突破して進むロウたちを見て感嘆しての台詞。
「時代の流れにより我々の技術は少しずつ必要とされなくなっていった」
「使われない技術を持った我々はもはや死んだも同然 いつしか我々はこの衛星に移住することにしたのじゃ」
「我々はこの《グレイブヤード(墓場)》で静かに余生を過ごすはずじゃった しかし…」
「どこから聞きつけたか興味本位の連中が… 時折やってきては グレイブヤード(ここ)を荒らしていく」
「その略奪者に対しワシらは戦いを挑んだ……」
同話。グレイブヤードの意味する「墓場」に辿り着いたロウ達に対して語った、グレイブヤードの真実。本来は忘れられた技術を持っていた職人たちが寄り集まった、技術的な墓場であった筈だったのだが、墓荒らしとも言うべき略奪者達の侵略を受け、抵抗はしたものの、やがてグレイブヤードは本来の意味での墓場にもなってしまった。
「ワシらは死にゆく定めだとしても ワシらがここにいた証だけは残しておきたかった」
「だから持てる技術をここに――…… この"墓(記録装置)"に残したというわけじゃ――」
その続き。朽ちた刀と共に在った無数の情報媒体は、その墓場に生きた彼らの墓であり、生きた証として技術の情報が刻まれていた。奥は生存者として、グレイブヤードの墓守を務めていた。しかし…。
「お前相当の……バカらしいな」
同話。上記の話を聞いた上でロウは「刀を直す」と発言。技術は墓の情報から、剣術は奥自身から習うことで、朽ち果てようとする技術を直そうと本気で豪語するロウに対してこの台詞で折れる。常識外れのロウに対して、この時の奥は彼を馬鹿としか形容できなかったが、それでも彼の本気を認め剣術を指南するコトに。
「この剣はジンのような重さで切る剣とは本質的に違っているのだ」
「真剣とは最も薄い部分が刃になっている―― この刃の部分を切る対象に対して垂直に当てなければ切ることはできない……」
「これを最も効率良く垂直に振り切れば力など関係なく……」
「すべてのものを――… 一刀両断出来る!!」
unit3「グレイブヤード02」。ロウに対して指南する、刀を用いた斬り方。すべてのもの、と豪語するが、同作では本当に間違っていないことが後に証明される。しかしロウは奥義を教えてくれと奥にせがみ…。
「バカもんがッ!!! 基本もできとらん奴に何が"奥義"かっ!!!」
「基本の中に『奥義』があると知れ!!!」
直後に一喝。上述の台詞で形容されたコト自体が最早『奥義』そのものであり、体得する為の基礎を叩きこむために奥はロウに素振り百万回を言い渡す。
(こやつ…ただがむしゃらに先走るヤツかと思ったら…驚いた吸収力のある奴じゃ…!!!)
(面白い奴―――!!!)
同話より。度重なる奥の駄目出しに負けずにガーベラを打ち直すロウを心中で褒める台詞。この後、侵入してきた略奪者相手にガーベラがその威力を発揮し、上述の斬り方を実践した真っ直ぐな太刀筋によりモビルスーツでビームを斬るといった常識外れの業を実現したことで、奥はロウを正式に認め始めることとなる。
「ハハハハ!! お前は大馬鹿天井知らズじゃな!!」
地球で回収した巨大なレアメタルを「全部」使ってロウが巨大な150ガーベラストレートを作り上げた際の台詞。ちなみに「ズ」は誤植ではなく原文。
「死ぬ前にお前が来てくれて良かった あの巨大な剣を造る業が見られて良かった」
奥の遺言(一部)。150ガーベラを作り上げたロウを褒め称えながら、彼は静かに息を引き取った。なお、この時だけ奥の一人称が「私」である。

搭乗機体編集

バクゥ
飼い犬の伝八と共に搭乗。伝八に操作を任せ、奥本人が機体を飛び出し斬りかかるコトもある。
ジン蘊・奥専用ジン(SRW未登場)
世界樹攻防戦にて損傷し放棄されていた機体を改修し使用。
一定のモーションのみを打ち込むコトで、本来コーディネイター用の機体の操縦を実現している。

余談編集

  • 「蘊奥」とは「学問・技芸などの奥深いところ」「奥義」「極意」を表す。

脚注編集

  1. 劇中の回想シーンでは番傘張り、器、三味線、染物など、何故か日本古来の技術ばかりが登場していた。

資料リンク編集