次元将ヴィルダーク

2015年7月1日 (水) 23:07時点におけるオオクラ (トーク | 投稿記録)による版

次元将ヴィルダーク(Dimension General Virudhak)

新地球皇国の皇帝にして、サイデリアルの統率者。その正体は、ガイオウと呼ばれた男ヴァイシュラバと同じく次元将の一人であり、「皇帝アウストラリス(Emperor Australis)」を名乗ってサイデリアルに属していた(テンプティやドクトリンの反応を見ると御使いに与えられた名前の可能性あり)。なお「ヴィルダーク」とはガイオウの「ヴァイシュラバ」同様次元将としての名前であり、本名は不明。

ガイオウ同様、根源的災厄と戦うために力を集めて挑んだが敗走。より強い力を求めた末に、不屈の意志で御使いと戦っていた「立ち上がる射手」のスフィア・リアクターを討ち、新たなリアクターとなった。サイデリアルが蒼の地球に侵攻した後は皇帝として振る舞いつつも、御使いへ対抗するための計画を尸空エルーナルーナと共に進めていた。

ラース・バビロンでの決戦後、スフィアを吸収する次元将の能力を覚醒させ、「怨嗟の魔蠍」「欲深な金牛」「沈黙の巨蟹」を自らのものとした。その力に己本来の闘気を加え、恐るべき力を持つ。ラース・バビロンでの戦いでは敗北したが、「敗北したのであれば、俺はまだその分だけは強くなれる」と捉え、地球から去っていった。

内心では自らのやって来たことが正しくないと知りながらも、今まで奪ってきた命たちに報いるため、真化融合を果たしたZ-BLUEに戦いを挑むも力及ばず敗北し、アドヴェントに4つのスフィアを奪われ、死亡してしまう。しかし、生と死の狭間において、「鬼宿」の力で存在していた尸空と邂逅。「立ち上がる射手」を通じて超時空修復に力を貸した後、新たな地平へと去っていった。

戦闘義体はカラーリングこそガイオウのものと同様の銀主体だが、あちらに比べ全体的に細身で、顔の部分が仮面のようになっているのが特徴。また御使いや前のリアクターとの戦いでヴィシュラカーラが失われており、飛行能力がなくなっている。さらに、ガイオウの義体にあった「ゼロ・レイ」も使用できず、徒手空拳のみが攻撃手段。しかし、ヴィルダーク自身の戦闘力に「立ち上がる射手」の力を加えることで、絶対的な力を発揮する。

名前の由来は仏教の仏神で、四天王の一尊「増長天」のインド名「ヴィルーダカ」だと思われる。偽名であるアウストラリスは、いて座で最も明るい恒星「カウス・アウストラリス」が由来とされる。

登場作品と役柄

Zシリーズ

第3次スーパーロボット大戦Z天獄篇
「皇帝アウストラリス」名義と「次元将ヴィルダーク」名義の2種類で登録されている。両方にパイロットデータがあるが、「アウストラリス」の方はユニットに通常武器がないため実質飾り。
序盤から何度か顔を見せるものの、実際に対決するのは2度。能力は元より乗機の攻撃力が異様に高く、加えてエースボーナスで「必中」がかかるため、エネミーフェイズでの3回行動とのコンボが激烈。さらに第57話で激突する時はなんと「鋼の魂」を装備しているため、当てる・耐える・避ける・反撃で落とすという無双振りを発揮してくる。

パイロットステータス設定の傾向

能力値

回避だけが極端に低いが、他の能力は全て高水準で、格闘・射撃・技量に至っては300越えという本物の怪物。

精神コマンド

第3次Z天獄篇
信頼直感気迫
アウストラリス名義の時は後半二つの枠が存在しない。ガイオウもそうだったが、「信頼」や「絆」といった過去を想像させるような精神コマンドを持っているのが興味深い。彼の場合、人間だった頃の仲間や共に戦った次元将達、そして尸空、エルーナルーナに対してのものという事か。

特殊技能(特殊スキル)

第3次Z天獄篇
指揮官L4、ガード気力+ (ダメージ)気力限界突破底力L6、精神耐性3回行動
サイデリアルの元締めに、そしてガイオウと同格の次元将に相応しい強力なスキルがずらり。3回行動はヴィルダーク名義になってから解禁される。

固有エースボーナス

気力130以上で、自軍フェイズ開始時に精神コマンド必中直撃が掛かる
第3次Z天獄篇で採用。ガイオウのボーナスの上位互換で、一発だけはバリアも分身も援護防御も通用しない。集まっていると相克・極を叩き込んでくるため、一網打尽にされかねない。

