リー・リンジュン

リー・リンジュン / カーリー・ナウマンは「OGシリーズ」の登場人物。

リー・リンジュン
登場作品

バンプレストオリジナルOGシリーズ

声優 若林亮(OGS)
岡野浩介(アニメ以降)
初登場SRW スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
SRWでの分類 パイロット
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プロフィール
偽名 カーリー・ナウマン
異名 パーフェクト
種族 地球人
性別
年齢 29歳
所属 地球連邦軍シャドウミラーガイアセイバーズ
軍階級 中佐
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概要編集

『OG2』でのシロガネ新艦長。士官学校を主席で卒業し、“パーフェクト”の異名を持つ。また、テツヤ・オノデラとは同期である。序盤でキョウスケ・ナンブATXチームを指揮下に置く。

軍人として優れた才覚を持っているが、現実よりも理論に重きを置く傾向があり状況判断のミスも多く、「パーフェクト」だったのは士官学校の成績だけと言える。ただリーにとってはそれが最大の誇りと威厳であったせいか、テツヤを筆頭とした自分より成績の優れなかった者を中心にやたら人を見下す傾向にある。また、人間味に欠ける硬直した態度から、部下との言い争いが絶えなかった。猜疑心も強く、ノイエDCから離反したアラド・バランガなどには常に疑いの目を向けている。その理由は、前大戦のL5戦役においてイングラム・プリスケンの造反により、家族を失った事にある。そのため、当時現場にいて造反者を出したハガネ隊らを憎しみの目で見ている。

家族を失ったという事情から、異星人の脅威に対抗して地球を防衛することに強い執念を燃やすが、そのためには、軍隊は徹底して規律により統率されなければならないと考えていた。しかし、現実はリーの理想通りにはいかなかった。DC戦争・L5戦役の立役者たるハガネヒリュウ改の部隊は、どちらかと言うと鉄の規律よりも仲間としての絆を重視していた。しかもハガネの場合は敵からの離反者も加わっていたこともあって、このような部隊が地球圏防衛の要として扱われることに我慢がならなかった。また、イスルギ重工と癒着しているケネス・ギャレットのような高級将校が連邦軍に存在していることにも、苦々しさを覚えていた。そのような思いを抱く彼の前に現れたのがシャドウミラーであった。シロガネの入手を目論むシャドウミラーによって捕縛されるも、その際にヴィンデル・マウザーの掲げる理想に共感。連邦を見限って離反し、ヴィンデルの配下となる。

その後、連邦軍とインスペクターによるラングレー基地攻防戦(オペレーション・プランタジネット)では、空間転移によってハガネの隙を突き、ダイテツ・ミナセ艦長を討ち取る事に成功する。しかし、この時期をきっかけにシャドウミラーは異星人であるインスペクターと手を組む。互いに利用し合い、後々の破棄を前提とした同盟ではあったろうが、リーにとっては極めて皮肉な状況となった。当然リーは不満を抱いていたが、「最強の軍隊を作り、宇宙において地球人類の確たる地位を築く」という大目的のために我慢したようである。その後、ホワイトスター周辺宙域での交戦において、ダイテツの遺志を受け継いだテツヤによってシロガネは大破。止む無く戦域から離脱(OG2では撃墜されシロガネごと爆散し死亡)して行方不明となった。

その後、(恐らくは)スレイ達によって発見・回収され、「カーリー・ナウマン」と名を変えた上でアルテウル・シュタインベックの配下となり、ガイアセイバーズに編入される。旗艦エア・クリスマスの艦長としてゲストやルイーナ、そして鋼龍戦隊と干戈を交えることとなったが、この時期にはインスペクター事件でテツヤに完全敗北を喫したのが効いたのか、戦隊への敵対の姿勢こそ崩さなかったものの人格面ではかなりまともになっていた。

