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*{{登場作品 (人物)|機動戦士ガンダム}}
 
*{{登場作品 (人物)|機動戦士ガンダム}}
 
*{{登場作品 (人物)|機動戦士ガンダム 第08MS小隊}}
 
*{{登場作品 (人物)|機動戦士ガンダム 第08MS小隊}}
| 声優 = 田中崇(現:{{声優|銀河万丈}}
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| キャラクターデザイン = [[キャラクターデザイン::安彦良和]]
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| 初登場SRW = {{初登場SRW (人物)|第3次スーパーロボット大戦}}
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| SRWでの分類 = [[パイロット]]
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{{登場人物概要
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| タイトル = プロフィール
 
| 異名 = [[異名::ヒトラーの尻尾]]
 
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| 種族 = [[種族::地球人]]([[スペースノイド]])
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| 役職 = [[役職::総帥]]
 
| 役職 = [[役職::総帥]]
 
| 階級 = [[階級::大将]]
 
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| キャラクターデザイン = [[キャラクターデザイン::安彦良和]]
   
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'''ギレン・ザビ'''は『[[機動戦士ガンダム]]』の登場人物。
    
== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[ジオン公国]]総帥(国家の最高指導者)。『[[機動戦士ガンダム]]』における戦乱の元凶で、利用できるものなら弟[[ガルマ・ザビ]]の死すら利用し、邪魔になるものなら実父[[デギン・ソド・ザビ]]すら殺害する冷酷非情な政治家。'''IQ240'''という、とてつもない[[天才]]でもある。
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[[ジオン公国]]総帥(国家の最高指導者)。『[[機動戦士ガンダム]]』を始めとする[[宇宙世紀]]における戦乱の根源的元凶と言える存在。
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[[一年戦争]]において指導者として絶大なカリスマ性を発揮し、やがてジオン公国そのものの象徴とも言える人物になっていく。そして、一年戦争末期における死後も、彼の唱えた政治思想や世界観だけでなく、[[ミネバ・ザビ|ザビ家そのものの血脈自体]]が、宇宙世紀において地球や宇宙を問わず巨大な影響力を発揮していく事になり、事実戦争終結から僅か3年で[[デラーズ・フリート|ギレンの意思を継ぐ集団による凶悪なテロ・紛争事件]]が巻き起こり、その後も[[アースノイド]]と[[スペースノイド]]の間に、長きにおける戦争の溝を深める事になる。
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=== 人物 ===
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'''IQ240'''という、とてつもない[[天才]]で、更にはジオン・ズム・ダイクンにも引けをとらない大衆を魅了するカリスマの持ち主。巧みな弁舌も持ち合わせ、モビルスーツと言う当時では革新的な機動兵器を導入しても数では圧倒的不利となっていた[[地球連邦軍]]との戦争で[[ジオン公国軍]]が有利に進められたのも、ギレンの天才的な指導者としての確かな資質があったからと言っても過言ではなく、親衛隊隊長の[[エギーユ・デラーズ]]や[[アナベル・ガトー]]の様に、熱狂的な支持者が数多く存在している。
