ジラード・スプリガン
ジラード・スプリガン(Girard Spriggan)
地球連邦軍の元エースパイロット。強力なXラウンダーでもあり、操縦技術も高い。初登場は三世代編(但しキオ編で名前のみ登場)で、ルナベースに駐屯していた。
現在の名前はかつての恋人の名前を借用したもので、本名は「レイナ・スプリガン」。元々は地球側の希少なXラウンダーとして新型モビルスーツのテストに参加していたが、増幅装置の試験中に重傷を負った上、恋人だったジラード・フォーネルは死亡という悲劇に見舞われる。その後、この事故が連邦軍上層部によって意図的に起こされたものだったと知り、当時の上司へとこの事実を報告するも、上層部は死人に口なしとばかりにジラードに全ての責任を被せ、さらにレイナも口止めとして二階級特進を打診される。これらの経緯から連邦軍を見限ったレイナは、以後恋人の名であるジラードを名乗り、ロストロウラン攻略に同期して起きたルナベース占拠作戦の際に、基地司令のアローン・シモンズとともにヴェイガン側へ寝返ることとなった。
ルナベース攻防戦においては膠着した戦線を見かねティエルヴァで出撃。同じく「連邦とヴェイガンの両方を知る存在」として説得を試みるキオを跳ねつけ戦い続けたが、その最中事故の際に負った傷が原因でXラウンダー能力が暴走、居合わせた機体の持つビット兵器とAGE-FXのCファンネル全ての制御を乗っ取り無差別に暴れ始める。その中で偽りなき本心を吐露し一度は矛を収めようとしたが、暴走した能力に引きずられたティエルヴァは止まらず、フリットによって撃墜され戦死した。
元々は誠実な性格だったが、事故と連邦の腐敗体質に触れたことで人格が豹変。好戦的かつひねくれた性格となっており、物事を悲観的に見る傾向があった。キオと同様、連邦とヴェイガン双方の内情を知る人物であるが、キオがヴェイガン側の事情を知っているのに対し、ジラードの方は連邦側の腐敗体質は痛感しているがヴェイガン側の事情は表面しか知らない、という違いがある。
登場作品と役柄
携帯機シリーズ
- スーパーロボット大戦BX
- 初登場作品。担当声優の柚木涼香氏は『第3次スーパーロボット大戦Z』の西条涼音役を経て、版権作品のキャラクター役として初参加。
- 初登場は7話終了後の分岐選択シナリオデモと早く、序盤の月ルート8話、共通ルート第25話でのスポット参戦を経て、第39話で敵として立ちふさがり、発狂する彼女と対峙することに。普通に進めるとそこで原作通り戦死するが、隠し要素のフラグが成立すればXラウンダー能力の暴走で力を使い果たして気絶して回収され、ビシディアンのパイロットという扱いで自軍に参加する。ちなみに今回は第39話のクリア時にAGE-1が参戦するため、原作と異なりフリットと戦うことはない。仲間になってもひねくれた物言いと好戦的な性格は変わらないが、幾分か前向きな戦闘台詞も見られる。
- キオがガンダムに搭乗するころに初登場するため原作よりも出番が大幅に増え、元々自軍部隊に協力的な立場の人物だっただけに、敵対時には自軍部隊の面々も大きなショックを受けている。また『ナデシコ』勢、特にアキトとの絡みが目立つ。ちなみに、生存フラグを満たした際彼女を回収したのはナデシコ。
- また、彼女の生存には、キオとアキトの説得および戦闘前会話回収に加え、リオンとの戦闘前会話も必須。本作において版権3作品がフラグに絡むのは彼女の生存フラグだけであり、何気に豪華待遇である(2作品+オリジナルならマノンがいるが、ジョジョとヨウタの説得はどちらか一方で構わない)。
パイロットステータス設定の傾向
能力値
元連邦のエースだけあって全体的に高く、特に格闘・射撃・技量に優れる。ティエルヴァの性能が若干ついて来ていないのが残念だが、サブ火力としてはかなり優秀。
精神コマンド
- BX
- 集中、直感、突撃、熱血、かく乱
- 何は無くとも「突撃」が大きい。『AGE』系だとキオやフリットとの相性がいいが、問題はそっちの面だと機体が飛行可能+上位コマンドの「強襲」が使えるゼハートという対抗馬がいることか。
特殊スキル
パイロットBGM
- 「ガンダムAGE-3~覚醒~」
- 味方時のデフォルト曲。敵の時も設定されている。
- 「激突」
- 『BX』におけるスポット参戦時に設定されている曲で、月ルートのイベント戦闘でも流れる。
- 『BX』オリジナルの汎用戦闘曲で、基本的にはブライティクス到着時や味方NPC用の曲(共通ルートでリディが戦う場面等でも流れる)なのだが、ジラードの雰囲気やキャラクター性と非常にマッチしていたため、実質的に彼女のテーマとして認識されている。原作未見のプレイヤーから『AGE』の劇伴曲だと勘違いされたケースも。
人間関係
- ジラード・フォーネル