戦争終盤、不審な挙動の多いアルテウルに対して徐々に疑念を抱くようになる。それは、ルイーナ撃滅後にファブラ・フォレースに転移した際、エア・クリスマスが観測した艦体のESウェーブ・パターンがバルマーのものであったことから一気に増大し、バラルの園で彼が正体を明らかとして動き出した際に確信へと変わる。

その直後に切り捨てられて攻撃を受けたことで致命傷を負うも、執念のみでエア・クリスマスを操艦して境界空間へ転移。決死の特攻と内部への転移自爆によってアダマトロンに揺らぎを与え、命と引き換えに調停者に滅びを齎す一翼を担った。

アニメジ・インスペクターにおいては尺の都合上、裏切りなどがカットされ、「イヤミだが、根は良識的な軍人」という扱い(ある意味、本来のリーの性格)になっている。

登場作品と役柄編集

OGシリーズ編集

スーパーロボット大戦ORIGINAL GENERATION2
初登場作品。序盤から使えるが、中盤で裏切る。シロガネの能力もハガネヒリュウ改に比べるとパッとしないので、まず使う事はないだろう。
スーパーロボット大戦OG ORIGINAL GENERATIONS
本作から声がついた。担当声優の若林氏は本作でSRW初参加となる。
撃沈はされなかったので死亡せず、大破したシロガネと共に行方をくらます。
スーパーロボット大戦OG外伝
フリーバトルのみ登場。
第2次スーパーロボット大戦OG
「カーリー・ナウマン」の名前で登場。担当声優はアニメ『ジ・インスペクター』でリーを演じた岡野氏が続投し、これに伴い岡野氏はゲーム版SRWシリーズ初参加となった。撤退した後スレイ達に発見されたらしく、アルテウル旗下でエア・クリスマスの艦長として動いている。中盤以降、鋼龍戦隊が反逆者に仕立てられてからは何度か対決するが、鋼龍戦隊に勝つ事は出来なかった。このまま前作の轍を踏むと思われたが、不可解な行動を取るアルテウルに次第に疑念を抱くようになる。そして、最終局面で彼がユーゼス・ゴッツォとしての正体を現し、更に家族を失ったL5戦役の黒幕だと知って激昂、エア・クリスマスでアダマトロンに特攻した上にアダマトロンの内部に空間跳躍して自爆させるという離れ業をやってのける。
杓子定規な性格は変わらないが、テツヤに敗れたこともあって、アルテウルに直言を述べたり特攻の前には「地球のため」と言う名目で力とテツヤを超えることに固執していた自分を省みる発言をするなど、『OG2』(『OGS』)に比べてまともな面が目立っている。
なお、アルテウルがエア・クリスマスのメインを務めるステージではサブパイロットになっている。
スーパーロボット大戦OG ジ・インスペクター
声優が岡野浩介氏に交代。序盤はゲームと同様の扱いだが、家族を失った過去や、テツヤとの因縁は描かれず、ハガネ登場後にシロガネ修復のために撤退して以来、最終話まで全く登場しなくなる。そのため、シャドウミラーに寝返る事も、ダイテツの死の原因になる場面もカットされた。そして最終話にて宇宙に出ていたシロガネからキョウスケ達とベーオウルフの死闘を見届け、戦闘後、キョウスケ達の回収を指示するというまさかの見せ場が与えられた。結果として、出番がなくなったために負の面が描かれず、良い目を見たとも言えなくはない。
スーパーロボット大戦OG Record of ATX
ディバイン・ウォーズの時点で登場しており、大連沖で空母「円明」の指揮を執っていたが北京攻防戦で負傷している。今作のジ・インスペクターでは家族を失ったかは不明だが、この時の戦闘で自身の部隊と故郷の人間がどれだけ死んだかとテツヤに問い詰める場面が存在する。
「ジ・インスペクター」でも登場しているがこちらでも裏切らず、ハガネ&ヒリュウ改とは別に連邦軍で活動中。

