コンピュータドール第8号 / ガイゾック(Computer Doll No.8)

通称ガイゾック。その正体はガイゾック星人に造られたコンピュータドールで、地球を襲ったものは第8号。

ガイゾック星人によって、悪い考えに満ちた生き物を抹殺するようにプログラムされており、神ファミリーの祖先の故郷ビアル星を破壊したのち、200年の眠りについていた。

確かに地球の人間が争いを繰り返しているのは否定しようの無い『事実』である為に、第8号が地球人を『悪』と認識したのもあながち間違いでは無いとも取れる。とは言え、やっている事は機械による無作為の殺戮に他ならず(破壊や殺戮を『悪』と定義するならば、その化身であるガイゾックたちはまさに悪しき存在そのものである)、『争いの無い星だった』というビアル星の伝承も考えると、何かしらのプログラムエラーが起きていた、あるいはそもそもガイゾック星人の善悪観が地球人(やビアル人)のそれと異なっていた可能性や、「悪しき生物の抹殺」という理念そのものがガイゾック星人たちの破壊や殺戮を正当化するための方便であった可能性もある(作中、これらの可能性を否定証明できるだけの存在が登場しないため、可能性が皆無とは決して言い切れない)。

現代の地球人に『悪い考え』が満ちている事を察知して再び目覚め、ブッチャーなどを使って人類抹殺を計り、最終的には神ファミリーの捨て身の戦いによって敗れる事になるが、戦いで唯一生き残った勝平に、地球人は本当に存在価値があるのか論争を繰り広げる事になった。

なお、「第8号」の名の通り、複数機が存在する可能性があり(少なくとも7機)、更にはコンピュータードールを造り出したガイゾック星人自体が現在存在しているかも不明である為に、『ザンボット3』本編とは別の形で、ガイゾックの戦いは続いているのかもしれない。

登場作品と役柄

作品によって自身がそのままユニットとして登場するケースと、バンドックのパイロットとして登場するケースが存在。組織の初登場作品である『第4次スーパーロボット大戦』では存在自体が出てこず、ブッチャーが組織のボスとなっている。

様々な作品とのクロスオーバーであるスパロボの世界観では「身勝手な地球人」は腐るほど登場する為に第8号の主張も的外れとは言い難い…が一方で他作品の敵勢力(それこそ地球人より悪い考えを持った連中)を抹殺しようとする様子は殆ど見られない。これは、地球に端を発する脅威が原因。

Zシリーズ

スーパーロボット大戦Z
音声初収録。 演じた渡部猛氏は『新』以来約12年振りの新録となる。今回もブッチャー死亡後に登場。しかし全員気力MAXかつSPも全回復状態での戦闘になるため、それまでの苦戦を思うとあっけないほど簡単に倒せる。赤騎士デスカイン青騎士ヘルダインを複数従えているが、それでもプレイヤーを苦戦させるには至らない。
第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
本作ではZとは別個体のコンピュータードール達が登場する(渡部氏はライブラリ出演)。バンドックのパイロットとして登場し最初に確認されるのは21号で、名義は「ガイゾック」。第52a話『神に導かれしもの』では3号、10号、17号、22号、29号、36号が登場。
キャラクター図鑑では「コンピュータドール」となっており8号と明記されていない(既にZで死亡したため)。その為ある種のオリジナル設定と言える。

COMPACTシリーズ

スーパーロボット大戦COMPACT2第3部
「ガイゾック」表記。
スーパーロボット大戦IMPACT
「ガイゾック」表記。終盤でユニットとしても登場。通常版・マップ兵器版と2種類ある破壊波は、いずれも燃費が悪いので運動性の高いユニットを何機か囮にすれば、たちまちEN切れとなる。ENおよびHP回復などの特殊能力も無い為、比較的撃破し易い。ガイゾック星の滅亡にアインストが関与していた事を仄めかす台詞が有る。

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦A
最終話で勝平とヴィンデルの戦闘前会話に名前が登場するのみ。
スーパーロボット大戦R
「ガイゾック」表記。シナリオ「ブッチャー最期の日」でバンドックに乗る。本来の歴史では破壊されずブッチャーを蘇らせていたが、ラウル(orフィオナ)の機転により発見され、ラウンドナイツに破壊された。

装備・機能

武装・必殺武器

破壊波
IMPACTでは通常攻撃・マップ兵器の2種が存在。

移動タイプ

サイズ

LL

パイロットステータス設定の傾向

特殊技能(特殊スキル)

底力

人間関係

キラー・ザ・ブッチャー
部下。おそらく意図的に彼のような非道な存在が選ばれている。
ギッザーバレター、ズブター、ガイゾック兵
組織の構成員たち。
神勝平
最大の敵であり、彼に人類の悪を説く。Zでは、彼もまた身勝手な人間に利用されているだけと説いて、彼にかけられていた睡眠学習による暗示を解除し、より恐怖と苦痛を与えている。
神江宇宙太神北恵子
原作では彼らの死亡後に登場する。直接対話が叶うのはスパロボならではの展開。