   −
青年時代にデギンと共にジオン・ズム・ダイクンの指導する独立運動に参加。ダイクンの死後に権力を手にしたデギンの引退とともに権力を受け継ぎ、ジオン公国の事実上の最高指導者になる。[[サイド3]]国民が選ばれた民である著書『優性人類生存説』を発表し、多くの国民の支持を得ることに成功し独裁体制を敷く。
+
しかし、指導者や政治家として優れている反面、人間的には冷酷どころか感情が無いのではないかと思わせる程の徹底的なデジタル思考の人物で、同時にそれがダイクンとの決定的な違いとなっている。自身の利に繋がるのなら、身内を利用したり切り捨てる事も厭わず、末弟の[[ガルマ・ザビ]]の死や葬儀をジオン軍の戦意高揚に使い、同じく弟の[[ドズル・ザビ]]も時間稼ぎの捨て駒として扱い、挙句の果てには邪魔になるという理由で実父の[[デギン・ソド・ザビ]]すら謀殺に追い込んでいる程。
デギンから「ヒトラーの尻尾」と揶揄されるほど選民思想が強く、選挙工作の上手さ、国威発揚・[[士気]]向上を目的とした演説の上手さなどからしてアドルフ・ヒトラーを彷彿させる。
     −
[[一年戦争]]においては、[[スペースコロニー]]への毒ガス作戦や[[コロニー落とし]]など、人間の所業とは思えない様な残虐非道な行為を指揮する。人類の半数を抹殺した空前の大虐殺は、人口を強制的に減少させることにより[[地球]]環境の保全を図ろうとした為と見られる。
+
スペースノイドを至上とした選民意識が強く、ダイクンの人類の革新を促す為の[[ニュータイプ]]思想を「'''スペースノイドは選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民である'''」という選民主義的な思想へと故意に捻じ曲げた上でジオン国民を始めとするスペースノイドの中に浸透させ、形を変えつつ後世にも残り続けることになっている。ただし、ギレン本人はニュータイプ自体についてはさほど理解を示した様子は無く、実際デキンに対しても「ニュータイプ思想はジオン軍が勝つための『方便』である」と言い切っている。
   −
末弟ガルマの戦死を全世界に同時中継するという派手な国葬という方法で利用し、密葬を望んだ父デギンと対立を深める。そしてデギンが講和のために単独で連邦艦隊に赴いた際、連邦軍もろとも[[ソーラ・レイ]]で焼き払った。しかし、その事を妹[[キシリア・ザビ]]に知られ、父殺しの男として作戦指揮中に[[暗殺]]され、35歳で没した。
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選挙工作の上手さ、国威発揚・[[士気]]向上を目的とした演説の上手さなどからして、第二次世界大戦時において最も有名な独裁者であるアドルフ・ヒトラーを彷彿させ、実際にデギンからも「ヒトラーの尻尾」と揶揄されている。しかしその一方で、己の才能に絶対の自信を持つ故か、一年戦争末期には不利な状況を軽視する傾向も見られた。また、ジオン国民からも全面的な支持を受けていた訳ではなく、既に地球での戦況が不利となって地球連邦との和平交渉に転じる事も考慮しなければならない状況ありながら、あくまでもジオンの優勢を断じて国民を扇動する方策に難色を示す者も少なからずいた。
   −
大衆を魅了するカリスマ性および巧みな弁舌を持ち、圧倒的数量の[[地球連邦軍]]を相手にしながらもジオン軍有利に戦争を進めてきたギレンは、確かに天才的指導者であると言える。
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人間の感情について共感が乏しい故に、ガルマの死を利用した事に憤りを見せていたデキンや、そのデキンを自身の陰謀で殺された妹の[[キシリア・ザビ]]の明確な怒りと殺意にも無関心な様子を見せ、結果的にその事がジオン公国の滅亡およびキシリアによる自身の死に繋がってしまったのは皮肉としか言いようがない。死の寸前、自身を射殺するキシリアとのやり取りである「'''フッ…冗談はよせ…'''」「'''意外と兄上も甘い様で…'''」という台詞からも、いかにギレンが人間の感情に対し無頓着であったのか推察出来る。
しかし、己の才能に自信を持つ故か、一年戦争末期には不利な状況を軽視する傾向も見られ、そのことが最終的にジオン公国の滅亡および自身の死に繋がってしまったのは皮肉としか言えない。
