フリット・アスノ

2015年7月30日 (木) 23:01時点における126.120.77.126 (トーク)による版

フリット・アスノ(Flit Asuno)

  • 登場作品ガンダムシリーズ
  • 声優
    • 豊永利行(フリット編、ゲーム版青年フリット編)
    • 井上和彦(アセム編以降)
    • 遠藤綾(幼少期)
  • 種族:地球人(Xラウンダー)
  • 性別:男
  • 年齢
    • 7歳(プロローグ)
    • 14歳(フリット編)
    • 22歳(ゲーム版青年フリット編)
    • 39~40歳(アセム編)
    • 63歳(キオ編・三世代編)
  • 身長:147cm(フリット編)→173.6cm(アセム編以降)
  • 所属
    • 民間人(フリット編・キオ編)
    • 地球連邦軍(アセム編・三世代編)
  • 階級:中将(アセム編)
  • 役職・称号など:隊長(ゲーム版青年フリット編)→総司令官(アセム編)→退役(キオ編)
  • 主な搭乗機:ガンダムAGE-1
  • キャラクターデザイン:長野拓造(原案)、千葉道徳

人物

機動戦士ガンダムAGE』第一部・フリット編の主人公にして、作品自体を通しての主人公とも呼べる重要人物。技術者「モビルスーツ鍛冶」として有名なアスノ家の出身であり、自身も技術者としての高い素質を持ち、若年でありながらガンダムAGE-1の設計・開発を担当する。

来歴

フリット編

A.G.101年、「天使の落日」と呼ばれるヴェイガン最初のコロニー襲撃の日に生まれ、7歳の時にヴェイガンの襲撃に遭い母マリナを喪う。その際に小型コンピュータ・AGEデバイスを手渡される。

14歳時、住んでいたコロニー・ノーラへとヴェイガン(当時はUEと呼ばれていた)が侵攻。AGE-1を起動し、MS・ガフランを辛くも撃破し以降はヴェイガンを多く撃破する数少ない戦力として重宝されるようになり、ヴェイガンの秘密基地アンバット陥落(コウモリ退治戦役)まで前線で戦い抜いた。頑固な性格で自身の考えを曲げようとしない。また、悲劇的な経歴からか、この頃はガンダムに対する想いが人一倍強く、AGE-1に他のパイロットが乗ることを強く拒絶する程。アセム編以降は成長によるものなのか、執着心はだいぶ薄れている。

コウモリ退治戦役後は地球連邦軍へ正式に入隊し、青を基調としたノーマルスーツを老年期まで着用している。

アセム編

地球連邦軍総司令部ビックリング基地司令へと昇り詰めた。この頃から口髭を蓄えている。歳を重ねた事もあり、冷静な判断力を多く見せた他、自身もパイロットとして前線で戦い、Xラウンダーかつアップデートを繰り返しているとは言え、旧式の機体でありながら最新鋭機を多く撃破するなど腕の衰えを一切感じさせない。

当初は地球圏からヴェイガンを一掃する事を目的としていたが、アセム編最終話において旧知の仲である戦友を失った事もあり「全てのヴェイガンを殲滅する」という異常なまでの憎しみを持つまでに至る。

キオ編

この頃には地球連邦軍を退役している(小説版ではゲームクリエイターとして活動している様子)が、密かにガンダムAGE-3を建造し、孫のキオをパイロットに育てていた。オブザーバーという形で軍に復帰し、ディーヴァに乗艦。新艦長のナトーラ・エイナスを補佐していたが、ガンダムAGE-1 フラットが搬入されてからはパイロットとしても活動するようになった。さすがに齢60を超えているためか、全盛期に比べると明らかにパイロットとしての腕は低下している。退役していたとはいえ、その影響力は今なお健在であり、そのせいで一部の連邦軍人からは快く思われてもいない。長きに渡る救世主への執着とヴェイガンへの憎しみが募るあまり、口を開けば「殲滅」とヴェイガンの殲滅に非常に強く拘る様になってしまっている。

