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[[ジオン公国]]総帥(国家の最高指導者)。『[[機動戦士ガンダム]]』を始めとする[[宇宙世紀]]における戦乱の根源的元凶と言える存在。
 
[[ジオン公国]]総帥(国家の最高指導者)。『[[機動戦士ガンダム]]』を始めとする[[宇宙世紀]]における戦乱の根源的元凶と言える存在。
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[[一年戦争]]において指導者として絶大なカリスマ性を発揮し、やがてジオン公国そのものの象徴とも言える人物になっていく。そして、一年戦争末期における死後も、彼の唱えた政治思想や世界観だけでなく、[[ミネバ・ザビ|ザビ家そのものの血脈自体]]が、宇宙世紀において地球や宇宙を問わず巨大な影響力を発揮していく事になり、アースノイドとスペースノイドの間に長きにおける戦争の溝を深める事になる。
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[[一年戦争]]において指導者として絶大なカリスマ性を発揮し、やがてジオン公国そのものの象徴とも言える人物になっていく。そして、一年戦争末期における死後も、彼の唱えた政治思想や世界観だけでなく、[[ミネバ・ザビ|ザビ家そのものの血脈自体]]が、宇宙世紀において地球や宇宙を問わず巨大な影響力を発揮していく事になり、アースノイドとスペースノイドの間に、長きにおける戦争の溝を深める事になる。
    