パイロットステータス編集

能力値編集

OG2、OGS
能力値上においてはテツヤよりも多少強いといった感じ。エースボーナスが優秀なので撃墜数を稼ぎたいところだが、出撃不可なシナリオも多く後に永久離脱するため率先して使う必要はない。離反後は回避防御命中が大きく上がる。おそらく本気で地球圏を守る気が無かったのだろう。
第2次OG
OG2に比べて少し能力が上がっているが、他の名有りパイロットに比べるとかなり弱い。たまにメインを務めるアルテウルと比べると雲泥の差であるが、ガイアセイバーズに対する疑念で全力が出せていないのだろうか。

精神コマンド編集

OGS
鉄壁必中努力狙撃熱血突撃
艦長としてはかなり優秀な精神を覚えるが、熱血の消費SPはまさかの55
第2次OG
必中努力狙撃熱血突撃
熱血の消費が45に下がった。

特殊技能(特殊スキル)編集

OGS
指揮官L4、援護攻撃L3、気力+ (ダメージ)ガンファイトL6リベンジガード
気力+ (ダメージ)から先は離反後の技能。シャドウミラーに入って鬱屈がなくなったのか?
第2次OG
指揮官L4、援護攻撃L3、気力+ (ダメージ)
今作の「指揮官」はパイロットによってレベル固定か成長するかが異なるが、リーは成長するタイプ。

エースボーナス編集

反撃時に与える、最終ダメージ+10% 受ける最終ダメージ-10%
OGS』。戦艦乗りとしては理想的なボーナス。とはいえ、普通にプレイしているとこれを見る機会はまず無いだろう。
指揮効果+5%、受ける最終ダメージ-10%
第2次OG』。能力値はともかく、指揮能力は明らかにアルテウルより上。

人間関係編集

テツヤ・オノデラ
同期だが、士官学校で自分以下の成績であった彼の事を一貫して“ナンバー2の男”として見下していた。しかし、いざテツヤと敵対関係になると、DC戦争・L5戦役を戦い抜いてきたテツヤとの実戦経験の差が浮き彫りとなった挙句、最後は彼を見下す余り、よりにもよってドリル戦艦であるクロガネに突撃命令を下してしまう。案の定、クロガネのドリルでシロガネを大破させられ、行方不明になった(OG2ではシロガネごとドリルで粉砕され殉職)。
第2次OGではガイアセイバーズを経てユーゼスに特攻する際には、テツヤに力に固執してばかりいた過去の自身を悔やむ発言をするなど、前述通り人間的な成長も見られた。
アニメ版・漫画版の『ジ・インスペクター』ではシャドウミラーに寝返らないため敵対していない。
ダイテツ・ミナセ
彼を討ち取る事に成功する。『ジ・インスペクター』では敵対していないため後述のようにヴィンデルがその役割を担っている。
レフィーナ・エンフィールド
こちらもテツヤ同様「特別措置で艦長になっただけの女」と見下していた。ただしこちらも士官学校を主席で卒業している事に加え、実戦経験はリー以上である。
シンシア
亡き妻。彼女と両親を失った事がリーの運命を狂わせていく。
ケネス・ギャレット
上官。メーカーと癒着する腐敗ぶりに内心軽蔑していた。しかし、そんな上司だとしてもリー自身は部下には「上官の命令は絶対」と散々主張しているので、プレイヤーにはご都合主義と揶揄される(後述)。
キョウスケ・ナンブエクセレン・ブロウニングブルックリン・ラックフィールド
部下として配属されたが、彼等とは反りが合わず煙たがっていた。
カチーナ・タラスク
ムータ基地防衛で彼女達を捨て駒同然に扱う発言をしたため反感を買った。
ヴィンデル・マウザー
彼の理想に賛同して配下に加わる。しかし、ヴィンデルにとってリーはあくまで駒の一つでしかなかった。人を駒としてしか見ない組織こそリーが理想としていた軍隊ではあるのだが、シャドウミラー側はリー自身の目的などあまり理解しておらず、結果的にリーは手段の為に目的を忘れた形になった。もっともリーにとっても不甲斐ない連邦軍を抜け出したかったという側面もあり、ヴィンデルの理想を有耶無耶に受け入れた側面が強い。
ちなみに『ジ・インスペクター』ではリーの代わりに彼がダイテツを討ち取っている。
エキドナ・イーサッキ
彼女の策略に嵌められて、シロガネ諸共シャドウミラーに捕らえられる。その後ヴィンデルに篭絡されることになった。
イングラム・プリスケン
直接面識はないが、彼の裏切り行為のために家族を失ってしまい、リーはハガネに不信感と恨みを抱くとともに、異星人を倒すことに執念を燃やすことになる。無論彼の真意など知る由もなかった。
ラミア・ラヴレス
イスルギのテストパイロット」という名目で派遣された彼女を怪しみつつも預かることに。素性は彼の望んだ「命令に忠実な兵士」そのものなのだが、鋼龍戦隊と共に行動する中で「甘さ」を学習し(てしまい)、リーの、そしてシャドウミラーの理想を否定することになってしまった。
『ジ・インスペクター』では言語回路が故障していた彼女の言動に思わずギャグ調にデフォルメされた表情を晒してしまうほど唖然としていた。
アルテウル・シュタインベック
自分を拾ってくれた恩人として尊敬するが、次第に不信感を抱く。正体であるユーゼスは彼が家族を失うきっかけとなったL5戦役を引き起こした黒幕。

