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== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[ナイメーヘン士官学校]]卒の[[モビルスーツ]]マニア。オーストラリアの[[トリントン基地]]に所属し、[[MS]]のテストパイロットをしていた。登場時の階級は少尉。「ニンジンが嫌い」という子供っぽい一面を持つ。また、お坊ちゃんが多い事で有名なナイメーヘン士官学校でも奥手な方だったらしい(実際、ニナとの付き合いも彼女に終始リードされていた)。
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[[地球連邦軍]]に入隊したばかりの新米パイロットで、登場時の階級は少尉。
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[[ナイメーヘン士官学校]]卒業後、親友の[[チャック・キース]]と共に[[一年戦争]]で[[コロニー落とし]]の被害を受けた[[オーストラリア]]の[[トリントン基地]]に配属され、[[モビルスーツ]]のテストパイロットをしていたのだが、不幸にもこの事が連邦軍と[[アナハイム・エレクトロニクス]]の共同で行われた「'''[[ガンダム開発計画]]'''」に関わってしまう事になり、そして[[ジオン公国軍]]でも「ソロモンの悪夢」の異名で恐れられた[[アナベル・ガトー]]との因縁が生まれてしまう…。
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=== 経緯 ===
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===人物===
新開発の[[ガンダム試作2号機]](GP02A)が[[ジオン軍]]残党([[デラーズ・フリート]])の[[アナベル・ガトー]]少佐に奪われた際に、[[ガンダム試作1号機]](GP01)の近くに居た為に咄嗟に乗り込み、追撃する。初陣では実戦に不慣れな事をガトーに見抜かれ、苦汁を舐めさせられる。
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基本的に温和で真面目な性格をした好青年で、軍服を着ていなければ戦争とは無縁な人物にも見えるのだが、重度の[[モビルスーツ]]マニアとしての側面も持ち、モビルスーツの操縦をしたいというのが軍への入隊の動機となっている程。
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MSに関する造詣に深く、GP02Aが[[核ミサイル|核]]を装備しているのを一目で看破し、[[ニナ・パープルトン]]を驚かせた。しかし、度が過ぎた造詣の深さと慢心から、シーマ艦隊の攻撃で窮地に陥った[[アルビオン]]を救うため、宇宙でも支障が無い[[サウス・バニング]]の[[ジム・カスタム]]では無く、地上戦装備のGP01を自前のセッティングで(搭乗前にシステムエンジニアのニナが設定したセッティングのデータディスクを渡されたが、それを払いのけ)出撃。結局機体は満足に動かず、[[シーマ・ガラハウ]]の[[ゲルググM]]に半壊に追い込まれ、[[ベルナルド・モンシア]]に罵られる。その事から軍人を続けていくべきか迷うが、[[ケリィ・レズナー]]との出会いと戦いによって、軍人・[[パイロット]]として成長する。
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しかし、モビルスーツに関する造詣はもはやマニアの域を超えている程深く、[[ガンダム試作1号機]]がコア・ブロックシステム搭載機である事や[[ガンダム試作2号機]][[核ミサイル|戦術核]]を装備しているのを一目で看破し、特に2号機に関してはその場に居合わせた開発担当者である[[ニナ・パープルトン]]をも驚かせている。後に彼女からは、「乗るモビルスーツの性能を限界まで引き出せる」、「戦局の未来予測の精度が高い」とまで評価されている。
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GP02Aの一連の奪還作戦および[[星の屑作戦]]におけるデラーズ・フリートの[[エース]]であるガトーとの交戦によって、コウはパイロットとしても人間的にも飛躍的に成長していくが、結局ガトーとの決着は付く事が無かった。
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その一方、「ニンジンが嫌い」という子供っぽい一面を持ち、恋愛面に関しても、お坊ちゃんが多い事で有名なナイメーヘン士官学校でも奥手な方だったらしい(実際、ニナとの付き合いも彼女に終始リードされていた)。また、普段の温和な性格とは裏腹に、頑固さや負けず嫌いな面を見せる事もあり、それが災いして窮地に陥ってしまう等、精神的に未熟な面を見せてしまう事もあったが、2号機の一連の奪還作戦および[[星の屑作戦]]における[[デラーズ・フリート]]の[[エース]]であるガトーとの交戦によって、コウはパイロットとしても人間的にも飛躍的に成長していく事になる。
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戦後は[[ガンダム試作3号機]]の無断使用により軍事裁判にかけられて懲役一年を求刑されたが、後に罪状の根拠であるGPシリーズの存在が抹消されたことにより釈放され、北米オークリー基地所属となった。
