疾風!アイアンリーガー
- テレビ東京系 1993年4月6日~1994年3月29日 全52話
- 初登場:スーパーロボット大戦NEO(2009年)
概要
野球とサッカーを主題とした熱血ロボットアニメ。意思を持つロボットらが織り成す熱いドラマと、人間との友情を描くスポーツドラマ。野球の本場・米国でも大人気を博したアニメであり、サンライズ製作のアニメとしてはトップクラスの人気ぶりであった。後にOVA作品『銀光(シルバー)の旗の下に』(全5話)も作られた。
戦闘アニメではなく、スポーツアニメである為、スパロボ参戦は予想外の出来事として話題を呼んだ。
ストーリー
「アイアンリーガー」と呼ばれるロボットたちに各種のスポーツを競わせる「アイアンリーグ」が大流行している近未来。しかし、近年のアイアンリーグはダークスポーツ財団に支配され、ラフプレイが横行する暴力と破壊の場と化していた。
そんなアイアンリーグでフェアプレーの精神を貫くチームがあった。その名はシルバーキャッスル。しかし弱小チームであるシルバーキャッスルは人気もなく、レギュラー選手にも事欠く状態であった。
そんな中、ダーク系列の強豪サッカーチーム・ダークプリンスのホープ、マッハウインディがラフプレイに嫌気がさしチームを退団する。路頭に迷うウインディに路を示したのは謎の野球リーガー、マグナムエースだった。ウインディはマグナムと共にシルバーキャッスルに入団、アイアンリーグ界に挑戦を開始するのだった。
登場人物&アイアンリーガー
シルバーキャッスル
- マグナムエース/シルバーフロンティア
- 主人公。
- マッハウインディ
- キアイリュウケン
- 空手リーガーだが、当人はサッカーリーガーと思い込んでいた。シルバー創設時からのメンバーの一人。
- ブルアーマー
- 優秀なアメフトリーガーだったが、ある事件が元で引退していた。マグナムエースの説得を受け、アイアンリーグに復帰する。
- 極十郎太(きわみ じゅうろうた)
- 全てが謎に包まれた、孤高の剣道リーガー。少年役の多い山口勝平氏が演じたことで有名。
- トップジョイ
- シルバーに飛び入り入団した、陽気でお調子者の元バスケリーガー。実はリーグ復帰を条件にダークからスパイ活動を命じられていたのだが、根がお人好しの彼はいつしかシルバーに情が移ってしまい、ダークを離脱することになる。
声優は小杉十郎太氏だが、氏の一般的な演技とは異なる甲高い声で喋るため氏だと気づかない(場合によっては極十郎太とキャストが逆なのではと誤認する)人も。 - GZ(ジーゼット)
- 元アイスホッケーリーガーのアイアンソルジャー。ダークからシルバー抹殺の命を受けて攻撃を仕掛けるが、絶対に諦めない彼等の強い意志と姿に興味を抱き、自ら負けを認めてシルバーに参加する。
- シルキー
- シルバー創設時からのメンバーの一人で、ゴールキーパーを勤めていた。ブルアーマーにその座を渡してしまうものの、それに腐ることなくベテランとしてシルバーを支え続ける。
- ジェイク
- シルバーのエースストライカーだったが、万年最下位のチームの現状に希望を見出せなくなり、ウインディと入れ替わる形で退団した。
- ルリー銀城(ぎんじょう)
- 本作のヒロインで、シルバーキャッスル2代目オーナー。
- エドモンド銀城
- シルバーの監督で、ルリーの叔父。飄々とした捉えどころの無い人物。
- リカルド銀城
- ルリーの父でエドモンドの兄。シルバーキャッスルの創設者だが同時にダークスポーツ財団メカニック開発部長も勤めていて、ギロチも一目置いた人物。
本作最大のキーパーソンで、10年前に死亡したと思われていたのだが……? - メッケル
- 愛称は「工場長」。シルバー所属リーガーのメンテナンスを一手に担う、縁の下の力持ち。
- ヒロシ、マリコ、ベズベズ、ポット、ゲルス
- 物心付いた頃からシルバーのサポーターを続けている子供達。
ダークスポーツ財団
- ゴールドアーム
- ゴールドフット
- ゴールドマスク
- スーパーヘッド
- ダークを飛び出したウインディの後任で、ヘディングシュートに特化したサッカーリーガー。セーガルに逆らったため、シャーキードーグに破壊される。
- ダンクガンズ
- セクションXに所属する、バスケリーガートリオ。リーガー暗殺が主な任務で、頭部が分離式の爆弾になっている。
- シャーキードーグ
- セーガルが投入したサッカーリーガーだが、セーガルによって遠隔操作されるため、意思は無い。
- ワルキューレ
- セーガルがシャーキードーグに代えて投入した最新型リーガー。
- ファイタースピリッツ/シルバージャスティス
- ギロチが投入した最強のアイアンリーガー「ファイター兄弟」の兄で、サッカーリーガー。
- ファイターアロー/シルバーギャラン
- ファイタースピリッツの弟で、アイスホッケーリーガー。