=== 人物 ===
 
=== 人物 ===
'''IQ240'''という、とてつもない[[天才]]として生を受け、更にはジオン・ズム・ダイクンにも引けをとらない大衆を魅了するカリスマの持ち主。巧みな弁舌も持ち合わせ、モビルスーツと言う当時では革新的な起動兵器を導入しても数では圧倒的不利となっていた[[地球連邦軍]]との戦争で[[ジオン公国軍]]が有利に進められたのも、ギレンの天才的な指導者としての確かな資質があったからと言っても過言ではない。
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'''IQ240'''という、とてつもない[[天才]]で、更にはジオン・ズム・ダイクンにも引けをとらない大衆を魅了するカリスマの持ち主。巧みな弁舌も持ち合わせ、モビルスーツと言う当時では革新的な機動兵器を導入しても数では圧倒的不利となっていた[[地球連邦軍]]との戦争で[[ジオン公国軍]]が有利に進められたのも、ギレンの天才的な指導者としての確かな資質があったからと言っても過言ではない。
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しかし、指導者や政治家として優れている反面、人間的には冷酷どころか感情が無いのではないかと思わせる程の徹底的なデジタル思考の人物で、同時にそれがジオン・ズム・ダイクンとの決定的な違いとなっている。自身の利に繋がるのなら、身内を利用したり切り捨てる事も厭わず、事実末弟の[[ガルマ・ザビ]]の死や葬儀をジオン軍の戦意高揚に使い、同じく弟の[[ドズル・ザビ]]も時間稼ぎの捨て駒の様に扱ったりもしており、挙句の果てには邪魔になるという理由で実父の[[デギン・ソド・ザビ]]すら謀殺に追い込んでいる程。更には、スペースノイドを至上とした選民意識も強く、ジオン・ズム・ダイクンの[[ニュータイプ]]思想を選民主義的に解釈した「'''[[スペースノイド]]は選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民である'''」という思想は、形を変えつつ後世にも残り続けることになっている。ただし、ギレン本人はニュータイプ自体についてはさほど理解を示した様子は無く、実際にデキンに対しても「ニュータイプ思想はジオン軍が勝つための『方便』である」と言い切っている。
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しかし、指導者や政治家として優れている反面、人間的には冷酷どころか感情が無いのではないかと思わせる程の徹底的なデジタル思考の人物で、同時にそれがダイクンとの決定的な違いとなっている。自身の利に繋がるのなら、身内を利用したり切り捨てる事も厭わず、末弟の[[ガルマ・ザビ]]の死や葬儀をジオン軍の戦意高揚に使い、同じく弟の[[ドズル・ザビ]]も時間稼ぎの捨て駒として扱い、挙句の果てには邪魔になるという理由で実父の[[デギン・ソド・ザビ]]すら謀殺に追い込んでいる程。更には、スペースノイドを至上とした選民意識も強く、ダイクンの[[ニュータイプ]]思想を選民主義的に解釈する事で「'''[[スペースノイド]]は選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民である'''」という思想をジオンを始めとするスペースノイドの中に浸透させ、形を変えつつ後世にも残り続けることになっている。ただし、ギレン本人はニュータイプ自体についてはさほど理解を示した様子は無く、実際デキンに対しても「ニュータイプ思想はジオン軍が勝つための『方便』である」と言い切っている。
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選挙工作の上手さ、国威発揚・[[士気]]向上を目的とした演説の上手さなどからして、第二次世界大戦時において最も有名な独裁者であるアドルフ・ヒトラーを彷彿させ、実際にデギンから「ヒトラーの尻尾」と揶揄されているのだが、その一方で、己の才能に自信を持つ故か、一年戦争末期には不利な状況を軽視する傾向も見られる。また、人間の感情について共感が乏しい故に、ガルマの死を利用した事に憤りを見せていたデキンや、そのデキンを自身の陰謀で殺された妹の[[キシリア・ザビ]]の明確な怒りと殺意にも無関心な様子を見せており、結果的にその事がジオン公国の滅亡およびキシリアによる自身の死に繋がってしまったのは皮肉としか言いようがない。死の寸前、自身を射殺するキシリアの発した「意外と兄上も甘い様で…」という台詞からも、いかにギレンが人間の感情に対し無理解であるのか推察出来る。
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選挙工作の上手さ、国威発揚・[[士気]]向上を目的とした演説の上手さなどからして、第二次世界大戦時において最も有名な独裁者であるアドルフ・ヒトラーを彷彿させ、実際にデギンからも「ヒトラーの尻尾」と揶揄されているのだが、その一方で、己の才能に絶対の自信を持つ故か、一年戦争末期には不利な状況を軽視する傾向も見られた。また、人間の感情について共感が乏しい故に、ガルマの死を利用した事に憤りを見せていたデキンや、そのデキンを自身の陰謀で殺された妹の[[キシリア・ザビ]]の明確な怒りと殺意にも無関心な様子を見せ、結果的にその事がジオン公国の滅亡およびキシリアによる自身の死に繋がってしまったのは皮肉としか言いようがない。死の寸前、自身を射殺するキシリアの発した「'''意外と兄上も甘い様で…'''」という台詞からも、いかにギレンが人間の感情に対し無理解であるのか推察出来る。
    
富野監督による[[小説|小説版]]『機動戦士ガンダム』では、宇宙の無限な広大さや銀河の流れを見て、不気味さと美しさを同時に感じる哲学者の如き一面が描かれた。さらに、かつて若き革新家であったジオン・ダイクンのテーゼに感激し、さらにそのダイクンを支援して理想を実現させようとした父デギンを心の底から尊敬したという。もっとも、やがて「ダイクンの本質が単なるアジテーターに過ぎなかった」と知り、デギンともども幻滅してしまう。
 
富野監督による[[小説|小説版]]『機動戦士ガンダム』では、宇宙の無限な広大さや銀河の流れを見て、不気味さと美しさを同時に感じる哲学者の如き一面が描かれた。さらに、かつて若き革新家であったジオン・ダイクンのテーゼに感激し、さらにそのダイクンを支援して理想を実現させようとした父デギンを心の底から尊敬したという。もっとも、やがて「ダイクンの本質が単なるアジテーターに過ぎなかった」と知り、デギンともども幻滅してしまう。
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=== 生涯 ===
 