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ジオン・ズム・ダイクンの[[ニュータイプ]]思想を選民主義的に解釈した「[[スペースノイド]]は選ばれた民であり、更にその中の優良種がジオン国民である」という思想は、形を変えつつ後世にも残り続けることになる<ref>ちなみに、[[漫画]]『ガンダムEXA VS』ではイクス・トリムの「選ばれた人間だけを地球再生のために誕生させる」計画がギレンの考え方と同じと批判され、これがきっかけでシャアは「ザビ家と同じ愚行を繰り返すところだった」と考えを改め人類進化同盟を離反している。</ref>。ただし、ギレン本人はニュータイプ自体についてはさほど理解を示した様子は無かった(ニュータイプ思想はジオン軍が勝つための「方便」であるとデギンに対して言い切っている)。
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=== 生涯 ===
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ザビ家のデキン・ソド・ザビの長男として生を受け、幼少期より天才的な頭脳を発揮し優秀な成績を収めていたギレンは、少年時代より政治活動に積極的に参加し、青年時代にはデギンと共にジオン・ズム・ダイクンの指導する独立運動にも参加。ダイクンの死後に権力を手にしたデギンの引退とともに権力を受け継ぎ、ジオン公国の事実上の最高指導者になる。その後、[[サイド3]]国民が選ばれた民である著書『優性人類生存説』を発表し、多くの国民の支持を得ることに成功し独裁体制を敷く。
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また、[[ガンダム]][[ホワイトベース]]の活躍に対してもさほど気に留めている様子も無く、終盤においても「ガンダム一機に手こずるものだな」という程度の認識しか持っておらず、[[アムロ・レイ|アムロ]][[ブライト・ノア|ブライト]]達との接点は全くと言っていいほど無い。
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[[一年戦争]]においては、[[スペースコロニー]]への毒ガス作戦や[[コロニー落とし]]など、人間の所業とは思えない様な残虐非道な行為を指揮する。人類の半数を抹殺した空前の大虐殺は、人口を強制的に減少させることにより[[地球]]環境の保全を図ろうとした為と見られる。しかし、末弟ガルマの戦死を全世界に同時中継するという派手な国葬という方法で利用し、密葬を望んだ父デギンと対立を深める。
   −
富野監督による[[小説|小説版]]『機動戦士ガンダム』では、宇宙の無限な広大さや銀河の流れを見て、不気味さと美しさを同時に感じる哲学者の如き一面が描かれた。さらに、かつて若き革新家であったジオン・ダイクンのテーゼに感激し、さらにそのダイクンを支援して理想を実現させようとした父デギンを心の底から尊敬したという。もっとも、やがて「ダイクンの本質が単なるアジテーターに過ぎなかった」と知り、デギンともども幻滅してしまう。
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[[ガンダム]]や[[ホワイトベース]]といった、ガルマを討ち破る等といった形で抜きん出た活躍を見せる勢力の活躍には、さほど気に留めている様子も無く、終盤においても「ガンダム一機に手こずるものだな」という程度の認識しか持っておらず、[[アムロ・レイ|アムロ]]や[[ブライト・ノア|ブライト]]達との接点は全くと言っていいほど無い。[[ソロモン]]を拠点に必死に連邦軍と交戦していたドズルからの援軍要請に対しても、現場の人間を理解しない様子を見せ、結果的に彼が落命する要因の一つを招いている。
   −
他にも小説版ではセシリア・アイリーンやランバ・ラルなどとの会話を通じて、より彼の内面や人間性、嗜好などが明らかになっている。
+
そしてデギンが講和のために単独で連邦艦隊に赴いた際は、連邦軍もろとも[[ソーラ・レイ]]で焼き払う形で謀殺し、これによって連邦軍の[[レビル将軍]]もまた命を落としている。しかし、その事を妹[[キシリア・ザビ]]に知られた結果、父殺しの男として作戦指揮中に[[暗殺]](と言うよりも、部下達の前で堂々と射殺)され、35歳で没した。
    +
== 登場作品と役柄 ==
 
