世界観/UX
スーパーロボット大戦UXの世界観
基本設定
舞台となる地球に、未来や異世界から多くの人間達が集まってくる……というのが基本だが、実際には全く別の理由が存在する。詳しくは後述。
この世界
ここではあくまでも、「ゲームを始めた時に舞台となっている時代のこの世界」について記述する。
地球
作中の年代はサコミズが地上にいた頃から約200年後という言及があるため、西暦2245年前後となる。
政治体制
機動戦士ガンダムSEED DESTINYと機動戦士ガンダム00、忍者戦士飛影の折衷。大統領直轄の機関としてNIAが存在。
軍事体制
人類の軍事組織としてはコズミック・イラ世界の地球連合軍、ザフト軍、オーブ軍に加え、鉄のラインバレルのJUDA特務室・謎の組織加藤機関などが挙げられる。奇械島ではキバ軍とガラン軍、八稜郭が三つ巴の戦いを繰り広げていたが、外界に影響が出なかったため知られていない。
この他、独立した戦力として傭兵部隊「アンノウン・エクストライカーズ」が存在。活動の中で徐々に戦力を拡張して行き、テロリストの嫌疑が晴れると同時に地球連邦直轄の独立行動戦隊「アルティメット・クロスとして承認されている。
また、竜宮島のアルヴィスはフェストゥムへの対策を進めており、オーブやザフトもこれに呼応する形でモビルスーツの開発を励行。このため、本作のモビルスーツは対フェストゥム用兵器としての側面を持っている。
アメリカではブラックロッジが台頭し、アーカムシティに存在する覇道財閥が抵抗を続けているが、戦力差から劣勢を強いられている。
後にハザード・パシャの提言で人類軍が創設。ハザード自身はその議決の場で背任が発覚して逮捕されたが、議案自体は内容を大幅に変更する形で可決されている。
人類以外の組織は特に存在しないが、人外の敵は数多く存在している。
月
機動戦士ガンダムSEED DESTINYの世界観に従い、アルザッヘル基地やダイダロス基地が存在する。
また、獣装機攻ダンクーガノヴァのムーンWILLもかつてここに存在していた。内部にはショウの知る東京を模した空間があり、そこにヒトマキナの本拠が存在する。
コロニー
機動戦士ガンダムSEED DESTINYの世界観に従っているため、同作品に登場するコロニーは全て存在するものと思われる。
ストーリー中に出たコロニーはプラントのコロニー軍、ユニウスセブン。
バイストン・ウェル(リーンの翼)
海と地上の狭間に存在する異世界。今作ではリーンの翼のものが採用されている。
シンジロウ・サコミズ率いるホウジョウ国が最大勢力であるが、そのやり方から反発を覚える者も多く、アマルガン・ルドルを筆頭に反乱軍が存在。
別世界
この世界とは異なる、別の世界。ここに住んでいた異邦人たちが「集え、始まりのもとに」という言葉を聞き、それに導かれるようにしてこの世界に飛ばされて来る、というのが世界観の基本。
「聖戦士ダンバイン」の世界
ドレイク軍との決戦は既に終了しており、ショウ・ザマ、チャム・ファウ、ショット・ウェポンが転移。また、マーベル・フローズン、バーン・バニングスも生存し、この世界にやって来ている。
移民船団
マクロスFのフロンティア船団およびギャラクシー船団がストーリーに登場。 冒頭のプロローグにおいて、こちら側の世界に偶然に転移してしまう。
中盤でギャラクシー船団もこちら側に転移して来る。
シェーマ星系
ザ・ブーム軍、エルシャンクに乗艦したラドリオ星人達が地球に転移して来る。この時エルシャンクの方は火星開拓基地にいたジョウ達と遭遇、3機のマシンを動かせたことから迎え入れ、ザ・ブーム軍と衝突を繰り返しながら地球圏へと辿り着いている。
なお、彼らは終盤になるまでここが自分達のいた宇宙ではないことに気付かなかった。
三璃紗(ミリシャ)
「三国志」とほぼ同様の構造を持つ異世界。超エネルギーや古代兵器など独自の事象も存在するが、特筆すべきは劉備ら住人達。全員がモビルスーツを模した姿をしているという異色の生命体であり、魂を持った機械の人間、とでも言うべき存在である。
曹操軍との決戦の最中に「声」が響き、劉備軍の三人、孫権と孫尚香、周瑜、陸遜、曹操と司馬懿が転移。さらに、この戦い以前に死亡したはずの呂布も出現している。
未来世界
この世界が辿る未来の姿。想像力の喪失によって人類が絶滅し、マキナ達が死を認識することでヒトマキナへと進化した世界である。
加藤久嵩、石神邦生、菅原マサキ、城崎絵美、城崎天児はこの世界の出身。このうち天児は度重なる戦いで肉体を失っており、ラインバレルの電脳に脳を移植している。
電脳戦記バーチャロンの世界、そしてどこかの世界
奇械島での粒子加速炉消失事故の際、増幅された意志と入れ替わりに引っ張られた意志が存在している。多くの者はそれがフェイ・イェンHDだと認識している。
実際に呼ばれたのは、現実に近い世界の電脳から呼ばれたボーカロイド・初音ミクであり、その彼女が歌でオリジナルフェイ・イェンことファイユーヴを導き、融合する形で実体化したのがHDである。
敵勢力
本作の敵勢力は「侵略者」は実の所少なく、別の目的があるか、あるいは完全な誤解であったケースも存在。
- スクラッグ
- 異世界のメンバー同様「声」に導かれた異星生命体。実際にはヒーローマンを誕生させるための咬ませ犬に近い。
- 加藤機関
- 久嵩が設立したテロ組織。想像力喪失による人類絶滅を防ぐため、自らが「死」となって人々を抑圧、その反発力としての想像力励起を促していた。