- かつての恋人。彼もXラウンダーとして新機体のテストに参加したが、そこでの彼の死とその引き金となった連邦の腐敗が寝返りのきっかけとなった。
- キオ・アスノ
- 同じく連邦とヴェイガンの両方を知る者として対話を呼びかけられるが、拒絶しぶつかり合う。
- キャプテン・アッシュ
- 原作では無関係だが、『BX』では生存後、ブライティクスに参加するため「レイナ・スプリガン」として名目上彼の率いるビシディアンに加入している。ヴェイガンとの決戦で彼が「キャプテン・アッシュ」として戦う事を改めて誓った際には、自分が「ジラード・スプリガン」と名乗っているのと似た信念を感じ取る。
- フリット・アスノ
- 最終的には彼に引導を渡された。小説版では彼女を高く買っていた。
- フラム・ナラ
- ゼハートの副官。ルナベースで出会う。小説版では彼女に対してベルギーのチョコレートに関する逸話を語り、口移しで食べさせるという場面も。
- ゼハート・ガレット
- 死の間際、彼と感応現象を起こし、彼から信念に殉じた一人の戦士として認められた。
- シャナルア・マレン
- 原作では関わりはないが、BXでは共に生存させるとキオ達を監視につける(実態は付き添い)という名目で共にビシディアンのパイロットとしての同僚となる。また、ルナベースでの戦いでは同じ連邦軍の裏切り者である事もあり、特殊戦闘台詞がある。
- アローン・シモンズ
- ルナベース司令。寝返り後は実質彼の部下だったが、実はかつてジラードとレイナを巻き込んだ事故を隠蔽した一人。
- 小説版では彼ではなく自身がヴェイガンに通じていたジラードがルナベースを掌握した後に、他の基地上層部共々基地のエアロックから生身で放り出すという形で復讐を遂げた。
他作品との人間関係
- テンカワ・アキト
- 『BX』ではカワサキでのボソンジャンプで月に飛んで来た彼を保護監督しており、その際、彼に料理をご馳走になった。ガルダ防衛戦で再会した時も、ちょくちょく彼と絡み、ユリカにヤキモチを焼かれることも。
- Xラウンダー能力暴走の際に生存した場合は、彼の説得を受け入れる形で自軍に加入し、その後は彼とユリカの仲を見守る場面も。
- アキトから好意を寄せられる点ではナデシコ原作でのアクアの立ち位置に近いが、ジラードは現実的な思考であり、己の境遇と似た彼の境遇に同情している側面が強い点でアクアとは異なる。そして、アキト自身とも、(本作では彼がそうなることはないが)「恋人との仲を引き裂かれ、復讐者となった」という共通点を持つ。
- リオン・榊
- 『BX』ではルナベースでの対峙時、過去の哀しみを露に狂乱するジラードに対し、同様に哀しい過去を持つ彼から過去を取り戻す事はできないと説かれ、反撃される事に。
- マーサ・ビスト・カーバイン
- 『BX』ではシモンズと結託している彼女の要請に応えて彼女の乗るガルダの救援に向かうが、他者の命を自身の私欲の為に弄ぶ彼女に対し嫌悪感を抱いており、逆に彼女の救援要請を逆手にとってブライティクスに加勢しマリーダの救出に協力する。
名台詞
- 「ジラード・スプリガン、参る!」
- 出撃時。スパロボでも戦闘台詞として収録されている。
- 「腕が鈍ったかしら?」
- 連邦軍のMSをあっさりと撃破して。好戦的な性格がうかがえる。スパロボでもTビットのトドメ演出の〆にこの台詞を発する。
- 「坊や、何を甘いこと言ってるの?この力は戦う為の物!復讐を遂げる為の物!」
- キオとの激突において、Xラウンダーの力を戦いを終わらせるために使う彼に対しての反論。
- 「夢は見ない方が良いわよ」
- ゼハートと共に楽園(エデン)にたどり着く事を夢見るフラムに対しての台詞。かつて、恋人との幸せな夢を奪われたジラードだからこその台詞。
- 「そろそろ気づきなさい!分かり合いたくない人間もいるって!」
- どれだけ攻撃されてもジラードと対話し、分かり合おうとしたキオをこの言葉で拒絶する。「分かり合う」事で知られたくない事もあると言う事だろう。
- 「やめてあげても良いわよ……その代わり、あの人を……私に返して……」
- Xラウンダー能力を暴走させ、戦場を混乱に陥れている最中にジラードを止めようとしたキオに対して。決して心を開かなかったジラードは涙ながらに本音を吐露する。暴走は続き、涙を流しながら狂ったように笑い、Xラウンダー能力の過剰干渉を受けて疲弊しているキオにとどめを刺そうとする。が……。
- 『BX』ではアレンジされてDVEになっている。
スパロボシリーズの名台詞
戦闘台詞
- 「私には分かる…あなたは遅かれ早かれ、きっと復讐に取り憑かれるわ」
- 『BX』における、アキトとの特殊戦闘台詞。彼の未来を暗示しているものの、BXの世界でそれに繋がる可能性は否定されているはずだが…?