名台詞編集

OGs編集

「反論は許さん。貴様は私の命令に従っていればいい」
「言っておくぞ、中尉。ハガネに乗っていた時と同じように振る舞えるとは思わんことだ。命令、そして軍規に違反する者は厳しく処分する。あのふざけた女にもそう伝えておけ」
「美しき侵入者」より。不服ながら身元や目的が怪しいラミア&アンジュルグを預かる羽目になり、その監視をキョウスケに押し付ける。…が、これがラミアが「人間性」を得る切欠となったのはある意味皮肉だろう。
「貴様は士官学校で何を学んできたのだ?」
「上官の命令には絶対服従……それが軍隊の大原則だ」
「それを守れぬ者は命令系統を混乱させる要因となり、全体の作戦行動や士気に悪影響を及ぼす」
「個々が与えられた命令に従い、定められた任務を効率よく遂行しなければ優れた戦果を挙げることなど出来ん」
「星への翼」にて。艦長の命令に従わず平然と意見するブリットへの説教。「上官の命令は絶対である」というリーを象徴するような台詞であり、現実の軍隊においては極めてごもっともな説教と持論ではある(ついでに言えば、上官に質問をするには許可が必要なのだが、ブリットはいきなり食って掛かっている)。この地点ではリーもまだ「嫌味ながらも規律に忠実な軍人」という見方もできたのだが…。
「貴様らは私の命令に黙って従っていればいい」
「その結果、戦死することになってもな」
第13話地上ルート「ノイエDC」より。「兵卒は使い捨て」とは冷酷な事実ではあるが、それを実際に口に出して無用の反感を買ってしまう。彼の性格と器量の限界が端的に表れたセリフ。もっとも後にリー自身は有事の際の責任を全く取らない事が判明するため一種の開き直りともとれる。
「シンシア……!」
「ふふふ…私もまだまだ青い。未だにあの夢を見るとはな」
「忘れ得ぬ記憶」で、L5戦役で両親と妻を失った際の光景を夢で見て飛び起きた際の一言。リー本人は自嘲気味に呟いたが、それだけ彼にとって深刻なトラウマになっていることを証明している。
(私は異星人共を倒すために……父や母、シンシアの無念を晴らすために今まで戦ってきた)
(それが、戦線離脱だと? 地球脱出船団だと? 冗談ではないぞ…!)
(私は、無能な上層部の人間を脱出させるためにシロガネの艦長を務めているわけではない)
(何とか…何とかせねば)
上層部からシロガネをDC追撃任務から外す旨を宣告されて苛立つモノローグ。「家族の仇を取る」ということを考える余り、「上官の命令は絶対である」という持論を見失いつつあることを彼は自覚していなかった。ここから彼の歯車は狂い始めることとなる。
「上官侮辱と受け取っておくぞ」
「ええい!この役立たずが!」
基地防衛に対し「基地のど真ん中に居座り艦を動かさない」というあまりに適当な対応をカチーナに非難されての一言。後者は作戦失敗時の台詞。しかしながらリーは内心ケネスを散々嫌っている現状で自分は平然と上官侮辱をしているのに自身に対する上官侮辱は許せないという虫の良い思想が露見した台詞である。
後者に至っては自分の判断ミスを棚上げした台詞である。
「貴様の意見など聞いていない。見ての通り、アラド・バランガはノイエDCのスパイだった」
「故にここで奴を処分する」
リュウセイ「なっ……!」
ブリット「中佐、本気でそんなこと言ってるんですか!?」
「そうだ、……まったく、貴様らの考えの甘さには虫酸が走る。この状況下で、敵からの離反者を偵察に出すなどと……」
カチーナ「ケッ!虫酸が走るのはてめえの頭の堅さの方だぜ!!」
「あの状況を把握できぬものが何を言うか。現にアラド・バランガは自ら通信を断ったのだぞ」