次元将形態

武装・必殺技

相克の陣(そうこくのじん)
次元将形態になる前のタマゴの状態で使用した攻撃。実際にはイベントのみの使用(タマゴの状態では、一切攻撃も反撃も何もしてこない)。
相克・極(そうこく・きわめ)
自機中心型のMAP兵器。闘気を解放して敵を薙ぎ払う。左右3マス目の上下と、左右2マス目から1マス飛んだマスが安全地帯。
太極・滅(たいきょく・めつ)
唯一の通常武器で全体攻撃。「立ち上がる射手」の力によって闘気を最大解放し、格闘コンボを叩き込んだ後ドロップキックで空間ごと粉砕。
ちなみにサイズ差補正無視があるが、ヴィルダークは2Lなので合体後のグレンラガンかダイバスターにしか適用されず、バリア貫通がないので場合によっては弾かれることも。

特殊能力

HP回復(中)
次元力によってダメージを回復する。
EN回復(大)
闘気によってエネルギーが回復する。
対精神攻撃
オールキャンセラーではないので装甲ダウンは通用するが、だからどうしたと言わんばかりに耐久力が高い。
オールキャンセラー
カオス・コスモス内での決戦時ではこちらに差し替わってる。
スフィア・アクト(立ち上がる射手)
気力140以上でスフィアの力を行使し、10マス以内のPCユニットの与えるダメージを10%軽減する。「分析」をヴィルダークにかければちょうど相殺される。

移動タイプ

ヴィシュラカーラがなくなっているので空を飛べない。移動するわけでもなく、武器の地形適応も良好なのでそれがなんだという話だが。

サイズ

2L
戦闘義体は巨大。ダイターン並みに巨大。

パイロットBGM

「夢幻の戦神」
専用BGM。ガイオウのBGM「無窮の闘神」とネーミングの形式が全く同じであり、彼の正体を暗に表している。
「無窮の闘神」が勇壮感のある曲なのに対して、こちらは57話で本人が言ったように「最早立ち止まる事は出来ない」という事か、どこか悲壮感のある曲なのが特徴。
「Reverion~反逆の戦士達~」
第48話のイベント後にこれが流れ始める。このシーンでは「新地球皇国と戦うZ-BLUE」と「御使いと戦うヴィルダーク」の二重の意味が込められている。

人間関係

ヴァイシュラバ、ウィルパーシャ、ドゥリタラー
次元将時代に共に戦った仲間。なお、ヴィルダークが4人のリーダー格であったらしい。
尸空エルーナルーナ・バーンストラウス
形式上の部下。共に御使いの打倒を誓った同志。
バルビエル・ザ・ニードル
形式上の部下。御使いに心酔する彼には、御使い打倒の計画を隠していた。
ヒビキ・カミシロ
シオニー・レジス
ガイオウことヴァイシュラバが遣わしたメッセンジャー。彼女から同志の戦いと生き様を聞かされた。
喜びのアドヴェント
本来の宿敵である御使いの1人。最後は彼に、所持していた4つのスフィアを奪われる。
哀しみのサクリファイ怒りのドクトリン楽しみのテンプティ
本来の宿敵たる者達。尸空、エルーナルーナと共に彼らを倒す為に行動していた。

他作品との人間関係

熱気バサラ
第48話での戦闘中に戦う理由を問うたが、全くの平常運転で返され会話を諦めた。
ベルファンガン・クルーゾー
戦闘時に「ガイオウの方がまだまし」といわれる。当然ながら中の人ネタである。
リリーナ・ドーリアンナナリー・ランペルージマリナ・イスマイール
彼女達との対話は拒絶したが、対話で事態を解決しようとする姿勢から強い者と評する。

名台詞

戦闘中

「これまで倒した数え切れない程のガンダムに、お前の名も加える!」
ガンダムタイプとの特殊戦闘台詞。ゲルマン忍者と同じ声でこの台詞を言うのは何の因果か。
「ヴァイシュラバよ……! 確かに奴らは強いなぁ……!」
被弾(大破)時。

