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| 外国語表記 = NEON GENESIS<br/>EVANGELION
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| 原作 = GAINAX・庵野秀明<br />→庵野秀明
 
| 原作 = GAINAX・庵野秀明<br />→庵野秀明
 
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明るい展開の話も在るものの、基本的には難解かつシリアスな展開に現代的なリアリズムが加わった作風で、後半以降はそれがより顕著となる。敵が典型的悪役である「異種族の侵略者」でも、『[[機動戦士ガンダム]]』のヒット以降大勢を占めた「人類の一勢力」でもなく、謎の存在=未知の生物として描かれているのも目新しい要素の一つといえる。
 
明るい展開の話も在るものの、基本的には難解かつシリアスな展開に現代的なリアリズムが加わった作風で、後半以降はそれがより顕著となる。敵が典型的悪役である「異種族の侵略者」でも、『[[機動戦士ガンダム]]』のヒット以降大勢を占めた「人類の一勢力」でもなく、謎の存在=未知の生物として描かれているのも目新しい要素の一つといえる。
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放送当時に社会現象にまで発展した、1990年代を代表するアニメ作品である。本作による経済効果は2007年までで1500億円超とされており、ロボットアニメとしては[[ガンダムシリーズ]]以外に例を見ないヒット作品である。一方で『機動戦士ガンダム』の監督である富野由悠季氏からは敵視(もとい[[ライバル]]視)されたり、庵野秀明氏の師の一人である宮崎駿氏から辛辣に批判されたりもしている。このようにアニメ業界の大御所にメディアが意見を求めている事例からも、良かれ悪しかれ'''「エヴァ以前・エヴァ以後」'''でアニメ論が語られる事も多く、強い影響力を窺わせる。ピーク時である1997年頃は、ニュースやワイドショー番組などでもその影響力について度々取り上げられた。
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放送当時に社会現象にまで発展した1990年代を代表するアニメ作品で、本作による経済効果は2007年までで1500億円超とされており、ロボットアニメとしては[[ガンダムシリーズ]]以外に例を見ないヒット作品である。一方で『機動戦士ガンダム』の監督である富野由悠季氏からは[[ライバル|仮想敵]]とされたり、庵野秀明氏の師の一人である宮崎駿氏から辛辣に批判されたりもしている。このようにアニメ業界の大御所にメディアが意見を求めている事例からも、良かれ悪しかれ'''「エヴァ以前・エヴァ以後」'''でアニメ論が語られる事も多く、強い影響力を窺わせる。ピーク時である1997年頃は、ニュースやワイドショー番組などでもその影響力について度々取り上げられた。
    
本作で多用された「裏に用意された設定を断片的に明かす」手法は、現在でもロボットものか否かを問わず多くのアニメで用いられている。これらの要素に隠れて目立たないが、実写映像作品(特に特撮作品)の要素を取り込んだ演技の間や演出方法、カメラワークは本作の世界観や雰囲気をより深める効果を高めている。『[[機動戦艦ナデシコ]]』監督の佐藤竜雄氏は「エヴァは難解なストーリー展開をアニメに持ち込んだ事以上に、これらの写実的手法を持ち込んだ事こそが評価されるべき」としている。
 
本作で多用された「裏に用意された設定を断片的に明かす」手法は、現在でもロボットものか否かを問わず多くのアニメで用いられている。これらの要素に隠れて目立たないが、実写映像作品(特に特撮作品)の要素を取り込んだ演技の間や演出方法、カメラワークは本作の世界観や雰囲気をより深める効果を高めている。『[[機動戦艦ナデシコ]]』監督の佐藤竜雄氏は「エヴァは難解なストーリー展開をアニメに持ち込んだ事以上に、これらの写実的手法を持ち込んだ事こそが評価されるべき」としている。
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放送終了後の1997年には、第25話・第26話(最終話)を別視点から描いた劇場アニメ『[[新世紀エヴァンゲリオン 劇場版]]』が公開された。
 