「現れた「影」」にて。アラドはゼオラを説得しようとしていたのであり、確かに考えは甘いのだがそんな気は全くない。実にリーの頭の堅さが(悪い意味で)良く出ているシーン。この後も他パイロットやテツヤとの激しい言い争いの末にダイテツから雷が落ちた。…アラドの隣にいた人物が本当のスパイであり、且つ自分も軍としての理想を求める余りその組織に寝返ることになり、その人物は逆に自軍の「甘さ」に共感して寝返ることになるのが実に皮肉である。何より状況を把握出来ていないのはリーの方であり、この一連の言動は完全に判断ミスである。
「犠牲はすでに払われている。貴様やケネスのように無能な軍人のせいでな」
「シャドウミラーこそ、私の理想の軍隊。兵士は己の任務に忠実であり、命を捨てることも厭わない」
「壊れた人形」にて、テツヤから「目的の為なら犠牲を払っても構わないと言うのか」と問われて。人間味に欠けるも一見もっともらしい意見だが、あれほど嫌っていた裏切りという行為に加担したことを棚上げしている上に、軍を裏切っておきながら任務への忠実さを説いているため、全くと言っていいほど説得力がない。
また、このシナリオ名の「壊れた人形」とは「学習し過ぎて一方的に与えられる己の任務に忠実でなくなってしまった」ラミアの事を指しているのだが、「規律や上下関係の厳しさを謡っていながら」「裏切りを散々嫌っておきながら自身は平然と軍を裏切り」「それでもなおかつての仲間へは任務への忠実さを説いている」というリーもまた「壊れた人形」であるとも言える[1]
「末端の兵士は自分の任務のことだけ考えていればいい。そして確実に任務をこなせる兵器であればいいのだ」
リーの語る理想の兵士像。人間味に欠けるも軍隊という組織論において一理ある思想だが、前述の台詞に続き軍を裏切った者が言える立場ではないだろう。かつて部下に対して言い放った「上官の命令には絶対服従するのが軍隊の大原則」を守っていない事に気付いていないのだろうか。
建前上は上下関係の厳しさや徹底した規律を叫んでいたリーだが、この台詞も踏まえると結局のところ自分の指示に従順な部下が欲しかっただけなのかもしれない。
「それが最強の軍隊を作るために必要だと言うのであれば」
「闘争の時代を経て、人類が真の強者に成長し…この地球と共に揺るぎない存在となるのであれば、やむを得ないと思っている」
「武神装攻ダイセンガー」にて、インスペクターと結託することを問われて。リーの信条である、「上官の命令(意向)に忠実に従った」と言えば聞こえは良いが、異星人は妻と両親の仇であり憎むべき存在だったにも関わらず、「最強の軍隊を作るために異星人と結託する」という、本末転倒な結果となった。
「だだし、ヴィンデル大佐…」
この後、ヴィンデルに対してインスペクターの利用価値が無くなれば切り捨てるようにとそれとなく提言しヴィンデルもそれを理解しているかのような反応[2]をしたものの、アクセルから内心「お前にも同じことが言えるがな」(OGSでは「自分がいつ同じ立場になるかは気づいていない…か」)と思われており、自身が単なる手駒として利用されている事には気づいていなかったようである。そして何より、この時リーは心苦しさを感じるような素振りすら無く一貫して一平然とした表情を浮かべていた事に加え、後述のテツヤとのやり取りも踏まえると、この地点で自分が外患誘致の片棒を担がされている事には疑問を感じていなかったようである。
「ク、ククク…これで終わりだ、テツヤ・オノデラ。 貴様らなど必要ないのだ、我らの軍隊には…! 貴様のような軟弱は必要ないのだ、新しい世界ではな!」
