グレート合体はスーパー系のロボットアニメで多く見られる、主役ロボットのパワーアップ合体方法の俗称。「スーパー合体」とも呼ばれる。
概要
おおまかな定義としては、1号ロボ(主役ロボ)の腕部や脚部・頭部などに2号機ロボやサポートメカが装甲パーツの形態に変形し装着され「1号ロボに武具を着せた強化形態」となるものを指し、装甲パーツに変形する側のロボットが一度各部分を分解して装甲パーツへ再び組み直されるような変形を行うパターンが多くを占める(この際にいわゆる「余剰パーツ」が発生することもしばしばある)。足の裏に強化パーツが付けられる場合、外見的に「主役ロボに履かせる靴」のような状態となり、慣用句の「下駄を履かせる」と掛け合わせて下駄合体と揶揄されることもある(もちろん「下駄」の無い合体ではそう呼ばれない)。
ただし上記以外のパターンでの合体[1]でも「主役ロボを含めたロボ同士が合体」していればグレート合体・スーパー合体と呼ばれることが多い。
主役ロボ以外の強化合体も見られるが、それらはあまりグレート合体とは呼ばれない[2]。
また主役ロボが絡んでいても、脇役ロボが武器などに変形するだけで主役ロボそのものには変化が少ない場合も、やはりグレート合体とは看做されないことが多い[3]。こちらは主に「武装合体」などと呼ばれる。
スポンサーの主力商品たる男児向け玩具においては、元々デザインや技術の都合で体型を犠牲にしている状態のロボットを多重に合体させるという条件の悪さに加え、2号ロボを身に纏うような合体方法が仇となり、非常にゴテゴテとした不恰好な形状となってしまうことがある一方で、アニメ作品内においては大抵(時に設定を無視した)スマートなプロポーションで描かれる。このため技術が進歩した後年になって、劇中の姿に近付けたリメイク玩具が発売されることもある。
ちなみに「余剰パーツ」に関しては、劇中では自動操縦で拠点に帰還していたり、ロボの内部に収納されていたりなどの設定が付加されることもあれば、特に理由なく消える(所謂大人の事情)こともあるなど作品によってまちまち。
起源
このような形式の合体は、1988年放映の特撮作品(東映の「スーパー戦隊シリーズ」)『超獣戦隊ライブマン』に登場する「スーパーライブロボ」及び、同年放映のアニメ作品『トランスフォーマー 超神マスターフォース』(スパロボ未参戦)に登場する「ゴッドジンライ」が最初に行ったとされる。
なお元祖が「スーパー」ライブロボであり、またそこから三年連続で戦隊ロボの最終合体に「スーパー○○」という名称が使われた(以後も「スーパー○○」という戦隊ロボが多数登場した)こと、一方で勇者シリーズでは初代の『勇者エクスカイザー』~『勇者特急マイトガイン』まで四年連続で「グレート○○」が登場したことから、「スーパー合体」は戦隊シリーズの、「グレート合体」は勇者シリーズの強化合体を指すという呼び分けが為されることもある[4]。どちらのシリーズにも属さないロボットの場合はどちらの呼び方も使われる傾向にある。
1980年代中盤は、リアル系ロボットアニメにおける主役機のパワーアップイベント、即ち新型機や後継機への乗り換えによる新たな主役ロボの登場が確立した時期である。そういった作劇方法をスーパー系ロボットアニメに取り込むことで、所謂「グレート合体」が誕生したと推測される。
関連するユニット
- グレートマイトガイン
- マイトガインにマイトカイザーが分離したカイザーパーツが合体して完成。ただし設定上はマイトガイン用の強化パーツだったものを、2号ロボマイトカイザーに変形合体できるようにしたという特殊なパターン。
- ゴッドライジンオー
- 2号ロボのバクリュウオーが各部装甲パーツに分解され、コアとなるライジンオーに装着されることで完成。
- グレートガンバルガー
- 2号および3号ロボのリボルガーとゲキリュウガーが各部装甲パーツに分解され、コアとなるガンバルガーに装着されることで完成。
- 作中ではコア機のガンバルガーにパーツが強引に装着されて合体しているが、玩具ではコア機も部分的に分解して合体させるため、合体後もプロポーションが損なわれていない。その反面大量の余剰パーツが出る。