なお、ギレン・ザビは[[コンピュータゲーム|ゲーム業界]]においては他に『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズがあるなど重要な存在であるのだが、反面SRWにおいてはファーストガンダムにおける所謂悪の親玉的存在ではあるにも関わらず、原作では[[主人公]]達と関わる事なくあっさり身内の手により倒れたり、また[[モビルスーツ]]や[[戦艦]]等の一切メカに乗らないままであった為(要塞内部で指揮を取っていた)、いささか印象が薄い存在である。『[[スーパーロボット大戦F完結編|F完結編]]』では[[ドロス]]に乗っていたが、原作での他の[[ザビ家]]の人間の事情を考えれば、[[グワデン|ギレン専用のグワジン級]]の艦があるものと推測される。
 
なお、ギレン・ザビは[[コンピュータゲーム|ゲーム業界]]においては他に『機動戦士ガンダム ギレンの野望』シリーズがあるなど重要な存在であるのだが、反面SRWにおいてはファーストガンダムにおける所謂悪の親玉的存在ではあるにも関わらず、原作では[[主人公]]達と関わる事なくあっさり身内の手により倒れたり、また[[モビルスーツ]]や[[戦艦]]等の一切メカに乗らないままであった為(要塞内部で指揮を取っていた)、いささか印象が薄い存在である。『[[スーパーロボット大戦F完結編|F完結編]]』では[[ドロス]]に乗っていたが、原作での他の[[ザビ家]]の人間の事情を考えれば、[[グワデン|ギレン専用のグワジン級]]の艦があるものと推測される。
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== 登場作品と役柄 ==
   
=== [[旧シリーズ]] ===
 
=== [[旧シリーズ]] ===
 
;[[第2次スーパーロボット大戦G]]
 
;[[第2次スーパーロボット大戦G]]
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=== [[αシリーズ]] ===
 
=== [[αシリーズ]] ===
 
;[[スーパーロボット大戦α]]([[スーパーロボット大戦α for Dreamcast|DC]])
 
;[[スーパーロボット大戦α]]([[スーパーロボット大戦α for Dreamcast|DC]])
:[[ジオン軍]]の総司令官として登場。原作と違い一年戦争後も生き残った事になっている。
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:[[ジオン軍]]の総司令官として登場。原作と違い一年戦争後も生き残った事になっている<ref>そもそもα世界での一年戦争は[[マクロス]]落下の影響で[[ア・バオア・クー]]戦前に中断(休戦)された事になっている。</ref>。
 
:なお、パイロットとして登場するのは1話だけで、しかも5ターン以内に撃破しないとキシリアによる暗殺イベントが発生する為、[[資金]]が欲しい場合は積極的に攻め込む必要がある。
 
:なお、パイロットとして登場するのは1話だけで、しかも5ターン以内に撃破しないとキシリアによる暗殺イベントが発生する為、[[資金]]が欲しい場合は積極的に攻め込む必要がある。
 
:ちなみに、暗殺イベントはキシリアとギレンがそれぞれ[[グワジン]]と[[ドロス]]に乗った状態で起こるため'''会話の最中に突然ドロスが爆発する'''というややシュールな光景になる。ギレンが断末魔の悲鳴すら上げられないのも原作通りではあるが、あの巨大なドロスをどうやって一瞬で沈めたのかは謎である。あらかじめ爆弾でも仕掛けられていたのだろうか。
 
:ちなみに、暗殺イベントはキシリアとギレンがそれぞれ[[グワジン]]と[[ドロス]]に乗った状態で起こるため'''会話の最中に突然ドロスが爆発する'''というややシュールな光景になる。ギレンが断末魔の悲鳴すら上げられないのも原作通りではあるが、あの巨大なドロスをどうやって一瞬で沈めたのかは謎である。あらかじめ爆弾でも仕掛けられていたのだろうか。
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;[[ランバ・ラル]]
 
;[[ランバ・ラル]]
 
:TV版ではほとんど絡みが無いが、小説版ではなんと腹心の親衛隊長。その上[[クラウレ・ハモン]]はかつてギレンの愛人だったという事で、[[三角関係|三者間で愛憎入り乱れた深い人間関係]]が描かれた。
 