「オペレーション・プランタジネット(後編)」にて、空間転移でハガネに奇襲をかけダイテツに致命傷を負わせた際の台詞。本来ならばリーは家族の仇である異星人を倒すはずだったが、完全にヴィンデルの歪んだ理想に染め上げられ異星人と戦うハガネを大破させ、ダイテツの命をも奪ってしまう。
「貴様等の反抗的な態度には虫酸が走る・・・!」
離反後のATXチーム相手に発する特殊戦闘台詞。反りの合わなかった部下だけあって相当腹に据えかねていたのだろう。もっともリー自身裏切りという軍に対する反抗的な態度をとっているのだから人のことを言える立場ではない。
「死んだ者は無力だ。そんな存在に引きずられるなど…まったく、反吐が出る」
「己が信じるもののために」にて、テツヤが「クロガネの艦長は今でもダイテツ中佐だ!」と言ったことに対して。「死んだ者に引きずられる」という意味では、リーも妻や両親の死を引きずって連邦軍への不信感を抱き裏切りという結果を迎えたため、人のことが言える立場ではない。
「ふん……ナンバー2と特別措置で艦長になっただけの女が私に勝てると思っているのか!」
「己が信じるもののために」にて。前者はテツヤ、後者はレフィーナを指している。しかしDC戦争やL5戦役を戦い抜いたテツヤ&レフィーナと、時に理論が先行気味になってしまい未だに士官学校の成績だけでしか優劣を判断出来ないリーとでは実力に差が生じていた。
「ぐううっ!! まだだ! まだ終わらん!! 奴らに負けるわけにはいかんのだ! 奴らでは地球を守れんのだ!!」
「馬鹿なことを言うな! 私が貴様などに敗北するものか! ナンバー2の貴様などに! 艦首をクロガネに向けろ! 何としてもあの艦を沈めるのだ!!」
「己が信じるもののために」にて。「奴らでは地球を守れんのだ!!」などと言っているが、自身はその地球に危害を加えている異星人に加担している事を完全に棚に上げている台詞である。
そして己が「ナンバー2」と見下したテツヤに不利な状況に置かれた焦りなのか、クロガネに特攻するという命令を下してしまう。無論、クロガネの艦首にはドリルが装着されておりそんな艦へ突撃命令など出せばどうなるか直ぐ判るはず・・・なのだが・・・。
「ヴィンデル大佐の理想を! 最強の軍隊を! 貴様などに潰させるものか!」
上記の台詞に続きヴィンデルに全てを捧げたとも言える台詞。「異星人を倒す」という目的を果たせないことに業を煮やして「軍隊を裏切った」だけでなくいつしか彼自身の目的とは逆の言動・・・即ち「ヴィンデルを介する形とはいえ倒すべきはずの異星人と結託している」という判断を取っていた。
「観念したかテツヤ!貴様は相変わらず詰めが甘いな!!」
特攻に対し文字通り正面から受けて立つ対応をしたテツヤを見て。最後までテツヤを見下し続けたリーだが当のリーはこの時クロガネという艦の性能を完全に忘れておりこの台詞の直後にそれをテツヤに指摘される有様であった。言うまでもなくあらゆる意味で詰めが甘いのはリーの方である。
「ば、馬鹿な!! 私は…私は最強の軍隊を!!」
「テ、テツヤ…!」
「…!!」
そして敗北後、本末転倒な言動であったことをテツヤに指摘されてしまうも、その時リーは心底心苦しそうな表情を浮かべていたこともあり、この時まで本来の目的を忘れ、地球圏防衛及び異星人撃退の理念とは真逆の言動に走っていた事に気がつかなかった。自分勝手な言動といい判断ミスといい、本当にパーフェクトだったのだろうか。
「くっ…。私は、私は…!!」
OGSではこちら。テツヤの言葉で自身の矛盾に気づき、心苦しい表情を浮かべ撤退。
この件以降は多少ながらも人間的な成長が見受けられるようになる。

