ミタール・ザパト

2021年11月18日 (木) 14:52時点におけるYu (トーク | 投稿記録)による版 (→‎OG外伝)

ミタール・ザパトは『スーパーロボット大戦MX』の登場人物。

ミタール・ザパト
外国語表記 Mitar Zapato
登場作品

バンプレストオリジナルOGシリーズ

デザイン 河野さち子
初登場SRW スーパーロボット大戦MX
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プロフィール
種族 地球人
性別
年齢 56歳
所属

ツェントル・プロジェクト

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概要

主に生体兵器の領域を専門分野とする科学者で、ツェントル・プロジェクトの総責任者を務める。

ラズムナニウムTEエンジンの開発者でもあり、二つの素材を用いたメンテナンスフリーの究極型とも言うべき機動兵器「MODEL-X」を開発するという同計画の最終目標に向け、日々研究に勤しんでいる。

人物

一言で言うならば「冷酷でお世辞にも善人とは言えないがあらゆる意味で現実主義な科学者」「学究肌の俗物」といったところであり、自らの研究を先の段階へと進めること以外は一切考慮の対象にはなく、全て自身の研究にとって有用であるか、有用であるとすればどのように研究に役立てられるかといった価値基準でしか判断を行わず人使いも荒い。その反面「研究」という物事を客観的に捉えた上で行動する、科学者という立場を正しく認識している、自分が他人を利用する以上は自分もまた利用されるのは当たり前であると考えている、自身はおろか世界全体が危なくなるような題材に危機感を持ちその根拠も正しく分析出来ているなど、この手の科学者にありがちな狂人じみた一面はあまり見られない。また支配や権力への関心も薄いほか、自身の最終目的を「自分の発明や理論が正しい事を証明し、金と名誉を得る事」と公言する上にその思想が俗物染みていると自認している。一方で「AIだけなら100%の力しか出せないが人間とAIならば120%の力を出せる」という主張に耳を傾けるなど、人間の持つ可能性の力を信じている節がある。

来歴

重傷を負ったヒューゴを人体改造して自身の命令に抗えないようにした(但しこの枷は、中盤にミタール自身の手で除去ないし緩和される)上で、アクアと共にプロジェクト試作機のパイロットとして抜擢。その一方でアルベロエルデもプロジェクトに参加させ、プロジェクト試作機を敢えて強奪させる。2つの機体にはTEエンジンとラズムナニウムがそれぞれ搭載されており、ヒューゴにアルベロを追わせ戦わせることで、両方の実戦データの取得を目指した。

その一方で、エルデが開発した人工知能AI1については特段の興味を示さないばかりかその異常性に警戒感を持っており、MODEL-Xの制御は当初から人の手による操縦を想定していた。エルデは彼にAI1の搭載を認めさせる思惑もあって協力関係を築いていたのだが、次第に両者の確執は表面化。最終的には彼がAI1を危険なものと判断して搭載を取りやめるという結論を明確にしたことで、決定的に利害が反することとなったエルデに射殺され、最期を迎えた。

登場作品と役柄

単独作品

スーパーロボット大戦MX
序盤から腹に一物を抱えている姿が描写されるが、ストーリー後半にさしかかる頃にエルデに射殺されて退場となる。
スーパーロボット大戦MX PORTABLE
追加イベントが組まれ、ヒューゴにある事情を伝える。

OGシリーズ

スーパーロボット大戦OG外伝
ツェントル・プロジェクト初期、生体兵器の開発に従事していた彼の様子が描かれている。OG2の頃にクライ・ウルブズを使役して秘かに捕獲していたアインストレジセイアラズムナニウムを注入し、「イェッツトレジセイア」を創造。ミタールはその力に新たな研究の可能性を見出し狂喜するものの、イェッツトレジセイアは制御不能となり暴走し、彼の手から離れることとなってしまう。その後、アルベロを騙してイェッツトを活性化するエネルギー弾を撃ち込ませる(これが契機となってイェッツトは活性化し、クライ・ウルブズは壊滅に至る)ものの、イェッツトレジセイアは殲滅され、彼の研究結果は水の泡となる。
第2次スーパーロボット大戦OG
MXにおけるゼーレの立ち位置がガイアセイバーズに変わっただけでMXと同様の立ち回り。
OG外伝でイェッツトを使って危険な実験を実施して狂喜していた件とはうって変わって、MX同様にAI1の危険性を正しく認識する、あまりに自分勝手なエルデの思想を「観点が歪んでいる」とまで断じるなど、再びそれなりの思慮深さをもった人物に立ち戻った。
その反面、MXであった各所への根回しや駆け引き上手な様子・強かさの描写が薄れているほか、研究の成果を破壊されて取り乱す描写があるなど、総じて道化じみている印象がある。