:TV版ではほとんど絡みが無いが、小説版ではなんと腹心の親衛隊長。その上[[クラウレ・ハモン]]はかつてギレンの愛人だったという事で、[[三角関係|三者間で愛憎入り乱れた深い人間関係]]が描かれた。
:ただし、ギレンは「ラルに早くハモンと結婚しろ」と勧めるなど一歩引いており、人間性についても好ましく思っていた。
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:ただし、ギレンはラルに「早くハモンと結婚しろ」と勧めるなど一歩引いており、人間性についても好ましく思っていた。
    
=== [[地球連邦軍]] ===
 
=== [[地球連邦軍]] ===
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;[[諸葛亮孔明]]
 
;[[諸葛亮孔明]]
 
:『α』にて、ギレンの落命を予期していた。もっとも、彼はキシリアを利用する事で彼女にギレンを討たせたのだが。
 
:『α』にて、ギレンの落命を予期していた。もっとも、彼はキシリアを利用する事で彼女にギレンを討たせたのだが。
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;[[アンゴル=モア]]
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:『OE』では、連邦との戦争で追い詰められてなお、奥の手であるアクシズ落としを敢行して戦いを継続しようとするも、彼女の「ハルマゲドン1分の1」であっさりとアクシズが破壊されたのを受け戦意を喪失、連邦との和平を結んだ。
    
=== [[バンプレストオリジナル]] ===
 
=== [[バンプレストオリジナル]] ===
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:ちなみに、周囲の兵士にはギレンの暗殺を阻止したり、彼を殺害したキシリアを討とうという者は一人もいなかった。結局のところ、身近な立場の人間にとってギレンという人物は、畏怖の対象でしかなかったのかもしれない。
 
:ちなみに、周囲の兵士にはギレンの暗殺を阻止したり、彼を殺害したキシリアを討とうという者は一人もいなかった。結局のところ、身近な立場の人間にとってギレンという人物は、畏怖の対象でしかなかったのかもしれない。
 
:その一方で、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ギレンの暗殺を知った将兵達がその場に居合わせた[[セイラ・マス|セイラ]]を旗頭にしてキシリアに反乱を起こしており、(TV版および劇場版と違って)ギレンのカリスマ性がキシリアの予想以上に高かった事を示している。
 
:その一方で、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では、ギレンの暗殺を知った将兵達がその場に居合わせた[[セイラ・マス|セイラ]]を旗頭にしてキシリアに反乱を起こしており、(TV版および劇場版と違って)ギレンのカリスマ性がキシリアの予想以上に高かった事を示している。
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;「今ここに、諸君等有望なる新入生を迎えて、大いなる期待を禁じえない」<br />「時代は現在、新たな局面へと向かいつつある。いかなる局面へか!? 人類史の偉大な発展への局面である!!」<br />「宇宙に進出する事によって我々は、無限の可能性を手にした」<br />「誰の可能性か!? 人類全体のか!? 否!! 我等スペースノイドにのみ許された可能性であるっ!!」<br />「スペースノイドの新しい能力こそが停滞した人類史を打破するのである!」<br />「移民一世以来の困難な時代を経て、かつて棄民とさえ呼ばれていたスペースノイドの住民達は選ばれた民となった! 期せずして人類史の最前線に立ったのだ!!」<br />「諸君は更にその前衛である!! エリートを自負する事に躊躇するな諸君! 諸君はエリートだ!」<br />「選ばれた民から更に厳しく選抜されてここにいる諸君等こそ、コロニー社会の守護者であると共に新人類のリーダーである」<br />「奮起せよ! 未来の将星をめざして邁進せよ! 我と我が戦線に加われ!!」
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:漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にて、シャアやガルマが入学した士官学校入学式での演説。来賓として[[レビル将軍]]や多数の連邦軍将校の前で堂々とスペースノイドの選民意識全開の内容となっており、ある意味ギレンらしい演説である。
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:「棄民」と呼ばれた[[スペースノイド]]にとっては希望に溢れた内容だが、間接的に「[[アースノイド]]には未来は無い」と扱き下ろしている。
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:アニメ版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では[[ザビ家]]に対して否定的なリノ・フェルナンデスからは「相変わらず大仰な物言い」と呆れられている。確かに、ギレンの賛同者でなければ、ただの扇動にしか聞こえないであろう。
 