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なお、アニメの[[ガンダムシリーズ]]では、初の'''物語最初から軍人であった主人公'''となる。
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=== 劇中での活躍 ===
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トリントン基地でテストパイロットをしていた中、ガンダム開発計画の機体と共に基地にぺガサス級強襲艦である[[アルビオン]]が入港し、好奇心からコウはキースと共にアルビオンの格納庫に向かうも、そこで[[ガンダム試作2号機]](GP02A)が[[ジオン公国軍]]の残党([[デラーズ・フリート]])の[[アナベル・ガトー]]少佐に奪われる現場に遭遇。反射的にコウは、近くにあった[[ガンダム試作1号機]](GP01)に乗り込み、2号機を止めるべく戦いを挑むが、初陣であった上に相手とのモビルスーツ操縦に関する技術に差があり過ぎた結果、一蹴されてしまい、2号機に搭乗するがトーからはっきりと「未熟」と突きつけられる形で苦渋を舐めさせられる。
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その後、引き続き1号機に搭乗する形で、上官の[[サウス・バニング]]やキースと共にガトーの追撃に向かうが、ベテラン揃いのジオン側に苦戦を強いられ続けた結果、2号機に乗ったガトーを取り逃がす事になり、基地への帰還後、上層部より2号機の奪還及び破壊の任務を承る事になったコウは、キースやバニング率いる不死身の第4小隊のメンバーと共に、アルビオンに乗艦。引き続き、1号機のパイロットとして様々な戦いを経験し、宇宙にまで追撃する事になるが、モビルスーツに関する度が過ぎた造詣の深さと慢心から、シーマ艦隊の攻撃で窮地に陥った[[アルビオン]]を救う為、宇宙でも支障が無い[[サウス・バニング]]の[[ジム・カスタム]]では無く、地上戦装備のGP01を自前のセッティングで(搭乗前にシステムエンジニアのニナが設定したセッティングのデータディスクを渡されたが、それを払いのけ)出撃。機体は満足に動かせなかった結果、味方を助けるどころか[[シーマ・ガラハウ]]の[[ゲルググM]]によって機体の半壊に追い込まれ、帰還後にコウを妬んでいた[[ベルナルド・モンシア]]に罵られる。この挫折から、軍人を続けていくべきか迷うが、[[ケリィ・レズナー]]との出会いと戦いによって、軍人・[[パイロット]]として成長する。
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その後、[[ソロモン]]で行われた観艦式を強襲する形で核を放ったガトーの搭乗する2号機と壮絶な激突を繰り広げ、2号機の破壊に成功するものの、同時に自らの搭乗していた1号機も合い打ちという形で失う事になった。しかし、それでも星の屑作戦を阻止した事にはならず、総力を挙げて仕上げとなるコロニー落とし作戦を防ぐべく、コウは[[エイパー・シナプス]]艦長から聞かされた[[ガンダム試作3号機]]への搭乗を志願。3号機を艦載していたドック艦・[[ラビアンローズ]]にて、ニナの同僚である[[ルセット・オデビー]]をナカト少佐の凶弾で失いながらも、3号機を手に入れたコウは、アルビオンのクルー達と共にデラーズ・フリートの残存勢力との決戦に挑む。
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デラーズ・フリートとの最終決戦では、[[エギーユ・デラーズ]]に反旗を翻したシーマ艦隊との混戦に陥り、更には特殊機である3号機操縦の代償で体力・精神を共に消耗しきった状態にまで追い込まれるものの<ref>一時帰投して補給を受けていた時のコウは、自らの身体に直接栄養剤を注射する程、疲労状態となっている姿が描かれていた。小説版では、これが門外不出な「'''劇薬'''」とされている。</ref>、シーマの搭乗する[[ガーベラ・テトラ]]を撃破。続いて[[ムサイ級軽巡洋艦]]であるペール・ギュントも撃破したコウは、地球へ落とされようとしたコロニーの内部で、かつて恋仲にあったとされるガトーを銃を向けてまで庇ったニナに衝撃を受けながらも、ガトーの駆る[[ノイエ・ジール]]と最後の激突をする。しかし、功を焦った[[バスク・オム]]が、強引に発射させた[[ソーラ・システム|ソーラ・システムII]]による横槍によって、共に機体を中破に追い込まれた上で距離を離されてしまった結果、遂にガトーとの決着は付く事が無く、意識を取り戻したコウは、やり場のない怒りをステイメンのビームライフルで暗闇に打ち続ける形でぶつけるしかなかった<ref>小説版では、味方諸共平然とソーラ・システムで攻撃したバスクの乗る艦に対し、明確な怒りをぶつける形で撃っているが、届く事は無かった。</ref>。
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戦後は3号機の無断使用により軍事裁判にかけられるも、連邦軍のやり方への怒りからか、断固として黙秘を貫いていた。そして懲役一年を求刑されていたが、後に罪状の根拠であるガンダム開発計画そのものの存在が抹消された事により釈放。新たにコロニーが落とされた北米のオークリー基地に配属され、そこで枯れた穀物を見たコウは、決着のつけられなかったガトーに思いを馳せるも、同じくそこに配属されていたキースや[[モーラ・バシット]]、そして後ろめたさを見せながらも笑顔で出迎えたニナと再会を果たす事になった。
    