=== 生涯 ===
ザビ家のデキン・ソド・ザビの長男として生を受け、幼少期より天才的な頭脳を発揮し優秀な成績を収めていたギレンは、少年時代より政治活動に積極的に参加し、青年時代にはデギンと共にジオン・ズム・ダイクンの指導する独立運動に参加。ダイクンの死後に権力を手にしたデギンの引退とともに権力を受け継ぎ、ジオン公国の事実上の最高指導者になる。その後、[[サイド3]]国民が選ばれた民である著書『優性人類生存説』を発表し、多くの国民の支持を得ることに成功し独裁体制を敷く。
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ザビ家のデキン・ソド・ザビの長男として生を受け、幼少期より天才的な頭脳を発揮し優秀な成績を収めていたギレンは、少年時代より政治活動に積極的に参加し、青年時代にはデギンと共にジオン・ズム・ダイクンの指導する独立運動にも参加。ダイクンの死後に権力を手にしたデギンの引退とともに権力を受け継ぎ、ジオン公国の事実上の最高指導者になる。その後、[[サイド3]]国民が選ばれた民である著書『優性人類生存説』を発表し、多くの国民の支持を得ることに成功し独裁体制を敷く。
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[[一年戦争]]においては、[[スペースコロニー]]への毒ガス作戦や[[コロニー落とし]]など、人間の所業とは思えない様な残虐非道な行為を指揮する。人類の半数を抹殺した空前の大虐殺は、人口を強制的に減少させることにより[[地球]]環境の保全を図ろうとした為と見られる。しかし、末弟ガルマの戦死を全世界に同時中継するという派手な国葬という方法で利用し、密葬を望んだ父デギンと対立を深める。[[ガンダム]]や[[ホワイトベース]]といった、ガルマを討ち破る等といった形で抜きん出た活躍を見せる勢力の活躍には、さほど気に留めている様子も無く、終盤においても「ガンダム一機に手こずるものだな」という程度の認識しか持っておらず、[[アムロ・レイ|アムロ]]や[[ブライト・ノア|ブライト]]達との接点は全くと言っていいほど無い。[[ソロモン]]を拠点に必死に連邦軍と交戦していたドズルからの援軍要請に対しても、現場の人間を理解しない様子を見せ、結果的に彼が落命する要因の一つを招いている。
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[[一年戦争]]においては、[[スペースコロニー]]への毒ガス作戦や[[コロニー落とし]]など、人間の所業とは思えない様な残虐非道な行為を指揮する。人類の半数を抹殺した空前の大虐殺は、人口を強制的に減少させることにより[[地球]]環境の保全を図ろうとした為と見られる。しかし、末弟ガルマの戦死を全世界に同時中継するという派手な国葬という方法で利用し、密葬を望んだ父デギンと対立を深める。
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[[ガンダム]]や[[ホワイトベース]]といった、ガルマを討ち破る等といった形で抜きん出た活躍を見せる勢力の活躍には、さほど気に留めている様子も無く、終盤においても「ガンダム一機に手こずるものだな」という程度の認識しか持っておらず、[[アムロ・レイ|アムロ]]や[[ブライト・ノア|ブライト]]達との接点は全くと言っていいほど無い。[[ソロモン]]を拠点に必死に連邦軍と交戦していたドズルからの援軍要請に対しても、現場の人間を理解しない様子を見せ、結果的に彼が落命する要因の一つを招いている。
    
そしてデギンが講和のために単独で連邦艦隊に赴いた際は、連邦軍もろとも[[ソーラ・レイ]]で焼き払う形で謀殺し、これによって連邦軍の[[レビル将軍]]もまた命を落としている。しかし、その事を妹[[キシリア・ザビ]]に知られた結果、父殺しの男として作戦指揮中に[[暗殺]](と言うよりも、部下達の前で堂々と射殺)され、35歳で没した。
 
そしてデギンが講和のために単独で連邦艦隊に赴いた際は、連邦軍もろとも[[ソーラ・レイ]]で焼き払う形で謀殺し、これによって連邦軍の[[レビル将軍]]もまた命を落としている。しかし、その事を妹[[キシリア・ザビ]]に知られた結果、父殺しの男として作戦指揮中に[[暗殺]](と言うよりも、部下達の前で堂々と射殺)され、35歳で没した。
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