- フラッシュキッド
- ダーク系列のサッカーチーム「ダークスワン」のキャプテンだが、ギロチの信頼厚いファイター兄弟にチームの実権を握られてしまう。
- アイアンソルジャーS-XXX(エス・スリーエックス)
- ギロチがブルーエンジェルスに貸し出した最新型アイアンソルジャー。戦場と試合の区別が付かなかったためにスタジアムで無差別攻撃を行い、マグナムに破壊される。
- ギロチ
- ダークスポーツ財団の総帥で、アイアンリーグを事実上私物化している。
- セーガル
- ギロチの息子。若きハリウッドスターとして活躍する裏で、父とは違うやり方でアイアンリーグの支配を目論んでいる。
- クリーツ
- ダークプリンスの監督。
- ブラックマン
- ダークキングスの監督。
- セクションX
- ダークの秘密諜報機関。
- セクションV
- ダークの破壊工作機関。
はぐれリーガー
- ゲバラ
- バスケリーガー。所属していたバスケリーグそのものが廃止されたために廃棄されていた。
- ワイルドホーク
- 野球リーガー。「優勝請負人」の異名を持つ球界屈指の名ピッチャーだったがベンチとトラブルを起こし、はぐれリーガーとなっていた。
- デウス
- バレーボールリーガー。初の飛行型リーガーとして開発されたが、燃費の問題で失敗作と見なされ、廃棄されていた。
- ダイクダイソン
- ボクシングリーガー。旧式のリーガーだったために廃棄されかけるが脱走し、洞窟に隠れ住んでいた。
- シスレー
- 剣術リーガー。盗賊団を率いて略奪を行っていた。
- マックス&ジュベイ
- シスレーの部下。
- アルカード
- アイスホッケーリーガー。特殊なウイルスに冒され、バンパイアリーガーとなっていた。
- ジェットセッター
- アメフトリーガー。ブルアーマーの元同僚で、彼がチームを見捨てたと思い、恨んでいた。
- ワット
- サーティーン
- ゴルフリーガー。闇の貴公子直属の一人で、名前の由来は某有名スナイパーから。
- ナッカラー
- 空手リーガー。闇の貴公子直属の一人。
- ウィッシュボーン
- 水球リーガー。闇の貴公子直属の一人。
- グレイリンク
- バスケリーガー。闇の貴公子直属の一人で、頭部にダンクシュート用のアームが内蔵されている。
- マドチェン
- アメフトリーガー。闇の貴公子直属の一人。
- デステニー
- テニスリーガー。闇の貴公子直属の一人。
- 闇の貴公子
- はぐれリーガーの支配者。その正体は?
- ミューハー、ホーリー
- 闇の貴公子の側近。
その他
- ヘルスパーズ
- 町興しのためにサッカーリーガーに改造された、鉱山開発用ロボットの4人組。マッハウインディに憧れている。
- アンプ
- サンダーボルト
- ワールドツアーに登場するチーム「ブルーホース」のキャプテン。チームの勝利のためにGZを破壊しようとするが、ファイター兄弟に阻止される。
- ジョージィ・アイランド
- TVレポーター。マッハウインディの熱烈なファン。
- アナウンサー
- インサイド・ロガシー
- 野球解説者。某プロ野球OBの某野球解説者がモデル。
登場メカ
- ボーシップ号
主題歌とBGM
- 『アイアンリーガー~限りなき使命』
- 作詞:白井覚 作曲:由比正雪 歌手:谷本憲彦(現・速水けんたろう)(OPテーマ)
- 『Dreamy Planets』
- 作詞:真々花子 作曲:由比正雪 歌手:横山智佐(EDテーマ、第26話まで)
- 『我等!アイアンリーガー』
- 作詞:白井寛 作曲:由比正雪 歌手:松本保典・置鮎龍太郎(EDテーマ、第51話まで)
- 『WITH~友よ共に』
- 作詞:真々花子 作曲:由比正雪 歌手:谷本憲彦(挿入歌・EDテーマ第52話最終回)
登場作と扱われ方
- スーパーロボット大戦NEO
- 本作の地球は自意識のあるロボットが製造できるほど科学技術が高くないので、アイアンリーガーは魔法科学の存在する異世界「アースティア」の出身になっている。本来スポーツアニメである以上原作再現をしにくいためか、原作終了後の世界観となっている。
機械でありながら熱い心を持つアイアンリーガーだけに、同じ機械でありながら『心』を否定する機械化帝国に対しては激しい闘志を燃やす。余談だが、機械化帝国の登場する『熱血最強ゴウザウラー』とアイアンリーガーは、奇しくも同じ1993年にサンライズによって制作され、共にテレビ東京系列午後6時台のアニメ枠で放映されている。
戦闘演出では、攻撃時に爆発が起きるような描写は抑えられ、敵を破壊するために戦っていると取られにくくなるよう配慮されているようだ。
用語
- アイアンリーガー
- アイアンソルジャー
- 読んで字の如くの戦闘用ロボット。外宇宙の資源惑星における企業間・国家間の資源獲得競争に決着をつける「代理戦争」を行うために開発された。