放送終了後の1997年には、第25話・第26話(最終話)を別視点から描いた劇場アニメ『[[新世紀エヴァンゲリオン 劇場版]]』が公開された。
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2007年からは新たな劇場版である『[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版]]』シリーズも公開されている。こちらは権利関係その他が、新会社カラーと庵野監督を中心に集約され一新されており、TV版とは異なる権利関係とスタイルで製作されている(スタッフは多くがTV版にも参加した顔触れで、ガイナックスは原作協力という形でクレジットされている)。
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放映中から発売を開始したVHSを始めとしたセル版商品では毎回TV放映から作画が修正されている。架空の商品を実在の商標に置き換えるのが大半だが、第弐拾一話から第弐拾四話は劇場版で使用したカットや新作シーンを組み込んで大分構成が変わっている。デジタルリマスター時にも作画の修正や入替が行われており、現行商品では(最終2話も含めて)放映時の台割のものを「オンエアフォーマット版」(第弐拾一話~第弐拾六話)、改変後の台割のものを「ビデオフォーマット版」(第21話~第26話)と呼称する。
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2007年から2021年にかけては新たな劇場版である『[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版]]』シリーズが全4部作で公開された。こちらは権利関係その他が、新会社カラーと庵野監督を中心に集約され一新されており、TV版とは異なる権利関係とスタイルで製作されている(スタッフは多くがTV版にも参加した顔触れで、ガイナックスは原作協力という形でクレジットされている)。
    
[[コンピュータゲーム|ゲーム]]方面では『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド』や『新世紀エヴァンゲリオン2』。他にも、純粋な学園ものの『新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画』、[[小説]]『[[エヴァンゲリオン ANIMA]]』、ギャグ漫画『ぷちえう゛ぁ』が展開された。
 
[[コンピュータゲーム|ゲーム]]方面では『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド』や『新世紀エヴァンゲリオン2』。他にも、純粋な学園ものの『新世紀エヴァンゲリオン 碇シンジ育成計画』、[[小説]]『[[エヴァンゲリオン ANIMA]]』、ギャグ漫画『ぷちえう゛ぁ』が展開された。
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=== [[NERV]] ===
 
=== [[NERV]] ===
 
;[[碇シンジ]]
 
;[[碇シンジ]]
:[[主人公]]。初号機パイロット。原作では環境が児童虐待同然であり、そうした環境での育ち方が影響してアニメ史上稀に見るヘタレと言われることもあるが、スパロボではしっかり成長する。原作を知っているとSRWの彼は別人と思うほど。
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:[[主人公]]。初号機パイロット。
 
;[[惣流・アスカ・ラングレー]]
 
;[[惣流・アスカ・ラングレー]]
:[[ヒロイン]]の一人。弐号機パイロット。非常に高いプライドを持っており、エヴァ操縦技量もそれに見合う物を持っている。がシンジの方が活躍している
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:[[ヒロイン]]の一人。弐号機パイロット。非常に高いプライドを持っており、エヴァ操縦技量もそれに見合う物を持っている。
 
;[[綾波レイ]]
 
;[[綾波レイ]]
 
:ヒロインの一人。零号機パイロット。無口無表情なキャラクターでアニメ界の女性概念をひっくり返した。アスカからはいい印象を持たれていない。
 
:ヒロインの一人。零号機パイロット。無口無表情なキャラクターでアニメ界の女性概念をひっくり返した。アスカからはいい印象を持たれていない。
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== 楽曲 ==
 
== 楽曲 ==
 
;オープニングテーマ
 
;オープニングテーマ
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:;「残酷な天使のテーゼ」
 
:;「残酷な天使のテーゼ」
 
::歌:高橋洋子、作詞:及川眠子、作曲:佐藤英敏、編曲:大森俊之
 
::歌:高橋洋子、作詞:及川眠子、作曲:佐藤英敏、編曲:大森俊之
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::なお、及川眠子氏曰く'''「実は、歌詞の内容はあまり深く考えておらず、約二時間で完成した」'''との事。
 
::なお、及川眠子氏曰く'''「実は、歌詞の内容はあまり深く考えておらず、約二時間で完成した」'''との事。
 
::『F』『F完結編』『α』で採用。なお、「Both of you,Dance Like You Want to Win!」の代わりにシンジとアスカのシンクロ特訓イベントの曲としても使われた事がある。
 