;「サイド2は天の業火で灼かれたのだ!!」<br />「スペースノイドの大義に反逆した者への正当な償いだ!!彼らは自ら求めた罰を受けたのだ!!」<br />「罪なきハッテの市民の死に涙するものはいるか!?」「当然だ!!」「憐れみ深い我がジオン国民は彼らのために泣き彼らのために祈るだろう!」<br />「同時に我が国民は満腔の怒りを邪悪な地球連邦に向けなければならない!!」<br />「スペースノイドを離反させ!愚かなハッテ指導部をそそのかして我々に敵対させた連邦こそを真の敵なのであるっ!!」<br />「我が同胞よ!一億五千万の栄えあるジオン国民よ!!」「戦いはこれからだ!!!」「一糸乱れぬ隊伍を組んで前へ進もうではないか!!」「共に勝利の日まで!!」
 
;「サイド2は天の業火で灼かれたのだ!!」<br />「スペースノイドの大義に反逆した者への正当な償いだ!!彼らは自ら求めた罰を受けたのだ!!」<br />「罪なきハッテの市民の死に涙するものはいるか!?」「当然だ!!」「憐れみ深い我がジオン国民は彼らのために泣き彼らのために祈るだろう!」<br />「同時に我が国民は満腔の怒りを邪悪な地球連邦に向けなければならない!!」<br />「スペースノイドを離反させ!愚かなハッテ指導部をそそのかして我々に敵対させた連邦こそを真の敵なのであるっ!!」<br />「我が同胞よ!一億五千万の栄えあるジオン国民よ!!」「戦いはこれからだ!!!」「一糸乱れぬ隊伍を組んで前へ進もうではないか!!」「共に勝利の日まで!!」
 
:普段ザビ家の冷酷に慣れていると「涙するものはいるか!?」の後に「否!!」が来ると予想するがまさかの「当然だ!!」で驚きを誘う。
 
:普段ザビ家の冷酷に慣れていると「涙するものはいるか!?」の後に「否!!」が来ると予想するがまさかの「当然だ!!」で驚きを誘う。
 
:しかし冷静に見れば「反逆者は死んで当然」から「連邦に踊らされた罪なきの市民」と突然扱いが変わることから、論理の一貫性よりもその場の勢いと感情に聞き手を引き込む、ギレンらしい扇動である。
 
:しかし冷静に見れば「反逆者は死んで当然」から「連邦に踊らされた罪なきの市民」と突然扱いが変わることから、論理の一貫性よりもその場の勢いと感情に聞き手を引き込む、ギレンらしい扇動である。
 
:それにしても「一糸乱れぬ隊伍を組んで」とはガチョウ足行進<ref>膝を曲げずにまっすぐ伸ばした脚を高く上げる行進。ナチスの宣伝で度々行進のシーンが取り上げられるのでナチス式行進とも呼ばれる。(フランスもロシアもやっているのだが...)</ref>を連想するには筆者だけだろうか...。
 