- 「この力は戦いを終わらせるためのもの…生き残るためのもの!」
- 『BX』にて、フラグを満たし、生存した場合の汎用戦闘台詞。上記の台詞とは真逆になっている。アキトをはじめ、様々な人間との出会いにより、希望を取り戻した彼女は、Xラウンダーの力をそれまでとは別の道で使う事を決める。
- 「ヴェイガンと連邦の両方の気持ちが分かる、か…あの坊やの言う通りね!」
- 『BX』にて、生存した場合のヴェイガンとの特殊戦闘台詞。かつてヴェイガンに与した彼女は、連邦の暗部及び表面的とはいえヴェイガンの事情にも通じている。両方の事情に精通する者が多くないこの世界では、彼女の存在はそれだけで大きい意味を持つ。
- 「私は…あの人の分まで生きる!」
- 『BX』にて、Tビット使用時。亡くなったかけがえのない恋人は帰ってくることはない。だからこそ、恋人の分まで生きるために、戦いで死ぬわけにはいかない。
シナリオデモ
- (あなたはどう生きていくのかしら?ねえ、テンカワ・アキト…)
- 『BX』8話宇宙ルート「月面の邂逅」にて、アキトを自軍に引き渡した後、シモンズとの会話中における内心。シモンズは恋人の仇だが、自らの生きる目的である復讐の為あえて利用している。同じ境遇の彼は何のために生きるのか、彼女は静観する事にする。その出会いが、自分の生きる目的どころか運命を変えるとは知らずに…
- 「人の頭を弄り回すのは、今も昔も変わらないわね…」
- 『BX』25話「虹を見た日」にて、ガルダ防衛戦でマリーダの暴走を止めるべく、ブライティクスに加勢する際に通信を入れて。かつて、実験の「事故」により亡くなった恋人と傷を負った自分。連邦の暗部を知る彼女は、強化人間の負の側面も深く知っているようだ。
- 「真っ直ぐ気持ちをぶつけて…!本当に分かりやすいわね、あなたはッ…!」
- 『BX』39話「どこにでもある『正義』」より、アキトの説得を受けて。恋人を失ったことでどうしようもない現実を目の当たりにしたジラード。そんな彼女はアキトの現実を見てもなお「真っ直ぐ」な説得を聞き、何を思ったのだろうか。
- 「まったく…思い出しちゃったじゃない…。あなた達の青臭い綺麗事のせいで…」
「でも、今なら…会いに行ける…」
「過去じゃなく現在(いま)を生きる、レイナとして、あなたに…」 - 同じく39話にて、フラグが立っていなかった場合の最期の台詞。救う事は出来なかったが、少年達の想いは確かに届いていた。その証拠に最後の台詞の部分ではキャラクター表記が本名の「レイナ」になっている。
- 「フ、フフ…それじゃあ美味しい物を食べられそうにないじゃない…」
- こちらはフラグが成立した場合の台詞。アキトに「美味い物を作るから、どうするかはその時考えよう」と言われて。まあ確かに、ジラードが食した時は「食べられない事もない」レベルで、上達も遅いので現状のアキトの腕では美味い物が食べられるのは当分先だろう。
- 「でも、生きたくなってしまった。もう少し現在(いま)を生きたくなったのよ…」
- 『BX』39話エンドデモにて、ビシディアンのパイロットとして参加する事になった際。共に未来を歩むはずだった恋人を失い、その復讐以外は、「生」に対し、空虚になってしまった彼女。しかし、アキトの説得を受け、生きる事を決断した。
- 「世の中は現実で溢れている。けれど、それは悲劇だけとは限らないらしいわよ」
- 『BX』真最終話「受け継がれた未来」にて、今際の際のジスペルに対して。その人生の中で「現実」を多く知った彼女だが、「現実」は悲しみばかりではなく、喜びももたらす事実を彼女は知ったのだ。
- 「そうね、そうさせてもらうわ。けどその時は…」
「ジラード・スプリガンじゃなくて、レイナ・スプリガンとして食べに行くかもしれないけどね」 - 『BX』エンディングにて、アキトに「自分の店を持てたら料理を食べに来てほしい」と誘われて。いつかは彼女も「レイナ」として現在(いま)を生きる時が来るのかもしれない。
搭乗機体
- ティエルヴァ
- マッドーナ工房が開発したXラウンダー専用機。
- Gバウンサー・デオス
- GバウンサーをXラウンダー対応仕様に改修した機体。テストパイロット時に搭乗。