第2次OG編集

「ミッション・ハルパーの時もそうでした。 彼らは軍人であるにも関わらず、 主観重視で行動する傾向にあります」
「もっとも、自分もそういう時期はありましたが…」
第29話「揺れる矛先」より。アルテウルから鋼龍戦隊の動向を問われた際に。当時の上官だったヴィンデルの意向もあったとはいえ、さりげなくインスペクター事変での自身を省みる発言をするなど、相当に思うところがあったようである。
「軟弱な連邦軍は理想の軍隊たり得ん。シャドウミラーなき今、ガイアセイバーズこそが、最高権力者の剣こそが我が理想の軍隊。 私を拾って下さったアルテウル司令に報いるべく、 恥を忍んでここにいる」
第33話「偽面の報復者」にて。キョウスケからのうのうと連邦側へ出戻った事を批難されての返答。ガイアセイバーズを評価するには屁理屈感丸出しな理論ではあるが、最後の件では異星人側へ寝返りながら連邦側へ戻ってきたことを恥じてはいたり、正体を隠す気が全くない事も踏まえると、人間的な成長はあるのかもしれない。
「アルテウル! アルテウル・シュタインベック!! 」
「この身に代えても!貴様を!」「貴様を討つ!」
「FTBシーケンス!」「フィールド・ブレード、ON!」
「うおおおお!!」
最終話「古の忌憶」にて。家族を失ったきっかけである「L5戦役」、それを引き起こした元凶であるユーゼスに怒りを爆発させ、エア・クリスマスで特攻を仕掛ける。ユーゼスは「下らぬ手だ」と一蹴したが…。
なお、このイベントは『F完結編』でのバスクがシロッコに特攻するシーンのオマージュとなっている[3]
「元より、今の一撃が効かぬのは承知の上……!」
「……笑うがいい、テツヤ・オノデラ……この私の無様な姿を……」
「地球圏存続のため……強大な力を求め続けた結果が……この様だ……」
アダマトロンに特攻した後の台詞。願いその物は間違った物では無かったにせよ、今までの自分が手段を決定的に間違ってしまっていた事を認めており、その事に対する強い悔恨が見える。OG2での自分勝手で無責任な名ばかりのパーフェクトであった姿はもう無いだろう。
「先程の攻撃で……座標を確定できたのだよ……そう、転移先の座標を……最後の一手が使えると……」
エア・クリスマスの特攻を軽傷で凌いだユーゼスに「死に損いが……失せろ」と言い捨てられたのも意に介さず呟くカーリー。そして……
「どのみち……私の命はもう尽きる……見るがいい、テツヤ・オノデラ……これが私の……!」
「リー・リンジュンとしてのけじめだ!!」
この叫びと共にアダマトロンの居る座標その物に強引に転移、アダマトロンの内部構造を巻き込んで壮絶な自爆を遂げた。転移した自分は勿論、転移先に居た相手もただでは済まない荒業である。このダメージによって引き起こされた綻びは、盤石であったはずのユーゼスの優位を大きく揺るがす流れを生んだ。また、作中でずっと「カーリー」名義だった名前欄が、最後の一言の部分だけ「リー」に戻っている