:それにしても「一糸乱れぬ隊伍を組んで」とはガチョウ足行進<ref>膝を曲げずにまっすぐ伸ばした脚を高く上げる行進。ナチスの宣伝で度々行進のシーンが取り上げられるのでナチス式行進とも呼ばれる。(フランスもロシアもやっているのだが...)</ref>を連想するには筆者だけだろうか...。
;「今ここに、諸君等有望なる新入生を迎えて、大いなる期待を禁じえない」<br />「時代は現在、新たな局面へと向かいつつある。いかなる局面へか!? 人類史の偉大な発展への局面である!!」<br />「宇宙に進出する事によって我々は、無限の可能性を手にした」<br />「誰の可能性か!? 人類全体のか!? 否!! 我等スペースノイドにのみ許された可能性であるっ!!」<br />「スペースノイドの新しい能力こそが停滞した人類史を打破するのである!」<br />「移民一世以来の困難な時代を経て、かつて棄民とさえ呼ばれていたスペースノイドの住民達は選ばれた民となった! 期せずして人類史の最前線に立ったのだ!!」<br />「諸君は更にその前衛である!! エリートを自負する事に躊躇するな諸君! 諸君はエリートだ!」<br />「選ばれた民から更に厳しく選抜されてここにいる諸君等こそ、コロニー社会の守護者であると共に新人類のリーダーである」<br />「奮起せよ! 未来の将星をめざして邁進せよ! 我と我が戦線に加われ!!」
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;「キシリアは以前から御執心だったようだが、わたしには眼中になかったのだ。『ニュータイプ部隊』なぞ」
:漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』にて、シャアやガルマが入学した士官学校入学式での演説。来賓として[[レビル将軍]]や多数の連邦軍将校の前で堂々とスペースノイドの選民意識全開の内容となっており、ある意味ギレンらしい演説である。
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:漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』よりア・バオア・クー戦闘前のシャアとの会話にて。本編より明確に「ニュータイプ」は政治煽動のための道具であると明確に言い切っている。
:「棄民」と呼ばれた[[スペースノイド]]にとっては希望に溢れた内容だが、間接的に「[[アースノイド]]には未来は無い」と扱き下ろしている。
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;「キシリアに何事か言い含められて来たか!? それとも戦の旗色を呼んでまたなにか良からぬことを企んだか!!?」<br />「おまえが誰かということは知っているぞ。キシリア機関だけがジオンの諜報組織だけではない」<br />「ダイクン家の再興を図るのはいい、だが、その為にザビ家に仇なすのは許さん! 時代はもう移ってきた、時計の針は戻せんのだ! ジオン公国の歴史はいまや第三期に突入しようとしている」<br />「ザビ家の時代からこの私の時代へ! 勝利した戦後の『人の革新』の時代へ!!」<br />「その流れに逆らうことはもう誰にも出来ない。逆らうものは誰であれ、『新時代の神』に裁かれる! 判るか?」
:アニメ版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』では[[ザビ家]]に対して否定的なリノ・フェルナンデスからは「相変わらず大仰な物言い」と呆れられている。確かに、ギレンの賛同者でなければ、ただの扇動にしか聞こえないであろう。
+
:上記に続いて、連邦の宇宙戦力は既に決定的な打撃を受けており、ア・バオア・クーの堅陣ならば連邦軍を殲滅し、戦争に勝利すると確信しているが、同時にギレンの敵は連邦からキシリアに移りつつある事が覗える。また、シャアの素性を完全に見抜いた上で、キシリア派として警戒しているが、ギレンに鞍替えの意志を示して、[[ジオング]]を授かる。
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:上記のニュータイプを信じていない事から、自身が全人類を統治する事を「'''人の革新'''」と定義しているようであり、もはや自身を「'''神'''」と同列扱いまで考えるまでに増長してしまっている。
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;「しつこいぞ! キシリア!! 父は突出し過ぎたのだ。いやっ、でしゃばりすぎたのだ!!」<br />「あの時あの時点で和平なぞ!」
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:漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』での最後の台詞。本編通りのやり取りの後にキシリアから「デギン公王は'''あの時'''グレートデギンに乗っておられた、そうですね?」との問いに対しての返答。
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:この時のギレンは防戦の指揮で忙殺されており<ref>戦局はジオンが優勢だったが、連邦艦隊の残存勢力は死に物狂いに勇戦しており、まだ油断できる余裕がある状態ではなかった。</ref>、キシリアの問いの意味を深く考えることもなく、イラつきながら父殺しを大声で'''自白'''したに等しい発言をしてしまった。この言質を確認した瞬間に本編通りにギレンは殺害された。
 