::『F』『F完結編』『α』で採用。なお、「Both of you,Dance Like You Want to Win!」の代わりにシンジとアスカのシンクロ特訓イベントの曲としても使われた事がある。
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::SS版の『F』と『F完結編』、『α』では間奏のギターソロがないシングルバージョンを元にしている。PS版の『F』と『F完結版』ではイントロの歌い出し部分がカットされドラムから入り間奏前にループする。
    
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最後に参戦したのは『第3次α』。以降は[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版|新劇場版]]が本作に代わって参戦している。
 
最後に参戦したのは『第3次α』。以降は[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版|新劇場版]]が本作に代わって参戦している。
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『MX』では漫画版の一部要素が取り入れられているが、漫画版そのものの参戦は未だに無い。
      
=== [[旧シリーズ]] ===
 
=== [[旧シリーズ]] ===
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=== 単独作品 ===
 
=== 単独作品 ===
 
;[[スーパーロボット大戦MX]]
 
;[[スーパーロボット大戦MX]]
:『[[ラーゼフォン (TV)|ラーゼフォン]]』『[[GEAR戦士電童 (TV)|GEAR戦士電童]]』と共にストーリーの中核を担っているため原作再現は多い。主要キャラクターの死亡はレイ、ゲンドウ、リツコ、カヲルのみ。
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:『[[ラーゼフォン (TV)|ラーゼフォン]]』『[[GEAR戦士電童 (TV)|GEAR戦士電童]]』と共にストーリーの中核を担っているため原作再現は多い。主要キャラクターの死亡はレイ、ゲンドウ、リツコ、カヲルのみ。トウジの設定に漫画版の要素が取り入れられている<ref>集英社『スーパーロボット大戦MX 超級戦闘伝導書』368頁。</ref>。
    
== 各話リスト ==
 
== 各話リスト ==
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*[[碇シンジ|シンジ]]や[[綾波レイ|レイ]]、[[惣流・アスカ・ラングレー|アスカ]]をはじめとする、本作に登場する少年少女達は、現代[[日本]]における同年代の平均身長と比べると、1995年当時の調査記録と比較してもかなり身長が低めに設定されている。
 
*[[碇シンジ|シンジ]]や[[綾波レイ|レイ]]、[[惣流・アスカ・ラングレー|アスカ]]をはじめとする、本作に登場する少年少女達は、現代[[日本]]における同年代の平均身長と比べると、1995年当時の調査記録と比較してもかなり身長が低めに設定されている。
 
**ファンの間では「文明が進むと人間は小柄になり、初潮…または二次性徴が遅くなる、という説に準ずるものだ」という推測も語られているが、真偽は不明。
 
**ファンの間では「文明が進むと人間は小柄になり、初潮…または二次性徴が遅くなる、という説に準ずるものだ」という推測も語られているが、真偽は不明。
*1998年頃に放送されていた『サンライズラジオ』では、「[[ガンダムシリーズ]]20周年」を迎えようとしていたサンライズがそのイベント内容が『エヴァ』と被らない企画(オーケストラコンサート等)にはならないようにしようと、当時必死でリスナー公募を行っていた。
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*構想段階では『[[ふしぎの海のナディア]]』の[[続編]]と位置づけられていた。実際、『ナディア』劇中にもその[[伏線]]となりうる要素が散見された。
*'''構想段階では『[[ふしぎの海のナディア]]』の[[続編]]と位置づけられていた'''。実際、『ナディア』劇中にもその[[伏線]]となりうる要素が散見された。
   
**[[ラストボス|敵組織首領]]の[[ガーゴイル]]が閃光に触れて塩になったのは「サードインパクト」を連想させる。
 
**[[ラストボス|敵組織首領]]の[[ガーゴイル]]が閃光に触れて塩になったのは「サードインパクト」を連想させる。
 
**敵組織が所有する[[レッドノア]]の内部には、第1使徒アダムと思しき巨人やそれらの骨格等が存在している。
 
**敵組織が所有する[[レッドノア]]の内部には、第1使徒アダムと思しき巨人やそれらの骨格等が存在している。
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*当時日本各地の放送局において度々再放送された。特に深夜帯での放送においては高年齢層にも高い評価を受け、アニメ作品の深夜枠への進出が活発化したきっかけにもなった。
 