- (余談だが、この設定は『電脳戦機バーチャロンシリーズ』と非常に酷似している)
- 人間は地球で命令を出すだけで、資源惑星での実戦は全てアイアンソルジャーによって行われているため、人間側からすれば「絶対安全な戦争」である。一方、アイアンソルジャーはどのような命令にも逆らうことが出来ず、ライバル勢力のアイアンソルジャーとの壊し合いを、自分が壊れるまで続けさせられる。まさにロボット3原則を逆手に取ったような存在である。倫理的な問題からかこういう戦争が行われていること自体、世間には秘密にされている模様である。
- ダークスポーツ財団は、アイアンリーグを利用してアイアンソルジャーの開発・製造を行っていたが、財団総帥であるギロチがマグナムたちのフェアプレー精神に骨の髄まで感化されたため、TVシリーズ終了直後にアイアンソルジャー製造販売業から撤退している。しかし、これがかなり唐突かつ一方的だったため、OVAでシルバーキャッスルがとばっちりを受けることになる。
- 強制引退
- ダークスポーツ財団が自社製の優秀なアイアンリーガーをリーガーの意思とは無関係に引退させ(マスコミにはリーガー自らの意思と発表)、リーガーの記憶を封印し、アイアンソルジャーに改造したうえで顧客(武器商人)に売り付ける行為。記憶を「消去」せずに「封印」に止めるのは、リーガーのAIに蓄積された「経験」を利用するためなのだが、極稀に封印が解けることがあり、本作もあるソルジャーの記憶が蘇った事から始まっている。
- ショックサーキット
- ダークスポーツ財団が自社製のアイアンリーガーを服従させるための回路。発動は財団本部からの遠隔操作で行われ、発動するとリーガーの全身に激痛が走る。その存在を知る者は財団総帥のギロチを含む極少数で、回路自体も見つけにくいようリーガーのボディ内に巧妙に隠されている。元ネタは特撮ヒーロー作品『人造人間キカイダー』の服従回路「イェッサー」。
- ココロキット
- リカルド銀城がマグナムエース、キアイリュウケン、ファイター兄弟の体内にブラックボックス化して組み込んだ特殊なシステムで、アイアンリーガーの「精神的な成長」に連動してカタログスペック以上の能力を引き出すことができるが反面、「迷い」「驕り」などのネガティブな精神状態下では機能不全を起こす。元々はリカルドがダークスポーツ財団在籍時に開発していた「フレンドサーキット」と呼ばれるものだったが、リーガーの「心」を認めないギロチの考えとは正反対のものだったため開発は中止に追い込まれ、身の危険を感じたリカルドは事故死を偽装して地下に潜伏することになる。元ネタは『人造人間キカイダー』の良心回路「ジェミニィ」。
- はぐれリーガー
- 強制引退や廃棄処分の憂き目に遭うはずが間一髪のところで逃げ延びて野生化したリーガーをこう呼ぶ。他のアイアンリーガーや作業用ロボットを襲撃してオイルや部品を奪い取ることで生活している者が殆どだが、ロボット三原則があるためにリーガーを襲撃することはあっても基本的に人間には手を出さないのでよほど悪質な物で無い限りは放置されている(あやうく地獄の底を覗きかけた者が殆どなだけあって全般的に腕のたつ者が多く、無理に捕獲したり破壊したりするとそちらのほうがかえって費用がかかると言う理由もあると思われるが)中には部品やオイル、あるいはアイアンリーグへの復帰を条件に悪人に雇われている者たちも居る。
主要スタッフ
- 制作会社
- サンライズ
- 原作
- 矢立肇
- 監督
- アミノテツロー
- シリーズ構成
- 五武冬史
- キャラクターデザイン
- 二宮常雄
- メカニカルデザイン
- 大河原邦男
- 音楽
- 和田薫
商品情報
話題まとめ
- 主演声優の一人、マッハウインディ役の置鮎龍太郎氏は「熱血!必中!スパログ!」内で熱く作品などを語っている。
- 本作は、当初はかの井上敏樹氏も脚本陣として参加が決定していたが、飲み会の際に腕相撲で相手に(誤って)腕を折られてしまい、スケジュールの都合から同席していた會川昇氏に白羽の矢が立った。
- 前述の通りだが、本来はスポーツアニメであり戦闘を念頭においた作品ではない。従って、ファンの中にはロボット同士の戦いを描くスーパーロボット大戦シリーズに参戦させた事を良しとしない人も少なくなく、否定的な意見も多い。ただ、劇中においてもスポーツより戦闘で活躍するキャラクターがいるのも事実で、相手が侵略者ともなれば熱いハートを持つ彼らが平和の為に戦うだろう事は確かであり、必ずしも非難されるべき事ではない。
- 設定に漫画家の島本和彦氏(代表作は『炎の転校生』『燃えよペン』等)が参加しており、LDおよびDVD-BOXの特典として、島本氏がコンテを切った『島本ver.』のOPを観る事ができる。島本氏は本作終了後に放送された『機動武闘伝Gガンダム』にもキャラクター原案で参加している。一部は月刊OUTにも掲載されていた。