ジ・インスペクター編集

「生存機を回収しろ」
最終話にて、ベーオウルフとの死闘の後、生き残ったキョウスケ達を発見しての台詞。こちらのリーはなんだかんだでキョウスケ達を認めたようで、僅かながら柔和で優しげな笑みを見せている。

Record of ATX編集

「貴様ッ、軍人が民間人の被害を看過してどうする!」
OG1時代のシナリオでゲスト出演した際の台詞。北京でのエアロゲイターの戦闘において、自艦を戦域へと前進させようとした際に副官に「敵は市街地を狙っているのだから、前に出て的になるよりもこの位置で迎撃した方がいい」と言われた際の怒りの反論である。副官の襟首を掴み上げ、かなり険しい表情で発していたことからも、リーが副官の民間人軽視な意見にどれだけ怒りを感じていたかを察することができる。己の被害を顧みず民間人を守ろうとする意志を最大限に示した台詞でもあり、リーの性根は良識的な軍人である事が伺える場面。
「遅い!」
部下からハガネ隊が到着したとの報告を受けた際の毒づき半分な感想。市街地戦は民間人の犠牲が常につきものであり、長引けばそれだけ犠牲が増える一方である。口が悪いと言われても仕方のない台詞ではあるが、ゲーム本編での自分勝手かつ無責任な言動とは打って変わって、この場面においてはリーの言っていること自体は割と筋が通っている。
「貴様の頭には空気でも詰まっているのか 馬鹿者」
「特攻隊の勢いに当てられて己の責務を見失うな 先陣を楔に敵の両翼を分断する」
オペレーション・プランタジネットに向け突撃をかけるハガネ&ヒリュウ改を見て、前線への突撃を進言した副官に対して。ゲーム外媒体のリーは、何だかんだで「言動はイヤミだが有能な指揮官」として描かれている。
「気に入らんな」
「軍事拠点だけを狙う明確な意図を示しながら 転移能力に見合わない非効率な侵攻行動もだが ここにきて襲撃頻度が落ちて来たのは状況が推移した顕れのはずだ」
「裏で詰めを打たれているのではないか 我々は」
アインストの攻撃の変化と頻度の低下から、裏で何がしか大きな動きがあるのではないかと訝る。事実この時、アインストのみならずシャドウミラー、インスペクターも目的達成に向けた最終行動に移っていた……。

搭乗機体編集

シロガネ
エア・クリスマス

余談 編集

  • 「カーリー・ナウマン」という偽名は「仮の名前」から[4]

脚注 編集

  1. ただしラミアの場合はこのシナリオの前にも自分が壊れている事を少なからず自覚している節があり、後にそれを指摘された後も「自分は人形としては壊れた存在である」と自覚した上で行動していくのだが、リーは壊れた自覚が無いまま行動していく為、壊れた人形としてはリーの方が遥かに重症である。
  2. とはいえヴィンデルからしてみればそもそもインスペクターもリーも手駒のひとつでしかなく、リー本来の目標など理解する気は無かった。
  3. 更に言うとF完結編のバスクも前日譚に当たる『第3次』で異星人と結託して地球連邦を攻撃していたという前科がありながら『F』及び『F完結編』で地球連邦へ再就職するという言動を働いており、リーの言動もそれに通じるものがある。ただしバスクは再就職出来た具体的な理由は描写されていない。
  4. 熱血!必中!ボイス・スパログ! 〜第2次スーパーロボット大戦OG篇〜 第5回より。