他作品との人間関係

スーパー系

ガルファ皇帝
Rにて共同戦線を張る。彼も第8号も似たような存在である。
風見博士シリウス・ド・アリシア
Zでは勝平に対して地球人が悪であると語った際に、その理由として彼らの所業も挙げている。
破嵐万丈
Zではガイゾックの思想をメガノイドと重ね、独善であるとして容赦なく非難した。
クライン・サンドマン
Zにおいて彼もまた、ガイゾックをジェノサイドロンシステムと同じであるとした。
ロージェノム
CCにおいて、手を組む。

ガンダムシリーズ

シャギア・フロストオルバ・フロスト
Zで風見博士らと同様、悪しき地球人の例として彼らの名も挙げる。

バンプレストオリジナル

ラウル・グレーデン / フィオナ・グレーデン
Rでは最期は彼(彼女)に発見され、倒される。
御使い
Zシリーズでは文明の発展が彼らの到来を招くとして非常に恐れており、地球人を滅ぼそうとしたのはそれが理由だった。

名台詞

「この愚か者めが!自らの力に溺れ、この聖なるバンドックに破壊を招くとは何事か!」
油断によって失態を繰り返し続けた挙句、バンドックに大きな被害をもたらしたブッチャーに制裁を下した際の台詞。これにはブッチャーも許しを請うしかなかった。
「その声……神勝平だな……我、敗れたり……神勝平……」
「憎しみ合い、嘘をつき合い、我が儘な考え……まして、仲間同士が殺し合うような生き物が、良いとは言えぬ……宇宙の静かな平和を破壊する……我は、そのような生き物を掃除するために、ガイゾックによって造られた……」
「この悪意に満ちた地球に……お前たちの行動を……わかってくれる生き物が……1匹でも……いると……言うのか……?」
最終回における勝平との対話。富野節の最初期の頂点と言うべき、勧善懲悪の構造の逆転と相対化の場面である。このガイゾックの告発を如何に拒絶していくかが勝平の成長の証であり、原作シナリオを継承発展させるスパロボの一つのテーマでもある。

スパロボシリーズの名台詞

COMPACTシリーズ

「ブッチャーよ…後の始末はお前がするのだ…よいな…」
IMPACT終盤、バンドックを撃破された事で撤退しようとするブッチャーを制し、胴体部を分離させて逃亡を図る。
「…そうか…やはり…始まりの地…」
逃亡後、何処とも知れぬ場所でアインストと接触し、彼らと意味深な会話を交わす。
「…危険…やはり、彼らの危惧するとおり…滅ぶべきものなり…」
胴体内部に突入し、自身への怒りを滾らせるザンボットチームを目の当たりにしての呟き。
「…この力…これが…汝らの求めたもの…なのか…?」
「しかし…では…何故、かの地を…始まりに…選んだのか…」
メカブーストの群れを難無く一掃するロンド・ベル隊=地球人の力に驚嘆し、アインストへと漏らした台詞だが、恵子やクワトロは何者かに語りかけるような第8号の呟きを訝しんでいた。

Zシリーズ

「何故、ナチュラルコーディネイターを憎む?」
「何故、シャギア・フロストオルバ・フロストは世界を呪う?」
「何故、シリウス・ド・アリシア堕天翅に目覚めた?」
「何故、風見博士お前達を裏切った?」
「人が人を兵器とし、人が人の命をボタン一つで奪う事が、何故、何のためらいもなく行われる?」
「何故、血のバレンタインは起きた? 何故、レクイエムは発射された? 何故、黒歴史が生まれた?」
「全ては地球という星に住む生き物が起こしたものだ」
「永遠に輝け、僕らの星よ」より。地球の人間を信じようとする勝平に対しコンピュータードールは、地球の身勝手な人間達とそれによって行われた事実を突きつけながら詰問。この数々の事実に勝平も段々自信を無くし始めている。なお、この中で「血のバレンタイン」については多元世界誕生前の出来事に当たるのだが、本作の世界観では多元世界誕生前から『SEED DESTINY』と『ザンボット3』が同じ世界に属していたからであり、一方で侵攻のずっと前から地球について記録していたことが伺える。
「ここにも人間の悪意に目をつぶり、無意味な戦いをする者がいるか」
同話における万丈との戦闘前会話より。彼に対しても戦いは無意味と嘲笑するが、万丈にとっては第8号も憎むべきメガノイドの同類でしかなく、容赦ない言葉で独善ぶりを非難される。
「神ファミリーよ。地球はあの時のビアル星と同じく悪意に満ちた星だ」
「我は宇宙の平和のために地球を滅ぼす事を決定したのだ」
キング・ビアルとの戦闘前会話。
「我、敗れたり…。お前達は勝利者になった…」
「だが、この悪意に満ちた星を救う事に命を懸ける意味が…」
「忘れるな…。お前達の戦いは…無…意味…」
今際の台詞。最期まで地球人の戦いは無意味だと断言して散って行ったが、勝平からは「無意味でなんかあるものかよ!」と真っ向から否定された。
「だが、その人間が先に進めば…待っているのは奴らだ…」
「理解…不能…」
天獄篇40話にて。

余談

第8号を演じた渡部氏は第9話ではゲストキャラの大滝社長(SRW未登場)を演じたが、そちらは神ファミリーの最初の理解者として描かれた。