インターミッション

「惰弱な種は、今日よりサイデリアルの統治者たる我が支配する」
「崇めよ、地球人よ! 新地球皇国を……サイデリアルを!!」
第1話冒頭のデモにて、地球人に向けた宣告。憎むべき御使いの僕たるサイデリアル……それを崇めよと告げる次元将は、本来次元将が守らねばならなかった命に向けて、どんな思いでこの宣告を下したのだろうか。
「だが、言葉では何も守れん」
謁見に来たリリーナ達を評して曰く。ヴィルダークが戦っている相手は対話が選択肢に存在しないどころか、その可能性自体が在りえない連中である。
「お前に問う……お前の戦いは何のためだ?」
第48話「燃える地球」での戦闘前会話より。実はどのキャラクターで戦っても必ずこの問いから始まる。ちなみに相手がバサラの場合平常運転で返されて会話を諦める
「その名は…」
御使い!」
第51話「運命への出航」より。ハーデス曰く「この世界の支配者を気取る者」、ズール曰く「神々の戦いの勝利者」、宇宙魔王曰く「オリジン・ローを操り、全ての世界の在り方を監視する者」、コーウェンスティンガー曰く「進化の頂点に立ち、他者の真化を許さぬ傲慢なる者」、ミカゲ曰く「1億2千万年前に堕天翅を次元の狭間に封印せし我等の大敵」……多元世界最大最強の敵「根源的災厄」が、ここに来て姿を現す。
「お前達の存在は、俺達の世界の見果てぬ夢の結実だ」
「しかし、同時にそれは、俺達のやって来たこと……次元獣の軍団の全てを否定することでもある」
「相容れない、というべきだろう」
「お前達を認めてしまえば、これまで次元獣にするために奪ってきた生命全てを冒涜することになる」
過ちを犯した事実とZ-BLUEが真化融合を遂げてなお、敵対をやめない理由。ガイオウもそうだったが、次元将というのは融通が利かない存在らしい。
「……わかっていたのだ。俺達のやって来たことは正しくなどないと」
「最終形態に達しない次元獣ヴァルナー……これは俺のためらいの証だろう」
「それでもやるしかなかった。それしか方法はない、と思い続けてきた。……だが、全ては無意味だった」
「俺に出来ることは、彼らの生命に報いるために、この力でお前達に勝利することだ!」
ヴァイオレイション・システム……人の未来を奪い、尊厳を蹂躙して戦う力に変えるシステム。そんなものを使う次元将が未来への希望であるなど、筋が通らない。それでもこれしか方法はない……己を騙して戦ってきたヴィルダークの目に映るのは、見果てぬ夢・真化融合を遂げた者たち。己のやって来たことを無にしないため、奪ってきた命に報いるため、「立ち上がる射手」はZ-BLUEに挑む。何の意味もない、それでもせずにはいられない、戦いのために。
「思えば俺は、犠牲を強いることで今日まで戦ってきた」
「事情も知らされないまま、命令に従って戦い続けてきたサイデリアルの兵士達……父親の命とハイアデスの自由を奪われた復讐を誓ったエルーナルーナ……一族の使命を歪める者の存在を討とうとした尸空……同胞の全てを滅ぼされながらも奴らに服従を誓い、その憎しみを歪ませたバルビエル……怒りと諦めの狭間を漂っていた己を恥じ、生きる気力と誇りを取り戻したガドライト……そして、不屈の意志で御使いに戦いを挑んでいた、俺の前の立ち上がる射手のリアクター……奴らの生命を奪い、俺は4つのスフィアの力を得た」
「だから、俺は戦わなければならん……そして、勝たなければ!」
次元将は冷酷な存在ではない。命の意味を知り、その重さを知っている存在。だからこそ、奪った命を無駄にしないために、歩む道を変えることが出来ない。例えもっと良いやり方を知っても、己のやり方が過ちだと気づいても。
「その名で呼ぶな! 俺は……次元将ヴィルダークだ!!」
アドヴェントから射手座のリアクターの洗礼名である「アドナキエル・ザ・ジェネラル」と呼ばれた際の最期の台詞。最後の最後まで御使いへの反逆の戦士として、最後の次元将はカオス・コスモスに消え去った。
(許せ、ドゥリタラー、ウィルパーシャ……そして、ヴァイシュラバよ)
(俺は……次元将の役目を果たすことは出来なかった……お前達に会っても詫びることしか出来ん……)
死に行くヴィルダークの魂は、役目を果たせないまま終わることへの失意に囚われていた。しかし、その目の前に現れたのは、反逆の同士の一人たる「沈黙の巨蟹」であった。そして……。
「何も思い残すことはない。俺達は精一杯生き、そして宇宙は救われた」
エンディングにて。