- キングゴウザウラー
- ゴウザウラーと2号及び3号ロボのマグナザウラー・グランザウラーがそれぞれ分離・再合体することで完成。
- 3機全てをパーツ分解させる方式のためプロポーションは良好で、余剰パーツも最小限に抑えられている。
- パーフェクトダイテイオー
- ダイテイオーとダイリュウオーの合体により完成。
- アルティメットグラヴィオン
- ゴッドΣグラヴィオンが4つの強化パーツに分解され、ソルグラヴィオンに装着されることで完成。
- グリッターファルセイバー
- ファルセイバーとブルーヴィクターの合体により完成。
余談
- 前述の通り『超獣戦隊ライブマン』に登場する「スーパーライブロボ」がグレート合体(スーパー合体)の始まりとされているが、当番組において2号ロボとの合体は番組強化方針のためのテコ入れの一つであり後付け設定でもあった。
- そもそも1号ロボ「ライブロボ」は強化合体を想定していないデザインだったために2号ロボ「ライブボクサー」の変形・合体パターンの考案は困難を極めたが、ライブロボ側に合体時には空いているジョイント(合体前の小メカ状態で使用しているもの)があったお陰で、そこに分離させたライブボクサーのパーツを合体させることで解決した。
- ただしその代償として、玩具のライブボクサーのプロポーションは非常にずんぐりむっくりとしたものになってしまった[5][6]。
- 合体パターンには当時大流行していた漫画及びアニメ『聖闘士星矢(セイントセイヤ)』に登場する星座を模ったオブジェから装着者の鎧へと変形する「聖衣(クロス)」のイメージを参考とすることで[7]、「2号ロボ及びサポートメカが1号ロボの強化パーツとなる」という黄金パターンが編み出された。
- ライブマンの4作品後の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』以降の作品では、1号ロボと2号ロボの合体によるグレート合体(スーパー合体)自体が少なくなった上に、3号ロボや4号ロボがサポートロボではなく主力ロボで登場するようになった[8]。
- 『勇者シリーズ』においてはこのグレート合体が通例となっていたが、『勇者王ガオガイガー』のみ2号ロボとのグレート合体が行われなかった。これは米たにヨシトモ監督による「合体を繰り返すと1号ロボの存在感が弱くなるから」という意向によるものであり、強化も動力系の改良や宇宙用換装パーツを装着する程度に留められた。ちなみDVD-BOXの解説によると企画当初はガイガーの時点で主役ロボットが完成していることから「ガオガイガーこそが既にグレート合体である」とされている。
- 玩具に関しては、余剰パーツが発生する事が多く1号ロボの武器や盾に至っては丸々当て嵌まってしまう事が大半である。
- またプロポーションも2号ロボを纏わせるため上半身と下半身の比率が上半身に偏っている事も多い。
脚注
- ↑ 2号ロボをバックパックとして背負って合体、それぞれ上半身と下半身に変形して合体、などなど。
- ↑ 例:バトルボンバーなど。
- ↑ 例:ガオガイガー+ゴルディーマーグなど。
- ↑ 先述の通り「グレート合体」形式の登場自体は勇者シリーズの誕生前であるが、それまで特に名称の存在しなかった強化パターンが勇者シリーズによって「グレート合体」と定義された、とも言える。
- ↑ 合体時に殆ど見えない部分になる腕部が小さく、胴体部、脚部が大きい。また頭部も番組内と玩具では大きさが逆転している。
- ↑ これは2018年に開発された「スーパーミニプラ」でも解決できていないが、開発者の発言などからすると敢えて当時の玩具らしさを残したとも解釈できる。
- ↑ ちなみに聖闘士星矢・スーパー戦隊シリーズ共にバンダイから玩具が発売されている。
- ↑ 『忍風戦隊ハリケンジャー』では1号から3号までのロボによる合体形態「天雷旋風神」や『炎神戦隊ゴーオンジャー』の1号から4号までのロボによる合体形態「エンジンオーG12」が存在する。