スフィア・リアクター(Sphere reactor)
スフィアを持ち、その力を行使する人物の呼称。広義ではスフィアの力を使う者、狭義では一つのスフィアに共鳴し、覚醒させた人物を指す。
次元を超えて「聖戦」と呼ばれるスフィアの争奪戦を繰り広げ、12のスフィア全てを手にすることで太極に至るといわれている。
だが、12のスフィアはそれぞれ、全く異なる共鳴条件を持つ(特に好奇心に共鳴する「知りたがる山羊」と嘘に共鳴する「偽りの黒羊」は真反対である)ため、「全てに同調することは出来るのか」とユーザー間で取りざたされている。特に反作用の存在が大きく、もしすべてに同調した存在がいるとして、「その人物に人としての要素は残っているのか」という疑問もある。
実際に複数のスフィアを手にした例を見ると、完全に覚醒した「偽りの黒羊」を手にしたユーサーはその力で周囲を欺いていたが、アイムのような反作用は受けていなかった(元々持っていた「尽きぬ水瓶」のみ)。またZRルートで奪い取った「尽きぬ水瓶」を持つアサキムも、その反作用を受けていない。
時獄篇で明かされた新たな事実として、リアクターには次元力の行使の度合いに合わせた覚醒の段階が存在することがわかっている。
これは、無限動力として使用するファースト、スフィアの属性に合わせた影響が顕在化するセカンド、属性に応じた能力を自在に行使する=事象制御「スフィア・アクト」を行うサード、そしてあらゆる因果、あらゆる事象を自在に操るラストの4段階に分かれている。このうち、反作用を受けるのはセカンド・ステージのリアクターであり、これを乗り越えてサード・ステージに進むことで事象制御能力を獲得すると、反作用を制御して抑制・無効化することができるようになる。
「リアクター」とは「反応炉」を意味する言葉であり、この場合「反応」はスフィアの属性に対応した能力「スフィア・アクト」の発現となる。
また、アサキムは「知りたがる山羊」を操る方法を得るために自らZONEに飛び込み、その中でオリジン・ローの流れに触れることで「知りたがる山羊」のスフィア・アクトを発現させていた。これを裏返すと、ステージシフトの鍵となるのは次元力であり、どれだけ長く、あるいはどれだけ濃く次元力に触れたかがキモであるようだ。
複数のスフィアと反作用
スフィアの覚醒の過程でリアクターの受ける反作用は、スフィアそれぞれの持つ属性の顕在化であるが、「偽りの黒羊」を奪ったユーサー、「尽きぬ水瓶」を奪ったアサキムはそれらの反作用を受けていない(特に「尽きぬ水瓶」はセカンド止まりだったことがポイント)ことを考えると、反作用を受けるのはあくまで最初に得た一つに限られるとも考えられる。
裏付けとして、アサキムは火星でのクロウとの対決時、「持っているスフィアのうち、2つ(元々のひとつと「知りたがる山羊」)を使いこなす域に達している」と述べている。スフィアを「使う」ということは、単に動力として使用しているのではなく、スフィアの属性に応じた力を行使できる=サード・ステージに達しているということを意味している。またこれを読み解くと、ステージシフトはスフィア一つ一つに対応して認識される事象であるらしい(アサキムの場合は元の一つと「知りたがる山羊」はサード、「偽りの黒羊」「尽きぬ水瓶」はセカンド。ただし、共鳴しているのは元の一つであるため反作用は受けていない)。
さらに、スフィアを語る上で外せない次元力については、その本質が「意志の力によって存在や概念の根源たる霊子を動かし、事象を制御する力」だと時獄篇で語られている。
また、戦闘によるスフィアの奪取は基本的にセカンド・ステージ以降のリアクターの間でしか起こらないとされている(ランドルートのセツコ、セツコルートのランドはアサキムに敗北しているが、ファースト止まりであったためかアサキムからは「倒しても意味はない」と言われている)。
これらを総合すると、リアクターとスフィアの覚醒の段階、それに伴う影響はこのようなものだと考えられる。
- ファースト・ステージ→単純動力としての使用。次元力を機械的に引き出し、機械的に利用しているだけで、リアクターが存在していないため何の影響も与えず、何の影響も受けない。なので、この時点ではマシンの搭乗者を殺しても意味はない。