人間関係

ヒューゴ・メディオ
瀕死の身である彼を改造、自身が開発した機動兵器を与えてテストさせる。彼の治療を行う際に「修理」という言葉を用いるなど、徹底してヒューゴを単なるパーツとしてしか見ていない。それでもMXでの関係はギブアンドテイクに近いが、OGシリーズではヒューゴを一方的にこき使う印象が強くなっている。
アクア・ケントルム
ヒューゴのパートナーに指名し、同じく機動兵器のテストパイロットとする。彼はこの2人を通じ、「人の意志」の力による機動兵器の制御がどれほどのものかを見極めようとしていた。
アルベロ・エスト
ヒューゴと同じく開発した機動兵器を与え(強奪させ)、ヒューゴの機体と争わせる。だが、アルベロもまた彼を利用する関係にあった。OGシリーズでは騙したことでアルベロに憎悪されることとなるが、アルベロ本人が手にかけるまもなく、ミタールはほぼ自滅といっていい末路を迎えた。
エルデ・ミッテ
アルベロのパートナーに指名して、AI1の制御を任せる。最終的には利害が決定的に対立し、彼女に射殺される。
MXではある程度行動を予測し時に対策を採っていたが最終的にはその執着を読み切れなかったのに対して、OGでは警戒感すらほとんど抱いていない様子で、その行動を放置した結果、意に沿わない数々の事態を招いてしまっている。
ドナ・ギャラガー
プロジェクト初期段階の産物である「ウェンディゴ」の開発者。だが、試作段階で失敗し、彼女は追い落とされる。
エリック・ワン
OGシリーズではプロジェクトへの協力者として初登場し、協同で研究を行っていた。互いをどう思っているのかは不明であるが、エリックはイェッツト開発には反対していたようである。
イーグレット・フェフ
同期。研究者としてはかなり先を行かれてしまったらしい。以前には腹の探り合いをしていたとか。
ドゥバン・オーグ
第2次OGではガルベルスのパイロット候補として彼に白羽の矢を立てていた。

版権作品との人間関係

ゼーレ
彼のメインスポンサー。「人類補完計画」が失敗した場合の保険となりうる兵器の研究・開発を命じられ、ツェントル・プロジェクトによるMODEL-Xの開発に着手することとなった。

名台詞

MX(PORTABLE)

「ああ、任せたまえ。今度は薬無しでも動けるように調整しておこう…」
第28話「月下の惨劇」より。メディウス・ロクスに敗れたヒューゴの「修理」に当たる際、下卑た笑みと共に発した台詞。「今度は」という点に、彼の醜悪な人物像が窺える。とはいえ、同話冒頭で「最近送られてくるデータ内容は良好だ」と評していたり、本当に宣言通り薬の要らない身体にする約束も守っている事から、ヒューゴを高く評価している事が窺えなくもない。もっとも、パーツ扱いされている当人にしてみれば、良い気分はしないだろうが。
『PORTABLE』では薬が不要になっていないため、この台詞は存在しない。
「ならば、言おう…ここ最近…特にメディウスの形状変化後のAI1の思考パターンから不可解な揺らぎが検出されている。例えるなら、それは人の感情…あるいは物欲…AI1は指定対象外の物にまで深い興味を示し、それらを学習…いや、物理的に吸収しようとしている…自らが制御するラズムナニウムによってな」
「正気で言っているのか?このままでは、AI1はデビルガンダムと似たような能力を持つに至るぞ」
第41話(『PORTABLE』では第42話)「ここより永遠に」より。AI1を危険視する理由をエルデに述べる。お世辞にも善人とは言えないミタールだが、自身はおろか世界全体の危機を招くような兵器の開発を避けようとしているばかりか、AI1の危険性を正しく認識していたことを示しており、一応の良識は持っている事がわかる台詞である。
「私の理論が正しいことを証明するため…そして、金と名誉を得るためだよ。そうでなければ、研究を続けることが出来んからな。故に、私は軍や委員会を利用し…また、彼らも私を利用するのだ」
TEアブゾーバーを作り出したそもそもの理由。あくまで研究のためとはいえ私利私欲、それも「金と名誉のため」という俗物じみた思想の元に研究をしていると公言しているが、権力や支配へは興味を示していないなど、良くも悪くも根は学究肌の人物である事を示す台詞である。またこの手の科学者は他人から利用されることに嫌悪感を示すことが多いが、その点ミタールは「立場上自分は利用されて当たり前である」という見識を示している。
「私を俗物と軽蔑するかね?しかし、君も私と同じく、己の欲求には非常に素直な人間であるはずだ。そして、君にとっても他人とは自分の研究に利用できるか、できないか…そのどちらかの存在でしかないはず。我々は似た者同士…互いの研究目的や利益のため、もっと利用しあうべきなのだよ」
エルデ「ですが、あなたはAI1の進化に疑問を持っておられる…。それは私の目的に反します」
「当然だ。あれにデビルガンダムのような力を与えてどうする?この世界や人類を滅ぼすつもりだとでも言うのか?」
直後の発言。あっさりと自分を俗物であると認めつつも、AI1とデビルガンダムの危険性を指摘する。
確かにミタールとエルデは色々と似たもの同士であったが、AI1に対する反応[1]を見てもわかる通り、結局は似て非なる者だった。
「…研究とはそれを評価する人間がいてこそ成り立つものだ。君にも観客のいない演劇などナンセンスだということがわかるだろう?」
上述から続くミタールの「研究」に関する総論の締め。金と名誉を得るという目的で研究を進めるミタールにとって、自らの研究を評価して貰えない以上は物事が進まない事など明白で、エルデの「観客は自分ひとりで良い」という発言は到底認められるものではなかった。
早い話が「研究とは自己満足では駄目」という話であり、いち科学者としてはこの上極まりない正論である。この一連の台詞からミタールという科学者がステレオタイプな悪の科学者とは根が違う事がわかる。