- なお、途中まで呂布隊がここに所属していた。
- フェストゥム
- この世界においてもっとも脅威とされているシリコン生命体群。当初こそ完全に敵対していたが、それは人間という存在を知らないがための擦れ違いであり、UXのメンバーは後に対話による共存を試みる。
- ELS
- 外宇宙の金属生命体。フェストゥムに酷似した性質を持っており、脳量子波に引き付けられる性質を持つ。
- ホウジョウ軍
- この世界のバイストン・ウェルに存在する国家・ホウジョウの擁する軍隊。国王シンジロウ・サコミズ自身が率いている。サコミズの宿願を果たすべく、オーラロードの開放を狙っている。
- ヒトマキナ
- 加藤機関本来の敵。人類絶滅後、互いに殺し合い「死」を認識したことで人となったマキナのことを指す。今作では月の内部に潜んでいたが、そこはショウの知る東京であった。
- ザ・ブーム軍
- エルシャンクを追って地球圏に転移して来た異星人の軍隊。実はある事象のために呼ばれた存在である。
- ブラックロッジ
- 魔術師マスターテリオン率いるテロ組織。幹部格・アンチクロスは世界の支配を目的としているが、マスターテリオン自身には別の目的がある。
- 邪神ナイアルラホトテップ
- 全ての黒幕。マスターテリオンの後ろにいた存在であり、この世界の戦いを仕組んだ張本人。だが……。
世界観の真実
実際には、上記の「別世界」とは、そもそも並行世界のことではない。この世界が辿るであろう、未来の可能性なのである。それを踏まえた上で起きた事象を並べると、このようになる。
邪神ナイアルラホトテップは、「アザトースの庭」を解放すべく、世界そのものに在る仕掛けを施した。それは、目的の達成……即ち、邪神の封じられた宇宙そのものであるシャイニング・トラペゾヘドロンが二つ同時に現れるまで、同じ戦いを同じようにループさせる、というものであった。
その結果、この世界は、未来が幾重にも分岐する⇒分岐した未来の住人達が「声」を聴き、「始まり」であるこの世界、より正確にはその宇宙が滅んだあとの、次の宇宙の、「始まり」に当たる時代に転移する⇒集い、戦う⇒トラペゾヘドロンが揃わなければ、また分岐⇒再び結集……と、同じ物語を延々繰り返すようになってしまった。
これは、そこに生きた人物達の行動にも言える。
200年前、リチャードはノーヴルの主導した粒子加速炉の実験にテストパイロットとして参加していた。しかし、加速炉は増幅する「意志」の力を制御しきれず暴走、リチャードとノーヴルは未来世界へと飛ばされてしまった。その世界で再会した二人だが、人類は絶滅し、世界を救うことは出来なかった。そのためノーヴルは、レプトン・ベクトラーの同期によって疑似的にヨグ=ソトースの門を造り出し、リチャードを次の宇宙へと送り出した。この時にリチャードが連れていたのが、ノーヴルが新たに生み出した命・サヤであった。
これだと31話・32話で明かされた行動が矛盾して来るが、これについてはこう説明することが出来る。
つまり、本編の時代の200年前に暴走に巻き込まれたリチャードは未来へと飛ばされており、本編の時代には既に存在しない。本編でアーニーが出会ったリチャードは、ノーヴルによって前の宇宙からサヤと共に跳んで来た存在だった、ということである。
しかし、何度も何度も同じループを繰り返す内、そこに生きた者達の「意志」は可能性となって積み重なり、何億回目かのループにおいていくつかのイレギュラーを生み出した。その一つがヒーローマンである。また、このループにおいては、リチャードが未来へと飛ばされた際、入れ替わりに別の世界から一つの意志を呼び込んでいた。その意志たる電脳の歌姫・初音ミクは、さらに別の世界からバーチャロイド・ファイユーヴを呼び込み、融合する形で実体化。結果として現れたのがフェイ・イェンHDである。
これらイレギュラーの存在と、別のループで旧神となった九郎の干渉により、ナイアの組み立てたシナリオは崩壊、マスターテリオンごとユガの外側へ放逐されることとなった。
………と、ここまでは真実の一端である。
さらなる真相は、実はループを仕組んだナイア自身もまた、無限輪廻に組み込まれた一人に過ぎなかった、というものである。というのは、エンディングにおいて、三璃紗に伝わる「G記」を、この世界に残った司馬懿が書いたものである、という事実が明かされたことにある。このG記には、本編のラスボスであるカリ・ユガが「ジョカ」という名で記されている。そのカリ・ユガは、結局のところナイアの企みの後始末に現れているため、本編以前のいつかのループでも、UXはカリ・ユガと戦っている=ナイアの企みは本編以前のいつかにも行われ、頓挫しているということになるからである。
つまり、UXの世界はナイアの企みとそれによるループさえも一つの事象として無限に廻っているメビウスの輪である、ということである。無論この中には、本編と同じ展開を迎えたループばかりではなく、たとえばUXが敗北したり、スクラッグがいなかったり、あるいはアーニーがアーカムシティで死に、ジンがUXにいる可能性も存在している。
またこの事実から、周回プレイの際に登場するキャラクターたちは同一人物ではなく、並行同位体であるという事実が見える。
余談
ここまで複雑な設定になった理由の一つは、世界観トリックの基本が「機神咆哮デモンベイン」の原作に当たる「斬魔大聖デモンベイン」の設定を使用していることである(このゲームでは、世界が何度も同じループを繰り返している)。