キャラクターの総評

キオ編以降における度重なるヴェイガン殲滅発言が視聴者の強い印象に残ってしまったのか、ガンダムシリーズは勿論ロボットアニメにおいても数少ない主人公でありながら「殲滅至上主義者」というその特異のキャラクター性が、特に語り草となっている。それ故に、パトリック・ザラミツヒロ・バートランド、終いには三輪防人といった他作品の主人公達と敵対・対立する立場にある醜悪に歪んだ過激思想を持った人物達の同類と見做されてしまいがちな傾向もある。

しかしながら、フリットがヴェイガンに対しての過激なまでの殲滅思想を抱くようになった背景には、彼が幼少期からの悲劇的な経験を多く得た事も関係している。すなわち、フリットの殲滅思想は、大切な人々をヴェイガンの襲撃から守りきることができなかった事に対する後悔の念に端を発するものであり、その悲劇を繰り返させまいとする強い決意と責任感の表れでもあった[1]

そして、何よりもフリットは口でこそ過激な発言をするものの、人としてあるべき心をも失った上記の面々と違って人としての良心も強く残しており、実際に一線を越えてしまった事は全く無い点を留意すべきであろう。ただし、本当に一線を越えようとしてキオら他の人々に水を差されて不発に終わったこともあるため、「自分を止めてくれる人がいてくれたから外道に堕ちずに済んだ」という解釈も捨てきれない。そういう点では「多くの悲劇を経験したが、得難い人々に恵まれもした男」であったとも言える。また、若年期における家族や友人といった大切な人々との死別が歪みを形成するようになっていったという意味では、シャア・アズナブルシン・アスカ、および前述したパトリック・ザラにも共通しており、彼らの成れの果てという見方もできなくはない。

登場作品と役柄

携帯機シリーズ

スーパーロボット大戦BX
初登場作品。PV2ではパイロットとして登場しており、戦術指揮要員としても使用可能。

パイロットステータス設定の傾向

戦術指揮

反撃時の攻撃力上昇、ヴェイガンに対する攻撃力・防御力上昇

人間関係

家族

マリナ・アスノ
母。7歳の時に屋敷を襲撃され落命。その際、AGEデバイスを手渡した。
エミリー・アモンド
幼馴染。後に結婚する。小説版の描写から、恐妻家な一面も見受けられる。
バルガス・ダイソン
エミリーの祖父で、後に義理の祖父となる。ガンダムAGE-1開発を支援した。
ちなみに関係はかなりフランクなのか、名前を呼び捨てで呼んでいる。
アセム・アスノ
息子。親子仲自体は良好ではあるが、優秀な父へのコンプレックスとフリットの性格故にやや冷めた関係でもあった。
キャプテン・アッシュとして活動するようになった際には、方針の違いで対立する。
ユノア・アスノ
娘。アニメ本編では純粋に好意を持たれているが、小説版では放任主義であったことや連邦内のヴェイガンの内通者を過剰に粛清したこと等が原因で、キオ編の時点では愛憎入り混じった目を向けられているなど険悪な関係となっている。
キオ・アスノ
孫。プレゼントとしてゲームと称したMSシミュレーターを与えるなど、アスノ家の後継者としての教育を施した。一方で、老化によって身体能力が衰えた自分の代わりにヴェイガンを滅ぼす者としての教育もしており、これに関しては強い罪悪感を抱いている。キオの危機には我が身を省みず助けようとする等、家族としての愛情も確かなものである。

友人

ユリン・ルシェル
コロニー・ノーラ脱出時に出会った少女。互いに心惹かれていくものの、最終的に死別してしまいフリットの心に強い傷を残した。
ちなみに、ゲーム版では「フリットの初恋の人」というポジションである(キスシーンも存在している)。
ディケ・ガンヘイル
幼馴染。ノーラ脱出時に共にディーヴァに乗艦。以後バルガスのサポートをするなど、後方支援として活躍。
その後も、ディケの娘・アリーサおよび孫・ウッドビットと一家揃っての付き合いとなる。
小説版ではディケは最初はフリットを嫌っていたが、UEの侵攻の際にフリットに命を救われてからは彼に友情を抱くようになり、親友になっていった。