- セカンド・ステージ→動力としての使用。乗り手とスフィアに繋がりが発生し、リアクターとなった乗り手の意志でスフィアの出力を制御できるようになる。ただし、これに伴いスフィアの属性の顕在化、即ちスフィア・アクトが発生。この時点ではリアクターの意志はスフィアの力を引き出すこと、つまり己自身に向くため、アクトがリアクター自身に作用する(スフィアの反作用)。また、この段階ではマシンに乗らないとスフィアに干渉できない。
- サード・ステージ→スフィアとの完全な同調。スフィアの力を己の力として使用でき、マシンがその場になくとも干渉可能になる。また、スフィア・アクトの作用する対象を制御できるようになる。ただし、共鳴条件は変わらないため、スフィアによっては反作用から逃げられないこともある(意志の方向が己に向かざるを得ない「偽りの黒羊」や「いがみ合う双子」など)。
リアクターから別のリアクターがスフィアを奪った場合、奪ったスフィアの反作用を受けることはないが、覚醒進度は奪った時点のものになるため、サードに達していない場合は改めて覚醒させる必要がある。
時獄篇ではヒビキがガドライトから「いがみ合う双子」を奪取しているが、別のスフィアを持っていたわけではない(=「いがみ合う双子」に同調して外から奪った)ため、このまま同調が進めばいずれセカンド・ステージに移行して反作用を受けるようになると考えられる(ただし、ジェニオン・ガイは初起動時点から次元力制御の第三段階=サード・ステージである事象制御を攻撃に転用しているほか、奪取した時点でTS-DEMONによる制御が始まっているため、この辺りは不透明)。
また、熱気バサラの歌は一部のリアクターにダメージを与えているが、この面子を見るとアイム、ガドライト、尸空と見事にサード・ステージの面々である。ここからすると、ある程度覚醒したリアクターは、次元力を高レベルで扱える代わり、次元力に干渉する力の影響をダイレクトに受けるという弊害を抱えるらしい。
該当人物
登場
- セツコ・オハラ
- 「悲しみの乙女」のリアクター。反作用で五感が失われつつあったが、再世篇でステージシフトが始まったのか克服しつつある。復帰時により高い領域で使えるようになったことを匂わせる台詞も。恐らく味方サイドでもっともスフィアを使いこなしつつあるリアクター。
- ランド・トラビス
- 「傷だらけの獅子」のリアクター。反作用で力を使うたびに激痛を受ける。なお実際に力を使うには相方であるメール・ビーターが必須。
- クロウ・ブルースト
- 「揺れる天秤」のリアクター。反作用で正常な思考が出来なくなるが、お金の力で防ぐことで力を使うことに成功する。しかし、それ以上はまだ使えるに至っていない。
- アイム・ライアード
- 「偽りの黒羊」のリアクター。反作用でまともな喋り方が出来ない。初登場の時点で既にステージシフトが始まっており、次元震の発生を行っている。再世篇では本格的にサード・ステージに移行してスフィア・アクトを発現させたがその戦いで死亡している。
- ユーサー・インサラウム
- 「尽きぬ水瓶」のリアクター。反作用で肉体が崩壊しつつある。
- ガドライト・メオンサム
- 「いがみ合う双子」のリアクター。反作用の内容は正確には不明だが、後に完全にサード・ステージに移行して克服している。
- ヒビキ・カミシロ
- ガドライトから「いがみ合う双子」を奪取した新たなリアクター。
- 尸空
- 「沈黙の巨蟹」のリアクター。
- アサキム・ドーウィン
- おうし座・さそり座・いて座・うお座のうちいずれかのリアクター。さらに「知りたがる山羊」「偽りの黒羊」「尽きぬ水瓶」を所持。このうち元から持っていた一つと「知りたがる山羊」に関しては、「使いこなす域に達している」とのことからサード・ステージに入っていると思われる。
名前のみ
- キング・インサラウム1世
- ユーサーの前の「尽きぬ水瓶」のリアクター。天命を全うしたためかスフィアは聖王機ごとインサラウムに残り、ユーサーが目覚めさせるまで眠っていた。
- ???
- 「知りたがる山羊」のリアクター。好奇心からアサキムの心を覗き、その奥にあった闇に呑まれて死亡。スフィアはアサキムに奪われている。