*当時日本各地の放送局において度々再放送された。特に深夜帯での放送においては高年齢層にも高い評価を受け、アニメ作品の深夜枠への進出が活発化したきっかけにもなった。
 
*現在は[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版|新劇場版]]を制作したカラーが本作の版権も管理している。2016年以降の再放送では、OPテロップの「企画・原作」のクレジットよりGAINAXが外され、庵野秀明氏の単独表記へ差し替えられている。
 
*現在は[[ヱヴァンゲリヲン新劇場版|新劇場版]]を制作したカラーが本作の版権も管理している。2016年以降の再放送では、OPテロップの「企画・原作」のクレジットよりGAINAXが外され、庵野秀明氏の単独表記へ差し替えられている。
*庵野秀明監督自身もスーパーロボット大戦シリーズのファンであり、書籍『ガイナックス・インタビューズ』(堀田純司・ガイナックス 講談社)の中で「スパロボにエヴァを出すことを切望していた。最近は仲間に入れてもらえなくて寂しい」と語っている。
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*庵野秀明監督自身もスーパーロボット大戦シリーズのファンであり、書籍『ガイナックス・インタビューズ』(堀田純司・ガイナックス 講談社)の中で「スパロボにエヴァを出すことを切望していた。最近は仲間に入れてもらえなくて寂しい」と語っている。また[[スタッフ (登場作品)/監督#あ]]記載の通り、参戦にあたっては様々なアイデア出しをしている。
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*本作は空前のヒットにより制作元のガイナックスに多大な利益をもたらした<ref>厳密には当初ガイナックスは製作委員会に出資していなかったためテレビシリーズ制作時は直接恩恵を受けることはなく、本格的に収益化されたのは製作委員会より関連商品の窓口を移管して以降である。</ref>が、一方で『エヴァ』のIP利益に依存しきったガイナックスの慢性的な放漫化・浪費体質化といった経営腐敗を招くことにもなり、庵野監督にとってもカラーの設立や同社への『エヴァ』版権の移管などガイナックスと距離を置く要因となった事を後のインタビューにおいて述懐している<ref>[https://diamond.jp/articles/-/224881 【庵野監督・特別寄稿】『エヴァ』の名を悪用したガイナックスと報道に強く憤る理由] ダイヤモンド・オンライン 2019年12月30日</ref>。
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**ガイナックスによる『エヴァ』IP濫用はゲーム分野において特に顕著で、『名探偵エヴァンゲリオン』『新世紀エヴァンゲリオン バトルオーケストラ』『新世紀エヴァンゲリオン エヴァと愉快な仲間たち』といった珍妙なタイトルが生まれる一因ともなっている。
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*上述した社会への影響力から、本作を強く意識した作品からパロディ対象としてネタを拾った作品と、大から小まで影響を受けた作品は無数に存在する。中には'''放送中に発売されたゲームにまでパロディされ、語り草になったケースまである'''<ref>第弐拾四話放送前の1996年3月9日に発売された『スーパーマリオRPG』。発売時期にしては明らかにネタが多く、定番ネタから外れて[[赤木リツコ]]の第七話の台詞までパロディされている。</ref>。
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*放送時のムーブメントにより1990年代時点でもテレビのアニメ系特別番組でも頻繁に取り上げられる作品となっていた。そのため現在はいわゆる「懐かし系」のカテゴリに置かれることも多く『[[新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION]]』とのコラボレーション時には『てれびくん』など児童誌における『エヴァ』の解説にて「知らない人はお父さんやお母さんに聞いてみよう!!」といった説明がなされておりその月日の経過にダメージを受けるファンも多かった。
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== 脚注 ==
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<references />
    
== 商品情報 ==
 
== 商品情報 ==