地球連邦軍

ヘンドリック・ブルーザー
ノーラ・アリンストン基地司令。孤児となったフリットを引き取った養父。
グルーデック・エイノア
ディーヴァ初代艦長。
ラーガン・ドレイス
AGE-1のテストパイロットであり、兄貴分。
ウルフ・エニアクル
もう一人の兄貴分であり、息子のアセムにとっても恩人となる。
フレデリック・アルグレアス
ビッグリング参謀であり、側近。退役してからも関係は続き、様々な便宜を図って貰った事も多い。
ナトーラ・エイナス
ディーヴァ三代目艦長。不慣れな彼女を叱責する事も多いものの、素質の高さと日々の努力を評価してもいる。
セリック・アビス
アビス隊を率いる隊長。彼やナトーラと今後の行動方針や作戦を相談し合うことが多い。
ジラード・スプリガン
ヴェイガンへ寝返った連邦軍大佐。

地球連邦政府

フロイ・オルフェノア
地球連邦首相。

ザラムとエウバ

ドン・ボヤージ
旧国家派閥「ザラム」のリーダー。フリット編において、下記のラクト共に共闘する。
ラクト・エルファメル
旧国家派閥「エウバ」のリーダー。

ヴェイガン

デシル・ガレット
フリット編において敵対関係となる。若干7歳でありながら、AGE-1を強奪するなど数多くの煮え湯を飲まされることとなる。
ユリンを死亡させた元凶であり、フリットにとって「不倶戴天の怨敵」と言える存在。
また、フリットが殲滅主義者と化す一因となり、結果的に地球ヴェイガンとの和平を困難にした遠因を作った人物でもある。
フェザール・イゼルカント
ヴェイガンの首魁であり、宿敵。
フリットは彼のことを「邪悪な存在」「人類の敵」「魔王」などと口を極めて痛罵しており、一方ならぬ憎しみを抱いている。

その他

イワーク・ブライア
フリット編においてファーデーンへ立ち寄った際に彼の世話になっている。

名台詞

フリット編

「そんなの意味が無いですよ!」
イワークから、コロニー・ファーデーンではザラムとエウバの確執が未だに続いている事を聞き思わず反応。直後、伝説の名(迷?)台詞「強いられているんだ!」へと続く。
「命はオモチャじゃないんだぞおおおおおっ!!」
ユリンを死に追いやったデシルへ対して激昂。圧倒的な力でデシルを撃破へと追い詰める。
「何が救世主だ! ユリンさえ救えないなんて…僕は…僕はああああああああっ!!」
デシルを撃破後、心を通わせた一人の少女すら守れなかった事へ対して慟哭。この時から、フリットはヴェイガンへの憎しみを募らせていく事となる…。

アセム編

「私が目指すのは…ヴェイガンの殲滅なのだから!!」
アセム編最終話においてクーデターを決行し地球連邦政府首相フロイ・オルフェノアの罪を暴き、彼を前にして、堂々の殲滅宣言。
以後、フリットはオルフェノアをはじめとするヴェイガンとの内通者を次々と粛清していくなど、手段を選ばないようになる。

キオ編・三世代編

「ヴェイガンは殲滅する!」
ある意味で、キオ編以降のフリットを代表する台詞。老年期のフリットはこのような感情的な台詞が特に目立つ。
「ヴェイガンは人間じゃない!! 人の命を簡単に奪う!」
地球への侵攻を再び始めたヴェイガンの所業に怒り、キオに対して。実際、ヴェイガンに対する被害も尋常ではないので間違いではないが、過激な言い方が耳につく。
「奴は邪悪な存在、人類を滅ぼそうとする『魔王』だ!」
キオに対して、ヴェイガンの首魁イゼルカントを分かりやすく、かつ過激な言い方で断ずる。
「輸送だと…? ヴェイガンの捕虜など全員処刑すれば良いのだ!」
ヴェイガンの捕虜の扱いをどうするかを訪ねたフレデリックに対しての断言。この発言にはフレデリックも流石に当惑し、その場にいたアセムは絶句。さらにキオからも拒絶される事となってしまう。
(私には守れなかった者がいる…守れなかった者達が…。私は誓ったのだ…敵を打ち倒し皆も守る救世主になると…。どんな手段を使っても…)
その後、息子たちが離れ一人残ったあとの独白。長い戦乱により、多くの家族・友人・仲間たちを失っていった事への自責の念をも感じさせる。