対決・名場面

怒りの塔に座する者
天獄篇第15話「決戦! ラース・バビロン!」より。乾坤一擲の突破作戦を仕掛けたZ-BLUEだったが、策に対しての正面突破を前提としていたそれはストラウスに読まれており、全軍との激突を強いられ敗走する。
しかし、次は勝つという決意を込めて振り返ったその視界に、一つの姿が映る。ラース・バビロン皇帝宮、その屋根の上に姿を表した巨躯の男。金色の武具とマントに身を包んだその名は、皇帝アウストラリス―――サイデリアルの統治者。圧倒的なプレッシャーを以ってZ-BLUEを睥睨するその姿は、まさに覇者だった。
これを千載一遇のチャンスと見たヒビキはGAIモードを起動し、その意志はほんの一瞬、「いがみ合う双子」に真の覚醒を齎す。だが、その一撃は皇帝宮を防御する霊子の障壁で跳ね返される。「血塗られた目」を表し動きの止まったヒビキだが、アウストラリスはそれを見て呟く。呪われし者、心を壊されし者。それが、「何故、お前は動ける?」
逃亡するZ-BLUEを見送ったアウストラリスは、垣間見た「いがみ合う双子」とそのリアクターの力に、かすかな希望を見出す。己の身に秘めたスフィアの力と共に。
Revelion~反逆の戦士~
天獄篇第48話「燃える地球」より。激戦の末三人のリアクターを打ち破ったZ-BLUEだが、そこに謎の球体が皇帝宮から出現する。虹色を孕み、不気味に脈動する銀色の球体……どこからどう見ても機動兵器には見えないそれが、アウストラリスの力。そこに、リアクター達が戻って来る。次元力で機体を再生させる時間を稼ぐため、アウストラリスをバルビエルが急かす。が、それに対する皇帝の返答は、不意に放った闘気による攻撃だった。
アン・アーレスを破壊し、プレイアデス・タウラの自沈を見届け、尸逝天の消滅を看取り、三つのスフィアを手にしたアウストラリスは直衛部隊を展開。それを跳ね除けるZ-BLUEの猛攻にも、アウストラリスは動じない。業を煮やしたガドライトが襲い掛かるが、その眼前で球体が変化を起こす。
四つのスフィアの力を取り込み、孵化するかのように変貌したその姿は、機動兵器の常識を超えた銀色の巨人。圧倒を通り越して絶対的なその力は、ジェミニアをたったの一撃で粉砕してみせる。そして、その巨人そのものとなった男・アウストラリス。明かされる「立ち上がる射手」の正体―――彼の名は、次元将ヴィルダーク。根源的災厄に立ち向かう力にして、人類の希望たる存在。終焉を越えるその意志はZ-BLUEに向き、宇宙を救うさらなる力を求め、反逆の戦士が戦場に立つ。
原初と終焉の世界で
天獄篇第57話「真化、その意味」/「終焉の宇宙」にて。真化融合の力を得たZ-BLUEは、カオス・コスモスを進む中で一人の男と遭遇する。次元将ヴィルダーク――永遠を穿つべく放たれた銀色の矢。
彼は語る。真化融合―――それは自分達の夢だと。マシンと人との完全なる調和、そこから生まれる究極至高の力。それを求め、そして届かなかった次元将の故郷。彼らが生み出した力が、リヴァイブ・セル。次元獣という形で人とマシンを一体化させ、力を高める非道の業。
次元将は冷酷でも、残忍でもない。為すべき使命の重さを知り、人の命の意味と価値を理解し、それに報いるために懸命になっている、ただの人間。だからこそ、ヴィルダークは……最後の次元将は、Z-BLUEの存在を認めることがどうしても出来ない。見果てぬ夢、届かぬ幻想……そうであったはずの、そうでなければならなかった真化融合を果たし、その力を以って御使いを討たんとする彼らを認めれば、次元将が生まれた意味も、今までやって来たことも、全ての意味が失われてしまう。その境地に届かなかった世界が、滅びを迎えてなお御使いを倒すために、切なる願いと共に送り出した最後の希望―――それが、彼ら次元将なのだから。
わかっている。わかっていた。自分のやって来たことは間違っていると。人の尊厳を否定し、多くの犠牲を強いながら突き進んできた、血塗られた道。だからこそ、Z-BLUEと協力することは出来ない。流された血と涙に報いるためにも、この力で御使いに勝利しなければならない。―――例え、そこに未来がなかろうと。例え、Z-BLUEの方が絶対に正しくても。彼らの方が、自分よりも強い力と心を持っていても。彼らこそが、御使いを倒しうる存在であっても。
次元将とZ-BLUE……人類の希望同士が、混沌の宇宙で激突する。御使いを倒す、その道を歩むために。


余談

  • ユーザーからは「ドロップキックおじさん」なる愛称で呼ばれている。