OG外伝

「……顔で判断するな、顔で」
『OG外伝』「狼達との邂逅」より。ラズムナニウムを使ってアインストの生物兵器化を行う最中でエリックが「見た目が変わってきている上に、人の言うことを聞かなさそうな顔をしている」という指摘をした際の返答。エリック自身はアインストを利用した実験に危機感を持っていたのだが、いかんせん指摘内容がこの様だったので、ミタールも呆れている。
また、生物兵器の開発自体、MXでAI1やデビルガンダムの危険性をきちんと理解した上で危機感を持っていたミタールが行うような事ではないことと、ミタール自身も悪人面であると同時に顔だけで判断できない面がある事も踏まえると、いろいろと突っ込みどころのある台詞である。
「クッ……ククク……フフフフ……ハハハ……ハハハ! 素晴らしい、素晴らしいよ! ハハハハハハ!!あのイェッツトは、あのような機能を持つまでに至っていたか!」
『OG外伝』「放たれた凶獣」より。イェッツトへと変貌したヘッドの能力を目の当たりにして狂喜する。後始末と自身の名誉を考えている様子すらないこともあり、デビルガンダムを危険視していた『MX』と比べると完全にキャラが違っている。
結局狂気を見せたのはこの時のみであり、『OG2nd』では元の性格に立ち戻った。

第2次OG

「君のそういう観点は、どうも歪んでいるな」
AI1を巡り「うるさい子供など欲しくない」というエルデの発言を聞いて発した辛辣な一言。こんな台詞を発するミタール自身もいろいろと歪んでいる節はあるがエルデ程ではなく、危ないものは危ないとはっきり判断をつけている。
「そういう問題ではないのだよ!私の名誉に大きな傷が付けられたのだ!」
「冗談ではない!あれは危険だ!君にも責任をとってもらうぞ!覚悟しておけ!」
アルベロの死、試作8号機及び9号機を失った報告を聞いた上で、まだAI1があるからプロジェクトは大丈夫だというエルデの指摘を受けた上で取り乱す。名誉を重視するミタールの思想が垣間見える。
「この際だ、はっきり言っておこう。これ以上、君の歪んだ愛情に付き合う気はない」
「AI1は危険だ。何度でも言うが、あれをMODEL-Xに搭載させるつもりはない。私のTEアブゾーバーにあのような物は不要なのだよ」
「紅の聖誕祭(前篇)」より。AI1を危険視する彼はついにエルデを見限る事を決心するが…。
「エ、エルデ!正気か!?」
「こ、ここで私を殺せば、君もただでは済まんぞ!」
「わ……分かった!君の言う通りにしよう!だから、命だけは…」
彼女に銃を突き付けられ、取り乱した様子で命乞いをするも…。
「なっ……!!」
第2次OGでの断末魔。アルベロを殺害した事実には彼も愕然とした。

関連機体

サーベラス / サーベラス・イグナイト
ガルムレイド / ガルムレイド・ブレイズ
メディウス・ロクス
ガルベルス
イェッツトレジセイア
OGシリーズで開発した生体兵器…のはずだが。

余談

  • ザパトはロシア語で「西」を意味する。

脚注

  1. エルデが後先を考えずAI1の成長そのものを重視するのに対し、ミタールはそれに対して危機感を持っている。