その後のコウには「目覚ましい戦果をあげた乗機が記録より抹消されたエピソードから伝説のパイロット視されるようになった」という設定や、「[[ティターンズ]]の台頭後に[[エゥーゴ]]に参加した」という説があるが、定かではない。
 
その後のコウには「目覚ましい戦果をあげた乗機が記録より抹消されたエピソードから伝説のパイロット視されるようになった」という設定や、「[[ティターンズ]]の台頭後に[[エゥーゴ]]に参加した」という説があるが、定かではない。
    
=== キャラクターの総評 ===
 
=== キャラクターの総評 ===
コウはガンダムシリーズでも珍しい'''「[[ライバル]]キャラを倒し損ねた[[主人公]]」'''であり、デラーズ・フリートの首魁である[[エギーユ・デラーズ]]には接触すらしていない。いわば「敵方の中心を討てなかった主人公」の印象が強く、アニメシリーズの制作順列的にもその点が膨らまされがちである。
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コウはガンダムシリーズでも珍しい'''「[[ライバル]]キャラを倒し損ねた[[主人公]]」'''であり、デラーズ・フリートの首魁である[[エギーユ・デラーズ]]には接触すらしていない。いわば「敵方の中心を討てなかった主人公」の印象が強く、アニメシリーズの制作順列的にもその点が膨らまされがちである。そのガトーと伍する戦闘を繰り広げられたのも、戦略兵器である試作2号機のコンセプトや損傷状況、[[ビーム兵器]]主体の[[ノイエ・ジール]]に対する[[Iフィールド]]の有効性などがコウに幸いしており、彼我の実力差を最後まで埋め切れなかった印象は否めず、ドラマ面でも最後までガトーの存在感に押されていた。
 
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そのガトーと伍する戦闘を繰り広げられたのも、戦略兵器である試作2号機のコンセプトや損傷状況、[[ビーム兵器]]主体の[[ノイエ・ジール]]に対する[[Iフィールド]]の有効性などがコウに幸いしており、彼我の実力差を最後まで埋め切れなかった印象は否めず、ドラマ面でも最後までガトーの存在感に押されていた。
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最終的には状況・乗機に恵まれた感はありながらも、[[デラーズ・フリート|デラーズ紛争]]の直接の交戦相手はジオン系のベテランパイロット達であり、[[地球]]上に勢力を残していたジオン高位将校を討つなどの働きは十分大きかったと言える。総じて、短期間の戦績としては申し分なく優れたエース級の人物であった。
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ただし、[[デラーズ紛争]]における「連戦に次ぐ連戦な上に、敵であるデラーズ・フリートの殆どがベテランのパイロットばかりであった」という絶望的な状況の中で、実戦経験皆無であったコウやキースが、最後まで戦い続けて生還を果たしたというのは、十分過ぎるくらいに評価すべきである。ましてや試作1号機の性能を限界にまで発揮していた点や、「ソロモンの悪夢」とまで呼ばれ普通だったら戦意を失いかねないガトーを執念で追い続けた点、彼の搭乗した試作2号機を相手に「相打ち」という形とは言え撃破した点、並のパイロットでは性能に振り回されるだけで真価を発揮出来なかった試作3号機で最後まで戦い抜いた点を見ても、コウのパイロットとしての実力や短期間での急成長は、申し分なくエース級の人物で、下手すると並のニュータイプのパイロットよりもずっと優れていると言えなくも無い。
    
== 登場作品と役柄 ==
 
== 登場作品と役柄 ==
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