;「諸君! ジオンの子らよ! 国民よ!」<br />「このサイド3にあって安穏を貪ってはならない!」<br />「諸君らの父も! 子も! 兄弟も! 未だ分別無き連邦の抵抗の前で独立の民としての矜持を、命をかけて示しているではないか!」<br />「果たして公国に居する我々は私も含め、かの英霊達に顔向けが出来ようか!」<br />「それは否だ! 断じて否だ! 我々一人一人の決意と! 決断と! プライドが!」<br />「そう! 宇宙市民(スペースノイド)としてのプライドが! 今ほど試されている時は無い!」<br />「聞け! 宇宙市民(スペースノイド)の独立を! 運命付けられた子らよ!」
 
;「諸君! ジオンの子らよ! 国民よ!」<br />「このサイド3にあって安穏を貪ってはならない!」<br />「諸君らの父も! 子も! 兄弟も! 未だ分別無き連邦の抵抗の前で独立の民としての矜持を、命をかけて示しているではないか!」<br />「果たして公国に居する我々は私も含め、かの英霊達に顔向けが出来ようか!」<br />「それは否だ! 断じて否だ! 我々一人一人の決意と! 決断と! プライドが!」<br />「そう! 宇宙市民(スペースノイド)としてのプライドが! 今ほど試されている時は無い!」<br />「聞け! 宇宙市民(スペースノイド)の独立を! 運命付けられた子らよ!」
 
:漫画『ギレン・ザビ暗殺計画』にて、宇宙要塞[[ソロモン]]陥落がジオン国民に知らされた際に[[サイド3]]全域に流されたギレンの演説。
 
:漫画『ギレン・ザビ暗殺計画』にて、宇宙要塞[[ソロモン]]陥落がジオン国民に知らされた際に[[サイド3]]全域に流されたギレンの演説。
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== 余談 ==
 
== 余談 ==
 +
*富野監督による[[小説|小説版]]『機動戦士ガンダム』では、宇宙の無限な広大さや銀河の流れを見て、不気味さと美しさを同時に感じる哲学者の如き一面が描かれた。さらに、かつて若き革新家であったジオン・ダイクンのテーゼに感激し、さらにそのダイクンを支援して理想を実現させようとした父デギンを心の底から尊敬したという。もっとも、やがて「ダイクンの本質が単なるアジテーターに過ぎなかった」と知り、デギンともども幻滅してしまう。
 +
**他にも小説版ではセシリア・アイリーンやランバ・ラルなどとの会話を通じて、より彼の内面や人間性、嗜好などが明らかになっている。
 
*ギレン・ザビ役の[[声優]]である銀河万丈氏は後年ラジオ番組『サンライズラヂオG!』で、'''「(悪役が出来るのが売りという)自分のイメージを定着させたいという意味では、ギレンは落とせない役だと思った」'''と述べている。
 
*ギレン・ザビ役の[[声優]]である銀河万丈氏は後年ラジオ番組『サンライズラヂオG!』で、'''「(悪役が出来るのが売りという)自分のイメージを定着させたいという意味では、ギレンは落とせない役だと思った」'''と述べている。
 
*その[[性格]]から、ファンの間からもアドルフ・ヒトラーになぞらえられる事が多い。実際、富野監督はアフレコの際に銀河万丈氏に「ヒトラーのように喋ってくれ」と注文をつけたとのこと。
 
*その[[性格]]から、ファンの間からもアドルフ・ヒトラーになぞらえられる事が多い。実際、富野監督はアフレコの際に銀河万丈氏に「ヒトラーのように喋ってくれ」と注文をつけたとのこと。
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