ゲーム・書籍媒体

「戦争に大丈夫などない。生き延びたいのなら…死を覚悟して全力で戦うしかない」
「アスノ隊! 我々はどんな状況であろうと勝利を信じて戦う。それだけだ!」
「私に続け! フリット・アスノ、ガンダムAGE-1出る!」
PSPのゲーム『ユニバーサルアクセル』及び『コズミックドライブ』における青年フリット編の出撃時。
「よくやったキオ! さすがはワシの孫じゃ!」
コミカライズである『クライマックスヒーロー』にて。このように、歴代ガンダムコミカライズ作品の例に漏れず、当作品においてのフリットは孫煩悩で砕けたキャラとなっている。
「あれもUEのMS? まるでガンダムじゃないか」
漫画『ガンダムEXA VS』より。テミス・キロンの搭乗するジェノアスが制止するのを振り切って倉庫から出てきたフリットの目に飛び込んだ機体、エクストリームガンダム リフェイザー・タキオン。彼はUEのMSとは明らかに異なるその機体を見て困惑する。さらにその後…
「そんな――― あれは救世主ガンダム なぜだ なぜなんだ」
リフェイザー・タキオンが撤退した後、上空から飛来してきたMS。その機体はかつてアスノ家に語り継がれてきた「救世主」に類似し、そして今現在存在するはずのない機体、ザ・ガンダムであった。その存在は彼をさらに困惑させた。
しかし、その機体にはヴェイガンとは異なる火星からの征服者、ガンダムの世界を破壊せんとす「究極のアダム」―――マーズIのアル・アダが搭乗していた。フリットは檄を飛ばしてくれたテミスと共に立ち向かわんとするも「征服者」と変貌したザ・ガンダムの一撃がAGE-1とジェノアスの胴体を両断した。

搭乗機体・関連機体

ガンダムAGE-1
約半世紀も乗ることとなる愛機。
シャルドール
デシルにAGE-1を奪われた際に一時的に搭乗。
ガンダムAGE-2、ガンダムAGE-3
自身が開発したガンダムAGEの次世代機。
ザ・ガンダム
AGE-1を開発する際に参考にしたアスノ家に飾られていた肖像画のMSを各種文献やフリットの生前の証言などを参考に復元したMS。

脚注

  1. ちなみに、フリットが抱く「人類を守る救世主にならなければならない」という使命感もまた、既述した彼自身の悲劇的な経験に由来するものである。このフリットの純粋な願望は、自身を救世主だと称したリボンズ・アルマークの様な傲慢な意思とは全く無縁なものであった。

余談

  • アセム編からフリットを演じている井上和彦氏は『機動戦士ガンダムAGE』のナレーションも兼任している。
    • この事から、『機動戦士ガンダムAGE』は「フリットが語り継ぐアドバンス・ジェネレーションの戦乱の物語」であるとも言える。
  • 現時点のガンダムシリーズにおいて、幼少期から老年期までの活躍が描かれた数少ない主人公でもある。また、現役パイロットとしても最年長(63歳)である。
    • ただし、単純な最年長では『劇場版00』エピローグにおける刹那(73歳)である。
  • 老年期において、丸眼鏡のようなゴーグルを着用していた事から、一部視聴者から「バスク・オムのようだ」とネタにされた。
    • 確かに、フリットとバスクは敵対勢力に対する強い憎悪を抱く軍の指揮官である点は共通しているが、フリットは残忍な性格のバスクとは異なって、一線を越えるような所業をする事は皆無であった点を忘れてはならない。
  • 壮年期以降のフリットには、視聴者から少年期との区別も込めてそれぞれに「オジット」「ジジット」というあだ名がつけられている。

商品情報

資料リンク

GUNDAM:フリット・アスノ